ふるさと納税(平成27年度税制改正対応)のポイント 【第2回】 「軽減される税額の計算例」 公認会計士・税理士 篠藤 敦子 【1】 税の軽減額の計算 (1) 所得税及び復興特別所得税の軽減額 ⇒ 平成27年分の所得税及び復興特別所得税が軽減される。 課税総所得金額:4,260,000-{2,000,000+(50,000-2,000)}=2,212,000円 課税総所得金額195万円超330万円以下に適用される所得税の税率は10%なので、所得税及び復興特別所得税の軽減額は次の通りとなる。 軽減額:(50,000-2,000)×10.21%(*1)=4,900円 (*1) 10.21%=10%(所得税)+0.21%(復興特別所得税)(*2) (*2) 0.21%=所得税率10%×2.1% (2) 住民税の軽減額 ⇒平成28年度分の住民税が軽減される。 住民税の軽減額は、基本控除額に特例控除額を加算した額となる。 ① 基本控除額 (50,000-2,000)×10%=4,800円 ② 特例控除額 (50,000-2,000)×79.79%(*3)=38,300円 (*3) 特例控除額の割合(再掲) (※) 復興特別所得税も考慮した割合 特例控除額には上限が設けられており、平成28年度分以降は、住民税所得割の20%相当額(平成27年度分までは10%相当額)が限度となる。 特例控除額の限度額:226,000(*4)×20%=45,200円 (*4) 226,000=住民税所得割:(4,260,000-2,000,000)×10% 本ケースの特例控除額は38,300円であり、限度額(45,200円)以下であるため、38,300円全額が軽減の対象となる。 (3) 税の軽減額の合計((1)+(2)) 4,900+4,800+38,300=48,000円(*5) (*5) 48,000円=ふるさと納税の額50,000円-2,000円 (1) 所得税及び復興特別所得税の軽減額 ⇒平成27年分の所得税及び復興特別所得税が軽減される。 課税総所得金額:4,260,000-{2,000,000+(100,000-2,000)}=2,162,000円 課税総所得金額195万円超330万円以下に適用される所得税の税率は10%なので、所得税及び復興特別所得税の軽減額は次の通りとなる。 軽減額:(100,000-2,000)×10.21%=10,005円 (2) 住民税の軽減額 ⇒平成28年度分の住民税が軽減される。 ① 基本控除額 (100,000-2,000)×10%=9,800円 ② 特例控除額 (100,000-2,000)×79.79%=78,195円>限度額45,200円 ∴ 45,200円 限度額(45,200円)を超えるため、特例控除額として軽減される住民税は45,200円となる。 (3) 税の軽減額の合計((1)+(2)) 10,005+9,800+45,200=65,005円 < 98,000円(*6) (*6) 98,000円=ふるさと納税の額100,000円-2,000円 【2】 ふるさと納税の額と税の軽減額との関係 給与所得426万円、ふるさと納税以外の所得控除の合計額200万円の場合に、ふるさと納税の額から2,000円を差し引いた額に相当する税の軽減を受けることができるのは、次の算式が成り立つときである。 この算式を満たすふるさと納税の額は58,648円である。ふるさと納税の額が58,648円を超えると特例控除額が上限の45,200円を超えてしまうため、ふるさと納税の額から2,000円を差し引いた額に相当する税の軽減を受けることができなくなる。 この算式を他の所得税の税率にも適用し、住民税所得割(A)とふるさと納税相当分(2,000円は除く)の税の軽減を受けることができる金額(以下「ふるさと納税の限度額」という)の関係を表にすると、次の通りとなる。 (※) ふるさと納税をした人の課税総所得金額に適用される最も高い所得税の税率 毎年の所得金額や所得控除の内容に大きな変化がない場合には、住民税の課税通知書の課税標準額と住民税所得割の金額を上表にあてはめることにより、ふるさと納税の限度額の目安を計算することができる。 また、総務省のホームページ等にもふるさと納税の限度額の目安を知るための各種の表やシートが公開されているので、簡易的な計算をするときにはそれらを利用することもできる。 【参考図】 課税総所得金額に対する所得税の税率 (了)