措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の 譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第3回】 「学校法人への寄附」 公認会計士・税理士・社会保険労務士 中村 友理香 - 質 問 - 私は母校である学校法人××に、弟は国立大学法人△△に、それぞれ土地を寄附したいと考えているのですが、非課税措置の対象となりますか。 - 回 答 - 学校法人も国立大学法人も公益法人等に該当するため、非課税措置のその他の承認要件を満たす限り、適用を受けることができます。 ○●○◆ 解 説 ◆○●○ 学校法人及び国立大学法人は、ともに前回解説した非課税措置の対象となる「公益法人等」に該当します。 したがって、【第1回】で解説した非課税措置の承認要件を満たす限り、譲渡所得税は非課税とされます(措法40①後段、措令25の17⑤)。 なお、学校法人及び国立大学法人は、非課税承認特例の対象法人にも該当するため、当該承認特例の他の要件を満たす場合は、非課税承認特例の承認申請を提出し、1ヶ月以内にその申請について国税庁長官の承認がなかったとき、又は承認しないことの決定がなかったときは、承認があったものとみなされ、譲渡所得税は課されません(措令25の17⑦⑧)。 (了)
「収益認識に関する会計基準」及び 「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第2回】 仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋 今回からは、【STEP】ごとにおさえるべき論点を解説する。その次に個別論点及び税務等について解説していく。 5 【STEP1】契約の識別 【STEP1】では、収益認識基準等の検討対象となる契約を識別する。 【STEP1】契約の識別では、以下の4つについて検討する。 そして、【STEP1】の検討の流れは、以下のとおりである。 (1) 識別要件の充足の有無(契約であるかどうかの検討) 収益認識基準等は、顧客との契約に対して適用されるため、まず、顧客との契約であるかどうかを検討する。具体的には、以下の①から⑤の要件のすべてを満たすものについて、顧客との契約として識別する(基準19)。当たり前の要件であるため、通常の売上取引であれば、すべての要件を満たすことが多いと考えられる。 顧客との契約が契約における取引開始日において上記の要件を満たす場合、事実及び状況の重要な変化の兆候がない限り、上記の要件を満たすかどうかの見直しは行わない(基準23)。 しかし、例えば、顧客が対価を支払う能力が著しく低下した場合には、顧客に移転する残りの財又はサービスと交換に企業が権利を得ることとなる対価を回収する可能性が高いかどうかについて見直しを行う。なお、既に認識した収益、債権又は契約資産は、見直しの対象とはならない(基準120)。 上記の検討の結果、顧客との契約を識別できる場合、(3)契約の結合及び(4)契約の変更を検討する。識別できない場合、(2)契約の識別要件を満たさない場合の会計処理を検討する。 (2) 上記(1)の契約の識別要件を満たさない場合の会計処理 顧客との契約が上記(1)①から⑤の要件を満たさない場合、当該要件を事後的に満たすかどうかを引き続き評価し、顧客との契約が当該要件を満たしたときに収益認識基準等を適用する(基準24)。 顧客との契約が上記(1)①から⑤の要件を満たさない場合に、顧客から受け取った対価については、契約負債として認識する。そして、以下の①又は②のいずれかに該当するときに、その対価を収益として認識する(基準25、26) 。 (3-1) 契約の結合 同一の顧客(当該顧客の関連当事者を含む)と同時又はほぼ同時に締結した複数の契約について、以下の①から③のいずれかに該当する場合には、当該複数の契約を結合し、単一の契約とみなして会計処理する(基準27)。 言い換えると、契約ごとに会計処理するのではなく、実質的に1つの取引とみなされる場合は、複数の契約を1つの取引として会計処理する。 契約を結合した場合、【STEP3】で複数の契約の取引価格を合計した上で、【STEP4】でその合計取引価格を【STEP2】で識別した履行義務ごとに独立販売価格により配分し、履行義務ごとに収益をいつ認識するかを決定する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (3-2) 契約の結合(代替的な取扱い) 契約の結合について、以下の代替的な取扱いが設けられている。 ① 複数の契約を結合しなくても良い場合 以下の①及び②のいずれも満たす場合には、複数の契約を結合せず、個々の契約の顧客に移転する財又はサービスの内容を履行義務とみなし、個々の契約における財又はサービスの金額に従って収益を認識することができる(適用指針101)。 ② 工事契約及び受注制作のソフトウェアのみ認められている取扱い 工事契約について、当事者間で合意された実質的な取引の単位を反映するように複数の契約(異なる顧客と締結した複数の契約や異なる時点に締結した複数の契約を含む)を結合した際の収益認識の時期及び金額と当該複数の契約について、基準第27項(上記(3-1)参照)及び第32項(6【STEP2】参照)に基づく収益認識の時期及び金額との差異に重要性が乏しいと認められる場合には、複数の契約を結合し、単一の履行義務(契約も履行義務も1つ)として識別することができる(適用指針102)。 受注制作のソフトウェアも、上記に準じて会計処理することができる(適用指針103)。 当該取扱いは、工事契約と受注制作のソフトウェアにおいてのみ認められている代替的な取扱いである。 (3-3) 契約の結合における従来との相違点等 ① 従来との相違点 ② 影響がある取引(例示) ③ 適用上の課題 ④ 財務諸表への影響 複数の契約が「単一の契約」とされた場合、履行義務の識別及び取引価格の独立販売価格による配分により、履行義務ごとの金額が決められる。その結果、従来と比べて収益認識の単位の違い又は、単位は同じでも各単位に配分される取引価格の違いにより、収益の認識時期や各期の利益率が異なる可能性がある(意見募集27)。 (4-1) 契約の変更 契約変更は、契約の当事者が承認した契約の範囲又は価格(あるいはその両方)の変更であり、契約の当事者が、契約の当事者の強制力のある権利及び義務を新たに生じさせる変更又は既存の強制力のある権利及び義務を変化させる変更を承認した場合に生じるものである(基準28)。 契約の変更の検討の流れは、以下のとおりである。 なお、契約変更による財又はサービスの追加が既存の契約内容に照らして重要性が乏しい場合、上記(2)、(4)①②のいずれの方法も適用することができる(適用指針92)。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) 未だ移転していない財又はサービスについて、別個のものと別個でないものの両方がある場合:それぞれ(4)①又は(4)②の方法で会計処理する(基準31(3))。 (4-2) 契約の変更における従来との相違点等 ① 従来との相違点 ② 影響がある取引(例示) ③ 適用上の課題 ④ 財務諸表への影響 従来と収益認識基準等で会計処理が異なる場合、収益の認識時期が異なる可能性がある(意見募集36)。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (了)
M&Aに必要な デューデリジェンスの基本と実務 -財務・税務編- 【第12回】 「投融資の分析(その2)」 公認会計士・公認不正検査士 松澤 公貴 ←(前回) | (次回)→ 前回に引き続き、投融資のうち主要な項目において実施すべき調査のポイント及び評価に関連するトピックスを以下で概説する。 ▷会員権のデューデリジェンスにおける主な調査手続 ゴルフ会員権やリゾート会員権等(以下、総称して「会員権」)は、ゴルフ場やリゾート施設の運営会社の発行する株式や、当該会社に対する預託保証金等から構成されており、施設利用権を表すものである。 対象会社である中小企業の多くは、会員権は、時価としては流通業者の公表する相場があるが、これは株式市場の「株価」に比べると取引量が少なく時価の信頼性等が劣ると考え、当該時価にて評価せず、価値の著しい下落により減損処理を行った場合を除き、取得原価をもって計上している。 実態純資産の分析においては、株式方式、預託保証金方式ともに会員権に時価(相場)がある場合には、当該相場をもとに時価で評価する必要がある。時価(相場)がない場合、株式方式においては、施設の運営会社の財政状態に応じて評価をする必要があり、当該運営会社の貸借対照表をベースにして、1株当たりの純資産額に持株数を乗じて会員権の時価を計算することになる。 一方、預託保証金方式においては、預託保証金は後述する敷金のように債権としての性質があるため、運営会社の財政状態やキャッシュフローの状況等を基に回収可能性を加味して評価することになる。なお、運営会社の中には、貸借対照表等の財務状況を公表していない場合等があるため、代替手段として、大手会員権取引業者に評価鑑定を依頼する場合もある。 ▷差入保証金のデューデリジェンスにおける主な調査手続 差入保証金とは、不動産の賃貸借契約を締結する際に、借主が貸主に対して、敷金、保証金、権利金及び建設協力金などの名目で差し入れる金銭である。差入保証金は地域の商慣習の違いで名称の使われ方や実態が異なることから、必要に応じて法務デューデリジェンスチームと連携して、賃貸借契約の内容から、経済的実態を判断する必要がある。 実態純資産の分析においては、敷金及び保証金、権利金及び建設協力金等は、回収可能額にて評価する必要がある。 ▷保険積立金のデューデリジェンスにおける主な調査手続 保険積立金とは、生命保険等の保険料のうち、費用化しなかった部分の保険料(例えば、満期返戻金など貯蓄性がある部分の保険料)を計上するための勘定科目である。生命保険等は、通常、死亡や傷害に備える保険部分と、契約が満期になったときに受け取る貯蓄部分があるが、保険の種類や受取人の違いなどで仕訳や会計処理方法が異なるため、本稿では割愛する。 実態純資産の分析においては、保険積立金は、保険積立金として計上されているかいないかに関係なく、解約返戻金などの回収可能額にて評価する必要がある。 【実務事例12-1】 対象会社は、経営セーフティー共済に加入している。通常の会計処理は、毎期保険料として費用計上(保険積立金として計上されていない)しているが、実態純資産の分析においては、基準日における解約返戻金の金額で評価することにした。 (了)
税効果会計における 「繰延税金資産の回収可能性」の 基礎解説 【第9回】 「その他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱い」 仰星監査法人 公認会計士 田中 良亮 1 はじめに 前回は役員退職慰労引当金に係る将来減算一時差異の取扱いについて通常の将来減算一時差異とどのように異なるのかを説明した。 今回はその他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱いについて説明する。 2 その他有価証券評価差額金とは まず、「その他有価証券評価差額金」とはどのような会計事象によって生じる勘定科目であるかを確認したい。 会計上、企業が保有する有価証券は以下の種類に区分される。なお、有価証券の種類については次の連載を参照されたい。 このうち、④のその他有価証券は時価をもって貸借対照表価額とすることが求められているため、期末に時価評価を行う必要がある。しかしながら、現行の会計ルールでは評価益の計上は認められておらず、また、評価損は著しい時価の下落があったときに計上するものとされている(本稿では全部純資産直入法を前提とする)。 つまり、銘柄ごとに時価が取得原価を上回っている場合や、下回っていたとしても著しい時価の下落と判断されない場合には、貸借対照表価額は時価とするものの、評価差額直接純資産に計上するものとされており、このときに計上する勘定科目がその他有価証券評価差額金となる。 【図1】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ※【図1】では税効果は考慮外とする。 3 その他有価証券評価差額金が一時差異となる理由 ここまでの説明で、連載を継続的にご覧の読者の中には、その他有価証券評価差額金が損益計算書で計上されないのであれば、会計上の収益又は費用と税務上の益金又は損金の額は一致するのだから税金の前払い(将来減算一時差異)や繰延べ(将来加算一時差異)が生じないのでは、と感じた方もいるかもしれない。 たしかに、その他有価証券評価差額金は税額計算の基礎となる当期純利益に影響を与えないため、当期に税金の前払いや繰延べは生じないが、税効果会計の考え方によるとその他有価証券評価差額金は一時差異となるのである。 ここからはその考え方について説明していこう。 (1) 税効果会計の目的 連載【第1回】では、税効果会計の目的を一言でいうと、「会計と税務の差を調整するため」と説明した。では「会計と税務の差を調整するとどのような結果が生じるのか」という観点から、ここで税効果会計の目的について堀り下げてみたい。 会計と税務の処理の差によって生じる将来減算一時差異や将来加算一時差異はその名のとおり、将来時点において課税所得を減算又は加算させる効果をもつ一時差異である。税効果会計では、これらの効果を資産又は負債として計上した結果、企業の将来の支払税額がいくら減額されるのかもしくは増額されるのかを示すことになる。 つまり、税効果会計には将来の支払税額に与える影響を貸借対照表に表すという重要な目的があるといえる。 (2) 税効果会計は将来思考 税効果会計は企業の将来の支払税額に与える影響を貸借対照表に表す会計手法であることから、将来に焦点をあてた基準設計となっている。それは税効果の目的として挙げている「会計と税務の差」が資産又は負債の差に着目しているということをご理解いただければわかりやすいだろう。すなわち、会計上の収益又は費用と税務上の益金又は損金の差に着目していないというところがポイントである。 資産や負債が計上される貸借対照表はストックの概念であり、企業が将来得られる便益や将来負担すべき義務も数値化して計上されることから、会計上と税務上の資産又は負債の差に着目している税効果会計は「将来思考の会計処理」であるといえる。 (3) その他有価証券評価差額金の特殊性 連載【第8回】までに取り上げた一時差異項目をご覧になっていただくと、すべて会計上の資産又は負債と税務上の資産又は負債の間に差が生じていることに気づいていただけるだろう。ただし、連載【第8回】までに取り上げた一時差異項目では会計上の費用と税務上の損金の間にも差が生じていたため、税金の前払いが結果的に発生していたのである。 その他有価証券評価差額金は前述したとおり、その他有価証券を時価評価した結果、貸借対照表上では帳簿価額が時価に評価替えされ、当該評価差額は損益計算書に計上されることなく直接純資産に計上されるため、時価評価を行った当期の税額に影響を与えない。この点がその他有価証券評価差額金の特殊性といえるが、税務上は原則的に有価証券の時価評価を認めていないため、会計と税務の資産又は負債の間に差が生じることになる。 したがって、その他有価証券の時価評価を行った結果、評価差損が計上されれば将来時点において当該金額で売却したときに税額負担が軽減するため将来減算一時差異となる。一方で評価差益が計上されれば将来時点において当該金額で売却したときに税額負担が増加するため将来加算一時差異となるのである。 4 その他有価証券評価差額に係る一時差異の取扱い (1) 原則処理 その他有価証券の評価差額に係る一時差異は、原則として、個々の銘柄ごとにスケジューリングを行い、評価差損に係る将来減算一時差異については当該スケジューリングの結果に基づき回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上し、評価差益に係る将来加算一時差異については繰延税金負債を計上する。 原則処理における繰延税金資産の回収可能性の判断は、連載【第3回】と【第4回】を参照されたい。【図2】は分類2の会社の原則処理のイメージである。 【図2】 原則処理:分類2の会社イメージ図(実効税率は30%とする) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (2) 容認処理 個々の銘柄ごとではなく、【図3】のように一括して繰延税金資産又は繰延税金負債を計上することができる。 【図3】 容認処理:一括して繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する場合 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ① スケジューリング可能な一時差異である場合における繰延税金資産の回収可能性の判断 その他有価証券の評価差額を、評価差損が生じている銘柄と評価差益が生じている銘柄とに区分し、評価差損の銘柄ごとの合計額に係る将来減算一時差異についてはスケジューリングの結果に基づき回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上する。 なお、回収可能性の判断は会社分類に応じて行う(スケジューリング等の繰延税金資産の回収可能性の判断手順は連載【第2回】を、会社分類の判断は連載【第3回】及び【第4回】を参照されたい)スケジューリングが可能であることから、4(1)で説明した原則処理と結果は同様になるものと考えられる。 ② スケジューリング不能な一時差異である場合における繰延税金資産の回収可能性の判断 スケジューリング不能な一時差異である場合には、まず評価差額を純額で把握することとなり、純額で評価差益が生じている場合には当該将来加算一時差異について繰延税金負債を計上することになる。 ただし、スケジューリング不能な将来加算一時差異であるため、繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、その他有価証券の評価差額に係る将来減算一時差異以外の将来減算一時差異とは相殺できない。 一方、純額で評価差損が生じている場合には、その他有価証券の純額の評価差損に係る将来減算一時差異はスケジューリング不能な将来減算一時差異であるため、原則として、当該将来減算一時差異に係る繰延税金資産の回収可能性はないものとする。 ただし、通常、その他有価証券は随時売却が可能であり、また、長期的には売却されることが想定される有価証券であることを考慮し、純額の評価差損に係る繰延税金資産については、次のように会社分類に応じて回収可能性を判断することができる。 (a) 分類1及び分類2に該当する場合(連載【第4回】【図2】において分類2に該当する会社を含む) 収益力に基づく課税所得が期末時点の将来減算一時差異の残高と比較して高い水準で安定的に生じることが見込まれるため、評価差額に係る繰延税金資産は回収可能性があるものとする。 【図4】 容認処理:分類2の会社でスケジューリング不能なその他有価証券の純額の評価差額に係る将来減算一時差異の回収可能性 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (b) 分類3に該当する場合(連載【第4回】【図2】において分類3に該当する会社を含む) 分類3の場合、収益力に基づく課税所得の発生が安定的ではないため、原則的に将来の合理的な見積可能期間(おおむね5年)以内の回収可能性を判断することになる。 したがって、当該期間の一時差異等加減算前課税所得の見積額にスケジューリング可能な一時差異の解消額を加減した額に基づき、純額の評価差額に係る繰延税金資産を見積る場合、当該繰延税金資産の回収可能性があるものとする。 【図5】 分類3で、将来の合理的な見積可能期間が3年と判断している会社のスケジューリング不能なその他有価証券の純額の評価差額に係る将来減算一時差異の回収可能性 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (c) 分類4及び分類5に該当する場合 これらの会社は、その他有価証券の純額の評価差損に係るスケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産の回収可能性はないものとする。 分類4の会社は、スケジューリングに従って翌期解消する見込みの将来減算一時差異に係る繰延税金資産を計上するが、スケジューリング不能な将来減算一時差異が翌期に解消することは通常ないため、回収可能性が認められていないものと考えられる。 5 まとめ その他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱いについては、スケジューリング可能な一時差異であるか、スケジューリング不能な一時差異であるかによって検討するフローが異なる点をご確認いただきたい。 また、その他有価証券評価差額金が一時差異となる理由から、税効果会計の目的について理解を深められるのではないだろうか。 次回は、繰延ヘッジ損益に係る一時差異の取扱いについて説明する。 (了)
企業結合会計を学ぶ 【第4回】 「取得原価の算定方法」 -条件付取得対価等- 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 【第3回】では、吸収合併の〔例〕を用いて、「取得」の会計処理における取得原価の算定方法に関する論点を解説した。 今回は、取得原価の算定方法に関して、条件付取得対価、取得関連費用及び株式交付費について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 条件付取得対価 1 定義 企業結合を行う場合、様々なリスクがあることから、企業結合契約の中には、企業結合契約を締結した後の将来の特定の事象又は取引の結果に依存して、追加的に株式が交付されたり、現金又は他の資産が引き渡されたりする条項が含まれていることがある(「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号。以下「企業結合会計基準」という)95項)。 企業結合会計基準は、条件付取得対価を次のように定義している(注解(注2))。 「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第10号。以下「結合分離適用指針」という)の「[設例5] 取得原価の算定-条件付取得対価の会計処理」では、次のように条件付取得対価の例を示している。 2 会計処理 企業結合会計基準は、条件付取得対価の会計処理を次のように規定している(企業結合会計基準27項、注解(3)~(5)、結合分離適用指針47項)。 3 設例 結合分離適用指針の[設例5]では、条件付取得対価の会計処理を示している。 以下では、同設例に従って「将来の業績に依存する条件付取得対価の場合」の会計処理を示す。 4 条件付取得対価に関する企業結合会計基準等の改正案 平成30年8月21日、企業会計基準委員会は、企業結合会計基準及び結合分離適用指針における条件付取得対価の取扱いについて、次の改正案を公表している(アンダーラインが改正部分)。 これは、条件付取得対価に関連して対価が交付又は引き渡される場合だけでなく、その一部が返還される場合についても規定しようとするものである。 Ⅲ 取得関連費用 企業結合に際しては、外部のアドバイザーなどに対して報酬・手数料などを支払うことが多い。 このような外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等は、取得関連費用とされており、発生した事業年度の費用として処理することになる(企業結合会計基準26項)。 平成15年に公表された企業結合会計基準では、取得とされた企業結合に直接要した支出額のうち、取得の対価性が認められる外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等は取得原価に含めることとしていた(企業結合会計基準94項)。 一方、国際的な会計基準では、当該取得関連費用は、事業の売主と買主の間の公正な価値での交換の一部ではなく、企業結合とは別の取引と考えられること、取得関連費用のうち直接費が取得原価に含まれる一方で間接費は除かれる点が不整合であること等の理由から、発生した事業年度の費用として取り扱っている。 平成25年改正の企業結合会計基準においては、国際的な会計基準に基づく財務諸表との比較可能性を改善する観点や取得関連費用のどこまでを取得原価の範囲とするかという実務上の問題点を解消する観点から、発生した事業年度の費用として処理することとした。 個別財務諸表における子会社株式の取得原価は、従来と同様に、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)及び「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号)に従って算定することになる(企業結合会計基準94項)。 「金融商品会計に関するQ&A」のQ15-2では、「有価証券の取得の付随費用と取得関連費用」について規定している。 Ⅳ 株式交付費 企業結合の際の株式の交付に伴い発生する費用(登録免許税、証券会社への業務委託手数料等)は、企業結合の対価というよりは、支払対価の種類に影響される財務的な活動としての性格が強い支出と考えられるため、取得原価には含めず、別途、株式交付費として会計処理する(結合分離適用指針49項)。 (了)
〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例30】 nmsホールディングス株式会社 「分配可能額を超えた平成29年3月期末の配当金について」 (2018.5.28) 事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹 1 今回の適時開示 今回取り上げる適時開示は、nmsホールディングス株式会社(以下「nmsホールディングス」という)が平成30年5月28日に開示した「分配可能額を超えた平成29年3月期末の配当金について」である。タイトルのとおり、分配可能額を超えて配当を支払ってしまったという内容である。 上場会社でそんなミスが生じるのかと思われるかもしれないが、最近、同様の開示が多く、例えば、株式会社アルメディオが平成30年4月17日に「分配可能額を超えた前期末の配当金について」を、株式会社多摩川ホールディングスが平成30年8月1日に「分配可能額を超えた前期末の配当金に関するお知らせ」を開示している。 過去には、HOYA株式会社が分配可能額を超えて自己株式を取得してしまったということもあった(平成28年5月18日に「平成28年2月に決議した自己株式の取得に関する第三者委員会設置のお知らせ」を開示)。 これだけ度々あると、明らかになっていないだけで、同様のミスが他社でもたくさん生じているのではないかと思われてくる。 2 原因は「知識不足」と「無責任」 nmsホールディングスは平成30年6月22日に「平成29年3月期末の配当金に関する一連の経緯及び再発防止策について」を開示し、今回の件の発生原因として以下の4つをあげている。要するに、皆が「知識不足」で「無責任」だったということである。 まず無責任について、この開示に添付された外部調査委員会の調査報告書には、次のような記載がある。他の誰かがやってくれていると、皆がなんとなく思っていたのだろう。 3 取締役としての資質への疑い 外部調査委員会の調査報告書には次のような記載もある。「社内のいずれかの部署で分配可能額の算定を行い、それを踏まえた本件配当議案の適法性の検討が既になされていると考えていた」は、役員の無責任を示す記載だが、他は役員の知識不足を示す記載である。 上場会社の取締役ならば、分配可能額の計算方法までは知らなくとも、配当や自己株式取得が分配可能額の制限を受けることぐらいは知っておかなければならないだろう。それを知らなかったのだから、上場会社の取締役としての資質の有無が疑われる。 また、同社の社外取締役と監査役のうち2名は公認会計士である。まさか、「自己株式の帳簿価額が分配可能額の計算において控除項目であることの認識を欠いていた」や、「連結決算を前提にすると十分な利益剰余金及び資本剰余金が確保されていたため(中略)分配可能額があることを疑うことがなかった」、「会計監査人による監査において計算書類に関して特段の指摘がされていなかった」といった理由で今回の件に気づかなかったのが彼らではないだろうが、気づかなかったことを恥じなければならないだろう。 4 内部統制は本当に有効か? nmsホールディングスが平成30年6月27日に提出した内部統制報告書では、同社の平成29年3月期末時点の財務報告に係る内部統制は有効であると評価されている。そして、同社が同日に提出した有価証券報告書に添付された監査報告書によると、監査法人はその内部統制報告書に対して適正意見を表明している。 しかし、今回の件を通じて、同社の内部統制が非常に脆弱であることが明らかになった。同社の平成29年3月期末時点の財務報告に係る内部統制は、本当に有効であるといえたのだろうか。 なお、冒頭で述べたように、今回取り上げた開示と同様の開示が他でも行われている。nmsホールディングスと同様の状態にある会社は、他にもかなりあるのではないだろうか。 (了)
《速報解説》 監査上の主要な検討事項(KAM)に関する実務指針として 「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」の新設を含む改正(公開草案)が公表される 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成30年10月19日、日本公認会計士協会は、「監査基準の改訂に関する意見書」(平成30年7月5日、企業会計審議会)の公表に伴い、国際監査基準を踏まえて、以下の監査基準委員会報告書等の公開草案を公表し、意見募集を行っている。 なお、監査基準の改訂に対応する「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」の一部改正(案)などは、平成30年9月26日に、金融庁が意見募集している。 意見募集期間は平成30年11月30日までである。 参考資料として「監査基準委員会報告書(公開草案)改正の概要」が公表されており、改訂監査基準の適用時期、監査上の主要な検討事項の決定などが分かりやすく記載されている。 本稿では、監査基準委員会報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」の新設が、他の監査基準委員会報告書の改正に関連するので、上記の①と②について解説を行う。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」の主な内容 1 監査上の主要な検討事項の決定 「監査上の主要な検討事項」とは、当年度の財務諸表監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項をいう(7項)。国際監査基準では、KAM(Key Audit Matters)として規定されているものである。 監査上の主要な検討事項は、監査人が監査役等とコミュニケーションを行った事項から選択される(7項)。 上場企業の監査では、監査人が監査役等とコミュニケーションを行った事項の中には、監査報告書において報告すべき監査上の主要な検討事項が1つは存在していると考えられている(A59項)。 監査人は、監査役等とコミュニケーションを行った事項の中から、監査を実施する上で監査人が特に注意を払った事項を決定しなければならない。その際、監査人は以下の項目を考慮しなければならない(8項)。 監査人は、上記に従い決定した事項の中からさらに、当年度の財務諸表の監査において、職業的専門家として特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項として決定しなければならない(9項)。 なお、監査役等とコミュニケーションを行った事項には、上記(8項)の①から③に該当しない事項が含まれ、それらが監査人が特に注意を払った事項となることがある。また、監査人が特に注意を払った事項には、財務諸表に明記されていない事項が含まれることがある(新しいITシステムの導入など。A18項)。 2 監査上の主要な検討事項の報告 「監査上の主要な検討事項」区分の冒頭に以下を記載しなければならない(10項)。 監査報告書の「監査上の主要な検討事項」区分において、以下を記載しなければならない(12項)。 監査人は、監査上の主要な検討事項の記載に当たって、以下について留意することが適切である(A47項)。 3 監査役等とのコミュニケーション 監査人は、以下に関して監査役等とコミュニケーションを行わなければならない(16項)。 4 比較情報 財務諸表に比較情報が含まれる場合、監査人は、比較情報にかかる監査意見の表明方式が比較財務諸表方式か対応数値方式かにかかわらず、過年度の財務諸表監査に関連する監査上の主要な検討事項について、監査報告書において改めて記載する必要はない(A10項)。 ただし、当年度の財務諸表監査には比較情報に対する監査手続が含まれるため、監査人は、比較情報に対する監査手続を含めた当年度の財務諸表監査において特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定する(A10項、A33項)。 また、監査人は、前年度の監査報告書に記載された監査上の主要な検討事項の内容を当年度の監査報告書において更新することは求められていない(A11項)。 ただし、前年度の財務諸表監査における監査上の主要な検討事項が、当年度の財務諸表監査においても引き続き監査上の主要な検討事項であるかどうかを検討することは有用なことがある(A11項)。 Ⅲ 「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」の主な改正内容 監査人は、適用される財務報告の枠組みにより要求される事項に基づき、特に以下を評価しなければならないとされている。当該事項に関して、次の改正を行う(11項)。 また、監査報告書には、「監査意見」区分に続けて「監査意見の根拠」という見出しを付した区分を設け、以下を記載しなければならない(26項)。 そのほか、「財務諸表の監査における監査人の責任」(36項)における「継続企業の前提の評価」、「表示及び注記事項の検討」などの項目や、「財務諸表が適正表示を達成しているかどうかに関する評価」(12項、A7~A9項)、「我が国における職業倫理に関する規定」(26項(3)、A34項、A35項)、《付録 財務諸表に対する監査報告書の文例》など多くの項目が改正される。 Ⅳ 適用時期等 「監査上の主要な検討事項」に関する改正は、平成33(2021)年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する。 ただし、平成32(2020)年3月31日(米国証券取引委員会に登録している会社においては平成31(2019)年12月31日)以後終了する事業年度に係る監査から早期適用することができる。 これ以外の改正は、平成32(2020)年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する(違法行為に関連する事項など、別途、規定されているものがある)。 (了)
《速報解説》 会計士協会、違法行為対応指針を受け 「財務諸表監査における法令の検討」等を改正 ~違法行為の疑いが監査報告書に及ぼす影響等を規定、 2019.4.1以後開始事業年度に係る監査等から~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2018(平成30)年10月19日、日本公認会計士協会は、以下のものを公表した。これにより、2017(平成29)年10月6日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、国際会計士倫理基準審議会(International Ethics Standards Board for Accountants:IESBA)の倫理規程の改正を受けて、倫理規則の改正及び新たに策定された「違法行為への対応に関する指針」を公表しており、これに合わせて、関連する監査基準委員会報告書等の改正について検討を行ったものである。 ①監査基準委員会報告書250「財務諸表監査における法令の検討」の改正に伴って②から⑥までが改正されているので、以下では主に①の改正について解説する。 なお、「監査基準委員会報告書の公開草案に対するコメントの概要及び対応について」も公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 監査基準委員会報告書250「財務諸表監査における法令の検討」の主な改正内容 1 範囲及び定義 監査人は、企業の違法行為について、法令や職業倫理に関する規定による追加の責任を有することがある。例えば、「違法行為への対応に関する指針」の要求事項について規定している(9項)。 「違法行為」には、委託先業者等の企業の指示の下で働く者によって行われる法令違反となる行為も含まれることを明示している(11項、A8項)。 2 違法行為の例示 次の法令の例を追加している(A6項)。 違法行為には、企業の事業活動に関連する個人の違法行為が含まれる(A9項)。 例えば、重要な管理職が、個人の立場で、企業の仕入先から賄賂を受領し、見返りに企業への業務提供や契約締結のために当該仕入先を選定することを確約する場合がある(A9項)。 「財務諸表監査における法令の検討」(監査基準委員会報告書250)のA17項では、違法行為の兆候の例を示している。 当該規定に関して、「企業から会計処理について相談を受けたこと」を違法行為の兆候となる具体事例(監基報250第A17項)の1つとして加えることを提案するコメントが寄せられている(コメントNo.3)。 当該コメントに対しては、企業から会計処理の相談を受けること自体は、監査において日常的に行われることであるため、違法行為又は不正の兆候の事例としては追加しないとの対応が示されている。 3 違法行為又はその疑いが監査報告書に及ぼす影響 監査人が25項から27項に従って除外事項付意見を表明する場合、違法行為又はその疑いが監査報告書において報告される(A25項)。 特定の他の状況において、例えば、以下の場合、監査人が違法行為又はその疑いを報告することがある。 4 監査契約の解除 監査人は監査契約の解除が適切であると判断する場合でも、監査契約の解除により違法行為又はその疑いに対応するための法令や職業倫理に関する規定に基づくすべての責任を果たしたことにはならないと規定されている(A24項)。 さらに、「監査人の交代」(監査基準委員会報告書900)では、職業倫理に関する規定に基づき、前任監査人に対して、監査人予定者の要請により、違法行為に関する情報を監査人予定者に提供することを求めている(A24項、監基報900 第9項)。 5 適切な規制当局への違法行為又はその疑いの報告 監査人は、識別された違法行為又はその疑いがある場合、以下に該当するかどうかを判断しなければならない(28項)。 上記に関して、適用指針では、適切な規制当局に違法行為又はその疑いを報告することが、以下の理由により、要求されている、又は適切である場合があると規定している(A27項からA32項)。 Ⅲ 監査基準委員会報告書900「監査人の交代」の主な改正内容 前任監査人は、前任監査人が監査契約の締結の辞退又は契約の解除を行った場合、監査人予定者の要請に基づいて、監査人予定者が監査契約の締結の可否を判断する前に知っておく必要があると前任監査人が判断した違法行為又はその疑いに関するすべての事実と情報を監査人予定者に提供しなければならない(13-2項、「違法行為への対応に関する指針」30項)。 また、前任監査人は、監査人予定者及び監査人と協議することについて会社から同意を得られない場合、その事実を監査人予定者及び監査人に開示しなければならない(16項)。 Ⅳ 適用時期等 2019(平成31)年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。 (了)
《速報解説》 国税庁より改正相続税法基本通達等のあらまし(情報)が公表される ~特例事業承継税制の関連項目ではケースごとの図解も~ Profession Journal編集部 国税庁は10月12日に、本年7月公表の「相続税法基本通達等の一部改正」に関する情報を公表、平成30年度税制改正を受けた改正通達の趣旨を明らかにした。 今回公表されたのは、平成30年度税制改正を受け7月3日付けで公表された「相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」(※)で改正・新設された主な項目について、その趣旨を説明したもの。 (※) 「相続税法基本通達」(法令解釈通達)の他、「贈与税の非課税財産(公益を目的とする事業の用に供する財産に関する部分)及び持分の定めのない法人に対して財産の贈与等があった場合の取扱いについて」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)について改正が行われている。 改正通達では、今年度改正で創設された事業承継税制の特例措置について大幅に項目が新設されているが、あらまし(情報)(P75)にもあるとおり、「この特例措置の基本的な仕組みは一般措置と同様であり、特例措置の規定の多くは、一般措置の各規定を準用する形で規定されている」ことから、新設された項目の多くも一般措置の措置法通達を準用する旨の趣旨が示されている。ただし、特例措置では複数の株主から複数(最大3名)の後継者への承継パターンも認められていることから(※)、措置法通達70の7の5-3(特例対象受贈非上場株式等の贈与の意義等)など関連する項目の説明(P80)においては、次のような適用判定に関する図表等が適宜掲載されている。 (※) 一般措置では30年度改正により複数人の株主から1人の後継者への承継が認められるようになった。 「特例経営承継受贈者」の数の判定 (※) 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)P83より また今年度改正では小規模宅地等特例の見直しが行われ、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供されていた宅地等(相続開始前3年を超えて引き続き一定の貸付事業を行っていた被相続人のその貸付事業の用に供されたものを除く)が貸付事業用宅地等の範囲から除かれることとされた。 ここで、被相続人が行う一定の貸付事業には、事業と称するに至らない「準事業」は含まれないが、この準事業となるか否かの判定において、いわゆる5棟10室基準を定めた所基通26-9(建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定)及び27の2(有料駐車場等の所得)を用いることなどを定めた措置法通達69の4-24の4(特定貸付事業の意義)の趣旨についても説明されている(P32)。 貸付事業の態様と所得区分 (※) 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)P33より (了)
2018年10月18日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.290を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。