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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第84回】「立法資料から税法を読み解く(その3)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第84回】 「立法資料から税法を読み解く(その3)」   中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦   Ⅲ 実務的取扱いと原則的排他性 1 所得税基本通達120-4 それでは、実務的にはいかなる取扱いとなっているのであろうか。 この点について、所得税基本通達を確認してみたい。 これは、前回立法資料として紹介した当時の国税通則法小委員会における議論と同様の考え方であり、いわば吸収説的な立場に立った考え方であるといえよう。 2 国税通則法上の是正ルートとの関係 法定申告期限内に、当初に提出した申告書の記載内容につき変更をするためには、どのような処理の方法が法定されているのであろうか。国税通則法19条は修正申告を規定するが、これは法定申告期限後・の修正に関する申告書の提出を指すのであろうか(以下の下線は筆者加筆)。 上記のとおり、国税通則法19条は、修正申告書の提出について、同法24条の「更正」があるまでは提出することができるとするだけであるから(金子宏『租税法〔第23版〕』936頁(弘文堂2019))、期限内において修正申告書を提出することを妨げる趣旨ではないように解される。 では、当初申告の記載内容につき、減額の変更を行う場合はどうであろうか。この場合については、国税通則法23条を確認しておく必要があろう。 上記国税通則法23条によると、更正の請求をすることができるのは、法定申告期限から5年以内(2号に係る法人税については9年以内)に限ると規定しているだけであって、法定申告期限内に請求することができないとはされていないと解される。 そうであるとすれば、例えば、当初申告から課税標準等の増額をすべきことに気が付いた納税者が、確定申告期限内において修正申告書を提出することは可能であると思われるし、当初申告から課税標準等の減額をすべきことに気が付いた納税者が、同期限内において更正の請求をすることも可能であると思われるのである。 この点は、上記所得税基本通達の逐条解説が、「申告書を提出した後に、その申告書の記載内容について変更をするためには、法定申告期限内であっても、その変更する内容に応じ、修正申告書又は更正の請求書を提出しなければならない」とするとおりである(森谷義光ほか『所得税基本通達逐条解説〔平成26年版〕』855頁(大蔵財務協会2014))。 〔参考〕 原則的排他性との関係 とりわけ、更正の請求については、いわゆる原則的排他性があると一般に理解されている。 すなわち、更正の請求のルートが法定されているのであるから、減額更正は、その仕組みによって優先的になされるべきであるとする考え方を「原則的排他性」という。 この点について、金子宏教授は、「法がわざわざ更正の請求の手続を設けた趣旨にかんがみると、申告が過大である場合には、原則として、他の救済手段によることは許されず、更正の請求の手続によらなければならないと解すべきであろう。」と論じられている(金子・前掲書946頁)。 この考え方は、抗告訴訟の排他性の観念にならって、そう呼ばれているものであるが、判例及び通説の理解と合致しているといってよかろう。この点を判示する代表的な判例として、租税法領域において錯誤無効を主張することの是非が論じられた最高裁昭和39年10月22日第一小法廷判決(民集18巻8号1762頁)がある(酒井克彦・租税判例百選〔第6版〕198頁参照)。 すなわち、同最高裁は、「所得税法が右のごとく、申告納税制度を採用し、確定申告書記載事項の過誤の是正につき特別の規定を設けた所以は、所得税の課税標準等の決定については最もその間の事情に通じている納税義務者自身の申告に基づくものとし、その過誤の是正は法律が特に認めた場合に限る建前とすることが、租税債務を可及的速かに確定せしむべき国家財政上の要請に応ずるものであり、納税義務者に対しても過当な不利益を強いる虞れがないと認めたからにほかならない。従って、確定申告書の記載内容の過誤の是正については、その錯誤が客観的に明白且つ重大であって、前記所得税法の定めた方法以外にその是正を許さないならば、納税義務者の利益を蓍しく害すると認められる特段の事情がある場合でなければ、所論のように法定の方法によらないで記載内容の錯誤を主張することは、許されないものといわなければならない。〔下線筆者〕」と判示している。 3 通達の意義と課題 では、上記所得税基本通達120-4の意義は奈辺にあるのであろうか。 同逐条解説は、次のように説明している。 このような取扱いがなされることは、結果において、修正申告や更正の請求によらずに法定申告期限内において申告内容の是正を認めていることになるのではなかろうか。 しかしながら、同通達逐条解説は、括弧書きにおいてではあるが、以下のようにいわば注意喚起をしているのである。 これは、いかなる意味を有しているのであろうか。 すなわち、所得税法2条《定義》1項37号にいう「確定申告書」について、期限内に提出された複数の申告書のうち、最後に提出された申告書を指すという態度を示してはいるものの、吸収説の考え方を全面的に取り入れることはせず、その申告書の効力においては、依然として留保をしているかのような記載振りである。 いわば、確定申告書としては、納税者の真意を最新の申告書から読み取ることとしながらも、その課税標準や税額等に関する効果についてまでは、当初申告の内容の是正を担保するものではないというのであろうか。 かかる通達の逐条解説は、国税通則法小委員会の議論における吸収説に立ちながらも、申告内容の是正の効力に保証を与えないとする点で難解なものとなっているといわざるを得ない。   Ⅳ 残された問題 1 事務に支障のない場合の取扱い さらに、この通達には、注記が付されている。 この通達の注書きからは、前述の逐条解説にみた括弧書きと同様のスタンスを看取することができる。 この通達の運用に当たっては、「事務に支障」があるかないかで、最終の申告書にこそ納税者本人の真意が所在すると捉えるか否かが左右されるようである。 前述の逐条解説は、この点について、「なお(注)書きの『先に提出された申告書に還付金が記載されており、かつ、その還付金につき既に還付の処理が行われていたような場合』は、事務に支障があると考えられる例示であるが、あくまでも事務に支障があるか否かは、当該事例毎に判断されることになろう。」と解説している(森谷・前掲書856頁)。 このような通達の注書き及び解説は、納税者の税務処理への不安を仰ぐものとなりはしまいか。 還付処理をしているか否かは、あくまでも租税行政当局の事務の執行次第であるが、それによって、期限内に再提出した申告書について、修正申告や更正の請求が提出されたと実質的に同様の取扱いとなるのかが左右されるというのであれば、納税者の知らないところで判断がなされることを意味し、納税者を法的に不安定な状態に置いていることになってはいないであろうか。 還付をしているか否かというのは、あくまでも「事務に支障」があるか否かの例示であるということであるが、還付加算金の問題がそこに所在しているからであろう。 最後に、かかる還付加算金の論点を見ておくこととしよう。 2 還付加算金問題 複数の確定申告書が提出された場合の還付加算金の取扱いについては、既に、前述の国税通則法小委員会においても議論されていた問題である。すなわち、吸収説的な考え方を採用したとしても、還付加算金の取扱いが整理される必要があるし、批判的見地からの見解も示されていたのである。 再度、前述の当時の資料を見てみよう。 ここでは、2以上の申告書の効力がどうかというような議論自体が不要であって、確定申告書の効力は結局のところ、法定申告期限内の提出であるか否かという点のみを見ればよいのであるから、その間にいくつの申告書が提出されているかに影響されず、確定申告期限時における最終の申告書のみを有効なものとみることの妥当性が論じられているのである。 もっとも、この見地に立ったとしても、前述のような後法優先の原則的考え方であることには変わりがないとみてよかろう。   結びに代えて これまで述べてきたとおり、過去における議論を参考にして、解釈の手立てや糸口をつかむという条文解釈手法はオーソドックスなものである。 どうしても、近視眼的になりがちであるし、過去の議論など参考にならないのではないかとの不安もあるであろう。 しかしながら、法には歴史があり、かかる歴史的経緯が今日の解釈を先導しているとみる視角は、法解釈者にとって極めて重要であると思われる。 法律の解釈にあっては、法律は成立時点で解釈されるべきか、あるいは妥当時点(適用時点)で解釈されるべきかという命題が常に突き付けられている(木村弘之亮「国際税法における外国会社の類型比較―歴史的解釈の重要性―」税法学578号33頁(2017)参照)。 この問題は、歴史的立法者の当時の「主観的」意思が問題とされるべきか否かという問題に接続する(木村・前掲稿33頁)。 成立時解釈を重視する立場からすれば、立法当時の議会での議論こそが最も重要な法律解釈素材となるであろう。 適用時点解釈を重要視するとしても、やはり当時の立法者の意思と今日の社会状況がいかに変わっているかを検討する必要に迫られるのは当然である。 かような意味からも、ここに述べた立法資料から往年の議論を振り返るという解釈手法の重要性が改めて確認されるべきであろう。 (了)

#No. 352(掲載号)
#酒井 克彦
2020/01/16

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第27回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-租税回避の否認の意義-

谷口教授と学ぶ 税法の基礎理論 【第27回】 「租税法律主義と租税回避との相克と調和」 -租税回避の否認の意義-   大阪大学大学院高等司法研究科教授 谷口 勢津夫   Ⅰ はじめに 前回までは、租税回避の意義や法的評価等について主として基礎理論的な観点から検討してきたが、今回からは、租税回避の否認について基礎理論的な観点からだけでなく実定法的な観点からも検討していくことにする。まず、今回は、租税回避の否認の意義について検討することにしよう。   Ⅱ 租税回避の否認の基礎理論的意義 租税回避の否認の意義について、筆者は以前から次のように考えてきた(【69】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の欄外番号[以下同じ])。 租税回避の否認は、このように、租税回避の基礎理論的意義(第21回参照)を前提にしつつ、行為態様アプローチによる租税回避の定義に対応して、「異常な」行為を「通常の」行為に引き直す(擬制する)ことと定義することができる。また、租税回避の否認規定を補充的課税要件規定あるいは代替的課税要件規定と呼ぶのは、課税要件アプローチによる租税回避の定義を踏まえ、否認要件が回避の対象となる課税要件(通常の課税要件)を補充・代替する別個の課税要件であると考えるからである。 このような考え方は、基本的には、清永敬次教授の次の考え方(同『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)43頁。下線筆者)をベースにしたものである(租税法律主義との関係についても同じ考え方であることについては次々回に述べることにする。また、次の引用文中の「従来の課税要件規定にはない新たな課税要件」を筆者はドイツの租税回避論の用語法に倣って「補充的課税要件」あるいは「代替的課税要件」と呼んでいる。この点については第25回Ⅱ1における杉村章三郞教授によるヘンゼルの租税回避論の紹介も参照)。 ここで述べられている「想定」は、租税立法者の「想定」を意味するものと解されるが、ただ、その「想定」の対象は「法形式」ないし「取引」とされている。この点につき、筆者は租税立法者の「想定」の対象を、次のとおり、税法上の課税減免規定の利用行為も含めより広く、「行為」としていること(【66】)を付言しておく(租税回避の否認アプローチによって「行為」の意味内容が異なることについては、次回参照)。 このような意味で広く租税回避の否認を捉えるのは、第22回で検討した租税回避の2類型(私法上の形成可能性(選択可能性)の濫用による租税回避と税法上の課税減免規定の濫用による租税回避)を念頭に置いた上でのことである(Ⅲ1参照)。 金子宏教授は租税回避の否認の意義について次のとおり述べておられるが(同『租税法〔第23版〕』(弘文堂・2019年)135頁。下線筆者)、これも上記のような租税回避の2類型を念頭に置いた上での定義であると解される。 金子教授は、第22回Ⅱでみたように、租税回避の定義に関連して『租税法』の第22版(2017年)から租税回避の類型(2類型)に関する解説を追加されたが(127頁。第23版では134-135頁)、租税回避の否認の意義に関する上記の引用文中の括弧書(下線部)を追加されたのも第22版(128頁)からである。   Ⅲ 租税回避の否認の実定法的意義 1 引き直し課税 租税回避の否認は、以上のように、租税回避の基礎理論上は、「異常な」行為を「通常の」行為に引き直すことを意味するが、実定税法上の租税回避否認規定上も、同様の意義に解されている。 同族会社の行為計算否認規定の不当性要件の解釈適用についてしばしば参照される最判昭和53年4月21日訟月24巻8号1694号の原審・札幌高判昭和51年1月13日訟月22巻3号736頁は次のとおり判示している(下線筆者)。 比較的近時の裁判例(東京地判平成17年7月28日税資255号順号10091・裁判所ウェブサイト)でも下記のとおり判示されている(下線筆者)。 また、組織再編成に係る行為計算否認規定の不当性要件の解釈適用について、ヤフー事件・最判平成28年2月29日民集70巻2号242頁は次のとおり判示している(下線筆者)。 ここでいう「正常な行為又は計算」は、既に第22回Ⅲで述べたように、組織再編成に係る課税減免規定の適用を受けないことの意味に解される。このことを、Ⅱで述べた租税回避の否認の基礎理論的意義に即していえば、次のようになろう。 租税回避の否認は、「異常な」行為を「通常の」行為に引き直すことことを意味するが、このことは、租税回避の類型(第22回)のうち税法上の課税減免規定の濫用による租税回避については、①課税減免規定をその趣旨・目的に反して利用する行為(課税減免規定の濫用)によってしか当該規定の適用を受けることができない場合に、②当該規定をその趣旨・目的に従って利用する行為を想定しこれを前提として課税関係を構成すれば、当該規定の適用が受けられなくなる(否定される)ことを意味する。それらの行為を租税立法者の立場からみれば、①の行為は立法者の想定外の(という意味で「異常な」)行為、②の行為は立法者の想定内の(という意味で「通常の」)行為とみることができる、ということになろう。 以上を要するに、租税回避の否認による課税は引き直し課税であり、その思考過程に即していえば、納税者が実際に行った「異常な」行為に対して「通常の」行為を想定し前者を後者と擬制して行われる想定課税ないし擬制課税である。 2 実質課税 ところで、国税通則法の制定時には、「[同族会社の]行為計算の否認は、本来、広義における実質課税の原則の一環として考えられるもの」(税制調査会『国税通則法の制定に関する答申の説明(答申別冊)』(昭和36年7月)18頁)といわれていた。以下では、租税回避の否認による課税(引き直し課税)と実質課税の原則(実質主義)による課税(実質課税)との関係について検討しておこう。 前記の『答申の説明』では、「広義における実質課税の原則」とは、「事態の実体ないし実質を各租税法規と結びつけて実質的に見きわめ、もつて各税法の所期する租税負担の公平の実現を図ること」(同10頁)をいい、「課税において、上記のような実質課税の原則の考え方により、事態の実体ないし実質を各税法の規定と結びつけて実質的に、すなわち主として経済的実質に即して、判断適用することは、通常特に問題となることはないと考えられる。」(同頁)とされていた。 この点について、武田昌輔教授は、「同族会社の行為計算の否認と実質主義」という見出しの下、「もちろん、あらゆる取引は、税法の規定をまつまでもなくその実態に即して判断すべきものであって、単なる法律形式によってのみ判断すべきものではないということは一応当然の事柄としているものと思われる。」と前置きされた上で、次のように述べておられた(武田昌輔『会社税務精説』(森山書店・1962年)790-791頁。下線筆者)。 武田教授のこのような考え方によれば、法人税法31条(現行132条1項)による更正において同族会社の行為計算の否認による課税を行うことと、国税通則法24条による更正において実質課税を行うこととは、経済的実質・実体に即した実質判断の点で本質的に異なるものではない、ということになる。このことは、税制調査会が、先に引用したように、「行為計算の否認は、本来、広義における実質課税の原則の一環として考えられるもの」と述べた後で、「その類型[=旧法人税基本通達355に掲げられた類型]をみてもわかるようにこのような行為計算は、経済的な観察によつて得られた実質的評価からかい離し、その意味で仮装された行為計算であるところから否認されるのである。」(前掲『答申の説明』18頁。下線筆者)と述べているのと同じ考え方に基づくものと解される。 旧法人税基本通達355では、そこに掲げられた行為計算の諸類型についてそれぞれ否認に係る事後的処理が定められていたが、その中には、例えば過大出資に関する「現物出資の資産の価額を過大に計算した場合には、これを払込がなかったものとする。」という事後的処理のように、確かに、内容的には(仮装された行為計算の裏に隠れた、経済的実質・実体「零」の行為計算すなわち「なかったもの」とされる行為計算の認定に基づく)実質課税の意味で理解することができるものも含まれていたのである。このことからすると、当時(少なくとも旧法人税基本通達355が削除された昭和44年頃まで)は、行為計算の否認について、引き直し課税と実質課税とが必ずしも截然とは区別されていなかったように思われる。 しかし、武田教授は、その後20年近くを経て、次のように述べるようになった(金子宏・桜井四郎・武田昌輔・辻敢編『実践租税法大系(下)法人税編』(税務研究会・1981年)26-27頁[武田昌輔執筆]。下線筆者)。 ここで述べられていることは、実質主義による課税(実質課税)が、形式的事実とその裏に隠れた事実(その事実について法的実質を重視する場合と経済的実質を重視する場合とがある)という2つの事実を前提にして、前者を無視し後者に即して課税することを意味するのに対して、租税回避行為の防止のための引き直し課税は、1つの事実を前提にして、その事実が「異常な」事実である場合にこの事実を、これと経済的実質を同じくする「通常の」事実として想定・擬制しこれに引き直して課税することを意味する、という理解に基づくものと解される。つまり、この時期には、武田教授は、実質課税と引き直し課税とを截然と区別されるようになったものと解される。 しかも、武田教授は「同族会社の行為計算の否認規定は、同族会社独自の行為計算であって、国税通則法第24条の範囲外であるがゆえ、課税の公平の見地から、国税通則法第24条を補完する役割を持っていると考える。」(金子ほか・前掲書67頁[武田昌輔執筆]。下線筆者)と述べておられるが、このような考え方を、武田教授はその後も、寄附金の損金算入限度規定に関連して、次のように述べておられる(武田昌輔「租税回避行為の意義と内容」日税研論集14号(1990年)3頁、21頁。下線筆者)。 以上でみてきたところからすると、武田教授は、実質課税を形式的事実(仮装行為)の無視に基づく課税と捉える範囲で、それを租税回避の否認(事実の想定・擬制)による引き直し課税と截然と区別されるようになったものと考えられる。仮装行為の無視による実質課税は、課税要件事実の認定に関する法的実質主義(【57】)からの論理的帰結であり(【62】)、課税処分に関する一般的根拠規定(税通24条~25条)に基づいて行うことができるものである。 そのような実質課税は、第20回Ⅲで取り上げた経済的実質主義に基づく課税とは異なるものである。武田教授の説かれる実質課税(法的実質主義に基づく課税)に対して、これとは異なる意味での実質課税(経済的実質主義に基づく課税)を説く見解として、田中二郎教授の次の見解(同『租税法〔第3版〕』(有斐閣・1990年)89頁。下線筆者)を以下にもう一度引用しておこう。 このような経済的実質主義に基づく課税という意味での実質課税は、既に第20回Ⅲで述べたように、租税回避の否認について実定税法上の根拠を不要とする考え方(否認規定不要説)に帰結する論理を内包するが、このような考え方の当否については次々回に検討することにする。   Ⅳ おわりに 以上において租税回避の否認の意義を検討してきたが、それは、要するに、租税回避の基礎理論上は、行為対応アプローチによる租税回避の定義に対応して、「異常な」行為を「通常の」行為に引き直すことを意味する。このような基礎理論的意義は、実定税法上の租税回避否認規定の解釈適用上も受け入れられている。その意味で、租税回避論は、税法の基礎理論的研究が実定税法の解釈適用上その意義を発揮する場面として特筆すべきであろう。 租税回避の否認による課税は、納税者が実際に行った「異常な」行為に対して「通常の」行為を想定し前者を後者と擬制して行われるいわゆる引き直し課税であるが、これは、形式的事実と実質的事実という2つの事実を前提にして後者に即した課税を行う実質課税と区別されるべきものである。実質課税は、実質的事実について法的実質を重視する場合はともかく、経済的実質を重視する場合には、租税回避の否認による課税と同じ結果をもたらすが、そのような結果をもたらす実質課税(経済的実質主義に基づく課税)は、これを容認すると、法律に基づく課税を要請する租税法律主義を潜脱することになり、厳に禁じられるべきものである(第20回Ⅲ参照)。 (了)

#No. 352(掲載号)
#谷口 勢津夫
2020/01/16

令和元年分 確定申告実務の留意点 【第3回】「判断に迷う事項Q&A」

令和元年分 確定申告実務の留意点 【第3回】 (最終回) 「判断に迷う事項Q&A」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   最終回は、確定申告実務において判断に迷う事項等のうち5項目を取り上げ、Q&A形式でまとめることとする。なお、本稿では特に指定のない限り、令和元年分の確定申告を前提として解説を行う。   〈寡婦(寡夫)控除の適用〉 【Q1】 次の居住者は、寡婦(寡夫)控除の適用を受けることができるか。なお、表中の「合計所得金額」は令和元年分の金額であり、「子」は居住者と生計を一にしているものとする。 【A1】 ①のケースのみ、寡婦控除の適用を受けることができる。 -解説- 納税者自身が寡婦(寡夫)に該当するときは、寡婦(寡夫)控除の適用を受けることができる(所法81、措法41の17①)。 寡婦(寡夫)とは、次の要件を満たす人をいう(所法2①三十・三十一、所令11、11の2)。 〈寡婦の要件〉 (※) 総所得金額等が38万円以下で、他の人の同一生計配偶者又は扶養親族となっていない子に限られる。 〈寡夫の要件〉 (※) 総所得金額等が38万円以下で、他の人の同一生計配偶者又は扶養親族となっていない子に限られる。 以上より、①から⑤の各人が寡婦(寡夫)に該当するか検討する。 《参考》令和2年分以後の取扱い 令和2年度税制改正大綱において、寡婦(寡夫)控除の見直しが示され、令和2年分以後の所得税(住民税は令和3年度分以後)から適用される。詳細については、下記拙稿をご参照いただきたい。 見直しにより取扱いが変更となるのは、①と③のケースである。令和2年分以後の所得税において寡婦(寡夫)控除の適用を受けることができるのは、③のケース(一定の要件を満たす場合)のみとなる。 見直し後、①と③の取扱いは次のとおりとなる。     〈合計所得金額の判定①〉 【Q2】 甲の配偶者乙は、所有していた土地(居住用財産ではない)を令和元年において県に1,000万円で買い取られた(譲渡所得金額950万円)。乙にその他の所得はなく、「収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除(措法33の4)」を適用することにより、課税の対象となる土地建物等に係る譲渡所得も生じない。 甲は配偶者控除の適用を受けることができるか。 【A2】 乙の令和元年分の合計所得金額は、特別控除を適用する前の950万円となる。よって、甲自身の合計所得金額に関わらず、甲は配偶者控除の適用を受けることはできない。 また、乙の合計所得金額が123万円を超えていることから、甲は配偶者特別控除を適用することもできない。 -解説- 合計所得金額とは、総所得金額に申告分離課税の所得金額の合計額を加算した金額である(所法2①三十ロ、措法31③一他)。土地建物等に係る譲渡所得については、特別控除を適用する前の金額を合計する(所基通2-41(2))。 合計所得金額の詳細については、下記拙稿をご参照いただきたい。 配偶者控除の適用を受けることができるのは、配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合である。よって、甲は配偶者控除の適用を受けることはできない。(所法2①三十三の二、83①)。 なお、平成30年分以後の所得税においては、配偶者控除の適用が合計所得金額1,000万円以下の居住者に限られる点にも注意が必要である(所法83①)。     〈合計所得金額②〉 【Q3】 丙の配偶者丁の令和元年における所得は次のとおりである。丙の令和元年分の合計所得金額が800万円である場合、丙は配偶者控除の適用を受けることができるか。 以下の証券口座は、すべて特定口座(源泉徴収口座)である。丁は、確定申告によりB証券会社の口座で生じた譲渡損をA証券会社の口座で生じた譲渡益と相殺する(C証券会社譲渡所得については確定申告の対象としない)。 ※上場株式等の配当等はないものとする。 A証券会社:上場株式等の譲渡所得 30万円 B証券会社:上場株式等の譲渡所得△10万円 C証券会社:上場株式等の譲渡所得 50万円 【A3】 丁の令和元年分の合計所得金額は38万円以下(30万円-10万円=20万円)であり、丁は丙の控除対象配偶者に該当する。よって、丙は配偶者控除の適用を受けることができる。 -解説- 居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、金融商品取引業者等に特定口座を開設した場合、当該特定口座内における上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額は、他の株式等の譲渡による所得と区分して計算する(措法37の11の3①)。 また、特定口座のうち源泉徴収選択口座において生じた上場株式等の譲渡による譲渡所得等については、原則として確定申告を要しない(確定申告不要制度)(措法37の11の5①)。ただし、他の口座で生じた譲渡損と相殺する場合や譲渡損失を繰越控除する特例の適用を受ける場合には、確定申告をする必要がある(措法37の12の2)。 なお、確定申告不要制度は特定口座ごとに選択することができる。また、同制度を利用した上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額は、合計所得金額に含まれない(C証券会社の上場株式等の譲渡所得は、丁の合計所得金額に含まれない)。     〈国外居住親族に係る扶養控除〉 【Q4】 国外に居住する母(65歳)について、扶養控除の適用を受けることはできるか。母の令和元年分の所得は、国内源泉所得なし、国外源泉所得50万円である。 【A4】 母と生計が一であれば、確定申告書に親族関係書類及び送金関係書類を添付又は提示することにより扶養控除の適用を受けることができる。 -解説- 扶養控除の適用を受けることができるのは、居住者の親族が控除対象扶養親族に該当する場合である(所法84①)。控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち16歳以上の者をいい、扶養親族とは居住者と生計を一にする親族のうち合計所得金額が38万円以下の者をいう(所法2①三十四・三十四の二)。 扶養親族の判定の基礎となる合計所得金額に国外源泉所得は含まれない。したがって、国外に居住する母に国外源泉所得があったとしても、納税者と生計が一であり国内源泉所得が38万円以下であれば、母は控除対象扶養親族に該当する。 《参考》令和5年分以後の取扱い 令和2年度税制改正大綱において、国外居住親族に係る扶養控除の見直しが示され、令和5年分以後の所得税(住民税は令和6年度分以後)から適用される。見直しの詳細については、下記拙稿をご参照いただきたい。 見直しにより、令和5年分以後においては、母が次の①から③のいずれかに該当しなければ扶養控除の適用を受けることはできない。   〈住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除〉 ※平成30年分確定申告実務の留意点【第3回】【Q5】について、令和元年分以降、様式が変更されているのでご注意いただきたい。 【Q5】 令和元年11月に新築の住宅(土地2,000万円、家屋2,200万円(うち消費税等の額200万円)、特別特定取得に該当、共有者はいない)を購入し、11月25日より居住の用に供している。取得対価の額4,200万円のうち500万円は実父から贈与された資金で支払い、残額は金融機関から借り入れた(諸費用分を含め3,800万円)。実父からの贈与については、住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受ける。 取得した住宅は認定住宅には該当しない。令和元年12月31日の借入金残高は3,780万円であり、住宅借入金等特別控除の適用要件はすべて満たしている。 住宅借入金等特別控除を適用するために必要となる「令和元年分(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」はどのように記載するのか。 【A5】 令和元年分の住宅借入金等特別控除額は、年末の借入金残高3,780万円と、住宅の取得対価の額等から贈与額を差し引いた3,700万円(4,200万円-500万円)を比較し、少ない方の3,700万円に1%を乗じた37万円(3,700万円×1%)となる。 「令和元年分(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」の記載方法は、次のとおりである。 〇「令和元年分(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 -解説- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、一定の金額まで贈与税が非課税となる特例の適用を受けることができる(措法70の2)。また、取得等した家屋及び土地等について住宅借入金を有する場合には、住宅借入金等特別控除の適用も合わせて受けることができる(措法41)。 両方の制度の適用を受けるときには、住宅借入金等特別控除の控除額の計算において、家屋及び土地等の取得対価の額等から贈与の特例の適用を受けた金額を差し引く必要がある(措令26⑤)。この場合、平成30年分以前の確定申告においては「(付表1)補助金等の交付を受ける場合又は住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合の取得対価の額等の計算明細書」を作成することとされていたが、令和元年分以降は同様式が廃止され、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に贈与の特例を受けた金額を合わせて記載することとされた。 なお、特別特定取得に該当する場合の住宅借入金等特別控除の概要については、本稿【第2回】【1】をご参照いただきたい。 (連載了)

#No. 352(掲載号)
#篠藤 敦子
2020/01/16

相続空き家の特例 [一問一答] 【第46回】「第一次相続が未分割のままで第二次相続が発生しその相続人が複数の場合」-第一次相続が未分割のままで第二次相続が発生した場合-

相続空き家の特例 [一問一答] 【第46回】 (最終回) 「第一次相続が未分割のままで第二次相続が発生しその相続人が複数の場合」 -第一次相続が未分割のままで第二次相続が発生した場合-   税理士 大久保 昭佳   Q 本年1月にY(父)が死亡し、その際の相続人は、Z(母)、X(子)及びW(子)の計3名でしたが、Yに遺言はなく、遺産分割協議を行う前、同年3月にZが続いて死亡しました。 Zが自己の居住の用に供していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築)及びその敷地は、その全部がY名義のままでした。 この度、Zの死亡に伴い、X及びWは、その家屋を取り壊して更地にし、その敷地を売却することを考えています。 Zの相続開始直前まではその家屋にZが一人で暮らしをしていました。 この場合、X及びWは、「相続空き家の特例(措法35③)」を受けることができるでしょうか。 A 家屋及びその敷地のそれぞれを、一人暮らしとなったZから、X及びWが相続した場合には、「相続空き家の特例」を受けることができます。 ●○●○解説○●○● 前問(【第45回】)と同様に、第一次相続に係る遺言がなく、その遺産分割協議が、第二次相続の発生前に行われていないことから、第一次相続における遺産は民法第898条(共同相続の効力)により共有状態にあります。 ところが、前問の第二次相続に係る相続人が1人の場合とは違って、本問においては、第二次相続に係る相続人が複数名います。 このような場合は、第一次相続に係る被相続人の遺産についての遺産分割を行う地位を承継(民法第896条)する相続人が複数名いることから、第一次相続に係る現存の相続人が1人の場合と違い、その遺産分割協議を行えることとなります。 本事例の場合にあてはめると、Yの遺産について遺産分割を行うZの地位を承継するX及びWによる遺産分割協議により、ZがYの家屋及びその敷地を全部相続し、そして、Zの遺産に係る遺産分割協議により、ZがYから相続した家屋及びその敷地をX及びWが相続する場合で、他の要件を満たす場合には、ZのYに係る法定相続分の2分の1にかかわらず、X及びWはその譲渡所得の全部について、「相続空き家の特例」を受けることができることとなります。 (連載了)

#No. 352(掲載号)
#大久保 昭佳
2020/01/16

金融・投資商品の税務Q&A 【Q51】「複数回にわたって購入した仮想通貨(暗号資産)を譲渡した場合の譲渡価額の計算」

金融・投資商品の税務Q&A 【Q51】 「複数回にわたって購入した仮想通貨(暗号資産)を譲渡した場合の譲渡価額の計算」   PwC税理士法人 金融部 ディレクター 税理士 西川 真由美   ●○ 検 討 ○● 1 期末において保有する仮想通貨の評価 仮想通貨を譲渡したことによる収益は、雑所得(仮想通貨取引自体が事業と認められる場合には事業所得)に区分することとされていますが、その所得の金額は、譲渡対価から必要経費を控除して算出します。 この必要経費には、譲渡原価、売却に際して仮想通貨交換業者に支払った手数料等が含まれますが、この譲渡原価は、その年の1月1日において有する仮想通貨の価額とその年中に取得した仮想通貨の取得価額の総額の合計額から、その年12月31日において有する仮想通貨の価額を控除して計算することとなります。 そして、仮想通貨の価額は、総平均法と移動平均法のいずれかを選択して評価することができます。   2 総平均法と移動平均法 総平均法とは、仮想通貨の種類ごとに、その年1月1日において保有していた仮想通貨の取得価額の総額とその年中に取得をした仮想通貨の取得価額の総額との合計額を、これらの仮想通貨の総数量で除して計算した価額をもって、その年12月31日において有する仮想通貨の1単位あたりの取得価額とする方法をいいます。 また、移動平均法とは、仮想通貨の種類ごとに、当初の1単位当たりの取得価額が、種類を同じくする仮想通貨の取得をした都度、当初の仮想通貨とその取得をした仮想通貨との数量及び取得価額を基礎として算出した平均単価によって改定されたものとみなして(以後種類を同じくする仮想通貨の取得をする都度同様の方法により改定)、その年12月31日から最も近い日において改定されたものとみなされた価額をもって、その年12月31日において有する仮想通貨の1単位当たりの取得価額とする方法をいいます。 なお、下記の国税庁ホームページでは、総平均法、移動平均法それぞれの計算書が公表されています。   3 評価方法の選定及び変更の手続 仮想通貨の評価の方法は、その種類ごとに選定しなければならないこととされています。 その選定した評価方法については、初めて仮想通貨の取得をした日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、「所得税の仮想通貨の評価方法の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することとされています。 また、選定した評価方法を変更する場合には、新たな評価方法を採用しようとする年の3月15日までに、変更しようとする理由等を記載した申請書(「所得税の仮想通貨の評価方法の変更承認申請書」)を提出し、税務署長の承認を得る必要があります。 なお、法定評価方法は総平均法ですので、上記の選定手続きを行わない場合には、総平均法を選定したものとして取り扱われます。   4 本件へのあてはめ 雑所得の金額の計算上、必要経費とする譲渡原価の計算にあたっては、その年の12月31日において保有する仮想通貨の価額を、仮想通貨の種類ごとに、総平均法又は移動平均法により計算する必要があります。 移動平均法を選択する場合には、その年分の所得税の確定申告期限(平成31年4月1日時点で保有していた仮想通貨については令和2年3月16日)までに、納税地の所轄税務署長に届け出る必要があり、届け出ない場合は、総平均法で計算することとなります。   (了)

#No. 352(掲載号)
#西川 真由美
2020/01/16

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第13回】「幼い子への資産移転後の注意点」

事例でわかる[事業承継対策] 解決へのヒント 【第13回】 「幼い子への資産移転後の注意点」   太陽グラントソントン税理士法人 (事業承継対策研究会) パートナー 税理士 日野 有裕   相談内容 私Xは40歳の会社経営者です。30歳の時にA社を創業し、今年、その会社を上場させることができました。 創業当初は赤字が続いていましたので、その間に私が設立したB資産管理会社へA社株式の30%を譲渡し、B社株式を当時5歳だった私の子Yに贈与しました(下図参照)。 私としては、上場時に発生した株式の含み益の一部を、子であるYにうまく移転できたと思っているのですが、今後、何か注意する点はありますか。 ■ □ ■ □  解 説  □ ■ □ ■ [1] 事業承継対策と国外転出時課税制度 (1) 国外転出時課税制度とは 国外転出時課税制度(出国時課税制度ともいいます)とは、国外転出する居住者がその時点(出国時点)で時価1億円以上の有価証券等を有する場合に、その有価証券等を譲渡したものとみなして、所得税を課税する制度をいいます(所法60の2①⑤)。 国外転出時課税制度が創設される以前は、多額の含み益を有する有価証券を保有したまま出国し、キャピタルゲイン課税のない国において売却することにより、日本での課税を逃れることができました。平成27年度税制改正でこの制度ができたことにより、上記のような租税回避行為はできなくなりました。 (2) 海外留学や海外勤務の増加で適用リスクが高まる 事業承継対策において国外転出時課税制度は、特にオーナーの子どもたちが出国する際に問題となる場合があります。 というのも、近年、海外留学や海外勤務を行う人が増えてきており、企業オーナーの子どもたちであれば、当然そのような機会も多くなります。その際に、今回のケースのように、多額の含み益を有する資産管理会社の株式を持っていることもありますので、国外転出時課税制度が適用される可能性が高くなります。 (2) 国外転出は海外留学も含まれる 国外転出時課税制度における『国外転出』とは、「国内に居所及び住所を有しないこととなること」(所法60の2①)と定義されており、所得税法上「居住者」から「非居住者」になる人が対象になります。 したがって、国外で継続して1年以上の予定で仕事をする場合(留学も含みます)は非居住者となりますので、国外転出時課税の対象となります(所令15①、所基通3-2)。 (3) 課税対象となる資産 国外転出時課税の対象資産としては、主に以下のものが挙げられます。   [2] 帰国を前提とする場合は納税猶予の手続きを 実際には、国税転出時の未実現損益に対する所得税を納税する人はまれであり、帰国を前提として、納税猶予を選択することが一般的です。 国外転出時課税制度における納税猶予とは、国外転出者がその国外転出する前日までに、納税管理人の届出を行い、かつ、当該年分の確定申告期限までに、当該納税猶予分の所得税に相当する担保を税務署に供した場合に、5年間の納税が猶予されるという制度です(所法137の2①)。 また、海外での滞在が長期に及ぶ場合は、国外転出する日から5年を経過する日までに、延長の届出を納税地の税務署長宛てに提出することにより、納税猶予期間をさらに5年延長できます(所法137の2②)。 納税猶予期間中は、各年の12月31日に有している納税猶予の対象となった資産等を記載した届出書を、翌年の3月15日までに所轄税務署に提出する必要があります(所法137の2⑥)。 また、納税猶予の期間満了までに帰国した場合は、帰国後4ヶ月以内に更正の請求をすることにより、国外転出時課税の適用がなかったものとして、課税を取り消すことができます(所法137の2⑥⑦、所法153の2①)。 【例:令和2年4月1日に海外留学するために出国する場合】   [3] 結論 お子さんが小さい時に行う株式の含み益の移転については、10年、20年にわたって国外転出時課税制度が付きまとうということに注意が必要です。顧問税理士としては、毎年オーナー家族の出国の予定を確認することにより、納税猶予等の手続き漏れを防ぐことができます。 グローバル化した昨今、将来子どもたちが海外へ留学したり、海外で仕事や家庭を持つというケースは十分あり得ることと認識したうえで、事業承継対策を実行すべきでしょう。 実際の手続きに際しては、税理士等の専門家に相談することをお勧めします。 (了)

#No. 352(掲載号)
#太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会
2020/01/16

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第55回】「集合債権譲渡担保と国税徴収法24条事件」~最判平成19年2月15日(民集61巻1号243頁)~

さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第55回】 「集合債権譲渡担保と国税徴収法24条事件」 ~最判平成19年2月15日(民集61巻1号243頁)~   弁護士 菊田 雅裕   (了)

#No. 352(掲載号)
#菊田 雅裕
2020/01/16

収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第20回】

収益認識会計基準と 法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第20回】   千葉商科大学商経学部講師 泉 絢也   ウ 公正処理基準準拠要件 (ア) 「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」の意義や具体的範囲 法人税法22条の2第2項は、近接日基準の採用に当たり、資産の販売等に係る収益の額につき「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って」当該資産の販売等に係る契約の効力が生ずる日その他の当該資産の販売等に係る目的物の引渡日又は役務提供日に近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理することを要求している。 法人税法22条の2第2項は、収益計上日として認められる近接日について、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に従ったものであるという、いわば公正処理基準準拠要件を定めているのであるが、ここでいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」については条文上、明記されていないため、その意義や具体的範囲が問題となる。 同一の文言は法人税法22条4項においても使用されている。同項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」とは、抽象的には、一般社会通念に照らして公正妥当であると評価され得る会計処理の基準であるとか、客観的な規範性を持つ公正妥当な会計処理の基準であるといわれる。 公正妥当な会計処理の基準の具体的な中身であるが、学説は、その中心をなすのは、次のようなものであるが、それにとどまらず、確立した会計慣行を広く含むと解している(本連載第5回参照)。 特に定義規定等を設けずに直前の法人税法22条4項のものと同一の文言を使用しているのであるから、22条の2第2項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」とは、22条4項のものと同義に解することが自然である。 もっとも、法人税法22条4項の場合と異なり、22条の2第2項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」の具体的範囲は、実際には、収益の計上時期に関する「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に限定されるであろう。 なお、後述するように、立案担当者は、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」は、継続性の原則を含むため、例えば、同じ種類の取引について、期中の取引を引渡しの日に収益計上している法人が期末の取引のみを引渡しの日に近接する日に収益計上することは認められない、と解説している(財務省『平成30年度 税制改正の解説』274頁以下)。 (イ) 公正処理基準準拠要件の意義 注意しなければならないのは、近接する日に収益経理すればどのようなものでも法人税法22条の2第2項の適用により、法人税法上、その収益経理が認められるというわけではなく、かかる収益経理が「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って」いることを要する。 「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」によるフィルターによって、①法人税法上、「近接日基準による収益経理が認められるのか否か」を判断する構図として捉えることもできよう。あるいは、②「近接日として認められるのか否か」を判断する構図として捉える向きもあるかもしれない。 ①のように、法人税法22条の2第2項の要件のうち、下線部分が「当該資産の販売等に係る契約の効力が生ずる日その他の前項に規定する日に近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合」全体に掛かっていることを重視するならば、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」によるフィルターによって、①法人税法上、「近接日基準による収益経理が認められるのか否か」を判断する構図が浮かび上がる。 ②のように、法人税法22条の2第2項の要件のうち、下線部分が「近接する日」に掛かっていることを強調することが許されるならば、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」によるフィルターによって、②「近接日として認められるのか否か」を判断する構図として捉えることもできよう。 視点を変えて、仮に、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に該当するか否かというフィルターの内部に、既に時間的近接性が含まれているとするならば、この「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って」という部分と「近接する日」という部分の双方において、時間的近接性のフィルターが重複的に仕込まれていることになるのではないかという指摘もできる。 言い換えれば、仮に、引渡日又は役務提供日とは異なる日に収益を計上する場合に、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準においても、引渡日又は役務提供日に時間的に近接することを要求するものであるとすれば、法人税法22条の2第2項は、引渡日又は役務提供日とは異なる日の属する事業年度に収益計上することを認めるための条件として、引渡日又は役務提供日との時間的近接性を重視し、あえて条文に明記したものという評価が与えられることになる。   (了)

#No. 352(掲載号)
#泉 絢也
2020/01/16

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第94回】「2019年における調査委員会設置状況」

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第94回】 「2019年における調査委員会設置状況」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   本連載では、個別の会計不正に関する調査報告書について、その内容を検討することを主眼としてきたが、本稿では、2017年及び2018年に引き続き、第三者委員会ドットコムが公開している情報をもとに、各社の適時開示情報を参照しながら、2019年において設置が公表された調査委員会について、調査の対象となった不正・不祥事を分類するとともに、調査委員会の構成、調査報告書の内容などを概観し、その特徴を検討したい。 第三者委員会ドットコムが公開しているデータを集計したところ、2019年において、調査委員会の設置を公表した会社は67社であり、2018年の68社とほぼ同数であった。67社のうち、複数の調査委員会設置を公表した会社は下記のとおりである。この結果、設置が公表された調査委員会の数は72となる。 上記の会社については、会社数としてはそれぞれ「1社」とカウントする一方、委員会の構成については委員会ごとに、不正・不祥事の分類はその区分ごとに集計しているため、一部、合計数が合わないことをお断りしておく。 調査委員会設置を公表した67社のうち21社については、本稿執筆時点において、まだ調査報告書(その概要を含む)を公表していない。このうち6社については、調査委員会の設置そのものが12月であり、まだ調査が終わっていないと考えられる。   【市場別分類】 市場別分類では、東証1部上場会社が52社と約78%を占めた(複数市場に上場している会社は東証1部に含めている)。その他に分類した1社は非上場である(上場会社数は2019年12月31日現在)。   【会計監査人別分類】 会計監査人別の分類では、いわゆる大手4大監査法人の監査を受けていた上場会社が52社、中堅以下の監査法人の監査を受けていた社が15社となり、過去に比べて中堅以下の監査法人のクライアントの比率が減少している。 なお、中堅以下の監査法人で複数のクライアントが調査委員会を設置したのは、太陽監査法人だけであり、そのクライアント数は4社であった。   【調査委員会の構成による分類】 一部、委員名を非公表としている委員会を含めた調査委員会の構成ごとの分類では、日本弁護士連合会が2010年に公表した「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠していると明言している調査委員会及び明言はしないまでもその趣旨に沿って外部の委員を選定していると認められる調査委員会は32社と、過半数を下回る水準であった。 また、2018年からの傾向であるが、調査委員会の構成や委員名について、非公表とする会社が増加している。これらの会社では、調査報告書についても一切公表しないか、概要を公表するにとどまっていることを付言しておきたい。   【調査委員会を設置することとなった不正・不祥事の分類】 調査対象となった不祥事別にこれを分類すると次表のとおりとなる。なお、分類上、経営者や従業員の不正であっても、決算修正等、公表している決算報告書に影響を及ぼす可能性のあるものについては、「会計不正」としている。   【会計不正の態様】 次いで、「会計不正」に分類された51件について、それぞれの不正の態様を見ておきたい。 「会計不正」と分類できる内容で調査委員会を設置した51社のうち、経営者・従業員による不正行為以外のものは、34社であり、その一覧は、次のとおりである(赤字は本連載で取り上げた報告書)。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 2018年と比べ突出しているのが海外の連結子会社における不適切な会計処理(12件)であり、国別内訳では、中国が5件と最も多くなっている。 (了)

#No. 352(掲載号)
#米澤 勝
2020/01/16

〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第1回】「退職税理士による顧客の引抜きの防止」-その1:その税理士が「在職中」の場合-

〔一問一答〕 税理士業務に必要な契約の知識 【第1回】 「退職税理士による顧客の引抜きの防止」 -その1:その税理士が「在職中」の場合-   虎ノ門第一法律事務所 弁護士 山口 智寛   〔質 問〕 当事務所の所属税理士(税理士法人の社員ではない)が退職することになりました。 ところが、この税理士が退職を見越して、当事務所の顧客を勧誘して引抜きにかかっているらしいのです。このような場合、契約上の有効な対応策はないでしょうか。 〔回 答〕 就業規則等に秘密保持義務あるいは競業避止義務の規定があれば、それらを根拠として、その税理士に引抜きの中止を求めることができます。 また、秘密保持義務あるいは競業避止義務の規定がないとしても、就業規則の服務規律には誠実労働義務、職務専念義務が規定されているので、これらを根拠に引抜きの中止を求めることもできます。 なお、就業規則がない場合についても、雇用契約上当然に誠実労働義務、職務専念義務を従業員は雇用主に対して負うとされているので、上記と同様に対処することができます。 ◆◆◆◆ 解 説 ◆◆◆◆ 1 在職中の引抜き行為を止めさせる法的根拠 (1) 秘密保持義務、競業避止義務 税理士事務所の立場とすれば、退職する所属税理士による顧客の引抜きは直ちに止めてもらいたいところである。それでは、どういった法的根拠をもってこの引抜き行為を止めさせることができるだろうか(なお、元所属税理士が税理士法人の社員である場合は、税理士法の規定に基づいた考慮が必要であるため、別稿で改めて取り上げる(第3回で解説予定))。 まず、就業規則に「業務上の秘密を自ら又は第三者のために利用してはならない」という秘密保持義務、あるいは、「就業中に顧客勧誘行為を行ってはならない」という競業避止義務の規定があれば、秘密保持義務違反(顧客の引抜きは顧客情報を利用している点で秘密保持義務違反といえる)ないし競業避止義務違反であるとして、退職予定の所属税理士に対して引抜き行為の中止を求めることができる。採用時に秘密保持や競業避止の誓約書や同意書を取得している場合も、同様にこれらの文書の規定に従って引抜き行為の中止を求めることができる。 厳密にいえば、顧客の引抜きが税理士事務所の顧客情報を利用しているといえるかどうかは判断が難しいところであるが、税理士事務所の立場からすれば、差し当たり、就業規則や誓約書・同意書といった個別文書における秘密保持義務を所属税理士による引抜き行為を止めさせせるための法的根拠として考えておくこと自体は差し支えない。 (2) 誠実労働義務、職務専念義務 秘密保持義務や競業避止義務の根拠となる規定が存在しない場合であっても、就業規則には通常、服務規律のところに「誠実に職務を遂行する」という誠実労働義務・職務専念義務が規定されているから、この誠実労働義務・職務専念義務を根拠に、退職予定の所属税理士に対して引抜き行為の中止を求めることができる。 では、小規模の税理士事務所で就業規則すらない場合はどうか(労働基準法89条は「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に対して就業規則の作成及び届出義務を課している)。この場合でも、従業員は雇用主に対して雇用契約上当然に誠実労働義務・職務専念義務を負うと解釈されているから、この雇用契約上の義務を根拠として上記と同様に対処できる。 したがって、結局のところ、特段の明示的な規定がなくても、雇用契約関係に基づいて当然にその税理士に対して引抜き行為の中止を求めることができる。   2 具体的な対応方法 このように、在職中の所属税理士に対しては、就業規則や雇用契約それ自体が、引抜き行為を止めさせる法的根拠となり得る。もっとも、法的根拠があるからといって、そのとおりに引抜き行為を止めさせることができるとは限らず、税理士事務所の側としては「できる限りの対応を行う」というスタンスで臨むしかない。 (1) 証拠がない場合 そもそも、その所属税理士が本当に税理士事務所の顧客に対してアプローチしているかどうか、また、例えば独立や退職を告知するという限度を超えて具体的な契約切替えの打診等にまで及んでいるかどうかは、簡単に裏付けを取れるものではない。 もし、具体的な勧誘行為の証拠や裏付けが取れていないのであれば、その所属税理士が「引抜きを行っている」ということを前提とした対応を取ることはできない。このような場合、税理士事務所側としてできることといえば、退職時に秘密保持義務や顧客の引抜きをしないという限度での競業避止義務の誓約書や同意書を提出してもらう形で、間接的に引抜きを牽制することくらいだろう。 証拠がないのにもかかわらず、勧誘行為があったと決め付けて対応を取るようなことがあると、事後的に所属税理士の側から「引抜きをしたと言いがかりを付けられて事務所を辞めさせられた」などとクレームを受けたり、更に場合によっては損害賠償請求を受けるなどの紛争に発展したりする可能性もあるので、性急な対応は自制すべきである。 (2) 証拠がある場合 退職予定の所属税理士が発したメール等の証拠や、勧誘を受けた顧客の側からの情報提供等の裏付けがある場合には、積極的な対応が可能である。 具体的には、まず、本人に対して直接警告を与えて、自発的に引抜きを止めるよう促すべきである。「声をかけただけだ」などと反論されるかもしれないが、現時点で実際に引抜きが実現していなくとも、引き抜こうとしている時点(引抜準備行為を行っている時点)で従業員としての義務に反するので、所属税理士側からのそのような反論は成り立つものではない。 警告を与える場合には、在職中で日常的なコミュニケーションを取ることが可能であれば、あえて文書を出すまでの必要はなく、口頭で警告を与えた上で、その警告日時、方法、場所等を記録として控えておけば十分である。 一方、その所属税理士が退職日を待つばかりであり既に事務所での実働はないという場合には、口頭での警告は困難であるから、メールや自宅宛の文書で警告するしかない。文書を発送する場合は、普通郵便だと発送した事実を証拠として残しておくことができないので、内容証明郵便又は特定記録郵便を利用したほうが良い。 口頭の場合であれ文書の場合であれ、警告を与える際には、「引抜きを止めない場合には損害賠償を請求する可能性がある」ということを告げれば、所属税理士の側により大きな心理的な圧力を加えることが可能である(もっとも、後述するとおり実際に損害賠償を請求するかどうかは別の問題である)。 (3) 警告を無視された場合 警告を行ったにもかかわらず引抜き行為を止めない場合には、どうすればよいか。 このような場合は、就業規則における懲戒解雇の規定に基づいて、退職の予定日を待たずにその所属税理士を懲戒解雇することもやむを得ないだろう。また、実際に引抜きがなされて、その顧客からの売上がなくなってしまった場合には、引抜きを行った所属税理士に対して、売上減少分について損害賠償を請求することも可能である。 文書で損害賠償を請求したにもかかわらず、その所属税理士側がこれに応じない場合には、訴訟を提起することも選択肢に入ってくる。 ただし、実際に訴訟を提起した場合、具体的な引抜き行為や顧客の側の契約変更との間の因果関係を立証することは、相当の困難を伴う。 大阪地方裁判所平成30年11月13日判決は、個人事業主である税理士が、元従業員である税理士に対して在職中及び退職後に顧問先を勧誘して引き抜いたとして損害賠償を求めた事案において、「被告らが原告の顧問先に対し、原告との顧問契約を解約して被告らと新たに顧問契約を締結するよう積極的に働き掛けた」行為を認めるだけの証拠は存在しないと判断している。また、売上減少分の損害といっても、何年分の売上をもって損害といえるのかは判然とせず、裁判実務上の基準といえるようなものも存在しない。 このようなことを前提とすると、「訴訟すれば勝てる」と安易に思い込むべきではなく、むしろ「訴訟提起もあり得る」ということを交渉材料にして訴訟外での解決を図ることを第一に考えるべきである。 (了)

#No. 352(掲載号)
#山口 智寛
2020/01/16
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