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対面が難しい時代の相続実務 【第4回】「想定される場面(その2)」-遺言執行における対応-

対面が難しい時代の相続実務 【第4回】 「想定される場面(その2)」 -遺言執行における対応-   クレド法律事務所 弁護士 栗田 祐太郎   今回は、遺言執行の手続に際して、オンラインを利用できる場面を取り上げる。 【想定される場面(その2) 遺言執行における対応】   1 遺言執行の流れと執行者就任の連絡について 遺言書の作成に税理士などの士業が関与する場合に、将来的に遺言執行者となることを依頼されることも少なくない。 遺言執行手続の大まかな流れは、通常、次のとおりである。 〈遺言執行の大まかな流れ〉 遺言執行者となった場合、特に相続人等の了解をいちいち取らなくとも、遺言執行者自身が事務手続を進めていけばよいものが大半である。 ただ、円滑な遺言執行のためには、相続人や受遺者等の関係者に対して随時コンタクトを取り、時には遺言書の内容や遺言執行の進捗状況、親族の方でお願いしたい事務手続等につき説明会を開き、関係者からの質問に答えた方がよい場合もある。 遺言執行にあたり、主に連絡を取ることになるのは、遺族の中でも取りまとめ的な立場にあったり、遺産を管理している者などの“キーパーソン”であろう。 それ以外にも、たとえば、法定相続人であるにもかかわらず、いろいろな事情から遺産の相続を受けられない相続人が登場することもある。 今回は、これら関係者への説明等の場面でオンライン対応する場合の留意点を説明する。   2 相続人・受遺者に対する説明会等におけるオンラインの利用 遺言執行においては、前述したように遺言執行者の就任通知やその後の手続の案内、財産目録等を送ることになる。そうして書面のやり取りだけで遺言執行を進めていく場合も多い。 ただ、状況に応じて、相続人や受遺者ら関係者が一堂に会し、遺言執行者から説明を行ったほうがよいケースもあるし、逆に相続人らの側から遺言執行者に対し、遺言書の内容や遺言執行の進め方について直接に説明を聞きたいとの要望が寄せられるケースもある。 さて、遺言執行者が説明会を開くとした場合、コロナ禍のもとではどのような方式によるのがよいであろうか。 まず、①相続人や受遺者の人数がそれほど多くなく、かつ、集合することが困難でないような地域に皆が居住している場合には、従来どおり、遺言執行者の事務所もしくは関係者の自宅に集まってもらい、対面して打ち合わせすることでよいであろう。感染対策に留意する必要はあるが、それが皆にとって一番簡便である。 他方、②相続人等の数が非常に多い場合や、関係者が各地に散在していて集合することが難しい場合には、オンラインを利用して説明会を開くことも選択肢の1つであろう。冒頭にあげた事例の場合も、これに該当する。 この場合、出席者全員がオンラインで参加せずとも、遺言執行者の事務所に集まることができる関係者には集まってもらい、出席が難しい当事者だけオンラインで参加してもらうという「ハイブリッド方式」で開催することも考えられる。   3 コミュニケーション充実化のための工夫 遺言執行者が相続人等の関係者とオンラインでやり取りする際の工夫として、次のものが考えられる。 (1) 特に初めの段階での信頼関係構築に注力する 素朴に考えても、第三者である士業が、ある日突然“遺言執行者”と称して親族間の相続問題に介入してくることは、遺族の立場で考えれば違和感・不安感を持つことも当然である。 また、遺言書の内容によっては、不利に扱われた一部の相続人が不満を持つケースもあり、遺言執行者に対して敵対的な言動をしてくる場合も考えられる。 加えて、遺言執行者のほうで、もともと一部の親族と面識がある場合(たとえば、その家族を通じて遺言書作成の依頼を受けた等)も、他の親族からは遺言書の内容や遺言執行の公平性につき疑いの目を向けられる場合もあり得る。 このようなことから、遺言執行者としては、初期の段階から相続人や受遺者との間で信頼関係を築くことができるよう、細心の注意を払うべきである。 もし初期段階で関係者に疑念を持たれることがあると、その後も些細な事務手続に関して逐一問い合わせを受けたり、諸手続の進め方についてクレームを受けたりすることにもなりかねず、こうなっては円滑な事務手続に支障が生じる。 このような事態とならないよう、【第3回】で説明した各種の留意点・工夫のほか、送付する書面における文章の調子(事務的な内容を一方的に伝達し、冷たい感じを与えていないか等)や対応時の口調、身だしなみ等を含めた一般的なビジネスマナーを守ることが大変重要である。 (2) 関係者との打ち合わせの際には、事前に説明資料を送るようにする 関係者への説明を対面で行う場合でもオンラインで行う場合でも、法律的な事項を含む内容を打ち合わせの場でいきなり提示・説明したとしても、参加者に十分に理解してもらえない可能性がある。 関係者の理解を促進し、充実した打ち合わせの機会とするためには、各種の説明資料や目録等をできる限り事前に送付し、あらかじめ目を通してもらっておくほうがよい。 そのうえで、説明会の当日に遺言執行者から補足的な内容を説明したり、関係者と質疑応答をするという方式にすれば、参加者の理解も進み、スムーズである。 これに加えて、もし参加者からの質問等があれば、可能ならば事前に送ってもらうよう依頼しておくのもよい。「当日までにこちらでよく確認し、確実な内容をみなさんにご説明したいので」と趣旨説明すれば、拒む者はいないであろう。 (3) オンラインでの対応に固執せず、面談・電話対応等も柔軟に検討する コロナ禍であっても、無理してオンラインの手続にこだわる必要はまったくない。関係者が対面での面談・説明を希望するならば、その方向で検討するのが穏当である。なかには、年齢等の問題もあり、オンライン対応が難しい当事者はどうしても出てくる。 目的と手段を取り違うことのないようにして、オンライン以外でも面談や電話、郵送での書面のやり取り等、その件に即したベストな方式を検討すべきである。 (4) 疑問点が生じた場合の門戸を開いておく オンラインで対応した場合も、後日のフォロー(電話やメールで質問を受け付ける)も合わせて実施すると、相続人の信頼を得られやすい。 疑問点などがあれば適宜連絡や相談を受け付ける態勢にあることをアナウンスしておけば、関係者も安心する。 (了)
#430(掲載号)
#栗田 祐太郎
2021/08/05
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2021年改訂コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応 【前編】

2021年改訂コーポレートガバナンス・コードのポイントと 企業実務における対応 【前編】   PwCあらた有限責任監査法人 シニアマネージャー 公認会計士 北尾 聡子   金融庁及び東京証券取引所が事務局を務める「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」において、コーポレートガバナンス・コード(以下「コード」という)の改訂が提言され、パブリック・コメント期間を経て、2021年6月11日に改訂版が公表された。 2021年4月7日から5月7日のコメント募集期間に、103の団体・個人からコメントが寄せられたが、改訂全般については、改訂案の方向性に賛成する意見が多数を占めていたとのことである。 本稿では、2021年改訂コードのポイントと企業実務における対応のヒントを2回にわたってご説明する。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておく。   〔改訂の概要〕 2021年改訂コードにおいて、5つの補充原則の新設を含む18項目(内容に影響しない語句修正を除く)の加筆・修正がなされた結果、基本原則5項目、原則31項目、補充原則47項目を合わせた各原則の数は83項目となった。 今回の改訂の特徴として、2022年4月4日に移行予定の新市場区分におけるプライム市場の上場会社に関しては、一段高いガバナンス水準を求める内容が6項目追加されたことが挙げられる。また、現在の市場区分におけるマザーズ及びJASDAQの上場会社においては、基本原則5項目のみが適用対象となっているが、新市場区分においてプライム市場又はスタンダード市場を選択する場合には、全原則(83項目)への対応が求められる点に留意を要する。 【2021年コード改訂箇所】 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (出所) コーポレートガバナンス・コード(2021年改訂版)を基に筆者が作成。   〔改訂の背景〕 コロナ禍を契機として、企業は、その取り巻く環境の変化にスピード感をもって対応しなければならない状況に直面している。環境が変化していく中で、課題を先取りし、持続可能性を追求することが求められ、そのためには企業が、取締役会の機能発揮、中核人材の多様性の確保、サステナビリティを巡る課題への取組みといったガバナンスの諸課題に取り組む必要がある。今回の2021年改訂コードにおいては、そういったガバナンスの諸課題に対処するための内容が織り込まれた。 また、2022年4月より東京証券取引所において新市場区分の適用が開始となる。プライム市場は、国際的に見ても魅力あふれる市場となることが期待されることから、プライム市場上場会社には一段高いガバナンス水準を目指した取組みを求める内容が追加されている。   〔2021年改訂コードの主な内容と実務上のポイント〕 ここからは、2021年改訂コードの内容とそれに対応する実務上のポイントについて説明する。 1 取締役会の機能発揮 事業環境の不確実性が高まる中、企業がコロナ後の経営課題を先取りすることは容易ではない。取締役会が、経営者の迅速・果断なリスクテイクを支え重要な意思決定を行うとともに、実効性の高い監督機能を発揮することが期待される。そのための前提条件として、取締役の知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、中長期的な経営の方向性や事業戦略に照らして必要なスキルが全体として確保される必要がある。 また、企業が経営環境の変化を見通し、経営戦略に反映させるためには、他社での幅広い経営経験を備えた人材を独立社外取締役として取締役会に迎え、そのスキルを取締役会の議論に反映させることが求められる。取締役会における独立社外取締役の割合を増やして、取締役会全体の3分の1以上ないし過半数の選任を求めているグローバルスタンダードに近づけ、独立社外取締役が取締役会機能の実効性向上に大きく貢献することが期待されている。さらに、取締役会の機能発揮をより実効的なものにするためには、指名委員会・報酬委員会の独立性を確保し、指名・報酬などに係る取締役会の透明性を向上させることが重要と考えられる。 取締役会の機能発揮の実効性向上といった観点から、2021年改訂コードでは、以下の諸原則について改訂(あるいは新設)が行われた。実務上の対応としては、市場区分の選択ならびに自社の取締役会の構成のあるべき姿について社内で議論を重ね、拙速に独立社外取締役を増員するのではなく、適切な候補者の調査を行うなどしっかりとした検討プロセスに基づいた対応が望まれる。 *  *  * 【後編】では、引き続き、2021年改訂コードの内容とそれに対応する実務上のポイントについて触れていきたい。 (了)
#430(掲載号)
#北尾 聡子
2021/08/05
読み物 連載

〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第47話】「税務職員への公務執行妨害」

〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第47話】 「税務職員への公務執行妨害」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「こんなこともあるんだなあ・・・」 中尾統括官は、朝刊の三面記事をジッと見つめながら、つぶやく。 「・・・納税者ではなく、その代理人である税理士が税務職員へ暴力をふるうとは・・・」 中尾統括官の表情が暗くなる。 「何か・・・ありました?」 浅田調査官は、大きく広げられた社会面の記事を覗く。 「・・・税理士が、仕事の遅い・・・税務職員を殴った?・・・」 そう言いながら、浅田調査官は、食い入るように記事を見る。 「・・・君も注意しないといけないよ。」 中尾統括官は、浅田調査官の顔を見る。 「自慢するわけではありませんが・・・僕の仕事のスピードは、誰にも負けないと思っています。」 浅田調査官は、真面目に答える。 「それにしても、この税理士の年齢は・・・76歳か・・・人間、年をとると、どうしても気が短くなるからなあ・・・」 中尾統括官は、税理士に同情する。 「年をとると・・・気が短くなるのですか?」 浅田調査官は、尋ねる。 「ああ・・・私なんか・・・税務署内の若い職員の仕事ぶりを見ていると、時々、イライラすることがあるよ・・・」 中尾統括官は、苦笑しながら言う。 「僕も・・・ですか?」 浅田調査官は、不満そうに言う。 「・・・いやいや、浅田君はテキパキと仕事をするから、イライラしたことは一度もないよ。」 中尾統括官は、弁明する。 「しかし、年齢を重ねると、一般的に、こらえ性がなくなるといわれているが、私も還暦に近づくと、そう思うことが多いよ・・・もっとも、この税理士のように暴力をふるうようなことはないけれども・・・」 中尾統括官は、ニヤリと笑う。 「税理士の世界も高齢化が進んで、年配の税理士が多くなりますから、税務職員も税務調査では、十分に注意しなければなりませんね。」 浅田調査官は、中尾統括官の顔を見る。 「そうだな。・・・そういえば、逆に税務職員が仕事中に、税理士や納税者に暴力をふるったという話は、聞いたことがないな・・・」 中尾統括官は、突然、真面目な顔で言う。 「ところで、君も、仕事上、公務執行妨害について知っておいたほうがいい・・・刑法95条1項では、次のように規定している・・・」 そう言うと、中尾統括官は、傍らにあるポケット六法を手に取る。 「これって・・・公務員を保護しているのですか?」 浅田調査官が尋ねる。 「いや・・・この公務執行妨害の保護法益は、公務そのもの、すなわち、『公務の円滑な遂行』であって、暴行等を受けた公務員の身体・精神ではない・・・したがって、公務員を特別に保護する趣旨の規定ではないんだ・・・このことは、職務執行が完全に終了した後に公務員へ暴行・脅迫を加えても、公務執行妨害罪は成立しないことからも明らかだ。」 中尾統括官は、30年前に税務大学校の研修で、高名な刑法学者から聞いた話を思い出しながら、説明している。 「・・・さらに公務執行妨害は、公務員によって執行される公務そのものを保護するものであるから、憲法14条(法の下の平等)に反するものではないとされている。」 中尾統括官の説明に、浅田調査官は頷きながら聞いている。 「・・・中尾統括官は、税法ばかりではなく、刑法も詳しいんですね。」 浅田調査官の目は輝いている。 中尾統括官は、照れ笑いしながら、言葉を続ける。 「公務執行妨害の行為は暴行または脅迫だが、この暴行が認められるためには、公務員に向けられた有形力が行使されれば良く、これを『広義の暴行』といい、必ずしも直接公務員の身体に対して加えられる必要はない・・・また、現実に公務の執行を妨害する必要もない・・・もっともこの事件の税理士は、税務職員を拳で殴っているのだから、間違いなく暴行に該当するが・・・」 そう言いながら、中尾統括官は、広げられた新聞をたたみ始める。 「税理士は、税務職員と税法の解釈についてどんなに激しい議論をしても、税務職員がカッとなって税理士に危害を加えることはない・・・だから、訴訟の相手先から逆恨みされて、しばしば危害を加えられる弁護士などと比べると、安全で穏やかな職業だといわれている・・・この事件のように、税理士が税務職員に対して暴力をふるうなんてことは・・・私など、とても想像できないよ・・・」 中尾統括官は、腕を組んで、ため息をつく。 (つづく)
#430(掲載号)
#八ッ尾 順一
2021/08/05
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 監査 税務・会計 速報解説一覧

《速報解説》 会計士協会、「リモートワークに伴う業務プロセス・内部統制の変化への対応 (提言)」を公表~企業、監査事務所ともにリモートワーク下でのコミュニケーションの課題を認識~

《速報解説》 会計士協会、「リモートワークに伴う業務プロセス・内部統制の変化への対応 (提言)」を公表 ~企業、監査事務所ともにリモートワーク下でのコミュニケーションの課題を認識~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年7月30日付けで(ホームページ掲載日は8月2日)、日本公認会計士協会は、IT委員会研究報告第56号「リモートワークに伴う業務プロセス・内部統制の変化への対応(提言)」を公表した。 これは、リモートワークの導入・進展によって企業の業務プロセス及び内部統制並びに監査人による監査に生じる変化に伴う主要な課題を識別し、公認会計士等に対してその対応の方向性を示すためのものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 提言の作成に当たり、企業や監査事務所へのインタビュー及びアンケートを実施しているとのことである。 1 企業へのアンケート実施結果と主な考察 次のことが記載されている。 2 監査事務所へのアンケート実施結果と主な考察 次のことが記載されている。 3 リモートワーク下での業務プロセスと内部統制の変化への対応と提言 次のことに対して、公認会計士等は、理解し適切に対応することなどについて述べている。 (了)
#429(掲載号)
#阿部 光成
2021/08/04
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《速報解説》 監査役協会が「会計監査人との連携に関する実務指針」を改定~KAMの導入や「その他の記載内容」に関する手続の整備に関連した実務対応の追記を行う~

《速報解説》 監査役協会が「会計監査人との連携に関する実務指針」を改定 ~KAMの導入や「その他の記載内容」に関する手続の整備に関連した実務対応の追記を行う~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年7月30日、日本監査役協会 会計委員会は、「会計監査人との連携に関する実務指針」の改定を行い、公表した。 これは、2021年4月14日に、日本公認会計士協会とともに行った「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正を受けたものであり、主に、監査上の主要な検討事項(KAM)の導入、並びに監査人が監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容(「その他の記載内容」)に関する手続の整備に関連した実務上の対応を追記する改定等を行うものである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 実務指針は、表紙を含めて61ページに及ぶものであるので、以下では主な改定内容について解説する。 1 監査基準等における監査人との連携 「監査基準」、「監査に関する品質管理基準」、「監査における不正リスク対応基準」、「監査基準委員会報告書」について簡明に述べたうえで、次の事項について、監査役等と会計監査人の連携の重要性を述べている。 「その他の記載内容」とは、「監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容」である。 「その他の記載内容」には、会社法上の事業報告及びその附属明細書(会社計算規則126条1項5号)、金融商品取引法上の有価証券報告書の「第一部 企業情報」及び「第二部 提出会社の保証会社の情報」のうち、財務諸表及び監査報告書を除いたものが含まれる。監査人の通読及び検討の結果、その他の記載内容に重要な誤りがある場合には、当該事項が監査役等に報告される。 2 金商法における監査人との連携 「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正により、有価証券報告書の記載内容として、監査公認会計士等の選定(再任)に当たって考慮するものとしている方針を含めた理由や監査役(会)等が監査公認会計士等又は会計監査人を評価した場合の内容についての開示が新たに求められている。 このため、財務情報等の信頼性確保の観点から、投資家目線でも監査役等と監査人との連携に対する関心が高まっているといえると述べている。 3 コーポレートガバナンス・コードと監査役等 コーポレートガバナンス・コードの附属文書である「投資家と企業の対話のガイドライン」においては、監査役等が、適正な会計監査の確保に向けた実効的な対応を行うことが求められている。 その中でも、「監査上の主要な検討事項の検討プロセスにおける外部会計監査人との協議」が強調されている。 4 監査役等と監査人との連携の方法及び連携時の留意事項 オンライン会議ツール等を活用する連携の方法について述べ、情報漏洩、コミュニケーション形式の変化に起因する認識齟齬などのリスクの把握と対策について述べている。 また、KAMに関する前広な議論、「その他の記載内容」(会社法の事業報告)の提供のタイミングなどに注意することが述べられている。 5 期末監査時におけるKAMのポイント 監査人は、期末において監査報告書のドラフトを作成する段階で、期中に検討されてきたKAM候補の最終的な絞り込み・決定を行う。 したがって、監査役等は、監査人から提示されるKAMのドラフトに対して、以下のポイントから確認することが考えられる。 「⑬監査役等の監査報告の記載内容」では、KAMに関する監査役等の監査報告について詳細に検討し、監査人の協議の相手方たる監査役等としても、説明責任を果たすべく、監査報告において明示的にKAMについて言及することは十分に検討に値するものと考えられると述べている。 6 期末監査時における「その他の記載内容」のポイント 監査人は、「その他の記載内容」に重要な誤りがあると判断した場合、経営者にその他の記載内容の修正を要請する。 経営者が修正に同意した場合、監査人は修正が行われたことを確認しなければならず、経営者が修正することに同意しない場合、監査人は監査役等に当該事項を報告するとともに、修正を要請しなければならない(監基報720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」16項)。 このような事態をあらかじめ回避する意味でも、「その他の記載内容」を構成する文書並びにその発行方法及び発行時期の予定についての事前の把握だけでなく、草案の入手についての事前の協議は重要であると述べている。 (了)
#429(掲載号)
#阿部 光成
2021/08/04
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《速報解説》 改正産業競争力強化法、「令和3年8月2日」施行~施行期日政令及び関連政令等が7月30日付け官報特別号外にて公布、DX税制等の適用スタート~

《速報解説》 改正産業競争力強化法、「令和3年8月2日」施行 ~施行期日政令及び関連政令等が7月30日付け官報特別号外にて公布、DX税制等の適用スタート~   Profession Journal編集部   令和3年度税制改正のうち法人税関係の特例措置との関連が深い「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和3年法律第70号)」は6月16日に公布されその一部がすでに施行されているものの、上記の通り税制に係る特例措置(本改正法附則第1条本文に定める施行期日)については、公布日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日とされていた。 このたび上記の施行期日を「令和3年8月2日」とする政令(産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行期日を定める政令(令和3年政令第218号))が7月30日に閣議決定され、同日付けの官報特別号外第64号において公布された。 なお官報同号では、産業競争力強化法施行令や中小企業等経営強化法施行令等の改正を含む「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」の他、関連する府令・省令なども公布されている。 これにより、DX投資促進税制・カーボンニュートラル投資促進税制(措法42の12の7)、繰越欠損金の控除上限の特例(措法66の11の4)や中小企業事業再編投資損失準備金制度(措法55の2)などの適用が開始されるが、これらの適用にあたっては、改正産強法及びこれら関連法令等に規定された計画の認定等の手続が必要となる。 (了)
#429(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/07/30
お知らせ 消費税・地方消費税 税務 税務・会計 税務情報の速報解説 速報解説一覧

《速報解説》 国税庁の「インボイス制度特設サイト」が更新、登録申請手続の詳細情報が追加される~登録申請から通知までに要する期間は、書面の場合1ヶ月程度、e‐Taxでは2週間程度との目安も~

《速報解説》 国税庁の「インボイス制度特設サイト」が更新、登録申請手続の詳細情報が追加される ~登録申請から通知までに要する期間は、書面の場合1ヶ月程度、e‐Taxでは2週間程度との目安も~   Profession Journal編集部   令和5年(2023年)10月のインボイス制度(適格請求書等保存方式)開始に向け、国税庁は本年5月にインボイス制度特設サイトをリニューアルし関連通達やQ&A、パンフレットの公表に加えYouTubeによる動画配信を行うなど、積極的な情報発信を行っている。 さらに10月からはいよいよ適格請求書発行事業者の登録申請の受付が開始されることを受け、国税庁は7月30日付で特設サイトの情報を更新、各コーナーにおいて登録申請手続に係る情報が追加された。 実務において注目すべきは、やはり本制度について詳細なQ&Aが掲載されている「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」だ(個別の設問へのリンクページはこちら)。 今回の更新(改訂)によって以下の16問が新設されたほか、複数の設問が改訂されている。 このうち問4(登録申請から登録通知までの期間)では、「登録申請書を提出してから登録の通知を受けるまでにどの程度の期間がかかりますか。」との問いに対し、提出された登録申請書の件数や個々の審査等に要する期間によって異なり一律に回答することは難しいとしつつ、書面で提出された登録申請書については1ヶ月程度、e‐Taxで提出された登録申請書については2週間程度の期間が見込まれまると回答。e‐Taxによる申請(電子での通知を希望した場合)は税務署での処理後、速やかに電子通知が行われるため、書面より早期に登録通知書を受領することができること等から、その利用を呼びかけている(問3)。 また登録後、国税庁ホームページ「適格請求書発行事業者公表サイト」で公表された情報について変更等があった場合の手続が具体的に示されており(問22)、関連する様式2点(「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」)が「申請手続」ページにアップされている。 なおこの公表サイトは本年10月からの運用開始予定とされており、今回改訂されたパンフレットのうち「適格請求書等保存方式の概要-インボイス制度の理解のために-(パンフレット)(令和3年7月)」では、TOPページの画面や検索結果画面など、その仕様(概要)が明らかとなっている(21ページ)。 なお、まだ設問の数は少ないが、Q&Aでは今回「Ⅴ 適格請求書等保存方式の下での税額計算」において「課税期間をまたぐ適格請求書による仕入税額の計算(問93)」など5問が新設されており(問90~93、96)、今後は納税者からの質問に応じて、この章の内容が追加・改訂されていくものと思われる。 (了) ↓お勧め連載記事↓
#429(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/07/30
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 監査 税務・会計 速報解説一覧

《速報解説》 会計士協会、「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」、「監査報告書の文例」及び「監査報告書に係るQ&A」の改正案を公表~「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」等を受け、電子化等を進める~

《速報解説》 会計士協会、「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」、「監査報告書の文例」及び「監査報告書に係るQ&A」の改正案を公表 ~「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」等を受け、電子化等を進める~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年7月26日、日本公認会計士協会は、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」における公認会計士法の改正を受けて、次の公開草案を公表し、意見募集を行っている。 これは、2021年5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」における公認会計士法の改正並びに2021年5月20日に金融庁から公表された「公認会計士法施行規則(案)」、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令(案)」及び「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令(案)」を受けたものである。 これらの法令の改正により、監査報告書等(監査報告書、中間監査報告書又は四半期レビュー報告書)への自署、押印を求めている規定は署名のみに変更され、さらに監査報告書等の交付を署名された書面に代えて、電磁的方法、すなわち電子化された監査報告書等によって行うことができることとなる。 公認会計士法の改正は2021年9月1日から施行される。 適合修正の対象となる監査基準委員会報告書についても示されている。 上記①及び②の意見募集期間は2021年8月9日までである。 また、上記③の意見募集期間は2021年8月26日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 監査基準委員会報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」 主に次の改正が提案されている。 改正後の監査基準委員会報告書700は、2021年9月1日から適用する予定である。   Ⅲ 「監査報告書の文例」(監査・保証実務委員会実務指針第85号) 主に次の改正が提案されている(項番号は改正案のもの)。 改正後の監査・保証実務委員会実務指針第85号は、2021年9月1日以後に提出する監査報告書から適用する予定である。 文例14の連結計算書類(会社計算規則第120条第1項後段の規定により指定国際会計基準又は同規則第120条の2第3項において準用する同規則第120条第1項後段の規定により修正国際基準で求められる開示項目の一部を省略して連結計算書類が作成されている場合)に対する監査報告書については、2021年12月31日以後終了する連結会計年度に係る監査報告書から適用する予定である。   Ⅳ 「監査報告書に係るQ&A」(監査基準委員会研究報告第6号) 監査報告書について、「自署・押印」から「署名」へ改正する(Q1-1、Q1-4)。 電磁的方法によって監査報告書等を作成することが可能となる予定であることから、「監査報告書の電子化に関するQ&A」として次の事項を記載している。 (了)
#429(掲載号)
#阿部 光成
2021/07/28
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《速報解説》 会計士協会、収益認識基準適用に伴う消費税等の会計処理について注意喚起を行う

《速報解説》 会計士協会、収益認識基準適用に伴う 消費税等の会計処理について注意喚起を行う   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年7月26日、日本公認会計士協会は、「収益認識基準適用に伴う「消費税の会計処理について(中間報告)」の取扱いについて(お知らせ)」を公表した。 消費税の会計処理に関する会計方針の変更の取扱いについて注意喚起するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号)が適用されている。 同会計基準等の適用に際して、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)の会計処理について、次の注意喚起を行っている。 (了) ↓お勧め連載記事↓
#429(掲載号)
#阿部 光成
2021/07/26
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#Profession Journal 編集部
2021/07/21
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