基礎から学ぶ統合報告
―IIRC「国際統合報告フレームワーク」を中心に―
【第8回】
(最終回)
「統合報告を取り巻く現状と先進開示例に学ぶ今後への期待」
公認会計士 若松 弘之
今まで7回にわたり、統合報告フレームワークの基礎概念、指導原則、内容要素を中心に解説してきましたが、今回はいよいよ最終回です。統合報告を取り巻く環境や先進事例の紹介、今後、統合報告が広まっていくための課題などについて触れたいと思います。久しぶりに、東郷くんと豊国さんの会話から見ていきましょう。
東郷くん
今までいろいろ説明してもらって、なんとか統合報告のイメージやどんな内容を記載すればいいか分かったよ。ところで、現状、日本では統合報告がどの程度普及しているのかな?
豊国さん
フレームワークが公表されたのが昨年12月なので、これに準拠した「統合報告書」という意味で線引きをすることが難しいのだけど、ほぼフレームワークの趣旨に沿うような先進事例としてはすでに10社以上が公表していて、現在100社以上が公表準備中とも言われているわね。
東郷くん
日本でもここ2、3年でかなり導入が進みそうだね。でも、普及するにあたっての課題などもありそうだけど・・・
豊国さん
そのとおりね。私の考えでは大きく3つあると思うの。まず1つめは、何のために統合報告を導入するのか企業自身がその意義やメリットをしっかり考え、納得し、前向きに取り組めるかという点でしょう。2つめは、どこまで踏み込んで企業独自のスタイルで統合報告を作成すべきなのかという点で、3つめはその内容が信頼できるものであることをどのように保証していくかという点だと思うわ。
1 統合報告を取り巻く状況と方向性
2人の会話にもあるように、統合報告はフレームワークの公表を起点として、今まさに始まったところです。フレームワークの記述にはまだまだ抽象的な概念の域を出ないと感じられる部分も多いのですが、今後、各国様々な企業や組織から独自の統合報告書事例が積み上がっていくなかで具体化されていく部分やベストプラクティス(優良事例)も増えていくことでしょう。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。