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《速報解説》 平成30年度税制改正法案、第196回通常国会に提出される

 《速報解説》 平成30年度税制改正法案、第196回通常国会に提出される   Profession Journal 編集部   平成30年1月22日から会期がスタートした第196回通常国会だが、このたび昨年12月公表の平成30年度税制改正大綱を受けた、いわゆる平成30年度税制改正法案が国会に提出された。 平成30年度税制改正法案は、例年通り国税に関する改正案である「所得税法等の一部を改正する法律案」に加え、国際観光旅客税の創設を規定した「国際観光旅客税法案」が別の法案として提出されている(2月2日付)。また地方税関係は2月6日に「地方税法等の一部を改正する法律案」が提出された。 各法案は次の財務省(国税関係)及び総務省(地方税関係)のホームページでそれぞれ確認することができる。 (※) 所得税法等の一部を改正する法律案の新旧対照表は本稿公開時点で未公表。 今回の法案では大綱に記載のあった通り、個人所得課税における給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替え、法人課税では所得拡大促進税制の大企業・中小企業ごとの制度改組(措法42の12の5)や研究開発税制等における賃上げ等要件の追加(措法42の13)、資産課税では事業承継税制の特例制度の創設(措法70の7の5~70の7の8)などが織り込まれている なお、これらの法案は3月31日に公布される見込みだが、衆議院又は参議院の議案情報のページでは各法案の審議の経過を確認することができる。 また、今国会の会期は6月20日までとなっており、いわゆるIoT設備投資減税(措法42の12の6)に関連する生産性向上特別措置法案等、各特例措置と連動した法改正の成立動向にも注目される。 (了)

#No. 254(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2018/02/07

《速報解説》 国税庁、平成29年度改正に係る「外国子会社合算税制に関するQ&A」を公表~ペーパーカンパニー等の判定などに関する疑問点・典型例を解説~

《速報解説》 国税庁、平成29年度改正に係る「外国子会社合算税制に関するQ&A」を公表 ~ペーパーカンパニー等の判定などに関する疑問点・典型例を解説~   税理士 長谷川 太郎   国税庁は、平成30年1月31日付で、「平成29年度改正 外国子会社合算税制に関するQ&A(情報)」を公表した。 本稿では以下のとおり、その内容について解説する。   1 Q&Aの概要 本Q&Aは、外国子会社合算税制に関する平成29年度税制改正の内容(外国関係会社の平成30年4月1日以後開始事業年度から適用)等のうち、以下の3項目に関する疑問点や典型的な例をQ&A形式でまとめたものとなっている。また、具体的なQ&Aの他に、制度の解説も掲載されている。   2 ペーパーカンパニー等について 平成29年度税制改正により、ペーパーカンパニー等は「特定外国関係会社」として、租税負担割合が30%以上の場合を除き、会社単位の合算課税の適用を受けることとされている。 この場合のペーパーカンパニー等とは、「実体基準」及び「管理支配基準」のいずれにも該当しない外国関係会社とされている(措法66の6②二イ)。「実体基準」及び「管理支配基準」は経済活動基準(改正前の「適用除外基準」)における「実体基準」及び「管理支配基準」と基本的に同じ内容となっているが、ペーパーカンパニー等の判定における「実体基準」については、固定施設の所在地が本店所在地国に限定されていないことに留意されたい。 本Q&Aでは、実体基準についてQ1~3、管理支配基準についてQ4~Q8が公表されているが、昨年12月21日付け(ホームページ公表は本年1月9日)で公表された改正租税特別措置法関係通達により新設された以下の通達に沿った内容となっている。 なお、本Q&Aは、改正前の適用除外基準における両基準の取扱いを変更するものではないとされている。 Q&Aの要旨は以下の通りである。   3 対象外国関係会社の判定に係る経済活動基準における航空機リースについて 平成29年度税制改正により、「事業基準」を充足しないとされている「船舶もしくは航空機の貸付を主たる事業」から一定の航空機リース業が除外されることとなった。条文上は「航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社のうちその役員(括弧書省略)又は使用人がその本店所在地国において航空機の貸付けを的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること(措法66の6②三イ)」が要件とされているが、その中の「通常必要と認められる業務」の範囲(Q9)と「通常必要と認められる業務の全てに従事している」かどうかの判定(Q10)についてQ&Aが公表されている。   4 部分適用対象金額に係る合算課税の対象範囲について 平成29年度税制改正において、部分合算課税の対象となる所得が「受動的所得」として見直され、範囲が拡大されるとともに、租税回避リスクを所得類型ごとに判断し、外国関係会社にその所得を得るだけの実質を備えていると考えられるものを個別に除外する形としている。 本Q&Aでは以下の3種類の所得について、個別に除外することができる内容についてQ&Aが公表されている。 (了)

#No. 254(掲載号)
#長谷川 太郎
2018/02/07

《速報解説》 会計士協会、IESBAによる倫理規程の見直しを受け、「独立性に関する指針」及び「職業倫理に関する解釈指針」の改正(公開草案)を公表~担当者の区分ごとにインターバル期間を設定~

《速報解説》 会計士協会、IESBAによる倫理規程の見直しを受け、「独立性に関する 指針」及び「職業倫理に関する解釈指針」の改正(公開草案)を公表 ~担当者の区分ごとにインターバル期間を設定~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成30年1月26日、日本公認会計士協会は、以下の公開草案を公表し、意見募集を行っている。 これは、2017年1月の国際会計士連盟(International Federation of Accountants)における国際会計士倫理基準審議会(International Ethics Standards Board for Accountants) の倫理規程(Code of Ethics for Professional Accountants)の改正において、監査業務及びその他の保証業務における担当者の長期的関与とローテーションに関する改正が行われたことを受けたものである。 意見募集期間は、平成30年2月26日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「独立性に関する指針」の主な改正案 担当者の長期的関与とローテーションに関して、担当者が長期間にわたって監査業務に関与する場合、当該者の公正性及び職業的懐疑心に影響を与え得る馴れ合い及び自己利益の阻害要因が生じ、その重要性が高くなる可能性について詳細に述べ、セーフガードの適用について規定している(150-1項~150-5項)。 インターバル期間について次のように見直されている。 (出所:「「独立性に関する指針」及び「職業倫理に関する解釈指針」の改正に関する公開草案の概要」の2ページの図表を一部加工) 筆頭業務執行責任者とは、監査業務の業務執行責任者のうち、その事務を統括する者として監査報告書の筆頭に自署し、自己の印を押す者1名をいう(139項)。 現行では、同一のインターバル期間が適用されていたが、改正案では、3つの分類に基づき、異なるインターバル期間が適用されることになる。 また、関与期間については、累積期間でカウントすることになる(151-1項、151-2項等)。   Ⅲ 「職業倫理に関する解釈指針」の主な改正案 主に、次のQ&Aについて見直しを行っている。 図表などを用いて様々なケースについて述べているので、非常に参考となる内容である。   Ⅳ 適用時期等 (了)

#No. 254(掲載号)
#阿部 光成
2018/02/02

プロフェッションジャーナル No.254が公開されました!~今週のお薦め記事~

2018年2月1日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.254を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2018/02/01

monthly TAX views -No.61-「今年の税制議論は金融所得税制の見直し」

monthly TAX views -No.61- 「今年の税制議論は金融所得税制の見直し」   中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹   少し気が早い気がするが、今年の税制改正は、金融所得課税を中心とした議論になりそうだ。 その根拠は以下の2つである。 *  *  * 第1は、所得再分配機能の強化への国民の支持である。 平成30年度の所得税改正により、850万円を超えるサラリーマンの税負担が引き上げられるなどの税制改正が決まったが、直後の12月18日の日経新聞世論調査では、55%が賛成、反対は30%であった。 今回の改正はネットで800億円程度の増税(国・地方)であり、これが世論に受け入れられたという事実は、政治的にも大きい。所得再分配機能の強化で残る項目としては、現在20%(国・地方)の分離課税になっている株式配当や利子など、金融所得課税の税率の見直しである。 与党税制改正大綱では「金融所得に対する課税のあり方については、・・・税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から・・・諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討する」と明記されている。 具体的には、申告所得1億円を超えると所得税実効税率が下がっていくが、その原因が、金融所得を他の所得と分離し低率(国税15%)で課税する「分離課税」「最高税率より低い金融所得税率」にあるので、それを見直したいということである。 *  *  * 第2の理由は、消費税軽減税率導入の財源探しである。 前回述べたように、軽減税率導入による減収額は1兆円と見積もられており、法律で「安定的な恒久財源を確保するため、平成30年度末までに歳出及び歳入上の措置を講じる」ことが義務付けられている。 そのうち4,000億円は総合合算制度の取りやめで手当てされており、30年度税制改正で手当てされたたばこ税増税2,500億円、先ほどの所得税・住民税増税800億円と合わせると、足りないのは3,000億円弱ということになる。 これが金融所得税制の見直しにつながるということである。 *  *  * これに関する筆者の考え方は、見直しの方向には賛成だが、株式市場に与えるインパクトは大きく、総合的で十分な議論や検討が必要だ、とりわけ見直しとセットで、国民の資産形成に関する優遇税制を見直すべきだ、ということである。ましてや、軽減税率の財源探しということでの見直しでは、国民の支持は得られない。 具体的には、所得再分配機能の強化であれば、もう少し精緻な統計に基づいて議論すべきこと、NISAの恒久化、あるいは日本版IRAの導入、金融所得一体課税の深化などとセットで行うことと、一挙に税率を引き上げるより、2段階税率(例えば一定の金融所得を超えると30%)にすることなど、株式市場に与えるインパクトの少ない方法も組み合わせることが必要ではないか、ということである。 ちなみに筆者は、消費税軽減税率ほど政策意義のない、国民や事業者にコストを振りまく税制はなく、直ちに撤回すべきであり、低所得者対策は給付(給付付き税額控除)で行うべきという立場であることを改めて付け加えておきたい。 (了)

#No. 254(掲載号)
#森信 茂樹
2018/02/01

〔平成30年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】「「研究開発税制の見直し」及び「特定資産の買換え特例の見直しと適用期限延長」」

〔平成30年3月期〕 決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】 「「研究開発税制の見直し」及び 「特定資産の買換え特例の見直しと適用期限延長」」   公認会計士・税理士 新名 貴則   平成29年度税制改正における改正事項を中心として、平成30年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。【第1回】は、適用される法人税率の確認、及び中小企業の設備投資減税の見直しについて解説した。 【第2回】は、研究開発税制の見直し、及び、特定資産の買換え特例の見直しと適用期限延長について、平成30年3月期決算申告において留意すべき点を解説する。   1 研究開発税制の見直し 研究開発税制とは、青色申告書を提出している法人において試験研究費が発生する場合に、その金額の一定割合について税額控除が認められる制度である。 平成29年3月期までは平成27年度税制改正による制度が適用されており、基本の税額控除である「総額型」及び「オープンイノベーション型」、これに加えて上乗せの税額控除である「増加型」と「高水準型」(いずれか選択適用)が設けられていた。 【平成29年3月期における研究開発税制のイメージ】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) (平均売上高に対する試験研究費の割合-10%)×0.2 これが平成29年度税制改正によって見直されており、その主なポイントは次の通りである。 ① 試験研究費の範囲の拡大 従来は「製品の製造及び技術の改良・考案・発明に係る試験研究費」が対象であり、製造業を念頭に置いた制度であった。これが改正により、「第4次産業革命型の新サービスの開発に係る試験研究費」が対象に追加され、AIやビッグデータ等を活用したサービス開発のための費用も対象に加わった。 この具体例は次のようなものである。 ② 「総額型」の税額控除率の見直し(平成31年3月31日まで) 研究開発費投資を増加させることへのインセンティブとして、試験研究費の増減割合に応じて控除率が次のように見直された。 ③ 「総額型」の控除限度額の上乗せ(平成31年3月31日まで) 「総額型」の控除限度は法人税額の25%となっているが、改正により、一定の要件を満たす場合には控除限度額が次の通り上乗せされることとなった。ただし、「高水準型」との選択適用である点に注意が必要である。 ④ 「オープンイノベーション型」の手続の緩和 「オープンイノベーション型」の実務上の手続や要件を、共同研究等の実態に合わせて緩和している。主な改正のポイントは次の通りである。 ⑤ 「増加型」を廃止 上乗せの控除として「高水準型」との選択適用が認められていた「増加型」を、平成29年3月31日をもって廃止し、新たに「総額型」の中に投資増加インセンティブとして組み込んでいる。 ⑥ 「高水準型」を延長 上乗せの控除である「高水準型」の適用期間を、平成31年3月31日まで2年間延長している。 【平成30年3月期における研究開発税制のイメージ】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※1) (平均売上高に対する試験研究費の割合-10%)×0.2 (※2) 上記の主な改正ポイント③を参照   2  特定資産の買換え特例の見直しと適用期限延長 「特定資産の買換え特例」とは、法人が所有する特定の資産(譲渡資産)を譲渡し、譲渡日を含む事業年度において特定の資産(買換資産)を取得し、1年以内に事業供用した場合又は供用する見込みである場合に、買換資産について圧縮記帳の適用を受けることができる制度である。 適用期間は平成29年3月31日までとされていたが、平成29年度税制改正により3年間(平成32年3月31日まで)延長されている。したがって、平成30年3月期の決算申告においては適用がある。 また、平成29年度税制改正において、主に次の見直しを行っている。 ① 農業用資産の買換え等 次の買換えについては、経過措置を講じた上で、その期限到来をもって適用対象から除外する。 ② 既成市街地等の内から外への買換え 次の資産を適用対象から除外する。 ③ 長期所有の土地、建物等の買換え 長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物等への買換えにおける対象資産を、次の通り見直す。 ④ 船舶の買換え 船舶から船舶への買換えについて、主に下記の通り見直しを行う。 (了)

#No. 254(掲載号)
#新名 貴則
2018/02/01

移転価格文書化におけるローカルファイルの作成期限前チェックポイント 【第3回】

移転価格文書化における ローカルファイルの作成期限前チェックポイント 【第3回】 (最終回)   太陽グラントソントン税理士法人 マネジャー 税理士 川瀬 裕太 2 「国外関連取引に係る独立企業間価格を算定するための書類」のチェックポイント (1) 選定した独立企業間価格の算定方法及び選定理由(措規22の10①二イ) ① 記載内容 法人が選定した独立企業間価格の算定方法の内容及びその算定方法が最も適切であると判断した理由を説明する。 ② 準備書類 法人が選定した独立企業間価格の算定方法及びその選定過程を記載した書類 最も適切な独立企業間価格の算定方法が再販売価格基準法、原価基準法及び取引単位営業利益法である場合の利益率を検証する当事者の名称及びその当事者を検証対象とする理由並びに利益水準指標及びその利益水準指標を採用した理由を記載した資料 法人が選定した独立企業間価格の算定方法を国外関連取引に適用した算定結果を記載した書類 検証の結果、独立企業間価格で取引されていなかった場合の価格調整方法を記載した書類 比較対象取引の複数年度のデータを用いて独立企業間価格を算定する場合の理由及び適用する比較対象取引の年度を記載した書類 法人が選定した独立企業間価格の算定方法を適用するにあたっての重要な前提条件に関する事項を説明した書類 ③ チェックポイント (2) 比較対象取引の選定(措規22の10①二ロ) ① 記載内容 法人が比較対象取引を用いて独立企業間価格を算定するに当たり、比較対象取引をどのような基準に基づいて選定したのかを説明する。 比較対象取引に係る企業の概況等を説明する。 ② 準備書類 比較対象取引の内容及び比較対象取引に係る両当事者の機能等を記載した書類 比較対象取引として利用可能と判断した理由、検討過程及び選定した時期を記載した書類 法人が採用した比較対象取引の価格又は利益率及びその計算に使用した財務データ ③ チェックポイント (3) 利益分割法を用いた場合の計算(措規22の10①二ハ) ① 記載内容 法人が独立企業間価格の算定方法として利益分割法及び利益分割法に準ずる方法を選定した場合に、法人及びその国外関連者に帰属する利益の計算の過程を説明する。 ② 準備書類 利益分割法の分割対象となる合算損益の算定に関する書類 (残余利益分割法を適用する場合)基本的利益の算出過程及び使用した財務データ 分割対象損益又は残余利益等を配分するために使用した分割要因及びその分割要因が法人又は国外関連者のどの部署の何の費用なのかを記載した書類 分割要因が分割対象損益等の発生について寄与した程度を推測するに足りるものと判断した理由を記載した書類 ③ チェックポイント (4) 複数取引を一の取引とした場合の合理性(措規22の10①二ニ) ① 記載内容 複数の取引のそれぞれの内容及び取引条件とともに、複数の取引を一の取引として独立企業間価格を算定することが合理的であると認められる理由を説明する。 ② 準備書類 一の取引とした国外関連取引のそれぞれの内容及び各取引の関連性を記載した書類 一の取引として独立企業間価格の算定を行うこととした検討過程を記載した書類 ③ チェックポイント (5) 差異の調整(措規22の10①二ホ) ① 記載内容 差異調整を行った場合の調整の理由やその方法を説明する。 具体的な説明は、事務運営指針4-3(差異の調整方法)を参考にして記載する。 ② 準備書類 差異調整の対象となる項目、差異の内容及び差異が取引価格又は利益率等に影響を及ぼすことが客観的に明らかであると判断する理由が記載された書類 具体的な差異の調整方法、その調整が適切であると判断した理由及びその調整に使用した財務データ 差異調整を行った結果の取引価格又は利益率が記載された書類 ③ チェックポイント (連載了)

#No. 254(掲載号)
#川瀬 裕太
2018/02/01

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第23回】

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第23回】   公認会計士 佐藤 信祐   (《第2章》 平成13年度税制改正) (15) 青色欠損金 『平成13年版改正税法のすべて』197-208頁(大蔵財務協会、平成13年)では、青色欠損金の繰越控除の改正内容として、①被合併法人等の未処理欠損金額の引継ぎ、②未処理欠損金額の引継ぎ等に係る制限について記載されている。 平成13年当時では、合併類似適格分割型分割を行った場合にも、分割法人の繰越欠損金を分割承継法人に引き継ぐことが認められていたが、平成22年度税制改正によりその制度は廃止され、清算を行った場合における完全子会社の残余財産の確定を除き、組織再編による繰越欠損金の引継ぎは、適格合併を行った場合に限定されることになった。 組織再編税制の制度趣旨を探るうえで、最も重要な論点の1つとして、上記②未処理欠損金額の引継ぎ等に係る制限が挙げられる。『平成13年版改正税法のすべて』199頁では、 と解説されている。 すなわち、税制適格要件の判定が、合併の直前とその後の継続見込みで判定することから、合併の3ヶ月前に完全支配関係が成立した場合であっても、100%グループ内の合併に該当するため、繰越欠損金の引継制限、使用制限が設けられたことを意味する。しかし、支配関係が生じてから5年を経過していない合併の全てに制限を課してしまうと、円滑な組織再編を阻害することから、みなし共同事業要件が設けられたという整理になる。 そして、具体的に引継制限、使用制限の対象となる金額は、①支配関係事業年度前の繰越欠損金、②支配関係事業年度以後の繰越欠損金のうち特定資産譲渡等損失相当額から成る部分の金額である。 このような整理を行った理由として、『平成13年版改正税法のすべて』202頁では、 と解説されている。 すなわち、支配関係が生じる前の繰越欠損金と資産の含み損を制限すべきところ、支配関係発生日から合併の直前までの間に、当該資産の含み損のうち、実現したものについては繰越欠損金の制限を課し、実現していないものは、合併後に実現するものに対して特定資産の制限を課したという整理になる。 そして、みなし共同事業要件のうち、「特定役員引継要件」において、合併の場合には、合併前の特定役員を合併後に特定役員として引き継ぐことを要件としながらも、分割・現物出資の場合において、分割法人又は現物出資法人から特定役員として引き継ぐべき者を分割・現物出資前の「役員等」としたことにつき、『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』106頁(日本租税研究協会、平成13年)では、「分割法人等の資産等の一部のみが移転する」からであると説明されている。 さらに、みなし共同事業要件を満たさない場合であっても、時価純資産超過額がある場合には、繰越欠損金の引継制限、使用制限及び特定資産譲渡等損失の損金不算入がそれぞれ緩和されている。この点につき、『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』95頁では、新たにグループに加入した法人に繰越欠損金がある場合であっても、資産の含み益がある場合には、繰越欠損金を利用するために組織再編を行ったとは言えないためであると説明されている。 このように、繰越欠損金の引継制限、使用制限については、かなり細かい規定がなされているが、「支配関係が生じてから5年」「みなし共同事業要件」「時価純資産超過額」などの概念がそれぞれどのようにできたのかを理解しておけば、全体像がつかめるであろう。 まず、5年ルールは、当時の法人税法の繰越欠損金の繰越期限が5年であったからである(※1)。その後、7年、9年、10年と繰越期限が伸びていったが、組織再編税制では5年のままであった。これは、7年、9年、10年だとあまりに長すぎることが理由であったと説明されているが(※2)、5年と繰越期限の差を利用して、買収してから5年間放置した後に合併を行うといった手法が考えられるようになった。これが節税の範囲なのか、租税回避に該当するのかは争いがあろうが、本稿では、その分析を省略することとする。 (※1) 佐々木浩(発言)仲谷修ほか『企業組織再編税制及びグループ法人税制の現状と今後の展望』59頁(大蔵財務協会、平成24年)参照。 (※2) 佐々木前掲(※1)59頁。 そして、「みなし共同事業要件」は、前述のように、買収してから5年以内に合併する場合に、共同事業要件よりも要件が緩い100%グループ内の組織再編、50%超100%未満グループ内の組織再編に該当してしまうことから、繰越欠損金を利用した買収が行われることが懸念されたためである。 最後に、時価純資産超過額がある場合には、新たにグループに加入した法人に繰越欠損金がある場合であっても、資産の含み益がある場合には、繰越欠損金を利用するために組織再編を行ったとは言えないためである。資産の含み益のなかに、有形資産のみならず、営業権のような無形資産が含まれるかどうかは争いがあったが、平成22年頃には、無形資産を含めても構わないという解釈が主流となり、とりわけ、営業権については、買収価額と時価純資産価額との差額概念により算定するといった事例が見受けられるようになった。 このように整理してみると、一つひとつの条文は難解であるものの、その全体像は、かなり理論的に構築されているということが分かると思う。 *   *   * 次回では、特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入について解説を行う予定である。 (了)

#No. 254(掲載号)
#佐藤 信祐
2018/02/01

相続空き家の特例 [一問一答] 【第30回】「登記事項証明書で「相続空き家の特例」を受けられる家屋であることについての証明ができない場合」-相続空き家の特例を受ける場合の添付書類-

相続空き家の特例 [一問一答] 【第30回】 「登記事項証明書で「相続空き家の特例」を受けられる家屋であることについての証明ができない場合」 -相続空き家の特例を受ける場合の添付書類-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、父親が相続開始の日まで単独で居住の用に供していた家屋(未登記)及びその敷地を、昨年3月に父親の相続により取得し、その家屋を取り壊して更地にし、昨年9月に売却しました。 その家屋は相続の時から取壊しの時まで空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用の土地でしたので、「相続空き家の特例(措法35③)」を適用して申告しようと考えています。 取り壊した家屋は未登記であったため、昭和56年5月31日以前に建築されたこと、区分所有建物ではないこと、そして父親から相続したことについて登記事項証明書では証明することができないのですが、どのようにして申告をすればよいのでしょうか。 A 例えば、建築に関する請負契約書、固定資産税課税台帳の写し、遺産分割協議書など、「相続空き家の特例」の適用要件に該当する家屋であることの証明ができる書類を添付して確定申告をすることとなります。 ●○●○解説○●○● 「相続空き家の特例」を受ける場合の確定申告書には、次の書類を添付することとされています(措規18の2②二)。 このうち、上記(2)の(ⅰ)から(ⅲ)の事項について登記事項証明書では証明できない場合(例えば未登記家屋である場合など)であっても、次のような書類でこれらの要件を満たしていることを明らかにする書類を確定申告書に添付した場合に限り、「相続空き家の特例」の適用があるとされています(措通35-26(登記事項証明書で特例の対象となる被相続人居住用財産であることについて証明ができない場合))。 したがって、本事例の場合、上記のような書類を確定申告書に添付して申告することとなります。 (了)

#No. 254(掲載号)
#大久保 昭佳
2018/02/01

計算書類作成に関する“うっかりミス”の事例と防止策 【第22回】「単純なミスほど防ぎにくい~数字の転記ミス」

計算書類作成に関する “うっかりミス”の事例と防止策 【第22回】 「単純なミスほど防ぎにくい~数字の転記ミス」   公認会計士 石王丸 周夫   3月決算の対応に追われる時期がやってきました。 連載開始から4年目となる今年も、計算書類作成時に陥りやすい『うっかりミス』の事例とその原因をご紹介していきますので、参考になさってください。 間違いさがしの形でお話していきますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。 (※) 「どういう連載なの?」と気になる方は、【第1回】の冒頭をお読みください。   1 今回の事例 計算書類のドラフトにはうっかりミスがつきものです。 たとえば、こんなミスをよく見かけます。 【事例22-1】 連結精算表から連結計算書類への転記ミス 【事例22-1】には、いわゆる転記ミスが1か所あります。 転記ミスとは、ある書類から別の書類に内容を書き写す際に発生するエラーです。ここでは、作業表である「連結精算表」から、開示書類である「連結計算書類(そのうち連結貸借対照表)」に転記する際に、数値を正確に書き写せなかったというミスがあります。 といっても、転記ミスした数字がどれなのか、一見しただけではわかりませんね。それを見つけるためには、転記元の連結精算表を持ってきて、見比べてあげなければなりません。 しかし、その前にやるべきことがあります。 転記先である連結貸借対照表のいずれかの数字が間違っているということは、計算チェックをすれば合計があわないはずなので、そのことを確かめるために、まず計算チェックをやってみることです。   2 これは単なるミスか? この事例では、計算チェックをすると、転記ミスした数字がすぐにわかります。答えを見てみましょう。正しく修正したところを赤丸で囲んであります。 負債合計の数字が間違っていたのですね。これは以下の計算からわかります。 【事例22-1】では、負債合計は57,095となっていました。一見すると同じ数字に見えますが、そこが落とし穴です。 負債合計の正しい数値57,905は、【事例22-1】の負債合計の数値57,095と、数字の並び順が違います。 いかにも起こりやすいミスですね。皆さんもこのようなミスをしてしまったことがあるのではないでしょうか。そして、ミスに気がついた時点で修正して終わりにしていると思います。 しかし、このミス、調べてみてわかったのですが、実は単なるミスではありませんでした。 ちゃんと原因があったのです。   3 ミスの原因は人間の深層心理にある 数字の転記ミスは、一般にその原因を特定できないことが多いです。何か原因があるはずですが、究明できないことがほとんどです。 しかし、今回紹介した【事例22-1】の場合は、その作成プロセスに着目すると、ミスの原因が見えてきます。 多くの会社では、会社法計算書類原稿を前年度の同原稿のデータから作成していきます。本連載で何度も述べたところですが、「データのリサイクル」という方法です。連結貸借対照表であれば、前年度の連結貸借対照表データをコピーして、当年度用のフォームを準備し、そこに当年度の数字を順次上書きしていくというやり方になります。 では、【事例22-1】の元データである前年度の連結貸借対照表(負債の部)を見てみましょう。 このデータに当年度の連結精算表の数値を上書きしていくことにより、当年度の連結貸借対照表を作成したわけです。さっそく、問題の箇所を見てください。負債合計の数値、赤丸で囲った部分は、「60,095」となっています。 【事例22-1】では、負債合計は「57,095」としていましたね。本来「57,905」と入力すべきところを「57,095」としてしまったのです。 このミスの原因が前年度の数値にあると気がつきましたか? 前年度の数値「60,095」の下3桁「095」に引きずられてしまったのです。 数値の上書き作業ではまず、転記元の連結精算表の数値「57,905」を認識します。次に、それを転記先の連結貸借対照表フォームに入力しますが、その際、すでに入力されている前年度の数値「60,095」を見て、下3桁は同じだと誤認してしまったことにより、先頭の2桁部分のみを「60」➡「57」と書き替え、「57,095」としてしまったのです。これが【事例22-1】のミスの発生プロセスです。 このミスからは、入力者の心理を読み取ることができます。 おそらくこの入力者は、5桁の数字のうち違う数字のみを入力することにより、「少しでも手間を減らしたい」と思っていたのではないでしょうか。 つまり、楽をして、エネルギーを温存したいと思ったわけです。 下3桁の数字が同じであると誤認してしまったのは、こうした心理が深層にあって、入力の手間を減らせる数字の並びに見えてしまったからでしょう。人間は見たいものをそこに見るものであり、そして、これは誰にでも起こり得ることなのです。   4 他にもこんな事例が! 参考までに、同じような転記ミスの事例をいくつか見ておきましょう。 【事例22-2】 連続する数字が含まれる場合の転記ミス 【事例22-3】 形の似ている数字を見間違えた転記ミス 【事例22-4】 連続する数字が含まれる場合のキー入力ミス 【事例22-5】 連続する0が含まれる数値のケタ認識ミス いずれのケースも、ミスの原因特定は難しいですが、人間が数字を認識する際に、あとほんの少しだけ注意をすれば防げたかもしれない数字パターンです。   5 決算書の表示単位を見直せないか では、こうしたミスを防ぐにはどうしたらよいでしょうか? これは、人間の心の奥底に関わる話ので、なかなか難しい問題です。あとほんの少しだけ注意をすればよいといっても、なにをどう注意すればよいのか、具体的には見えてきません。数字を単純に転記する作業であり、作業方法そのものには、特段改めるべき点はなさそうです。 そういう場合の最も確実な方法は、「転記作業をコンピューターに行わせる」ことです。 人間の認識ミスが原因なので、その作業を人間が行うことをやめ、機械に任せればよいという発想です。ここでは、転記作業を自動でやってくれる高度な経理システムを導入すればよいということになります。ただし、この方法は費用がかかるという難点があります。 そこで、この方法はあきらめるとして、人間が転記作業を行うにしても、その負担を多少でも軽減してあげることができるなら、ミスは減ります。 その方法の1つが、「決算書の表示単位の変更」です。 会社法決算書の表示単位については、「計算関係書類に係る事項の金額は、一円単位、千円単位又は百万円単位をもって表示するものとする」と規定されています(会社計算規則57条1項)。これらのうちいずれを選ぶかについては、特に定めはありません。一般には、会社の規模に応じた表示単位が選択されていると思われます。規模の大きな会社は百万円単位、規模の小さな会社は一円単位、それ以外の会社は千円単位というようにです。 要するに、表示される数字のケタが多すぎて読みにくいとか、逆に、少なすぎて不十分であるとか、そういった弊害がない限り、表示単位の選択は自由です。 以上を踏まえて、現状の決算書で、一円単位で表示している会社であれば千円単位に、千円単位で表示している会社であれば百万円単位に変更するのです。そうすることで転記作業の負担が軽減され、ミスが減ると考えられます。 なお、有価証券報告書では、数字の表示単位について、「財務諸表に掲記される科目その他の事項の金額は、百万円単位又は千円単位をもって表示するものとする」と規定されているので(財務諸表等規則10条の3)、有価証券報告書に載せる決算書についても、現状の決算書が千円単位の会社は検討の余地があります。 うっかりミスの軽減だけでなく、決算作業の効率化にもつながるので、百万円単位に変更できないか、一度は考えてみるとよいでしょう。   6 作業環境も大事 今回紹介したような数字パターンは、確かに間違いやすいものではありますが、そのパターンの数字が出てきたからといって、常に間違うわけでもありません。間違うこともあれば間違わないこともあるわけです。 では、その差は何かというと、そのとき発揮されている注意力の差による部分が大きいと考えられます。 そうであるならば、作業担当者の注意力が、担当業務以外のことで消耗しないようにすることが大事だといえます。 決算書の作成作業というのは、ある程度静かな場所でなければ、集中力が乱されてはかどりません。そうした作業環境が確保できていなければ、オフィスレイアウトを変更することも検討すべきではないでしょうか。 転記ミスのような単純なミスの発生については、作業環境にも目を向けて対策を考えるべきでしょう。 〈今回のまとめ〉 数字の転記ミスを防ぐコツは、作業者ができるだけ注意力を消耗しないですむような環境を整えてあげることです。 (了)

#No. 254(掲載号)
#石王丸 周夫
2018/02/01
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