20 委託販売契約
(1) 委託販売契約
委託販売契約とは、自社が商品・製品を最終顧客に販売するために、販売業者等の他の当事者に商品・製品を引き渡し、代わりに販売してもらう契約である。
契約が委託販売契約であることを示す指標には、例えば、以下の(ⅰ)から(ⅲ)がある(適用指針76)。
(ⅰ) 販売業者等が、商品・製品を顧客に販売するまで、又は所定の期間が満了するまで、企業が商品又は製品を支配していること
(ⅱ) 企業が、商品・製品の返還を要求すること又は第三者に商品・製品を販売することができること
(ⅲ) 販売業者等が、商品・製品の対価を支払う無条件の義務を有していないこと(ただし、販売業者等は預け金の支払を求められる場合がある)
① 収益の認識時点
自社から他の当事者に商品・製品を引き渡した時に、他の当事者が商品・製品に対する支配を獲得していない場合、「委託販売契約として」他の当事者が商品・製品を保有している可能性があるため、他の当事者への商品・製品の引渡時に収益を認識しない(適用指針75)。つまり、最終顧客に販売した時点で収益を認識する。
(2) 委託販売契約(従来との相違点等)
① 従来との相違点
[収益認識基準等]
➤他の当事者が商品・製品に対する支配を獲得していない場合、委託販売契約として他の当事者が商品又は製品を保有している可能性があり、その場合、他の当事者への商品・製品の引渡時に収益を認識しない。
[従来]
➤原則、他の当事者が委託品を販売した日に収益を認識する。
➤仕切精算書が販売のつど送付されている場合には、仕切精算書が到達した日をもって収益を認識することもできる。
② 影響がある取引(例示)
- 委託販売取引(契約)に影響がある。
③ 適用上の課題
- 従来と収益認識基準等では収益の認識時期が異なる可能性がある。そのため、業績管理及び予算管理に影響が生じる可能性がある。この結果、人事評価にも影響する可能性がある。
④ 財務諸表への影響
- 従来は仕切精算書が到達した日で収益を認識していた場合、収益認識基準等では収益の認識時期が異なる可能性がある。