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〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第60回】「事業の全部を転業した場合の特定事業用宅地等の特例の適用と個人版事業承継税制の適用の可否」

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第60回】 「事業の全部を転業した場合の特定事業用宅地等の特例の適用と 個人版事業承継税制の適用の可否」   税理士 柴田 健次   [Q] 被相続人である甲は飲食店(中華料理屋)の事業を40年間営んでいましたが、令和4年10月9日に相続が発生しました。甲の飲食店の事業の用に供していたA宅地及び建物(いずれも甲が100%所有)及びその他財産の全てを長男である乙が相続しました。甲は開業以来、青色申告者として事業を営んでいました。相続開始時の甲の年齢は80歳で乙の年齢は50歳となります。 乙は相続開始前までは他の会社で喫茶店の従業員として勤務していましたが、相続後は、会社を退職し中華料理屋の事業を廃止し、A宅地及び建物で喫茶店業を行っています。乙は令和4年12月までに、甲の所轄税務署に青色申告で準確定申告書の提出を行い、乙の所轄税務署に開業届出及び青色申告の承認申請書の提出を行っています。 上記の場合には、小規模宅地等に係る特定事業用宅地等の特例の適用を受けることは可能でしょうか。また、個人版事業承継税制の相続税の納税猶予の適用を受けることは可能でしょうか。 [A] A宅地については、小規模宅地等に係る特定事業用宅地等の特例(以下単に「特例」という)を受けることはできませんが、個人版事業承継税制の相続税の納税猶予の適用については、他の要件を満たせば受けることができます。 ◆ ◆ ◆[解説]◆ ◆ ◆ 1 特定事業用宅地等の特例の適用の適否 (1) 特定事業用宅地等の事業継続要件 特定事業用宅地等の要件として、被相続⼈又はその被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族(以下「被相続人等」という)の事業(貸付事業を除く、以下1において同じ)の⽤に供されていた宅地等を相続又は遺贈により取得した被相続人の親族が次に掲げる場合の区分に応じていずれかを満たす必要があります(措法69の4③一)。 なお、特定事業用宅地等の意義については、【第11回】で解説しています。 (2) A宅地の事業継続要件の判断 A宅地については、(1)の①被相続人の事業を承継した場合の宅地に該当しますので、宅地等を取得した親族が被相続人の事業を引き継ぎ、かつ、申告期限までその事業を営んでいることが要件とされています。本問の場合には、被相続人の事業を申告期限まで営んでいませんので、特例の適用を受けることはできません。 なお、被相続人の事業(中華料理屋)が飲食店業であり、乙の事業(喫茶店業)も飲食店業であることから事業の同一性が全くないわけではありませんが、下記の日本標準産業分類(平成25年10月改定・平成26年4月1日施行)の小分類では、中華料理店が小分類番号762の専門料理店であるのに対して、喫茶店は小分類番号767の喫茶店であるため、小分類が異なっています。 (※) 総務省ホームページ「日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)」より一部抜粋、赤文字加工は筆者による。 事業の同一性の判断については、明確な基準があるわけではありませんが、1つの判断基準として日本標準産業分類の小分類が参考となります。もっとも、被相続人の事業と転業する事業との関連性や営業許可基準が同一であるか否かによっても判断が分かれることもありますので、あくまでも日本標準産業分類の小分類も含めて総合勘案して判断する必要があります。 なお、事業の同一性の判断については、本連載【第12回】でも解説しています。   2 個人版事業承継税制の適用の可否 (1) 個人版事業承継税制の適用要件 第一種相続認定(先代事業者から後継者への相続認定)の後継者及び被相続人については、それぞれ下記の要件を満たす必要があります。 ① 後継者の要件(措法70の6の10②二、円滑化規則6⑯八) (※) 「⻘⾊申告の承認」を受けるためには、相続の開始を知った⽇の時期に応じて、それぞれに定める期間内に納税地の所轄税務署⻑へ申請を⾏う必要があります(所法144、所基通144-1)。 ② 被相続人の要件(措令40の7の10①一、円滑化規則6⑯八) (2) 後継者の事業従事要件 贈与の場合には、贈与の日まで引き続き3年以上にわたり、相続の場合には、相続開始の直前に特定事業用資産に係る事業又は事業に準ずるものとして同種又は類似の事業に係る業務に従事していたことが必要となります。 この場合における「特定事業用資産に係る事業と同種又は類似の事業」に該当するかどうかの判定は、日本標準産業分類に掲げる中分類(中分類がない場合には大分類)に基づき行うこととされています。また、その後継者が従事していた事業が中分類上、特定事業用資産に係る事業と異なるものに分類される場合であっても、後継者がその事業において従事していた業務がその特定事業用資産に係る事業において行われる業務と同種又は類似のものであるときは、特定事業用資産に係る事業に従事していた場合に該当するものとされています(措通70の6の8-20、70の6の10-20)。 したがって、先代事業者の事業が中華料理屋で、後継者の事業が喫茶店である場合には、いずれの場合においても中分類は飲食店業であるため、同種又は類似の事業に該当することになります。つまり、本問の場合には後継者の事業従事要件は満たされていることになります。 (3) 後継者の事業供用要件 後継者は、「特定事業用資産に係る事業」を引き継ぎ、相続税の申告書の提出期限まで引き続き当該特定事業用資産の全てを有し、かつ、自己の事業の用に供していることが必要とされています。上記(2)で解説のとおり、相続開始前の後継者の従事していた業務が「特定事業用資産に係る事業」において行われる業務と同種又は類似のものである場合には、「特定事業用資産に係る事業」に従事していたものとして取り扱われることとされており、「特定事業用資産に係る事業」と同種又は類似の事業に該当するかどうかの判定は、日本標準産業分類に掲げる中分類(中分類がない場合には大分類)に基づき行うこととされていますので、本問の場合における「特定事業用資産に係る事業」とは、飲食店としての事業を意味するものと考えられます。 したがって、乙は飲食店として、「特定事業用資産に係る事業」を引き継ぎ、相続税の申告書の提出期限までA宅地及び建物を自己の事業の用に供していますので、事業供用要件は満たされることになります。   3 特定事業用宅地等の特例と個人版事業承継税制の事業の同一性の考察 特定事業用宅地等の特例については、上記1で解説のとおり、被相続人の事業を承継し、相続税の申告期限までその被相続人の事業を継続することが要件となっています。本問の場合のように事業を転業している場合には、被相続人の事業と転業した事業が同一であるか否かが問題となります。この場合の事業の同一性について明確な基準がないため、実務上は、日本標準産業分類の小分類等を参考にして判断を行います。 これに対して、個人版事業承継税制については、上記2で解説のとおり、特定事業用資産を相続又は遺贈により取得した後継者が相続の開始の直前において特定事業⽤資産に係る事業⼜はこれと同種若しくは類似の事業に従事し、相続後にその特定事業用資産に係る事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続き当該特定事業用資産の全てを有し、かつ、自己の事業の用に供していることが要件となっています。本問の場合のように乙の相続開始前及び相続開始後の事業が被相続人の事業と同一であるかどうかが問題となりますが、事業の同一性については、日本標準産業分類の中分類によることが租税特別措置法関係通達70の6の8-20、70の6の10-20により明らかにされています。 特定事業用宅地等の特例が相続という一時点の事業承継の問題であるのに対して、個人版事業承継税制は、先代事業者の特定事業用資産の円滑な承継を促進するため、贈与を主軸とした一定期間の事業承継の問題であるため、後者の方がより幅の広い事業承継に対応した制度となっています。また、特定事業用宅地等の特例が宅地等のみの減額特例であるのに対して、個人版事業承継税制については、特定事業用資産(本連載【第59回】で解説)を対象としている点についても、後者の方が幅の広い事業承継に対応しているといえます。 したがって、事業の同一性の範囲についても特定事業用宅地等の特例よりも個人版事業承継税制の方が幅が広いと解釈することができます。 もっとも、特定事業用宅地等の特例の事業の同一性について何らかの明確な基準が望まれることになりますので、今後の税制改正等の情報には、注視すべき内容となります。   ★実務上のポイント★ 特定事業用宅地等の特例と個人版事業承継税については選択適用とされていますが、それぞれ要件が異なるため、特定事業用宅地等の特例を受けられない場合でも個人版事業承継税制の適用を受けることができる場合もありますので、それぞれの要件の確認と適用の可否を判断する必要があります。   (了)

#No. 495(掲載号)
#柴田 健次
2022/11/17

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第4回】「米国デラウェア州LPSの法人該当性(地判平23.12.14、高判平25.1.24、最判平27.7.17)(その1)」~米国デラウェア州法201条(b)、所得税法2条1項7号等、租税特別措置法41条の4の2、民法33条、36条~

〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第4回】 「米国デラウェア州LPSの法人該当性 (地判平23.12.14、高判平25.1.24、最判平27.7.17)(その1)」 ~米国デラウェア州法201条(b)、所得税法2条1項7号等、租税特別措置法41条の4の2、民法33条、36条~   税理士・米国公認会計士 金山 知明     1 事案の概要 (1) 概要 本件の納税者(居住者X)は、信託銀行との信託契約を介して米国デラウェア州法により設立されたリミテッド・パートナーシップ(以下「LPS」)(※1)が行う不動産賃貸事業にリミテッド・パートナーとして参加した。Xは、本件LPSは日本の租税法上の法人には該当しないので、本件LPSが行う不動産賃貸に係る所得はパス・スルー課税(※2)されて、自己の不動産所得になるとして、減価償却費等による不動産所得の損失金額を他の所得と損益通算して所得税の確定申告を行った。 (※1) デラウェア州法第6編第17章(以下「州LPS法」)101条(11)によれば、リミテッド・パートナーシップとは、1名以上のジェネラル・パートナーと、1名以上のリミテッド・パートナーにより組成されるパートナーシップである。なお、ジェネラル・パートナーはLPSの債務について無限責任を負い、リミテッド・パートナーは基本的にはLPSの債務について責任を負わない(州LPS法303条(a)及び403条(b))。 (※2) 日本の税法上「パス・スルー課税」の定義は規定されていないが、一般に、事業体に生じた損益をその事業体の所得として課税することなく、出資者などの構成員に直接生じた所得として課税する(構成員課税)方式をいう。米国の内国歳入法典(以下「IRC」)1366(b)によれば、事業体に生じた損益をあたかも出資者により直接実現されたように出資者に帰属させることとされている。 これに対し課税庁Yが、本件LPSは租税法上の法人に該当し、その法人から受けた所得(損失)は納税者の不動産所得(の損失)には当たらないとして、Xの平成13年分から平成17年分までの損益通算を否認し、更正処分等を行ったため、Xがこれを不服として訴訟を提起した。 (2) 本件のスキーム 本件スキームでは、本件LPSに出資し、出資1口(2,000万円)当たり、各年の不動産所得につき約2,100万円の損失を4年間(約8,500万円)生じさせること(経費は主に中古資産の耐用年数による減価償却費)により、各年につき税額を約1,050万円節減し、4年間で合計4,200万円の税額を減少させることができる。ただし、このような税務効果が生じるのは、個人の適用限界税率が50%(所得税37%、住民税13%)で、損益通算をすることができる所得がおよそ3,600万円以上ある場合とされている。 なお、出資期間7年間で受け取ることができるキャッシュの総額は、出資1口(2,000万円)当たり約902万円である。したがって、この投資によるキャッシュ・フローはマイナスであることが予定されているが、最初の4年間の節税額を考慮すると、3,000万円超のリターンを期待できる(プロモーターである証券会社が作成した資料による情報)。 (3) 争点 本件LPSが法人でない場合は上記スキームの損益通算は肯定され、法人に該当する場合は否定されるという関係になることから、主たる争点は、本件LPSが所得税法2条1項7号等に定める外国法人に該当するか否か(本件LPSの租税法上の法人該当性)である。 Yは、法人とは「自然人以外の者で権利義務の帰属主体となるもの」をいうが、外国の法令によって設立された事業体の法人該当性については、設立準拠法の内容のみならず、実際の活動実態、財産や権利義務の帰属状況等を考慮した上で、わが国の私法において法人に認められる権利能力と同等の能力を有するか否かにより判断すべきとしている。そのうえで、当該事業体が、 に基づいて判断すべきであるとし、本件LPSは、「separate legal entity」と規定されている(州LPS法201条(b))ため、権利の主体となり当事者能力を有する独立した法主体であり、上記3要件のすべてを満たすと主張した。 これに対してXは、Yが挙げる法人該当性を判定するための3要件は、事業体が「法人」とされたことにより生じる「効果」を述べるに過ぎないと述べ、本件LPSは損益が帰属する主体ではなく、州LPS法における「separate legal entity」とは、わが国の民法上の組合と同じ取扱いを受けられるという程度の意味を有するにすぎず、法人格が与えられたことを意味するものではないとして、本件LPSは法人には該当しないと主張した。   2 名古屋地裁判決(平成23年12月14日)についての検討 (1) 法人法定主義についての地裁の判示(民法の法人法定主義の尊重) 名古屋地裁はまず、法人の成立(法人格の付与)は、法律の定めによってのみ認められることを定めた民法33条(現民法33条1項)を挙げ、法人法定主義を確認している。また、租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合には、本来的に私法上の概念と同じ意義に解するのが相当であるから、わが国の租税法上の「法人」も、その準拠法によって法人とする(法人格を付与する)旨を規定されたものをいうと解すべきであるとした。 また、民法36条1項の「外国法人」とは、外国の法令に準拠して法人格を付与された団体をいうと解されるから、外国の法令に準拠して組成された事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かも、基本的には、当該外国の法令の規定内容から、その準拠法である当該外国の法令によって法人とする(法人格を付与する)旨を規定されていると認められるか否かにより判断されるべきであると説示した。 そのうえで、本件LPSがわが国の租税法上の法人に該当するか否かについても、基本的にはその準拠法である当該外国の法令によって法人とする旨を規定されていると認められるか否かを検証するのが相当であるとの判断をしている。すなわち、内国法人と外国法人のいずれについても、法人該当性の判断基準は同一であるとの理解から、民法上の法人法定主義を尊重する考え方を示したことになる。 (2) 設立準拠法により法人格が与えられているか否かについての地裁の判示(州LPS法は本件LPSに法人格を与えていない) 名古屋地裁は上記の法人法定主義の観点から、州LPS法がLPSに法人格を与えているかどうかについて、詳しく検討をしている。まず、州LPS法の規定内容によれば、同法に準拠して組成されたLPSが法人である旨を明示的に定めた規定はないが、州LPS法に基づき組織されたLPSは、独立した法的主体(separate legal entity)となる旨の規定〔201条(b)〕がある点に言及する。そこで、そのような州LPS法にいう「separate legal entity」が法人を意味する概念であると解されるのか否かを検討している。 その結果、州LPS法の規定や米国の法学者の見解も参考にしたうえで、州LPS法201条(b)の「separate legal entity」との文言は、LPSがジェネラル・パートナーとは区別されたものであることを意味するに止まり、この中の「separate」という語には、何ら法的な重要性はないと判断した。 そして、州LPS法に基づいて組成されたLPSは、本質的にはパートナー間の契約関係であり、明確な法人格が認められたコーポレーション(corporation)と同一の機能を有するとか、それと同義であるとは解することができないとした。こうして名古屋地裁は、本件LPSは租税法上の法人ではないとのXの主張を認めた。 (3) 検討 名古屋地裁は以上のように判示し、本件LPSはわが国の租税法上、法人には当たらないとしてYの更正処分を取り消した。その判示の根拠としては、上記に挙げたもののほか、本件の発生より後の平成17年になって初めて、米国のGPSやLPSを含む一定の組合事業から生ずる損失を利用した租税回避行為を防止する租税特別措置法規定(41条の4の2)が制定されたことは、LPSが法人でないという前提を示唆していることや(※3)、米国租税法上のチェック・ザ・ボックス規則(※4)において、LPS等が課税方式を何ら選択しない場合には、デフォルト・ルールとして、パス・スルー課税が行われることに言及している。 (※3) このほか同判決は、英米法におけるリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ(LLP)をモデルに平成17年に制定された有限責任事業組合契約に関する法律においても、有限責任事業組合は「法人」とはされていないことを挙げている。 (※4) この規則は財務省規則(Treasury Regulations)§301.7701-3に規定されており、1997年1月より施行されている。この規則によれば、§301.7701-2(b)で法人として限定列挙される事業体以外の事業体を適格事業体(eligible entity)と呼び、適格事業体は、選択届出書を提出することにより、パートナーシップ課税か法人課税かを選択することができる。 しかし、地裁判決の要点はやはり、法人該当性の判断は、設立準拠法が法人格を与えているか否かによりなされるという評価にあると考えられる。地裁は、Yが法人該当性の判断基準として主張した①独自の財産を所有できるか否か、②独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か、③訴訟当事者となり得るか否かという点につき、いずれも法人格が付与されることによって認められる法人の属性にすぎず、これらを満たせば法人に該当するという立論に法的な根拠はないと述べ、その主張を退けている。 租税法上の「法人」が借用概念である限り、法的安定性、予測可能性の観点から、その意味内容は民法上の法人法定主義に従って決せられるべきであり、外国法人であっても、準拠法により「法人」とされているかどうかにより法人該当性を判断するという判示に不自然さは感じられない(※5)。 (※5) 伊藤公哉「判批」大阪経大論集66巻6号234頁。 また、本件のような米国のLPS制度は、日本の会社とは全く性質を異にし、もともと所得のパス・スルーを前提に構築されたことに鑑みると、本件LPSを日本の租税法上の法人には当たらないとした地裁判決に妥当性を認め得る(※6)。なお、控訴審の名古屋高裁判決(平成25年1月24日)も、地裁判決を支持してXに対する課税処分を違法としている。 (※6) 金子宏『租税法(第24版)』弘文堂(2021年)554頁。 ((その2)へ続く)

#No. 495(掲載号)
#金山 知明
2022/11/17

給与計算の質問箱 【第35回】「令和5年分源泉徴収税額表の変更点」

給与計算の質問箱 【第35回】 「令和5年分源泉徴収税額表の変更点」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 令和5年分源泉徴収税額表は、令和4年分源泉徴収税額表と比較して変更点はあるでしょうか。 A 源泉徴収税額表自体の変更点はない。 ただし、令和5年分源泉徴収税額表の課税退職所得金額の算式の表(17頁)及び注記事項(19頁の「(注)1、3」、20頁の「(注)6」)が変更になっているため、以下で解説する。 * * 解 説 * * 1 課税退職所得金額の算式の表(17頁) 課税退職所得金額の算式の表の内容は同じであるが、形式が変更になっている。 《令和4年分》 (国税庁「令和4年分源泉徴収税額表」17頁の「課税退職所得金額の算式の表(令和4年分)」より抜粋) 《令和5年分》 (国税庁「令和5年分源泉徴収税額表」17頁の「課税退職所得金額の算式の表(令和5年分)」より抜粋) なお、課税退職所得金額の算定にあたっては、下記を確認しておきたい。   2 「(注)1」における記載事項の追加(19頁) 令和5年分では日額表の記載が追加されている。 《令和4年分》 (国税庁「令和4年分源泉徴収税額表」19頁抜粋) 《令和5年分》 (国税庁「令和5年分源泉徴収税額表」19頁より抜粋)   3 「(注)3」における記載の細分化(19頁) 令和5年分では「イ 扶養親族が居住者の場合」と「ロ 扶養親族が非居住者の場合」とに分けて記載されている。 《令和4年分》 (国税庁「令和4年分源泉徴収税額表」19頁より抜粋) 《令和5年分》 (国税庁「令和5年分源泉徴収税額表」19頁より抜粋)   4 「(注)6」における記載事項の追加(20頁) 令和5年分では「2 親族関係書類」と「3 留学ビザ等書類」が追加されている。 《令和4年分》 (国税庁「令和4年分源泉徴収税額表」20頁より抜粋) 《令和5年分》 (国税庁「令和5年分源泉徴収税額表」20頁より抜粋) なお、上記注記事項の変更については、令和2年度税制改正において令和5年1月からの国外居住親族に係る扶養控除等の適用要件の見直し等を反映していると思われる。 (了)

#No. 495(掲載号)
#上前 剛
2022/11/17

マスクと管理会計~コロナ長期化で常識は変わるか?~ 【第10回】「これから目指すべき目標は?」

マスクと管理会計 ~コロナ長期化で常識は変わるか?~ 【第10回】 (最終回) 「これから目指すべき目標は?」   公認会計士 石王丸 香菜子   〔登場人物〕 ●  ●  ● 同じ利益を獲得できるならば、そのための元手は少ないほうが効率的です。企業経営において元手に対する利益の比率(資本効率性)を表す指標としては、ROE(Return on Equity:自己資本当期純利益率)やROA(Return on Asset:総資産利益率)が広く利用されています。特に、2014年に公表された通称「伊藤レポート」において、日本企業が達成すべきROEの目標値として8%という具体的な値が示されて以来、ROEは非常に重視されてきました(企業経営とメンタルアカウンティング〜管理会計で紐解く“ココロの会計”〜【第17回】参照)。 ●  ●  ● ●  ●  ● 多くの企業がROE向上を経営目標の1つに掲げ、実際に近年における日本の上場企業のROEは上昇傾向にあるという調査結果がありますが、その一方で、ROEはいくつかの限界を抱えています。 ROEは、「自己資本」すなわち株主資本を元手と考え、その元手を使って、株主に帰属する「当期純利益」をどれくらい獲得できたかを示す指標です。分母を自己資本としているため、複数の事業を営む企業において、自己資本を各事業部に分割して事業部別のROEを算定するのは難しい場合があります。 また、分母を自己資本とすることは、ROEの構成要素に財務レバレッジが含まれることを意味します。 つまり、本来的な営業活動の収益性(=利益率)や効率性(=資産回転率)が改善しなくても、負債の利用を高めたり、自己株式の取得などによって自己資本を圧縮したりすることによって、ROEを上昇させることが可能です。財務レバレッジの調節によってROEを高めたとしても、それは本業の成果ではなく、企業価値を本質的に高めることにはつながりません。 ●  ●  ● ●  ●  ● ROEの限界を補う指標として、ROIC(Return on Invested Capital:投下資本利益率)があり、近年、これを活用する事例が増えています。 ROICの特徴は、分母に「投下資本」を用いる点にあります。ROICは、有利子負債と株主資本の合計を元手として捉え、その元手を使って、株主と債権者に帰属する「税引後営業利益(NOPAT:Net Operating Profit After Taxes)」をどれくらい獲得できたかを表す指標です。 ●  ●  ● ●  ●  ● ROICの分母である「投下資本」は、裏返せば「事業資産-事業負債」なので、各事業部の事業資産と事業負債を把握することで、事業部ごとのROICを算定することができます。 また、ROICは、「有利子負債と株主資本の合計」を元手と考える指標なので、「加重平均資本コスト率(WACC:Weighted Average Cost of Capital)」(=負債コスト率と株主資本コスト率の加重平均)と比較することによって、資本効率性を的確に評価することができます。 ●  ●  ● ROICを分解すると、 となり、財務レバレッジの影響は含まれません。したがって、ROICを向上させる取り組みは、企業の本質的な価値を高めることにストレートにつながります。 また、目標ROICを達成するための営業利益率と投下資本回転率を、さらに細かく分解すれば、現場レベルの目標として利用することが可能です。 【ROICの分解例】 上記の運転資本回転率は、「売上債権回転率と棚卸資産回転率を高く、仕入債務回転率を低くする」ことで上昇させることができます。回転率は回転期間の逆数ですから、これは、「売上債権回転期間と棚卸資産回転期間を短くし、仕入債務回転期間を長くする」ことと同義です。つまり、【第9回】で取り上げたキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の短縮は、ROIC上昇に貢献するのですね。 ●  ●  ● ●  ●  ● ROICを細かく分解しても、単にそれぞれの数値目標を掲げただけでは、現場レベルでそれを意識した具体的な行動を起こすことにはつながりにくいと考えられます。そのため、現場の担当者がイメージしやすい具体的な指標に変換し、現状を把握して改善に取り組むと効果的です。 (例) ・材料費率改善のための指標:A材料のロス率(現状△△% ➡ 目標〇〇%) ・棚卸資産回転率改善のための指標:受注から出荷までの日数(現状△日 ➡ 目標〇日) ●  ●  ● ●  ●  ● 企業という組織は、会計上の数値には表せない多くの「人」から成り立っています。ROICに限らず、管理会計は定量的な数値情報を扱うもので、こうした情報は企業経営に役立つものではありますが、人による活動の全てを数値で図ることはできません。 新型コロナウイルス感染症の流行を機にリモートワークやオンライン会議などが浸透した結果、企業で働くメンバー間の直接のコミュニケーションは大幅に減ってしまいました。しかし、その一方で、不確実な将来に対してポジティブかつ柔軟に向き合うには、企業という組織を構成するメンバーのコミュニケーションと、そこから生み出されるアイデアや組織力などが欠かせません。数値に管理されるのではなく、数値をうまく活用し、それを共通軸としてメンバーがコミュニケーションを取り協働できる仕組みを作ることが、これからの企業においては一層大きな強みとなるでしょう。 ●  ●  ● (連載了)

#No. 495(掲載号)
#石王丸 香菜子
2022/11/17

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第134回】株式会社ソフィアホールディングス「独立調査委員会答申書(開示版)(2022年8月12日付)」

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第134回】 株式会社ソフィアホールディングス 「独立調査委員会答申書(開示版)(2022年8月12日付)」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   【株式会社ソフィアホールディングス独立調査委員会の概要】   【株式会社ソフィアホールディングスの概要】 株式会社ソフィアホールディングス(以下「SHD」と略称する)は、1975年8月設立(設立時の社名は株式会社ソフィアシステムズ。2007年4月、持株会社体制に移行して、現商号に変更。株式等の保有を通じた企業グループの統括・運営等を主たる事業とする。連結子会社では、インターネット関連事業、通信事業及び調剤薬局事業を主たる事業内容とする。売上高11,783百万円、経常利益889百万円、資本金2,358百万円。従業員数209名(2022年3月期連結実績)。株式会社E-BONDホールディングスが間接所有分を含めて、72.74%の議決権を有しており、同社取締役副社長の飯塚秀毅氏が、2020年6月、SHD代表取締役社長に就任している。本店所在地は神奈川県横浜市。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人は監査法人アヴァンティア。 代表取締役社長及び取締役1名の計2名が逮捕された連結子会社であるソフィアデジタル株式会社(以下「SDI」と略称する)は、2010年2月設立。通信事業を行う中核事業会社の一社で、売上高3,600百万円、経常利益488百万円。取締役3名、従業員数は13名。本店所在地は東京都千代田区。   【独立調査委員会による答申書の概要】 1 独立調査委員会設置の経緯 2022年6月8日、SHDの連結子会社であるSDIの代表取締役社長であったf氏及び取締役であったg氏が、B社(答申書の内容から、アルテリア・ネットワークス株式会社であることが判明しているため、以下の表記は「アルテリア社」とする)の従業員であるb氏や複数の代理店の役職員ら等と共謀の上、C社(新聞報道などから、株式会社NTTドコモであることが判明しているが、本稿では、答申書の表記に従い、「C社」とする)から接続料金を騙取することを目的とする組織として、2021年3月頃、アルテリア社から仕入れたIP電話番号に対して所謂「機械呼」と呼ばれる方法(以下「本件方法」という)で機械的連続発信をすることによりC社をしてアルテリア社に対して接続料金を支払わせて接続料金を騙取したとして、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑い(本件被疑事件)で警察に逮捕された。 SHDは、本件被疑事件に関してSDI代表取締役らが逮捕されたことを受けて、2022年6月17日、本件被疑事件の事実関係の調査、本件被疑事件に類似する事象の存否及びそれらのSHDの連結決算への影響などについて調査を行うため、外部専門家を起用の上、独立調査委員会を設置した。 2 SDI役職員の関与・認識 f氏は、本件被疑事件に係る共謀の事実その他一切の関与を否認しており、独立調査委員会に対しても、刑事弁護人を介して、同じ趣旨の回答をしている。 一方、g氏は、独立調査委員会に対して、多数ある代理店との取引の1つとして本件被疑事件の事件関係者との取引の存在は認識していたが、f氏が単独で進めていたため、本件被疑事件の事件関係者に係る事実は把握していなかったと説明している。 さらに、独立調査委員会は、SDIの全役員のメールデータに対するフォレンジック調査も実施したが、これらの回答や説明を覆すに足るメールは不見当であったとしている。 3 過年度会計処理の問題等 独立調査委員会は、SDIが着信課金サービス事業に係る取引を通じて得た利益を過年度に遡及して取り消す必要があるかどうかについて、次のような理由を述べた上で、過年度に遡って取り消す必要はないという結論を述べている。 一方、独立調査委員会は、SHDの連結財務諸表に正常な企業活動における稼得収益という範疇には含まれない可能性がある取引に基づく利益が含まれている可能性が内包されていることに関しての説明責任を果たすべく、慎重な検討を行うことが望ましいとして、例えば、SHDの連結損益計算書における当該収益の表示区分の取扱いについて、引き続き売上高に含めることが妥当か否か、あるいは売上高に含めたとしても、そのような可能性が内包されている点に関して追加情報の注記という形での補足説明を行うべきか否かといった観点からの検討が必要であるという見解を示している。 4 原因究明(本件被疑事件を契機に顕在化した問題点)(答申書44ページ以下) 独立調査委員会は、原因究明(本件被疑事件を契機に顕在化した問題点)として次の6項目を挙げている。 独立調査委員会は、原因究明の冒頭、「SDIは、株式会社であるが、その事業遂行体制に照らすと、「個人事業主の寄り合い」であり、本件調査・答申の結果浮かび上がったガバナンス上の問題点のほとんどは、「個人事業主の寄り合い」であったSDIを、SHDが十分に監督できなかったことに起因する」と結論を述べている。原因究明で上げた6項目は、大きく分けて、(1)、(2)及び(5)はSDI単独における問題点であり、(4)及び(6)は親会社であるSHDによる子会社管理体制の不備、(3)はSDI・SHD双方で露見した問題点であるといえよう。 まずは、(1)属人的事業遂行体制について、独立調査委員会の原因分析を参照したい。 独立調査委員会による調査の結果、SDIの組織は、3人の役員が完全に分業する縦割りの体制を敷いており、SDIにおける着信課金サービスに係る業務遂行体制は、f氏がすべての案件を直接把握し、ビジネス上の判断を行うとの前提で構槃されているため、SDIの代理店網の構築は、f氏の裁量に委ねられてブラックボックス化していたことが判明している。 独立調査委員会は、SHDによる子会社の監視・監督における不備について、こうした報告書ではめずらしく、「社外取締役」について触れているので、(4)社外取締役の不活用についても、分析内容を見ておきたい。 独立調査委員会は、SHDにおいて、社外取締役をサポートする体制・情報提供のルートが十分に機能しなかったことが、社外取締役がその期待された役割を十分に果たすことができなかったことに繋がった可能性があると指摘し、その例示として、社外取締役のサポートを行う専従人員が存在しなかったこと、社外取締役が参加するグループ役員会が毎月1回開催されるものの、並行して、経営会議が毎月2回以上開催されていることから、経営会議で報告・審議された事項がグループ役員会における報告・審議事項から割愛されることとなりがちとなり、グループ役員会において社外取締役へ適切な情報(モニタリングのために必要な情報)が遍く報告されるという運用はなされていなかったことを挙げている。 5 再発防止策の提言(顕在化した問題点の是正に向けた提言)(答申書53ページ以下) 独立調査委員会は、答申の最後に、再発防止策の提言として次の6項目を挙げている。 独立調査委員会による提言のうち、「社外取締役の活用」について、その内容を見ておきたい。SHDの社外取締役2名はともに弁護士であり、社外監査役2名は公認会計士と弁護士が各1名という体制であり、表面的には、コーポレートガバナンスに配慮したものとなっている。しかし、独立調査委員会は、SHDでは、社外取締役を活用する体制が十分に整っていなかったことを指摘した上で、外部の目線から、あるべきグループ経営管理体制や業務運営の方法について継続的に監視・助言を行う存在があることが望ましく、社外取締役が、社外の知見を活用しつつ、継続的に経営を監督し、時宜に適った助言を行うことができるようにすることで、SHDのグループ経営管理体制の実効性をより高めることが可能となることから、社外取締役にその本来の機能を十分に発揮してもらうための仕組み作りが急務であるという提言に繋げている。 次に確認しておきたいのが、サプライチェーンマネジメントにおけるリスク再検証という提言である。独立調査委員会は、日本取引所自主規制法人が、2018年3月に公表した「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」の[原則6]及び6-2を引用しているので、まずは、「プリンシプル」に掲げられた内容を示しておきたい。 その上で、独立調査委員会は、SHDは、SDIをして、BIS事件(本件前哨事件)を契機に解約した3社の代理店を除いても、15社もの多数の代理店を選定して、およそ7,000もの膨大なIP電話番号を卸販売して着信課金サービスを大規模に展開するサプライチェーンを構築していることから、そのような「サプライチェーンを展望した責任感」を再確認して、本件被疑事件が生じたことを重く受け止め、本件被疑事件の帰趨にかかわらず、本件取引に関係した代理店固有の問題であると短絡的に考えず、むしろ、着信課金サービス事業を展開する「当事者としての役割を意識し、それに見合った責務を果たすよう努める」必要があるという提言をまとめている。 そして具体的には、「契約上の責任範囲のみにとらわれず」、SDIが展開する着信課金サービス事業に係る代理店網の全体像と自社の位置・役割を再確認し、本件被疑事件を経て潜在することが明るみになった事業リスクを踏まえ、万一、本件被疑事件のような有事が今後生じた場合にも、迅速かつ適切な対応によりステークホルダーヘの的確な説明責任を履行することができるよう備えるべきであるとまとめている。   【答申書の特徴】 NTTドコモに対する組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕された14人の中には、上場会社であるアルテリア・ネットワークスの社員と別の上場会社であるソフィアホールディングスの連結子会社社長が含まれていたという衝撃的な事件を受けて、設置された独立調査委員会による答申書である。 調査は、逮捕・勾留されているSDI代表取締役社長が本件被疑事件に係る共謀の事実その他一切の関与を否認しており、独立調査委員会に対して、刑事弁護人を介して、同じ趣旨の回答をしていることから、独立調査委員会も、被疑事件については、それ以上の判断には踏み込んでいない。また、過年度売上高の修正についても、取り消す必要はないという結論を導きつつも、追加情報の追記等の検討を示唆している。SHDは、答申書に基づき、「正常でない取引が含まれている可能性がある旨を追加情報として注記」する訂正を行っている(2022年8月15日「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出に関するお知らせ」)。 1 2021年7月に発覚したBIS事件との関係 独立調査委員会が、答申書の中で繰り返し不備を指摘しているのが、2021年7月に発覚したBIS社による組織犯罪防止法違反事件に対するSHD・SDI両社の対応である。 すなわち、今回逮捕・起訴されたSDI代表取締役は、BIS事件に際しても任意同行を求められるとともに、SDI社と自宅が家宅捜索の対象となっており、さらに、代理店のうち3社とは契約を打ち切るなど、大きな影響を受けた事件であったにもかかわらず、SHDでは、経営会議での一度限りの報告にとどまり、グループ役員会やSHDの取締役会での検討事項となることはなかったことから、独立調査委員会は、関係会社管理規程で定められた経営会議、グループ役員会及び取締役会の位置づけが適切に機能しない運用に陥っていたと判断した。 その理由として、規程では、構成員の異なる経営会議、グループ役員会及び取締役会の各会議体で、三段階にわたり、「経営に重大な影響を与える可能性のあるリスクについての評価・見直し」や「事業及び不正のリスクについての評価・見直し」がなされることになっており、こうした会議体が機能していれば「経営に重大な影響を与える可能性のあるリスクについての評価・見直し」や「事業及び不正のリスクについての評価・見直し」については、社外取締役の第三者的な視点からの評価がなされるなど多角的な検証がなされるはずであったことを挙げている。 2 SDI社の着信課金サービス事業からの撤退 SHDは、2022年9月28日、「連結子会社の一部事業からの撤退及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」をリリースして、SDIの着信課金サービスについては、SDI役員の逮捕後、事業を停止していたところ、サービスの再開にあたっては、正常でない取引が含まれる可能性を根絶することが必要であるとの認識から、今後のサービス提供のあり方を検討してきたものの、機械等を利用した不正な通信を排除するためにモニタリング等を行うことについても通信の秘密の制限に抵触してしまう可能性が高いことから、着信課金サービスから撤退するべきと判断するに至ったものであることを説明している。 同リリースによれば、SDIによる着信課金サービスに係る売上高は3,312百万円、売上総利益は644百万円であり(2022年3月期実績)、事業からの撤退日は9月30日。同日付で、SDI代表取締役高橋和男氏は、代表取締役及び取締役を辞任することも、公表されている。 3 SHDによる再発防止策 2022年10月26日、SHDは、「再発防止策等に関するお知らせ」をリリースして、独立調査委員会の答申書を踏まえた上で、再発防止策の概要を公表した。 再発防止策の中で、多くの項目(7項目)が列挙されているのが「取締役会における子会社管理に関するリスク評価及び監督機能の強化」であるため、この項目について具体策を見ておきたい。 〈当社取締役会における子会社管理に関するリスク評価及び監督機能の強化〉 (了)

#No. 495(掲載号)
#米澤 勝
2022/11/17

税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第35回】「敷地内に介在する無地番の土地は何か」~道でも水路でもない細長い形状の土地の扱い~

税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第35回】 「敷地内に介在する無地番の土地は何か」 ~道でも水路でもない細長い形状の土地の扱い~   不動産鑑定士 黒沢 泰   1 はじめに 今回は、不動産鑑定士の誰しもが調査の経験があるとは限らない案件ですが、鑑定評価に当たっては、評価額を求める以前の問題として、その前提条件を踏まえておく必要のあるケースを紹介します。その意味では、鑑定評価の常識ともいえる内容を含んでいます。   2 同じ所有者の敷地内に無地番の土地が介在するケース 不動産鑑定士が評価を依頼された物件を調査する際に、公図上で細長い形状をした無地番の土地を見かけることがあります。その典型的なケースとしては、水路、里道(建築基準法の適用されない幅の狭い道)等があげられます。これらの土地は、現にその機能を有している(=現況も水路や公衆の通り道として使用されている)場合には、その土地の所在する市町村が管理を行っており、調査に当たっても特段問題となることは少ないと思われます。 しかし、なかにはこれらとは明らかに性格の異なる二線引畦畔(通称)と呼ばれる国有地が民有地の中に介在していることがあります。これらは、傾斜地や農道等であることが多く、かつ旧土地台帳(後掲)に所有者として記載された経緯もなく、さらに田・畑等の間にある畔(あぜ)とも異なった国有地として扱われてきた土地です。下記の図面で緑色に着色された部分がこれに該当します(1つのイメージを表わしたものです)。 (出典) 関東財務局ホームページ「国有財産について-よくある質問と回答-」Q7 そのため、物件調査に際しては、このような土地がどのような性格を有し、田や畑の間に介在する畦畔とどのように異なるのかを理解しておかなければ、不動産鑑定士としての判断を誤る可能性があります。 (1) 畦畔の意味と特徴 畦畔ということばが登場する場合、必ずといってよいほど、それが内畦畔であるのか、外畦畔であるのかという区別が問題とされてきました。ただし、これらの区別は既に不動産登記制度の上で廃止されており、現在の登記簿(登記事項証明書の表題部)のどの箇所を調べても、この記載を見かけることはありません。 しかし、特に田畑の多い地方の土地や、都市部でも当時の地目が田畑等であった土地では、境界確定の際に畦畔の取扱いが問題となることがあります。 ① 畦畔の意味 畦畔とは、田畑(耕地)の境にあってこれらを区切る「あぜ道」のことです。そして、その機能は、田畑間の所有権や耕作範囲の境界を表わすとともに、灌漑用水の流出を防ぐことにあるといわれます。 このように、畦畔は田畑の本地と一体をなすものであり、その所有関係は本地と切り離して考えることはできませんが、収穫高に応じて地租を決定するという地租改正当時の目的から、耕作面積のみを丈量すれば十分で、畦畔の丈量まで求められることはなかった(※1)といわれます。 (※1) 「地租改正条例細目」(明治8年5月30日) 「耕地ヲ丈量スルハ畦畔ヨリ打詰ト心得ヘキ事」(第3条)、「数個ノ畦畔ヲ跨リ一筆トナス地ハ惣積ノ内ヨリ畦敷ノ歩合ヲ除去シテ反別ヲ定ムヘキコト」(第4条)。 しかし、実際にはその取扱いはまちまちで、地方により、あるいは測量する人によって、内畦畔としたり外畦畔の扱いをしたり、さまざまであった(※2)といわれています。そして、丈量の際、その面積を本地に含めて測量したものが内畦畔、本地に含めず測量したものが外畦畔と呼ばれました。 (※2) 篠塚昭次、宮代洋一、佐伯剛『境界の法律紛争』(有斐閣、昭和58年7月)69頁。 ② 特徴 内畦畔の場合、旧土地台帳(税務署が租税を徴収するために管理していた台帳です)に畦畔の面積が内書(=本地の面積の内数として表示)され、外畦畔の場合にはこの台帳に外書(=本地の面積の外数として表示)されていました。いずれの場合でも、本地と合わせた面積に差異はありませんでしたが、収穫のない畦畔は外書、収穫のある畦畔は内書とすることが多かったようです。 しかし、昭和35年4月に実施された登記簿と土地台帳の一元化作業により、旧土地台帳に「内畦畔〇〇歩」とか、「外畦畔〇〇歩」と記載されていたものについては、新しい登記簿の地積欄には一切これらの記載をしないこととされました(それまで外数として記載されていたものに関しては、その地積を本地の地積と合算して登記簿の「地積」欄に記載することとなったわけです)。 このような経緯があるため、内畦畔、外畦畔という記載は、現在の登記簿のみからは読み取ることはできません。また、公図を調査してもその中に畦畔という記載はなされていないのが通常です。 (2) 二線引畦畔の意味と上記(1)の畦畔との相違点 二線引畦畔も細長い形状をした無地番の土地ですが、公図上では従来から緑色で着色されてきました(上記図面もその名残りです)。現在、法務局で入手する図面は電子化されており、その写しを申請しても交付される図面には着色がされていないため、里道か水路か二線引畦畔かを最終的に区別するに当たっては、閉鎖されている旧公図における色分けを併せて調査する必要があります。 ① 二線引畦畔の意味と特徴 二線引畦畔は、しばしば青地とも呼ばれています。上記(1)で説明した畦畔は、もともと田や畑の畔道を意味しますが、二線引畦畔と呼ぶ場合の畦畔とは、必ずしもこのような意味で用いられているとは限りません。 本来、畦畔は田畑等の耕作地(本地)の機能を維持するために不可欠な土地であり、本地の補助的機能を果たす意味からも、これに付随すべきものといえます。 これに対し、二線引畦畔と呼ぶ場合には、畦畔ということばが使用されていても本地に付随する畦畔であるとは限りません。その実態は、一般公衆の通行する農道であったり、土手であったり、あるいは市街地の場合には敷地の一部として隣接土地所有者が占有していることも多く、それ自体耕作地の補助的機能を果たさないものがほとんどです。 また、過去の経緯を遡れば、明治7年11月7日太政官布告第120号「地所名称区別改定」により、全国の土地が官有地と民有地に区分され、民有地については所有権を主張する者に申出を義務付け、これが明確に確認できた場合には当該土地に地番を付す一方、その申告のない土地は官有地として扱われるようになったといわれています(二線引畦畔もこれに該当します)。 ② 上記(1)の畦畔との相違点 耕作地に含められる畦畔と二線引畦畔との間には、上記のような明らかな相違が認められますが、例えば、東京地裁平成5年11月30日判決(判例タイムズ第873号、157~171頁)では、これらの相違について詳細な検討を加えています。ただし、本稿では紙幅の関係から、要旨のみ紹介を行っておきます。 〇判決の要旨~いわゆる二線引畦畔について   3 まとめ 上記判決でも指摘されているとおり、二線引畦畔の場合、旧土地台帳にはじめから記載のない土地であるという点で、本来の意味における畦畔とは明らかに異なる(国有地である)ことが理解されます。鑑定評価の対象地内に二線引畦畔が介在している場合、民有地とは区別して捉える必要があります。 二線引畦畔は、従来から地番そのものが存在しませんが(そのため登記簿等によって面積を把握することはできませんが)、民有地の所有者が事実上一体として利用していることが多いのが実情です。このような状況の土地の鑑定評価に際しては、「敷地内に介在する無地番の土地は払下げを受けて一体利用が可能なもの」という条件を付して行うことが一般的といえます。また、現実に、二線引畦畔については財務局・財務事務所・出張所において境界確定や売払等が行われています(その時点ではじめて実測を行い、民有地との境界を確定していることが多いようです)。 (了)

#No. 495(掲載号)
#黒沢 泰
2022/11/17

〈エピソードでわかる〉M&A最前線 【第7回】「土木工事業のM&A」-M&A検討段階で売り手社長が大病に-

〈エピソードでわかる〉 M&A最前線 【第7回】 「土木工事業のM&A」 -M&A検討段階で売り手社長が大病に-   株式会社日本M&Aセンター 提携統括事業部 東日本会計部 シニアチーフ 中小企業診断士 豊田 元幹   【第7回】は、M&A検討段階で売り手企業の社長が大病を患われた土木工事業のM&A事例を紹介します。 【売り手企業データ】 ※情報管理の観点から、一部内容を変更しております。   1 売り手社長が大病を患いM&Aを決断 売り手企業の社長との初回面談では、簡易企業評価と事業内容のヒアリング、M&A譲渡先の要望、希望株価等をお伺いしました。その際には社長から「良い相手が出てくればM&Aによる譲渡をするが、譲渡前提ではない」と伝えられていました。 それから1ヶ月の間、主に社長の奥様とメールを中心に決算関連資料等のやりとりをさせていただき、譲受企業に当該企業を紹介する資料である企業概要書作成と企業評価を行っていました。その後、内容確認のため社長ご夫妻の自宅を訪問したところ、社長はパジャマ姿でソファから立ち上がる様子もありません。社長は大病を患っていたのです。病名は「大動脈剥離」とのことでした。初回面談の2日後から2回目の前々日まで1ヶ月間入院をされていたのです。 社長からは「病気になる前は、自分が経営を続けていくことを考えていたが、今までどおりにはとてもできない。従業員も不安に思っており、すぐにでもM&Aの譲渡先を見つけてほしい」とお話をいただきました。   2 売り手社長ご夫妻はM&Aによる譲渡の意向を固めたが・・・ お話を受けて、総合建設業を経営している企業を紹介しました。M&Aによる土木工事業の譲受けのご要望を以前からいただいていた企業です。売り手企業の社長はトップ面談を行いたいということで、買い手企業からも正式にM&Aの意向をいただき、翌週に売り手企業社長のご自宅にてトップ面談を行うこととなりました。 トップ面談では、M&A後の展望についても話し合い、買い手社長の人情味あふれる人柄もあり、売り手社長のご夫妻は、同社に譲渡する意向を固めました。トップ面談後、2週間程度で諸条件を整え基本合意書を締結。翌月には売り手企業の会社近くの会議室で、2日間の買収監査を実施しました。 しかし、その翌月、完成した買収監査報告書を携え、買収監査を担当した監査法人の担当者と買い手企業の会議に出向くと、妙な緊張感が漂っていることに気づきました。会議室に並ぶ総勢10名の方々は、買い手企業側の顧問税理士・社労士と経営陣でした。簡単な挨拶ののち、買収監査の報告を行いました。そして、参加役員の1名から唐突に「この企業はM&Aできません」との言葉があったのです。この役員は買い手企業の会長だったのですが、売り手企業の立地面・事業面でのシナジー効果が見えにくいこと、売り手企業の従業員に社会保険の未加入者が含まれ、譲受け後のコストをそれなりにかけなければならないことなどを考えられた上での発言でした。 結局、本件は破談となり、売り手企業社長夫妻にもその旨を報告させていただくと、大変落胆された様子でした。   3 社会保険の一部未払いなどに対して改善が必要 そこから約2ヶ月の間、必死で次の買い手候補を探しました。売り手企業社長の体調は、快方に向かっているものの、現場に出ることができない状況に変わりはなく、従業員の不安が募っており、取引先からもクレームなどが出てきてしまっていました。 そのような中、2社目の買い手候補企業が現れました。関東圏で専門工事を行う企業です。買収ニーズの内容は、現在の主要事業を今後拡げることはかなり難しいため、別の事業の柱を置きたいというものでした。買い手企業の社長・役員と数回面談をした上で、トップ面談に臨みました。 この買い手企業は、社長が大胆である一方、役員が慎重でバランスを取りながら話を進める企業でした。特に、本件では売り手企業で社会保険の一部未払いが発生していたり、就業規則の内容と実際の勤務実態がかけ離れている社員が含まれていたりと、大幅な改善が必要な状況でした。また、売り手企業は重機を多数保有しており、これらの資産価値をどう見積もるかといった論点もありました。そういった点を売り手企業・買い手企業の間で何度も議論を交わし、交渉していきました。 ◆M&Aにあたっての売り手企業の論点◆ 社会保険の一部未払い 就業規則の内容と実際の勤務実態の乖離 重機の資産価値、など   4 M&A成立により不安だった売り手企業従業員も安心 既に買収監査が行われていたこともあり、基本合意から最終契約までは大きな動きはありませんでした。諸々の条件を整え、最終契約を締結し、売り手企業に社労士を紹介しました。社労士によって、就業規則の再策定、雇用条件の各従業員への提示など、従業員の手取り給与が減らないよう苦心しながら、1ヶ月半程度で買い手企業が経営しやすい状況へと整えていきました。 そして、前回の破談から約4ヶ月で資金の決済と役員の辞任・新任登記を終え、従業員開示を行いました。従業員には、周年行事と伝えて売り手企業事務所近くの料亭へ集まってもらいました。宴会開始時刻になり、売り手企業社長がM&Aについて発表しました。 売り手社長からは今回のM&Aについて、自身の体調不安、従業員の雇用の維持、今後の成長発展などについて話してもらいました。また、買い手社長からも同様に、雇用条件が変わらないこと、これからも成長発展のため経営資源をしっかり投入することなどを説明してもらいました。 ◆従業員開示で伝えられたこと◆ 本件M&Aについて 売り手社長の体調不安 社員の雇用及び雇用条件の維持 今後の売り手企業の成長戦略   宴会終了後には会場から最寄り駅までの送迎バスに乗り込む列で、売り手社員が積極的に買い手役員とコミュニケーションをとっている姿が印象的でした。現在では、売り手社長ご夫婦は退任され、体調を考慮しつつ趣味を楽しんでおられるとのことです。   (了)

#No. 495(掲載号)
#株式会社日本M&Aセンター
2022/11/17

《速報解説》 国税庁、事務運営指針の改正とともに「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」を公表~売上げや帳簿の範囲、帳簿の提示等の時期などを具体例も交え全20問で解説~

《速報解説》 国税庁、事務運営指針の改正とともに 「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」を公表 ~売上げや帳簿の範囲、帳簿の提示等の時期などを具体例も交え全20問で解説~   弁護士 下尾 裕   令和4年度税制改正において、「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置」(以下「本件加重措置」という)が新たに導入された。本件加重措置は令和6年1月1日以降に法定申告期限が到来する申告所得税、法人税・地方法人税、消費税について適用される予定になっている。 国税庁は、令和4年10月に、本件加重措置の運用に関連して以下の各事務運営指針を一部改正するとともに、「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」(以下「本件Q&A」という)を公表した。 本稿については、本件Q&Aの概要について解説する。   1 本件Q&Aの概要 本件加重措置は、税務職員から「売上げ(業務に係る収入を含む。)に関する調査に必要な帳簿」の提示等を求められ、かつ、帳簿の提示がない又は帳簿への売上金額の記載等が本来記載等をすべき金額の3分の2未満であった場合には、帳簿に本来記載等をすべき事項に関する申告漏れ等に対して課される通常の過少申告加算税・無申告加算税の割合を5%又は10%加重するというものである。 本件Q&Aは、今回改正される上記事務運営指針の内容を前提に、本件加重措置の概要、対象となる納税者・売上げの範囲、帳簿の範囲、帳簿の不提示・不提出、帳簿の記載等が不十分である場合、及び加重対象となる非違の範囲について、それぞれ具体例を交えつつ、説明を行うものである。   2 留意すべき記載事項 本件Q&Aの内容は上記のとおりであるが、特に法令の解釈との関係で留意すべき点としては以下の点が挙げられる。 (1) 「売上げ(業務に係る収入を含む。)」(新国通規11の2②)の範囲 本件加重措置の適用対象は、帳簿に記載し又は記録すべき事項のうち、「納税申告書の作成の基礎となる重要なものとして財務省で定める事項」(特定事項)とされており(新国通法65④一・二)、この特定事項は「売上げ(業務に係る収入を含む。)」(新国通規11の2②)とされている。これを前提に、本件Q&Aの問6は、この「売上げ」の範囲について、以下のとおり具体的に整理している(この点は上記各新事務運営指針においても明示されている)。 また、国外取引に該当する営業収入については、所得税・法人税の加算税の加重措置については「売上げ(業務に係る収入を含む。)」に該当する一方、消費税の加算税の加重措置については当該売上げに含まないことも併せて明らかにされている(本件Q&A問7)。 (2) 帳簿の提示等の時期 本件加重措置は、税務当局の職員から「帳簿の提示又は提出を求められ」たことを要件とするところ(新国通法65④本文)、上記各新事務運営指針においては、帳簿の提示等の時期については「遅滞なく(すなわち正当な理由又は合理的な理由がない限り速やかに)」提示する必要があるとされている。 また、これを踏まえた帳簿の不提示・帳簿記載の十分性の判定時期については、事前通知時点ではなく、「調査を開始する日時までに帳簿を遅滞なく提示等ができるように準備してあれば」本件加重措置が適用されないことが明らかにされている(本件Q&A問12)。 (3) いわゆる「期ずれ」に係る帳簿記載の取扱い 上記各新事務運営指針及び本件Q&A問17においては、「売上げ」について本来記載等をすべき年分以外の年分の帳簿に記載等がされている状態(いわゆる期ずれ)が発生していた場合でも、本措置において帳簿への記載等が不十分であるか否かの判定に当たっては、本来記載等をすべき年分以外の年分の帳簿に記載等がされていた場合又は通常の業務処理手順などから帳簿の提示等を求められた日の属する年分(いわゆる進行年分)の帳簿に確実に記載等がされると認められる場合には、本来記載等をすべき年分の帳簿に記載等がされているものとして取り扱うことが明らかにされている。   (了)

#下尾 裕
2022/11/15

令和2年度税制改正に関する《資料リンク集》(更新)

令和2年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「令和2年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。   - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2022/11/11

プロフェッションジャーナル No.494が公開されました!~今週のお薦め記事~

2022年11月10日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.494を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2022/11/10
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