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税効果会計を学ぶ 【第12回】「財務諸表上の一時差異等の取扱い」

税効果会計を学ぶ 【第12回】 「財務諸表上の一時差異等の取扱い」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 今回(第12回)は、財務諸表上の一時差異等(個別財務諸表)について解説する。関連する繰延税金資産の回収可能性については、本シリーズの第7回から第11回までを参照願いたい。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 財務諸表上の一時差異等の取扱い 1 その他有価証券の評価差額 2 繰延ヘッジ損益 3 土地再評価差額金 4 租税特別措置法上の諸準備金等に係る将来加算一時差異 5 連結会社間における資産(子会社株式等を除く)の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の個別財務諸表における取扱い 6 連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の個別財務諸表における取扱い (了)

#No. 385(掲載号)
#阿部 光成
2020/09/10

令和2年 年金制度改正のポイント 【第3回】「在職中の年金受給の在り方の見直し等」

令和2年 年金制度改正のポイント 【第3回】 (最終回) 「在職中の年金受給の在り方の見直し等」   特定社会保険労務士 佐竹 康男   第3回は、在職老齢年金の支給停止基準額の引上げ、年金額の定時改定の導入及び老齢年金の繰下げ受給年齢の引上げについて解説します。   1 在職老齢年金の支給停止基準額の引上げ 【2022年4月施行】 在職老齢年金とは、老齢厚生年金(60歳台前半に支給される特別支給の老齢厚生年金を含む)を受給している人が在職し、厚生年金保険に加入した場合、老齢厚生年金の額(以下「年金月額」といいます)と総報酬月額相当額(注)(以下「報酬等」といいます)により、受け取る年金額の全部又は一部が停止されるものをいいます。現在、60歳台前半と60歳台後半では、この支給停止基準が異なっています。 (注) 総報酬月額相当額=該当月の標準報酬月額+(該当月以前1年間の標準賞与額の合計÷12) (1) 60歳台前半(60歳から65歳未満) 年金月額と報酬等の合計額が28万円を超えた場合は、その年金の全部又は一部が停止されています。改正により、この28万円の基準が47万円(令和2年度額)になります。 したがって、年金月額と報酬等の合計額が47万円までは老齢厚生年金は減額されず、改正前よりかなり減額の幅が緩和されます。 (2) 60歳台後半(65歳から70歳未満) 65歳からは、老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されますが、在職中であっても老齢基礎年金は減額されず全額支給されます。 しかし、老齢厚生年金は、在職中、年金月額と報酬等を合計した額が47万円を超えた場合には、その超えた額の2分の1に相当する額が停止されています。この47万円の基準は、改正後も変更されません。   2 年金額の定時改定の導入【2022年4月施行】 在職中の老齢厚生年金(65歳以上)の額は、退職時又は70歳到達時に改定されていますが、2022年4月以後は、毎年1回改定される定時改定が導入されます。 老齢厚生年金の受給権者が9月1日(以下「基準日」といいます)に在職(厚生年金保険に加入)している場合の老齢厚生年金の額は、基準日の属する月前の加入期間をその計算の基礎として、基準日の属する月の翌月(10月)から、年金額が改定されます。   3 老齢年金の繰下げ受給年齢の引上げ(受給開始時期の選択肢の拡大)【2022年4月施行】 老齢年金は、国民年金から老齢基礎年金が、厚生年金保険から老齢厚生年金が65歳から支給されますが、66歳以降に繰り下げて受給をすることもできます。老齢基礎年金及び老齢厚生年金の両方を繰り下げることも、どちらか一方を繰り下げることも可能です。繰下げした年金は、一定の割合で増額されます。 現在、繰下げ受給は70歳までとなっていますが、改正により75歳まで拡大されます。 繰下げ受給は、繰下げ1ヶ月あたりの年金額が0.7%増額されています。改正後は、増額率は変わりませんので、最大で84%増額されることになります。 66歳以降に繰下げをした年齢に応じて、下表のとおり年金額が割増になります。 例えば、老齢基礎年金781,700円(満額)の人が、65歳からではなく70歳から受給した場合には、781,700円×1.42=1,110,014円ですが、75歳から繰り下げて受給した場合は、781,700円×1.84=1,438,328円になり、かなり増額されます。 〈繰下げ受給の増額率〉 (注) 色網掛け部分が改正により追加されます。 (連載了)

#No. 385(掲載号)
#佐竹 康男
2020/09/10

ハラスメント発覚から紛争解決までの企業対応 【第6回】「ハラスメントの事実認定と加害者の処分等における留意点」

ハラスメント発覚から紛争解決までの 企 業 対 応 【第6回】 「ハラスメントの事実認定と加害者の処分等における留意点」   弁護士 柳田 忍   厚生労働省の指針等に基づき、会社は、ハラスメントの相談等を受けた場合、事実関係を迅速に確認し、ハラスメントの事実が確認できた場合は、行為者に対する措置を適正に行う必要がある。 そこで、ハラスメントの事実調査を終えた後は、収集した証拠に基づいて事実認定を行い、認定した事実に基づいて加害者の処分等を実施することになるが、本稿においては、これらに関する留意点について説明する。   1 ハラスメントの事実認定 事実認定は、事実調査において収集した物的証拠と人的証拠を総合的に勘案して行うことになるが、事実認定に際して最も困る、かつ、よく直面するのが、収集した証拠の中に決定的な物的証拠がなく、供述(人的証拠)の内容が食い違っているという事態である。 このような場合、ハラスメントの事実は確認できなかったと結論づける会社もあるようであるが、単に、決定的な物的証拠がなく、供述の内容が食い違っているというだけで事実認定を放棄して何事もなかったことにしてしまうと、職場環境配慮義務や安全配慮義務等の違反の責任を問われる可能性がある。そこで、このような場合にも、供述の信用性を判断したうえで、可能な限り事実認定を試みることが重要である。 供述の信用性を判断する基準は以下のとおりである(裁判所も下記のような基準に従って供述の信用性を判断し、事実認定を行っている)。 上記基準に従って綿密に供述の信用性を判断し、その過程を説明できるようにしておくことにより、かかる供述に基づいた事実認定や加害者の処分等が適切であると判断される可能性を高めることができると思われる。   2 加害者の処分等 上記のとおり、会社は、ハラスメントの相談等を受けた場合、事実関係を迅速に確認し、ハラスメントの事実が確認できた場合は、行為者に対する措置を適正に行う必要があるとされている。 ここでいう「行為者に対する措置」として、必ずしも懲戒処分を科さなければならないというわけではなく、注意や指導に留めるべき場合もあろう。しかし、特定の従業員や特定の事案についてのみ重い懲戒処分を科す場合、平等原則に違反するものとして当該懲戒処分は無効となりうることから、懲戒処分をした場合は当該懲戒処分が、懲戒処分をしない場合は懲戒処分をしなかったという事実が、同種事案に関する今後の処分基準となることを考慮にいれたうえで、加害者の処分を検討すべきである。 また、就業規則等に懲戒処分に際して従業員に弁明の機会を付与する旨の定めがある場合には、弁明の機会を与えずに行われた懲戒処分は無効となる可能性が高い。一方、そのような定めがない場合は、弁明の機会を与えずに行った懲戒処分が必ずしも無効となるものではないが、弁明の機会を与えた方が懲戒処分が有効と判断される可能性が高まるのではないかと思われる。 なお、弁明の機会は、懲戒処分の決定に先立ち、懲戒対象事実を具体的に示して行うべきものだが、事実認定後、改めて弁明の機会を与えなくても、事実調査(事情聴取)において弁明の機会が与えられたと評価できる場合も多いと思われる。 懲戒処分の種類については、軽い方から、けん責又は戒告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇などを定めている企業が多いものと思われるが、懲戒処分を行うとの判断に至った場合、どの種類の懲戒処分を選択すべきかというのが最も悩ましいところであろう。 懲戒処分の種類を決定するに際しては、ハラスメント行為の態様や動機、結果、加害者の職責、過去の非違行為の有無等、様々な事情を考慮して決めるべきであるが、ハラスメントが犯罪行為に該当するような場合や長期間にわたり執拗になされている場合、会社から指導を受けたのに何度もハラスメントに及んだ場合等には、懲戒解雇や諭旨解雇などの雇用契約を解消するタイプの懲戒処分を検討することになろう。また、以下の人事院の「懲戒処分の指針について」(平成12年3月31日職職68)(国家公務員の懲戒処分の量定を掲げたもの)も参考になる。 (注) 人事院規則10-16第2条のパワー・ハラスメントとは、職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。 さらに、懲戒処分とは別に、人事上の処分としての降格、減給、配置転換や、被害者から引き離すための配置転換等の実施も考慮すべきであろう。 (了)

#No. 385(掲載号)
#柳田 忍
2020/09/10

〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第9回】「電子契約書の法的効力」

〔一問一答〕 税理士業務に必要な契約の知識 【第9回】 「電子契約書の法的効力」   虎ノ門第一法律事務所 弁護士 石橋 輝之   〔質 問〕 電子契約の導入を考えています。ただ、電子契約の場合、契約相手と紛争になった際に、紙の契約書と同じように、電子契約を証拠として使えるのでしょうか。裁判となったときに、電子契約書の場合、紙の契約書と比較して、証拠としての価値が下がってしまったり、その他面倒なことにならないか不安です。 また、ベンダーを選定するに際し、考慮すべきこととしては、どのようなものがあるでしょうか。 〔回 答〕 電子契約書も裁判所で証拠として利用することは、もちろん可能です。 紙の契約書でも電子契約書でも、ある事実を証明するための力(実質的証拠力)に違いはありません。紙の契約書と比較して、電子契約であることを理由に、ある事実を立証するための力が弱くなってしまうことは、通常ないでしょう。 ただし、利用している電子契約のシステム(電子署名の方法)によっては、裁判所で証拠として扱うための前提となる「形式的証拠力」の要件をクリアするのに少々手間を要する可能性があります。 実際の民事訴訟において、形式的証拠力が問題とされる事案は多くありませんが、一定数存在しています。電子契約の場合、紙の契約書と同様に、「二段の推定」(詳細は後述します)の論理で、形式的証拠力を容易に証明することは可能となっているものの、必ずしも全ての電子契約において同じように二段の推定が働くとはいえません。利用している電子契約のタイプによっては、この二段の推定が働かない場合があります。 このようなことから、電子契約のタイプによっては訴訟において、思わぬ負担が生じる可能性があります。 そのため、電子契約のベンダーを選定する際は、どういったタイプの電子契約のサービスを提供しているのか、そのタイプによって、形式的証拠力にどのような影響が及ぶのかについて十分に理解した上で、これを選定する必要があります。 ◆◆◆◆ 解 説 ◆◆◆◆ 1 当事者署名型と事業者署名型 電子契約のタイプには、大きく分けて「当事者署名型」と「事業者署名型」がある。 「当事者署名型」は、第三者である電子認証局(※1)が各署名者の本人確認を行い、発行した電子証明書を用いて本人が電子署名を行う形の電子契約である。紙の契約と同じように当事者双方が電子署名をして契約を成立させる。 (※1) 本人確認、電子証明書の発行、発行済み証明書の管理等を行う第三者機関。 一方、「事業者署名型(立会人署名型)」は、ユーザーの指示に基づき、ベンダーにおいて文書に電子署名を施す形式の電子契約である。この形式では、ユーザーは電子署名をせず、ベンダーが双方の意思を確認し、ベンダーで電子署名を行う。この場合、ベンダーがその時点で、この契約書の内容について、当事者双方が同意していたことを証明することになる。 現在、各ベンダーで提供されているサービスの多くは事業者署名型である。当事者署名型と事業者署名型の双方についてサービス提供を行っているベンダーもあるが、実際に利用されているのは、事業者署名型のほうが圧倒的に多い。   2 二段の推定 裁判所が、ある書類を証拠として取り調べる場合、その証拠には「形式的証拠力」が備わっている必要がある。形式的証拠力とは、「文書を作成したとされる人の意思に基づいてその文書が作成されたこと」を意味する。 契約書を例にとると、Aの名で作成されている(署名されている)場合に、それがAが作成したものではなく、Bが作成をしたということになると(偽造書面であったということになると)、その契約書はAの意思が反映されたものではないということになるため、Aの意思を推測する証拠にはなり得ない。そうすると、Aの意思を推測する証拠としては意味がないため、証拠として採用できないということになる。そこで、本当にAが作成したものであるのかを挙証者(証明しようとする者)は立証しなければならない。 文書の成立の真正、すなわち作成者の意思に基づいて文書が作成されたとの事実が認められれば、通常は、形式的証拠力も肯定される。 形式的証拠力がなければ、そもそも、裁判所はその証拠について証拠調べを行わない。しかし、文書の成立の真正に疑義が有るたびに、その証明を行わなければならないとするのは迂遠である。そこで、最高裁判所の判例や民事訴訟法の規定(228条4項)により、文書の成立の真正は、一定の条件のもと推定されることとされている。推定がなされるため、挙証者にとっては、負担が軽減されることになる。なお、専門用語で、この推定を「二段の推定」と読んでいるが、詳細な論理については、紙面の都合上、割愛する。 少なくとも、文書の成立の真正は、紙の契約書の場合は、一定の条件で推定される。しかし、電子署名全般についても同様に推定がなされるのかとなると、当事者署名型と事業者署名型という電子署名の方法によって結論が分かれる。 形式的証拠力が問題になる事案というのは多くはない。そのため、このリスクを過大に評価する必要はなく、むしろ、前回述べたとおり、電子契約とするメリットは大きいので、積極的に利用していくのは1つの経営判断である。ただし、形式的証拠力が問題となる事案は一定数確実に存在しているため、以下のような形式的証拠力を立証する上での問題が、電子署名に存在していることを理解しておく必要がある。   3 電子署名でも「二段の推定」が及ぶのか (1) 当事者署名型の場合 当事者署名型の場合は、電子署名及び認証業務に関する法律(以下「電子署名法」という)3条に民事訴訟法228条4項と同じ趣旨の規定が存在していることなどから、二段の推定が働く。 しかし、当事者署名型であるから全てにおいて二段の推定が働くかといえば、当然、電子署名法等の法規に合致した電子署名でなければならず、その他要件もあるため、推定が働かない場合も理論的にはあり得るが、通常、ベンダーから提供されているサービスを利用した場合は、二段の推定が働くものといえる。 (2) 事業者署名型の場合 一方で、事業者署名型の場合は、二段の推定が働かない。 詳細な法理論は割愛するが、二段の推定が適用されるためには、そもそも、電子署名法3条の要件を満たす必要がある。 この点、事業者署名型におけるベンダーによる署名が、電子署名法にいう「電子署名」といえるのかがまず問題となる。そうでないならば、同法3条の適用の余地はない。 事業者署名型の電子契約の具体的な締結方法は、次のようなものである。 電子署名法2条によれば、電子署名法で「電子署名」として認められるためには、その署名が、署名を行った者が契約書の作成者本人であることを示すものである必要がある。Aが作成者なら、Aという署名がなければ、それはどんなシステム・ベンダーを利用していたとしても電子署名法にいう「電子署名」にはならないのである。そのため、ベンダーが署名をする事業者署名型の場合、契約書の作成者は契約当事者なのであるから、ベンダーが署名をしていても、それは電子署名法にいう「電子署名」にならないと解釈されていた。条文を素直に解釈すれば、このような結論に至る。 しかし、これについて、2020年7月17日、総務省、法務省、経済産業省は、連名で、事業者署名型であっても、ベンダーによる署名がユーザーの指示に基づく場合は、ユーザーである本人が署名したものと評価し得るという見解を公表した。 この見解に従うと、事業者署名型でも、電子署名法上の「電子署名」に該当するということになる。あくまで、行政の見解であり、裁判所の判断ではないから、上記解釈が裁判所でも通用するかは、分からない。もっともおそらくは、裁判所もこの見解を採用する可能性が高いとは思われる。 この行政解釈により、事業者署名型でベンダーが署名をしていても、「電子署名」になると仮定して、次に、同法3条がこの事業者署名型の電子署名に適用されるかを検討しなければならない。この点、すでに述べたとおり、3条の適用はなく、二段の推定を働かせることはできない。条文をみると「本人による電子署名」と明記されているため、この時点で、ベンダ-の署名しかない事業者署名型に適用できないことは明らかである。 以上のことから、事業者署名型では二段の推定は働かないので、二段の推定のような簡易な方法での形式的証拠力の証明はできず、別の方法で、それを証明しなければならないという結論になる。 (3) 当事者署名型でどのように形式的証拠力を証明するのか それでは、当事者署名型でどのように形式的証拠力を証明するのだろうか。 この点、内閣府規制改革推進会議第10回成長戦略ワーキング・グループ資料1-2「論点に対する回答(法務省、総務省、経済産業省提出資料)」において、次のように記載されている。 実際には、ベンダーによる協力を得て、契約締結までの流れを裁判所に説明することをもって、形式的証拠力を証明していくことになろう。 なお、事業者署名型の電子署名を使った文書の形式的証拠力に関し、近々、行政による解釈が示される予定との報道もある(※2)。 (※2) 本稿執筆時点(2020年8月21日)では、実際に当該解釈が示されたとの情報を得ていない。なお、行政による解釈が示されるとしても、「二段の推定が事業者署名型の場合にも適用がある」とはされないであろう。なぜならば、現行の電子署名法3条に照らすと、そのような解釈の余地はないと考えられるからである。そのため、単に、「事業者署名型でも形式的証拠力を満たし得る」といったことが示されるだけではないかと予想される。   4 さいごに 現時点では、利用されている電子契約のサービスの多くは事業者署名型である。事業者署名型には、二段の推定が働かないので、形式的証拠力の立証が必要となった場合に、理論的にはその立証に手間を要する可能性がある。 実務的な感覚では、仮に二段の推定が認められなくても、他の手法により形式的証拠力の立証は十分に可能であるから、当事者署名型と事業者署名型の上記の違いを殊更に恐れる必要はないと考えるが、新たに電子契約を導入する場合には、こういった違いがあることを念頭に、ベンダーから詳しい説明を受け、納得の上、利用を開始することが重要である。 (了)

#No. 385(掲載号)
#石橋 輝之
2020/09/10

《速報解説》 東証、支配株主・支配的な株主と少数株主との間の利害調整の在り方等について議論を整理~指摘事例を紹介し、情報開示等の少数株主保護の枠組みを検討~

《速報解説》 東証、支配株主・支配的な株主と少数株主との間の 利害調整の在り方等について議論を整理 ~指摘事例を紹介し、情報開示等の少数株主保護の枠組みを検討~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年9月1日、東京証券取引所に設置された従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会は、「支配株主及び実質的な支配力を持つ株主を有する上場会社における少数株主保護の在り方等に関する中間整理」を公表した。 近時、議決権の過半数を有していないものの、実質的な支配力を持つ株主(以下「支配的な株主」という)を有することとなった既上場会社を中心に、現行の上場制度のもとでは少数株主保護が十分に図られていないのではないかと指摘される事例が生じているとのことである。 そこで、支配株主・支配的な株主と少数株主との間の利害調整の在り方などについて議論を行い、今後の検討課題等を中間整理としてまとめたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 上場後に支配株主・支配的な株主を有することとなった場合を中心に、少数株主の正当な利益の保護のための制度整備や運用の改善が少数株主保護として適切に機能していないのではないかと指摘される事例を紹介したうえで、次の少数株主保護の枠組みを検討している。 今後、情報開示及び適用範囲に関しては、実施できるものから段階的に制度・運用の整備を進めることが望まれるとしている。 (了)

#No. 384(掲載号)
#阿部 光成
2020/09/04

プロフェッションジャーナル No.384が公開されました!~今週のお薦め記事~

2020年9月3日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.384を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2020/09/03

monthly TAX views -No.92-「始まる「日本型記入済み申告制度」」

monthly TAX views -No.92- 「始まる「日本型記入済み申告制度」」   東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹   本年10月から、マイナポータルを活用して申告に必要な証票を入手できる情報連携が始まる。これを活用して、令和2年分の確定申告から、年末調整だけでなく個人の申告についても、いわゆる「日本型記入済み申告」がスタートする。 *  *  * 仕組みのイメージは、以下のとおりである。 【参考】(筆者作成イメージ図) ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 納税者が確定申告書作成コーナーを立ち上げ、マイナポータルでの本人確認を行うことで民間送達サービスを活用して得られる納税関係証明を確認することができる。 例えば、生命保険会社が発行する生命保険料控除証明書、損保会社が発行する地震保険料控除証明書などである。これらを入手し、申告書作成コーナーに自動転記してe-Taxに送信する。これで申告が完了する。また給与所得の源泉徴収票についても、簡素に取り込める方向で検討が進められている。 国民のニーズの高い医療費控除については、すでに2018年(17年分確定申告)から、被保険者が各保険者の開設するWebサイトより医療費通知をダウンロードしてe-Taxにアップロードすることが可能となっているが、これを審査支払機関と情報連携することにより、簡素に取り込み申告できるようにする方向での検討が進んでいる。つまり医療費控除・還付申告も簡単にe-Taxで申告できるようになる。 *  *  * このような制度は、先進諸国がすでに導入している記入済み申告制度を、マイナポータルを通じて実現しようとするもので、「日本型記入済み申告制度」というべきものである。 記入済み申告制度とは、税務当局が納税者の申告に当たって行う納税者サービスである。税務当局が、納税者の所得金額、源泉徴収額、各種控除など法定調書によって得られた情報を、あらかじめ申告書に記入して納税者に送付する。納税者は記入内容を確認、必要があれば追加・修正して申告する仕組みである。 わが国では、納税者と国税当局が直接オンラインで結ばれていないので、マイナポータルの情報連携を活用して同様のサービスを行う。 この制度は、本来、納税者(給与所得者)が年末調整を行わず、自ら申告調整をすることに道を開くことになり、いわば選択的自主申告制度の始まりといってもよい。 *  *  * 自ら納税額を確定する自主申告制度は民主主義の原点であり、それによって、行政サービスや公共事業に対する関心、さらには税制への関心も大いに高まることが期待される。 筆者は現在、内閣官房に設置されたマイナンバーワーキンググループの一員として、マイナンバーの新たな工程表作りに参加している。新たな政権は、デジタルの発達やその成果をどのように政策に取り組むかが問われることになり、マイナンバー・マイナポータルの活用はその中心といってよい。 (了)

#No. 384(掲載号)
#森信 茂樹
2020/09/03

組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の現行法上の問題点と今後の課題 【第1回】「序論」

組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の 現行法上の問題点と今後の課題 【第1回】 「序論」   公認会計士 佐藤 信祐 《第1章:総論》 1 はじめに 「連結納税制度と組織再編税制の整合性がない」という問題があったことから、令和2年度税制改正による連結納税制度からグループ通算制度への移行においては、組織再編税制との整合性が意識されている(※1)。 (※1) 連結納税制度に関する専門家会合「連結納税制度の見直しについて」9頁(令和元年)。 その結果、グループ内の適格組織再編成を完全支配関係内の適格組織再編成と支配関係内の適格組織再編成に分けて規定したことによる弊害がむしろ明らかになったようにも思える。それだけでなく、それぞれの時代における要請に応える形で改正を重ねていった結果、全体からすると整合性が保たれているとは言い難い。今後、組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度について整合性の保たれた制度にするためには、さらなる改正が必要になると思われる。 結論を先取りすれば、①グループ通算制度のうち相当程度をグループ法人税制に取り込む必要があると考えており、かつ、②グループ内の適格組織再編成を「発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上に相当する数又は金額の株式又は出資を保有する関係のある法人との間で行われる組織再編成」としたうえで、金銭等不交付要件、主要資産等引継要件、従業者従事要件及び事業継続要件を課さないようにすべきであると考えている。本連載において、そのような税制改正の可能性について探っていきたい。 そのほかにも、組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度には、様々な問題点がある。実務家の立場から言い換えると、「抜け穴」と「落し穴」があるということが言える。立法論の立場からすれば税制改正をすべきということになるが、実務家の立場からすると「抜け穴」が使える場合には租税回避に該当しないようにする必要があり、「落し穴」にはまりそうな場合には避けるようにする必要があるということが言える。そのため、こういった立法論による分析も実務家にとって決して無駄なことではない。 さらに、「抜け穴」や「落し穴」があるということは、今後の税制改正の可能性があるということなので、将来的な税制改正に備えるという意味でも重要なことであると思われる。本連載では、現行法上の問題点を探るとともに、今後の税制改正の可能性についても探っていきたい。   2 グループ通算制度の加入に伴う時価評価課税から見える現行法上の問題点 「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会 論点とりまとめ」(平成21年)では、中長期的課題として、以下の3点を掲げていた。 (※2) 連結納税制度からグループ通算制度に移行する前に公表されたものであるため、厳密には、「連結子法人」と表記されていたが、分かりやすさの観点から「通算子法人」と表記している。 このうち、③については、平成29年度税制改正により、吸収合併及び株式交換における金銭等不交付要件が緩和され、合併法人又は株式交換完全親法人が被合併法人又は株式交換完全子法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合には、金銭等不交付要件が課されないことになった(法法2十二の八・十二の十七)。 これに対し、①②については、未だ先送りの状態となっているが、今後の税制改正の対象になる可能性は否めない。もし、そのような税制改正がなされた場合には、支配関係内の適格組織再編成を廃止し、完全支配関係の定義を「発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上に相当する数又は金額の株式又は出資を保有する関係」に改正すべきであると考えている。この考え方は、筆者独自の理論ではなく、上記①②を受けてのものであり、「3分の2以上」という数値を持ち出したのは、金銭等不交付要件との整合性を意識してのものである。 そもそも金銭等不交付要件の緩和の対象が吸収合併及び株式交換に限定されているのは、新設合併及び株式移転については、組織再編成の対価が株主ごとに異なるのは租税回避防止の観点から問題があるからであり、分割及び現物出資については、グループ法人税制との整合性が取れないからである(※3)。すなわち、完全支配関係の定義を「発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上に相当する数又は金額の株式又は出資を保有する関係」にしてしまえば、グループ法人税制の対象が広がり、グループ内の組織再編成のすべてに対して金銭等不交付要件を緩和することができる。 (※3) 藤田泰弘ほか『平成29年度税制改正の解説』327頁(国立国会図書館HP、平成29年)。 さらに、支配関係内の適格組織再編成に対しては、個別資産の売買取引との違いを設けるために、事業単位の移転であることを要求し、その結果、主要資産等引継要件、従業者引継要件及び事業継続要件がそれぞれ設けられることになった(※4)。これに対し、グループ通算制度では、組織再編税制との整合性から、以下の法人については、グループ通算制度の加入に伴う時価評価課税の対象から除外されている(法法64の12①、法令131の16③~⑤)。 (※4) 「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」参照(朝長英樹『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』39頁(日本租税研究協会、平成13年)掲載)。 このように、いきなり通算子法人となる法人の発行済株式の全部を取得するのではなく、通算子法人となる法人の発行済株式総数の100分の70に相当する数の株式を取得し、数ヶ月後に100分の30に相当する数の株式を取得すれば、加入の直前に支配関係があることから、上記(ニ)(ホ)の要件を満たす必要がなくなる。 組織再編税制との整合性を考えれば、組織再編成の直前に支配関係があり、組織再編成後に当該支配関係が継続することが見込まれていれば、支配関係内の組織再編成に該当することから、このような制度でもやむを得ないのかもしれないが、そもそも支配関係内の適格組織再編成という制度がなく、完全支配関係内の適格組織再編成と共同事業を行うための適格組織再編成という制度だけであれば、このような問題は生じることはない。 このように、支配関係内の適格組織再編成という制度を認めてしまったが故に、グループ法人税制ともグループ通算制度とも整合性が取れなくなってしまっている。もちろん、現行法のように、完全支配関係の定義が「発行済株式又は出資の全部を保有する関係」となっていれば、支配関係内の適格組織再編成を廃止すべきという議論は、実務のニーズを無視した暴論ということになるが、完全支配関係の定義を「発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上に相当する数又は金額の株式又は出資を保有する関係」としてしまえば、組織再編成を行うためには株主総会の特別決議が必要になることから(会社法309②十二)、現行法上の支配関係内の組織再編成のうち多くのものが完全支配関係内の組織再編成として取り扱うことができるため、それほど暴論というわけでもなくなってくる。 さらに言えば、支配関係の定義が「発行済株式又は出資の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式又は出資を保有する関係」となった経緯は、当時の商法を参考にしただけであり、理論的な根拠があるわけではない(※5)。当時の大蔵省主税局から経団連に対して「80%でどうか」という提案があった(※6)ということも考えると、完全支配関係の定義を「発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上に相当する数又は金額の株式又は出資を保有する関係」とすることは、それほど違和感のある話でもないと思われる。 (※5) 阿部泰久「改正の経緯と残された問題」江頭憲治郎ほか編『企業組織と租税法(別冊商事法務252号)』83頁(商事法務、平成14年)参照。 (※6) 阿部前掲(※5)83頁。 *   *   * 次回では、グループ通算制度及び受贈益の益金不算入の範囲を拡大することの問題点について解説する予定である。 (了)

#No. 384(掲載号)
#佐藤 信祐
2020/09/03

Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第11回】「〔第1表の1〕種類株式と株主判定」

Q&Aでわかる 〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第11回】 「〔第1表の1〕種類株式と株主判定」   税理士 柴田 健次   Q 下記の図において、経営者甲が所有しているA社株式の全て(30株)を長男である後継者乙に贈与する場合、A社株式の評価方式は原則的評価方式が適用されるのでしょうか。それとも特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるのでしょうか。 なお、A社及びB社の株主構成は、下記の通りとなります。 ◇贈与前のA社の株主構成 ◇B社の株主構成 (※) 丙は甲及び乙の同族関係者には該当しません。 A 乙はA社の同族株主に該当し、5%以上の議決権割合となる株式を取得していますので、原則的評価方式が適用されます。同族株主がいる場合の株主判定の手順については、本連載【第1回】の「同族株主がいる場合の株主判定の手順」をご確認ください。  ◆  ◆  ◆ ① 種類株式と議決権数の算定 種類株式には、株主総会における議決権の行使について、全部又は一部を制限することができる議決権制限株式がありますが、同族株主に該当するか否かの判定は、持株割合ではなく議決権割合により行うことから、無議決権株式については、議決権がないものとして同族株主の判定を行う必要があります。 また、議決権に制限がされている種類株式については、制限された範囲で議決権を行使することも可能であり、また、議決権を行使することができる事項によって会社支配に影響する度合いを区別することも困難であることから、株主判定は、普通株式と同様に議決権があるものとして取り扱います(評価通達188-5)。 したがって、本問における種類株式Aについては、議決権の数に含めて計算を行います。   ② 株主判定 贈与後のA社及びB社の株主と議決権割合は、下記の通りとなります。 ◇A社の株主構成 ◇B社の株主構成 A社の同族株主の判定においては、B社が乙の同族関係者に該当するかどうかを判定することになりますが、B社は乙に100%支配されている会社に該当しますので、B社は乙の同族関係者に該当することになります。なお、会社を支配しているかどうかの判定は、本連載【第5回】の「2 法人たる同族関係者」の(注)1をご確認ください。 したがって、乙は同族株主に該当し、かつ、5%以上の議決権割合となる株式を取得していますので、原則的評価方式が適用されることになります。 ◎用語の意義と当てはめ ▷同族株主 課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいいます(評価通達188(1))。 本問の場合には、乙及びB社が同族株主に該当します。 ▷同族関係者 法人税法施行令第4条(同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいいます(評価通達188(1))。 特殊の関係のある個人は、例えば株主等の親族などをいいます。本問の場合には、甲、甲の配偶者は乙の同族関係者となります。 特殊の関係のある法人は、例えば、乙及びその親族が直接又は間接に会社を支配している場合におけるその会社が該当します。本問の場合には、B社は乙が支配している会社であるため、B社は乙の同族関係者に該当します。   ☆実務上のポイント☆ 株主判定は、持株割合ではなく議決権割合により行いますので、贈与後の株主の議決権割合を正しく算定することが重要となります。 (了)

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#柴田 健次
2020/09/03
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