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《速報解説》 国税庁より「移転価格ガイドブック」が公表~H29.7以降、企業の相談窓口を各国税局に設置~

《速報解説》 国税庁より「移転価格ガイドブック」が公表 ~H29.7以降、企業の相談窓口を各国税局に設置~   弁護士 下尾 裕   国税庁は、平成29年6月9日に、「移転価格ガイドブック~自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて~」(以下「移転価格GB」という)を公表した。   1 移転価格GBの位置付け 移転価格GBは、平成27年10月のOECDによる「BEPS最終報告書」の公表を含む世界レベルでの国際課税の動向及びこれらを踏まえた平成28年度税制改正における移転価格文書化制度の整備を踏まえ、国税庁が平成24年4月から推進している税務コーポレートガバナンスの一環として、移転価格税制の概要、及び、今回見直しを行った移転価格税制に関する事務運営の全体像を明らかにすることで、納税者一般の予見可能性を担保し、税務コンプライアンスのさらなる普及等の一助とすることを目的として公表されたものである。   2 移転価格GBの注目点 移転価格GBは、「Ⅰ 移転価格に関する国税庁の取組方針」、「Ⅱ 移転価格税制の適用におけるポイント」及び「Ⅲ 同時文書化対応ガイド」の3部構成となっており、各部の注目点としては以下の点が述べられる。 (了)

#No. 222(掲載号)
#下尾 裕
2017/06/19

プロフェッションジャーナル No.222が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年6月15日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.222を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/06/15

日本の企業税制 【第44回】「各国が署名した「BEPS防止措置実施条約」とは何か?」

日本の企業税制 【第44回】 「各国が署名した「BEPS防止措置実施条約」とは何か?」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   1 BEPS防止措置実施条約に各国が署名 6月7日、パリにおいて、わが国をはじめとする世界67ヶ国・地域が、「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)に署名、又は署名の意思を表明した。 なお、G20のうち米国、ブラジル、サウジアラビアが今回の署名(又は署名の意思表明)から漏れている。米国は、国別報告(CbCR)交換のための多国間権限のある当局合意にも参加しておらず、多国間よりも二国間の交渉にこだわる姿勢が見られる。 BEPSプロジェクトにおいて策定された種々の措置の実施のためには、各国の二国間租税条約の改正を要するものが多数存在する。二国間租税条約は世界でおよそ3,000本も存在しており、その1つひとつを個別交渉で改正していたのでは、その完了はいつになるかわからない。 そこで、今回の条約は、二国間租税条約においてBEPS防止措置を効率的に実現するため、今回の条約の締約国間の既存の租税条約にまとめて新たな措置を導入することを目的としている。 (※) 財務省ホームページより アンヘル・グリアOECD事務総長は、同日、「この多国間協定への署名は、租税条約の歴史における重要な転換点である。・・・この新協定は、署名諸国を二国間条約の再交渉という負担から解放するだけでなく、企業には確実性と予測可能性の向上、市民の利益にとっては国際租税制度の機能改善に繋がるものである。さらに本日の署名式は、国際社会が団結すれば、実効的に対処できない課題はないということを明らかにしている。」と述べた。   2 対象となる措置 今回の条約によって既存の二国間租税条約に導入されるBEPS防止措置は、 ①租税条約の濫用等を通じた租税回避行為の防止に関する措置、及び、 ②二重課税の排除等納税者にとっての不確実性排除に関する措置から構成され、具体的には、BEPSプロジェクトの次の行動計画に関する最終報告書(2015年10月)が勧告する租税条約に関連するBEPS防止措置が含まれている。 (※) 財務省ホームページより なお、BEPS最終報告書の内容は、①ミニマム・スタンダード(Minimum Standard)、②既存スタンダードの改正(Revision of Existing Standard)、③コモン・アプローチ(Common Approach)及び④ベスト・プラクティス(Best Practice)に分類されており、特に①は、全ての参加国・地域が必ず実施しなければならず、実施状況のモニタリングを受ける、という強い拘束力をもつものと位置づけられている。 今回の条約の対象とされている措置の中では、行動6と行動14がミニマム・スタンダードに該当している。   3 ミニマム・スタンダードとなる行動6・行動14 BEPS最終報告書では、行動6(租税条約の濫用防止)について、租税条約の濫用防止のため、租税条約において「特典資格条項」を盛り込むよう求められている。「特典資格条項」のあり方としては次の3つの選択肢がある。 PPT は特典の対象となる「取引」に着目し主観的な目的を精査するアプローチであり、LOB は特典を享受する「者」に着目し客観的な適格要件を設定するアプローチである。 BEPS最終報告書では、PPTは、次のような構成とされている。 一方LOBは、次のような構成とされている。 一方、行動14(相互協議の効果的実施)については、次の3点がミニマム・スタンダードとして勧告されている。 また、各国におけるミニマム・スタンダードの実施状況をモニタリングすることとされている。   4 今後の二国間租税条約への反映 今回署名された条約が最初に発効するのは、5ヶ国(地域)目の批准書、受諾書又は承認書(批准書等)が寄託された日から所定の期間が満了した後(3ヶ月を経過する月の翌月の1日)である。その後に批准書等を寄託する国・地域については、それぞれの寄託から所定の期間が満了した後に効力を生じる。 なお、わが国においては、本条約について批准書等を寄託するためには国会の承認が必要である。 また、今回の条約の各締約国は、その既存の二国間租税条約のいずれを今回の条約の適用対象とするかを任意に選択することができる。したがって、各二国間租税条約のいずれかの締約国が本条約の締約国でない場合、または、その租税条約を本条約の適用対象として選択していない場合には、今回の条約はその二国間租税条約については適用されない。 しかも、ある二国間租税条約が今回の条約の適用対象になった場合であっても、今回の条約の各締約国は、今回の条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定のいずれを既存の二国間租税条約について適用するかを所定の要件の下で選択することができることから、各二国間租税条約のいずれかの締約国がその規定を適用することを選択しない場合には、その規定はその二国間租税条約については反映されないこととなる。 なお、条約の各締約国が適用することを選択した今回の条約の規定は、原則として、今回の条約の適用対象となる全ての二国間租税条約について適用され、特定の二国間租税条約についてのみ適用すること又は適用しないことを選択することはできない。 (了)

#No. 222(掲載号)
#小畑 良晴
2017/06/15

「取引相場のない株式の評価」に関する財産評価基本通達の改正ポイント~類似業種の評価見直しと会社規模区分の変更~

  「取引相場のない株式の評価」に関する財産評価基本通達の改正ポイント ~類似業種の評価見直しと会社規模区分の変更~   税理士 柴田 健次   はじめに 国税庁は平成29年5月15日、取引相場のない株式等の評価見直しを中心とした財産評価基本通達の一部改正を公表し、平成29年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価から適用することとした。合わせて評価明細書の様式改正、本改正に関するあらまし(情報)も公表された。 今般の改正については、非上場株式の評価が相続税法の時価主義の下、より実態に即した評価となるように見直しが行われたものであるが、その背景には上場株式の急激な株価上昇により想定外に非上場株式の株価が高くなり、円滑な事業承継に支障をきたす恐れがあること等の諸問題がある。 国税庁から公表された「「財産評価基本通達の一部改正について」通達等のあらましについて(情報)」には、通達改正のあらましが掲載されているが、非上場株式の評価の改正内容は下記の2つとなる。   (1) 類似業種比準方式の見直し 改正前の類似業種比準価額の基本算式に今回の改正箇所を示すと、下記の通りである。 改正項目①から③の改正前後を比較すると、下記の通りとなる。 各改正項目を補足すると次の通りである。   (2) 会社規模の判定基準の見直し 評価会社の会社規模区分が変更され、中会社、大会社の適用範囲が拡大された。改正前後の会社規模区分はそれぞれ下記の通りとなる。 改正後のアミカケ部分が変更箇所となり、多くの会社が会社規模区分の変更に該当することが分かる。 会社規模の判定表(改正前) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 会社規模の判定表(改正後) (※) アミカケ部分が変更箇所 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 一般の評価会社の原則的評価の場合には、会社規模に応じて下記の通り計算がなされる。 上記の通り、中会社、大会社の適用範囲が拡大されたため、類似業種比準価額で計算する比率が高くなり、一般的には「類似業種比準価額 < 純資産価額」となることが多く、区分変更がある場合には株価が安くなる傾向にある。 また、会社の規模区分に変更があった場合には、(1)の類似業種比準価額の計算の斟酌率も変更になる。 土地保有割合(総資産価額のうちの土地等の価額の占める割合)が大会社の場合には70%以上、中会社の場合には90%以上に該当すれば、土地保有特定会社として純資産価額のみでの評価となるため、中会社から大会社に規模区分が変更された場合には、土地保有特定会社に該当していないか留意が必要となる。   (3) 改正の実務への影響 今回の改正で実務上の影響が大きいものとしては、配当金額:利益金額:純資産価額=1:1:1になったことである。株価が増額になるか減額になるかは各企業によっては異なるが、過去の利益が蓄積され純資産価額が多額となっている会社については、株価は高くなる傾向にある。それに対して、純資産価額がほとんどなく、利益が高額となるベンチャー企業の株価は安くなると考えられる。 事業承継が緊急の課題となっている会社については、前者のケースが多く、利益を圧縮しても従来よりも株価が下がりにくくなることが問題となり得る。 ただし、中会社、大会社の適用範囲の拡大により会社の規模区分が変わった場合には、類似業種の使用割合が高くなるため、結果として株価が低くなる会社が増えると予測される。一方、会社規模区分の変更の恩恵を受けない企業で、ある程度の純資産価額がある場合には、株価が高くなると予測される。 改正の影響は大きいため、実務においては、改正後の株価の算出が重要になるといえる。 (了)

#No. 222(掲載号)
#柴田 健次
2017/06/15

役員給与等に係る平成29年度税制改正 【第4回】「業績連動給与に関する改正」

役員給与等に係る平成29年度税制改正 【第4回】 (最終回) 「業績連動給与に関する改正」   西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士・ニューヨーク州弁護士 柴田 寛子     1 業績連動給与に関する改正 平成28年度税制改正下においては、「利益の状況を示す指標」に基づき支給額が算定される給与について「利益連動給与」と定義のうえ、損金算入の要件が定められていたが、平成29年度税制改正においては、指標の選択肢が拡大されたこと(下記2(3)参照)に伴い、「業績連動給与」と名称変更された。 また、平成29年度税制改正における業績連動給与に関する改正は、指標の選択肢の拡大に限らず、下記2に記載するとおり、(形式的には同族会社に該当することとなる)子会社であっても、非同族会社を親会社とするものについては、その役員にも業績連動給与を付与可能とするとの支給対象範囲の拡大や、金銭のみならず、一定の要件を満たす株式及び新株予約権による支給も含むとの支給手段の拡大などの改正も行われている。   2 主な改正点 以下では、平成29年度税制改正による業績連動給与に関する主な改正点を、法人税法34条1項3号に定める各要件毎に解説する。 (1) 対象範囲の拡大 従来、平成29年度税制改正前の利益連動給与の付与対象範囲は「非同族法人」の業務執行役員に限られていたが、平成29年度税制改正によって、「非同族法人」による完全支配関係がある場合には、同族会社が支給する法人の業務執行役員への業績連動給与にも損金算入が認められ得ることとなった。 これにより、例えば、(非同族法人に該当する)上場会社である持株会社の傘下の完全子会社・孫会社が支給する業績連動給与として、損金算入が認められ得ることとなった。 (2) 支給手段の拡大 平成29年度税制改正により、業績連動給与の支給手段として、金銭のほか、株式及び新株予約権が加わった。 法人税法34条1項3号の該当箇所を要約のうえ比較したものが下表であり、この内容をまとめたものが以下①から③となる。 ここで注意したいのは、業績指標に基づき「無償で取得され、又は消滅する数」が決まる方式での業績連動給与は、法人税法34条1項3号においては新株予約権に限定され、株式が含まれていないという点である。 そのため、業績連動給与として株式を交付する場合には、事後交付、つまり業績指標に基づき交付される株式数が算出された後に、当該数の株式を交付する方式が想定されており、業績目標達成を前提とした数の株式を一旦交付し、業績目標の「不」達成度に応じて株式が無償取得されるという、いわば事前交付型は、損金算入可能となる業績連動給与としては認められていないように見受けられる。 この点については、今後、当局による解説等において明らかとされるか注目したい。 (3) 指標の選択肢の拡大 支給額等の算定方法において用いることができる「指標」は、平成29年度税制改正により一層拡充された。具体的には、まず、一事業年度における指標の数値ではなく、複数事業年度における指標の数値を用いることが認められた。例えば、職務執行期間における将来のある時点の指標数値や、職務執行期間における一定期間の利益の平均額などを指標として用いることが認められる。 また、平成28年度税制改正により導入された「利益の状況を示す指標」(法人税法施行令69条10項)に加え、「株式の市場価格の状況を示す指標」(法人税法施行令69条11項)及び「売上高の状況を示す指標」(法人税法施行令69条12項)が追加された。なお、「売上高の状況を示す指標」については、他の2つの指標と同時に用いる場合のみ利用が認められる。 また、「利益の状況を示す指標」及び「売上高の状況を示す指標」について、有価証券報告書に記載されるものに限るとの要件は、平成29年度税制改正によっても変更はない。「株式の市場価格の状況を示す指標」に関しても、時価総額等、発行済株式総数を用いる場合には、有価証券報告書に記載される数を用いることが求められている(法人税法施行令69条11項3号)。 さらに、上記(1)記載のとおり、非同族法人の完全子会社の役員も業績連動給与の支給対象として認められることとなったが、この場合には、有価証券報告書提出会社である非同族会社(つまり、上場会社たる親会社)の「株式の市場価格の状況を示す指標」や、当該上場会社が提出する有価証券報告書に記載される指標を用いることとされている(法人税法施行規則22条の3第4項)。 (4) 手続要件-対象範囲拡充に伴う見直し 上記(1)から(3)の要件拡大に伴い、業績連動給与に関する手続的な要件についても下表のように一部改正された。 まず、算定方法に関する要件であるが、表の(A)②の要件に関しては、非同族法人の完全子会社に係る適正な手続(表の(注1))は、当該非同族法人(つまり親会社)の報酬委員会等が決定し、これに従った当該子会社の株主総会又は取締役会の決議を経ることとする旨、整理された(法人税法施行令69条16項)。 同様の状況において、表の(A)③の有価証券報告書における開示の要件は、非同族法人の完全子会社に関しては、当該非同族法人(つまり親会社)の有価証券報告書への記載により満たすことができるとされた(表の(注2))。 次に、表の(B)の交付時期に関する要件についても、支給手段として、金銭のほか、株式及び新株予約権が加わったことに対応する改正がなされている。なお、複数の指標を用いる場合には、最も遅い確定時から起算し、また、金銭と株式又は新株予約権とを合わせて支給する場合には、確定後2ヶ月以内とする旨、規定されている(法人税法施行令69条17項1号イ)。 上記のほか、「損金経理」の意義を明確化する改正も行われている(法人税法施行令69条19項)。   3 その他の留意点 (1) 業績連動給与の選択肢の拡大との側面 業績連動給与については、その要件が拡大(緩和)された結果、業績達成度に応じて交付される株式数が決定される株式交付信託、株価相当の現金を役員に交付するファントム・ストック、また、対象株式の市場価格が予め指定された価格を上回る場合に、その差額部分の現金を交付するストック・アプリシエーション・ライト(SAR)等も業績連動給与として損金算入が認められ得ることとなった。 もっとも、従来同様、その額又は数は、客観的な算定方法により一義的に定まることが必要であり、社長等の裁量の余地を残す算定方法である場合には、業績連動給与として損金算入することは認められない点には引き続き留意する必要がある。 (2) 損金算入の厳格化との側面 上記のとおり、平成29年度税制改正については、損金算入可能となる業績連動給与の選択肢が拡大したとの側面がある一方、退職給与のうち業績に連動するものは、業績連動給与の要件を満たす場合に損金算入が認められ、また、新株予約権についても、事前確定届出給与又は業績連動給与の要件を満たす場合に損金算入が認められるとのいわば厳格化の側面もある。 ただし、これらの厳格化に関する改正は、本年10月1日以後(新株予約権についてはその発行決議が本年10月1日以後となるもの)から適用されることとされている(所得税法等の一部を改正する等の法律(平成29年法律第4号)附則1条3号ロ及び14条)。 (連載了)

#No. 222(掲載号)
#柴田 寛子
2017/06/15

相続税の実務問答 【第12回】「代償分割により固有資産の移転があった場合」

相続税の実務問答 【第12回】 「代償分割により固有資産の移転があった場合」   税理士 梶野 研二   [答] あなたが所有する土地を代償分割によりお姉様に移転した場合には、その移転の時に、その時の時価によりその土地を譲渡したこととなります。したがって、この移転によりあなたに譲渡所得が発生することとなれば、所得税が課されることとなります。 この場合、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、お父様が昭和30年代にこの土地を取得した際の購入価額が基となります。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   ● ● ● ● ●  説 明 ● ● ● ● ● 1 代償分割による資産の移転 相続財産の全部又は一部を共同相続人のうちの1人又は数人に相続させるとともに、その者から他の共同相続人に対して金銭の支払い等の一定の債務を負担させる方法により行う遺産の分割の方法が代償分割です。 債務を履行する方法としては、相続財産の全部又は一部を取得する相続人が、他の共同相続人に対して金銭の支払いを行うケースが比較的多いのではないかと思われます。 しかし、相続財産の全部又は一部を取得する相続人が、その相続人が従前から所有する資産(固有資産)を、他の共同相続人に移転することにより行うこともできます。この場合には、次の2の(1)のとおり、その固有財産を移転した相続人に対する所得税課税の問題が生じます。 したがって、代償分割により固有資産を他の相続人に渡そうとする場合には、譲渡所得に係る所得税や住民税の負担についても考慮に入れておく必要があります。   2 代償分割による資産の移転があった場合の課税問題 (1) 固有資産を移転した相続人に対する譲渡所得課税 代償分割により固有資産を移転する行為は、その移転により消滅することとなる債務の額に相当する経済的利益を対価とする有償譲渡が行われたものとされます(所基通33-1の5)。これは、代物弁済により資産を譲渡した場合と同様に考えられるからです。 そうしますと、代償分割により負担した債務の履行として譲渡所得の基因となる資産の移転が行われた場合には、その移転の時に、その資産の時価相当額の収入の実現があったことになり、この金額が譲渡所得金額の計算上の譲渡価額となります。 (2) 代償債務の履行として資産を取得した相続人の課税問題 (イ) 代償分割により他の相続人の固有資産を取得したとしても、当該資産の価額は相続税の課税対象とされますので、贈与税や所得税の課税対象にはなりません。 (ロ) 代償分割により債務を負担した者から、当該債務の履行としてその者の固有資産を取得した場合には、その資産は、その履行があった時において、その時の時価により取得したことになります(所基通38-7(2))。したがって、当該債務の履行として取得した資産を、将来、当該資産を取得した相続人が譲渡した場合の譲渡所得の金額の計算上、控除する取得費は、この時価を基に計算することになります。   3 ご質問の場合 (1) 質問者の譲渡所得 (イ) 譲渡価額 あなたは、お母様の遺産の分割の方法として、お母様とあなたが居住していた建物とその敷地を相続することと引き換えに、あなたが15年前にお父様から相続した土地をお姉様に移転するという代償分割を考えているとのことです。 そうしますと、あなたがお父様から相続した土地は、お姉様に移転した時に、その時の時価で譲渡されたことになりますので、この時価が譲渡所得金額の計算上、譲渡価額ということになります。 この場合の時価とは、客観的交換価値をいうものと解されており、通常、純然たる第三者間で取り引きされる場合に成立するであろうと認められる価額をいうものであると理解すればよいでしょう。 したがって、相続税の課税価格の計算に使用されるいわゆる相続税評価額ではないことに注意する必要があります。 (ロ) 取得費 この土地は、15年前にお父様から相続により取得したものであるとのことですが、相続(限定承認によるものを除きます)により取得した財産については、所得税法第60条第1項第1号の規定により、その者が引き続き所有していたものとみなすこととされています。 したがって、譲渡所得の金額の計算をする場合のこの土地の取得価額は、お父様から相続した15年前の価額ではなく、お父様が、昭和30年代に購入した際の価額を基に計算することとなります。 土地に係る譲渡所得の金額は、その土地の譲渡価額から、その取得費と譲渡費用の合計額を控除して算出することとされています。お父様の購入価額が不明の場合には、上記(イ)の時価、すなわち譲渡価額の5%を取得費として譲渡所得の金額を算定することが認められています(措法31の4①、措通31の4-1)。 いずれにしましても、昭和30年代の地価水準と現在の地価水準を比較すると、おそらく、譲渡所得の金額が算出されることとなると思われますので、その場合には、所得税の申告及び納付が必要になります。 (2) お姉様が代償債務の履行として取得した土地の取得価額 お姉様が、代償分割により債務を負担したあなたから取得した土地については、その履行の時に、その時の時価により取得したこととなります。したがって、お姉様が、将来、青空駐車場となっているこの土地を売却し、譲渡所得の計算を行う場合には、あなたからこの土地の移転を受けた時の時価を基に取得費を求めることとなります。 上記(1)の(イ)で述べたあなたの譲渡価額との整合性を保つため、代償分割を行う際には、この「時価」について、お姉様とすり合わせをしておくとよいでしょう。   (了)

#No. 222(掲載号)
#梶野 研二
2017/06/15

電子マネー・仮想通貨等の非現金をめぐる会計処理と税務Q&A 【第8回】「クレジットカード利用時に付加されるポイントを利用した場合の税務」

電子マネー・仮想通貨等の非現金をめぐる 会計処理と税務Q&A 【第8回】 「クレジットカード利用時に付加されるポイントを利用した場合の税務」   公認会計士・税理士 八代醍 和也   A 前回は、クレジットカード利用時に付加されるポイントを使って物品を購入した場合の会計処理について解説を行った。 今回は同様のケースにおける税務上の留意点について見ていくことにする。なお、今回取り上げる論点については、基本的に同じ性格を有するポストペイ方式の電子マネーにも当てはまるものと考えられる。   1 法人税の取扱い 〈ポイント①〉 法人税法上は、特段の留意点なし。会計と同様、通常の値引処理として減額後の純支払金額で経理処理するものと考えられる。 本稿の執筆時点において、クレジットカードのポイントを使用して物品を購入した場合の取扱いを定めた税法上の規定は存在しない。そこで、法人税法22条第4項において定められた『一般に公正妥当と認められる会計処理の基準』に従って計算されることになる。 すなわち、前回解説を行った、ポイント使用による減額を一種の値引きと捉え、取得原価主義に基づいて、その取得に当たって実際に支払われた減額後の金額による経理処理が、法人税法においてもそのまま認められることになるものと考えられる。   2 消費税の取扱い 〈ポイント②〉 消費税においても、会計と同様、通常の値引処理として経理した減額後の純支払金額が課税仕入になる。 1と同様に、消費税法においても、クレジットカードのポイントを使用して物品を購入した場合の取扱いを定めた税法上の規定は存在しないが、税大論叢58号(平成20年6月20日)において『マイレージサービスに代表されるポイント制に係る税務上の取扱い-法人税・消費税の取扱いを中心に-』という論文が収録されており、国税庁ホームページにおいて要約及び全文が閲覧できるため、以下、こちらを参考としたい。 上記論文において、物品購入を含むポイント使用時の消費税法上の取扱いについて述べられており、要約版を抜粋すると次の通りである。 上記の最後に値引割引についての言及があり、値引部分について不課税であるとされ、差額支払金の対価を課税取引として認識する旨記載されている。 これを前回と同じ設例で図示すると以下のようになる。 なお、値引以外に取り上げられているケースについて整理すると、次のとおりである。 (了)

#No. 222(掲載号)
#八代醍 和也
2017/06/15

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第18回】「買い換えた土地建物の一部を居住の用に供する期限までに贈与した場合」-期限前の贈与-

特定居住用財産の買換え特例[一問一答] 【第18回】 「買い換えた土地建物の一部を居住の用に供する期限までに贈与した場合」 -期限前の贈与-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、昨年の8月に自己の居住用財産(所有期間が10年超で居住期間は10年以上)を売却して、新たに居住用家屋とその敷地を同年12月に取得し、「特定の居住用財産の買換えの特例(措法36の2)」の適用を受けて申告しました。 本年1月にXは妻と共に買換取得資産を居住の用に供しましたが、同年の11月に、その買換取得資産の4分の1を妻へ贈与しました。 この場合、贈与した部分についても買換資産として同特例の適用対象とすることができるでしょうか。 なお、Xは、持分の贈与をした後も、妻と共に当該買換資産には居住しており、また、売却に係る譲渡価額と贈与に係る時価額との合計額は1億円を超えません。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 A 贈与した部分については、買換取得資産として「買換えの特例」の適用を受けることはできません。 ●○●○解説○●○● 「買換えの特例」は、その特例を受けた者が、譲渡資産を譲渡した年の12月31日までに買換資産の全部を取得している場合に、譲渡の年の翌年12月31日までに買換資産を当該個人の居住の用に供しない場合、又は、供しなくなった場合には、譲渡の日の属する年分について修正申告を提出すべきことと規定されています(措法36の3①)。 すなわち、この特例の適用を受けるには、譲渡の年の翌年12月31日において、買換資産を自己の居住用として使用していることが要件とされます。 そして、この場合において、「買換資産を当該個人の居住の用に供しなくなった場合」とは、物理的に居住の用に供しなくなった場合のほか、当該個人がその資産の所有者の権限として居住の用に供しなくなった場合を指すものと解されています。 このことは、この特例が、個人が一定の居住用財産を譲渡し、かつ、一定の居住用財産を取得した点に着目して課税を繰り延べるものであることからみても明らかであると考えられています。 したがって、本事例の場合、贈与した部分については、翌年12月31日において、その資産の所有者として居住の用に供していないことから、この特例の適用を受けることができないことになります。 (了)

#No. 222(掲載号)
#大久保 昭佳
2017/06/15

連結会計を学ぶ 【第5回】「連結の範囲に関する適用指針③」―意思決定機関を支配していないことが明らかなケース―

連結会計を学ぶ 【第5回】 「連結の範囲に関する適用指針③」 ―意思決定機関を支配していないことが明らかなケース―   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 前回に引き続き、「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第22号。以下「連結範囲適用指針」という)にしたがって連結の範囲を解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 意思決定機関を支配していないことが明らかなケース 他の企業の意思決定機関を支配していることに該当する要件を満たしていても、財務上又は営業上もしくは事業上の関係からみて他の企業の意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる場合には、当該他の企業は子会社に該当しない(連結会計基準7項ただし書き、連結範囲適用指針16項)。 これは、営業取引のために議決権を行使していても、投資先である他の企業と連結グループとみなされるような運営がなされておらず、他の企業の意思決定機関を支配する意図はないと判断できる場合であり、例えば次のケースである(連結範囲適用指針16項、41項)。 (了)

#No. 222(掲載号)
#阿部 光成
2017/06/15

ファーストステップ管理会計 【第12回】「外注の意思決定」~自家製あんこにこだわるか~

ファーストステップ 管理会計 【第12回】 「外注の意思決定」 ~自家製あんこにこだわるか~ 〔意思決定編②〕 公認会計士 石王丸 香菜子   管理会計のうち、企業が意思決定をする際に役立つ情報を提供するための会計を意思決定会計と呼びます。前回に続き、日常的な「業務的意思決定」の方法について、考えてみましょう。 今回も、皆さんがベーカリーの経営者になったつもりで、意思決定してください。   ◆あんパンのあんこを自家製にする あるベーカリーでは、あんこがたくさん入った「ずっしりあんパン」を販売しています。 このあんパンには、専門店に外注した“極上あんこ”を使っています。おいしいあんこがたっぷり入っているので、あんパンの売れ行きは好調ですが、専門店からのあんこの仕入れ値が高いため、あんパンの販売による利益はあまり多くないのが現状です。しかし、近隣にもベーカリーやたい焼き屋があるため、経営者であるあなたは「ずっしりあんパン」の売価の値上げは難しいと考えています。 そこで、「あんこを自家製にしてあんこの原価を節約すること」を思いつきました。 『あんこを外注する案』と、『あんこを自製する案』の2つを比較検討することにします。 なお、両案のあんこの味の違いについては考えないことにして、どちらの案でもあんパンの販売量は同じとしましょう。 (“あん”ばかりですいません!)   ◆埋没原価は考慮しなくてよい 前回見たように、どちらの案を選んでも必ず発生してしまう「埋没原価」については、意思決定上は考慮する必要がないのでしたね。あんパンのパン生地にかかる原価や、あんパンを焼くために使うオーブンの償却費などの原価は、あんこを外注する案でも、あんこを自製する案でも、必ず発生する埋没原価なので、意思決定にあたっては考慮する必要がありません。 2つの案の違いは、あんこにかかる原価だけですので、これについてだけ考えます。 このベーカリーでは、あんパンのために必要なあんこの量は、年間500kgです。 そして外注する案では、あんこの仕入れ値は1kg当たり600円です。 一方、自製する案では、原料代など1kg当たり300円の変動費がかかります。また、あんこを煮る釜をレンタルする必要があるので、年間120,000円の固定費がかかります。 以上を条件として、両案の原価を比較してみましょう。 このように、あんこを自製する案のほうが、外注する案よりもあんこの原価が30,000円少なく済みますので、自製案が有利ですね。   ◆あんこを自製することで「失うもの」が? ここで留意しなければならないのは、「あんこを自製することで失うものがある」ケースです。 前述の条件に、次のような条件が加わるとします。 あんこを煮る釜はコンロに設置します。ベーカリーの厨房は狭く、コンロの数が限られているとしましょう。あんこの釜を設置すると、コンロが1か所使えなくなりますね。 現状、このコンロでは、コッペパンの一部を揚げて“揚げパン”にする作業を行っています。コッペパンの一部を揚げパンに加工して販売することで、コッペパンとしてそのまま販売するよりも、40,000円多い利益を得ています。 あんこの釜をコンロに設置する場合には、この作業は行うことができなくなり、すべてをコッペパンとしてそのまま販売することになるので、40,000円の利益は得られません。 このような条件を加えた場合、あんこを外注する案と自製する案のどちらが有利でしょうか?   ◆得られるはずだった利益を考慮する あんこを自製する案を選択すると、揚げパンによる利益40,000円は失ってしまいます。一方、あんこを外注する案を選択すると、揚げパンによる利益40,000円を得ることができます。 つまり、2つの案を比較する時には、直接的にあんこのために支出する金額だけでなく、次のように、この40,000円も含めて、どちらが有利かを判断する必要があるのです。 あんこの釜を設置しなければ得られるはずだった利益40,000円を、自製する案の原価に含めて考えると、自製する案の原価は合計310,000円となります。外注する案のほうが、自製する案よりも原価が10,000円少なく済みますので、外注案が有利になります。 あんこの釜を設置したことで失ってしまった揚げパンの利益のように、ある案を選択した場合に、得る機会を失ってしまう利益のことを、管理会計では「機会原価」と呼びます。 あんこを作るために直接的に支出するわけではないものの、あんこを自製する案を選択することで結果的に取りそびれてしまった利益なので、「あんこの原価とみなす」ということです。   ◆最終的には損益以外も考える 冒頭に述べたように、今回の事例では、あんこを外注する案と自製する案とで、味の違いは考えませんでしたが、現実には、この点も考える必要がありそうです。 あんこを自製する場合、その味や品質をセールスポイントとして、「ずっしりあんパン」の売上を大幅に増やすことができるかもしれません。また、あんこを自製することで、おいしいあんこ作りのノウハウを得て、他の商品開発に役立てることができる可能性もあります。 一般に、外注か自製かを判断する場合には、意思決定会計で得られる情報の他に、両案の品質の違いなどを吟味する必要があります。また、自製から外注に切り替える場合には、自社に技術やノウハウが蓄積されなくなったり、状況によっては、自社の技術が外部に流出したりするケースもあります。 ですから、意思決定会計による分析結果を踏まえ、実際の意思決定にあたってはこれらの点も総合的に勘案する必要があります。   ◆業務的意思決定のポイントまとめ 前回から今回にかけて、業務的意思決定の考え方を取り上げました。 ではここで、業務的意思決定をするうえでのポイントをまとめてみましょう。 *  *  *  *   次回からは、企業の活動の枠組みを大きく変革するような「構造的意思決定」について説明していきます。 (了)  

#No. 222(掲載号)
#石王丸 香菜子
2017/06/15
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