公開日: 2015/07/30 (掲載号:No.130)
文字サイズ

連結納税適用法人のための平成27年度税制改正 【第7回】「地方拠点強化税制の創設(その1)」

筆者: 足立 好幸

連結納税適用法人のための

平成27年度税制改正

【第7回】

「地方拠点強化税制の創設(その1)」

 

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト パートナー
足立 好幸

 

連載の目次はこちら

[8] 連結納税適用法人に係る地方拠点強化税制の創設

【適用時期】
改正地域再生法の施行日(平成27年8月10日:追記)より適用される(平成27年所法等改正法附則1)。
なお、改正地域再生法は公布日(平成27年6月26日)から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日に施行される(平成27年の夏又は秋頃に施行される見通しである)。

(1) 改正の概要

東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部にある本社機能等を地方に移転し、あるいは、地方にある本社機能等を拡充する企業の取組みを支援するため、オフィスに係る建物等の設備投資減税を創設するとともに、雇用促進税制を拡充する特例が創設された。

地方拠点強化税制は、「地域再生法の一部を改正する法律」(改正地域再生法)で定める次の2つの種類の地方拠点強化実施計画(地域再生法第17条の2第1項に規定する地方活力向上地域特定業務施設整備計画)について認定を受けた法人が対象となる。

① 移転型計画

東京23区から地方(東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く全地域のうち、国が認定した地域)へ本社機能(特定業務施設)を移転する計画(地方拠点強化実施計画で地域再生法第17条の2第1項第1号に掲げる事業に関するもの)をいう。

② 拡充型計画

地方(東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く一定の地域のうち、国が認定した地域。以下、「集中地域以外の地域」という)にある本社機能(特定業務施設)を拡充する計画(地方拠点強化実施計画で地域再生法第17条の2第1項第2号に掲げる事業に関するもの)をいう。

ここで、本社機能とは、経営意思決定、経営資源管理(総務、経理、人事)、各種業務統括(研究開発、国際事業等)などの事業所(工場及びその地域を管轄する営業所等は含まない)をいい、関係法令上は「特定業務施設」という。

地方拠点強化税制の詳細は次のとおりである。

なお、以下において、地域再生法の条文を記載している場合は、特段の断りのない限り改正地域再生法の条文を示している。

 

(2) 地方拠点建物等の取得費の特例措置(措法68の15の2、措令39の45の2)

① 地方拠点建物等の取得費の特別償却制度

連結親法人又は連結子法人で、改正地域再生法の施行日(平成27年8月10日:追記)から平成30年3月31日までの期間(指定期間)内に地方拠点強化実施計画について認定を受けたものが、認定日から同日の翌日以後2年を経過する日までの間に、集中地域以外の地域(注1)において、地方拠点強化実施計画に記載された特定業務施設に該当する建物、建物附属設備、構築物(一定規模以上のもの(注2)。特定建物等)(注3)を取得等して、事業の用に供した場合(貸付けの用に供した場合を除く)には、その事業の用に供した日を含む連結事業年度(供用年度)の特定建物等の償却限度額は、特定建物等の普通償却限度額と特別償却限度額(特定建物等の取得価額の15%(地方拠点強化実施計画が移転型計画である場合には25%)に相当する金額)との合計額とする(措法68の15の2①)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連結納税適用法人のための

平成27年度税制改正

【第7回】

「地方拠点強化税制の創設(その1)」

 

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト パートナー
足立 好幸

 

連載の目次はこちら

[8] 連結納税適用法人に係る地方拠点強化税制の創設

【適用時期】
改正地域再生法の施行日(平成27年8月10日:追記)より適用される(平成27年所法等改正法附則1)。
なお、改正地域再生法は公布日(平成27年6月26日)から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日に施行される(平成27年の夏又は秋頃に施行される見通しである)。

(1) 改正の概要

東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部にある本社機能等を地方に移転し、あるいは、地方にある本社機能等を拡充する企業の取組みを支援するため、オフィスに係る建物等の設備投資減税を創設するとともに、雇用促進税制を拡充する特例が創設された。

地方拠点強化税制は、「地域再生法の一部を改正する法律」(改正地域再生法)で定める次の2つの種類の地方拠点強化実施計画(地域再生法第17条の2第1項に規定する地方活力向上地域特定業務施設整備計画)について認定を受けた法人が対象となる。

① 移転型計画

東京23区から地方(東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く全地域のうち、国が認定した地域)へ本社機能(特定業務施設)を移転する計画(地方拠点強化実施計画で地域再生法第17条の2第1項第1号に掲げる事業に関するもの)をいう。

② 拡充型計画

地方(東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く一定の地域のうち、国が認定した地域。以下、「集中地域以外の地域」という)にある本社機能(特定業務施設)を拡充する計画(地方拠点強化実施計画で地域再生法第17条の2第1項第2号に掲げる事業に関するもの)をいう。

ここで、本社機能とは、経営意思決定、経営資源管理(総務、経理、人事)、各種業務統括(研究開発、国際事業等)などの事業所(工場及びその地域を管轄する営業所等は含まない)をいい、関係法令上は「特定業務施設」という。

地方拠点強化税制の詳細は次のとおりである。

なお、以下において、地域再生法の条文を記載している場合は、特段の断りのない限り改正地域再生法の条文を示している。

 

(2) 地方拠点建物等の取得費の特例措置(措法68の15の2、措令39の45の2)

① 地方拠点建物等の取得費の特別償却制度

連結親法人又は連結子法人で、改正地域再生法の施行日(平成27年8月10日:追記)から平成30年3月31日までの期間(指定期間)内に地方拠点強化実施計画について認定を受けたものが、認定日から同日の翌日以後2年を経過する日までの間に、集中地域以外の地域(注1)において、地方拠点強化実施計画に記載された特定業務施設に該当する建物、建物附属設備、構築物(一定規模以上のもの(注2)。特定建物等)(注3)を取得等して、事業の用に供した場合(貸付けの用に供した場合を除く)には、その事業の用に供した日を含む連結事業年度(供用年度)の特定建物等の償却限度額は、特定建物等の普通償却限度額と特別償却限度額(特定建物等の取得価額の15%(地方拠点強化実施計画が移転型計画である場合には25%)に相当する金額)との合計額とする(措法68の15の2①)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

*  *  *

税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 

▷令和3年度税制改正(全7回)

▷令和2年度税制改正(全9回)

▷平成31年度税制改正(全8回)

▷平成30年度税制改正(全9回)

▷平成29年度税制改正(全9回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

はじめに

[1] 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

1 改正内容

2 『自己創設営業権』の評価問題が解消!

3 連結納税開始日・加入日が平成29年10月1日の場合は旧税制が適用に!

4 どうせ時価課税されるなら、合併で時価譲渡になる方がいいのか、スクイーズアウトで時価評価される方がいいのか?(時価課税の有利・不利)

【第2回】 スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

[2] スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

1 改正内容

2 連結納税の不利益を受けずに少数株主排除が可能に!

3 連結納税開始日が平成29年10月1日以後であっても、株式交換等が平成29年9月30日以前に行われた場合は旧税制が適用される!

4 全部取得条項付種類株式方式又は株式併合方式により連結納税に加入した場合、「完全支配関係を有することとなった日」はいつになるのか?

【第3回】 研究開発税制の見直し

[3] 研究開発税制の見直し

【第4回】 所得拡大促進税制の見直し他

[4] 所得拡大促進税制の見直し

[5] 役員給与等の見直し

[6] 地域未来投資促進税制の創設

【第5回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その1)

[7] 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充

1 中小企業経営強化税制の創設

【第6回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その2)

2 中小企業投資促進税制の見直しと適用期限の延長

3 商業・サービス業活性化税制の適用期限の延長

【第7回】 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限、災害特例措置

[8] 震災・災害に関する税制措置の整備

[9] 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限

【第8回】 連結法人の申告期限の延長の見直し

[10] 連結法人の申告期限の延長の見直し

1 法人税の申告期限の延長について

2 事業税の申告期限の延長について

【第9回】 地方税率の改正時期の変更他

[11] 地方税率の改正時期の変更

[12] 組織再編税制に係る改正

[13] タックス・ヘイブン税制の総合的見直し

▷平成28年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率等の改正

~はじめに~

[1] 連結法人税、連結地方法人税、住民税、事業税の税率の改正

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し

[2] 連結欠損金の繰越控除制度の見直し

[3] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[4] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第3回】 減価償却制度の見直し

[5] 減価償却制度の見直し

【第4回】 役員給与の見直し

[6] 役員給与の見直し

【第5回】 雇用促進税制の見直し

[7] 雇用促進税制の見直し

【第6回】 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

[8] 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

【第7回】 組織再編関連税制の見直し

[9] 適格現物出資の見直し

[10] 組織再編税制の見直し

【第8回】 移転価格文書化制度(その1)

[11] 移転価格文書化制度

1 多国籍企業グループの移転価格文書化制度

(1) 国別報告書

【第9回】 移転価格文書化制度(その2)

(2) マスターファイル(事業概況報告事項)

【第10回】 移転価格文書化制度(その3)

(3) ローカルファイル(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)

2 国外事業所等との内部取引に係る移転価格文書化制度

【第11回】 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

[12] 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

【第12回】 その他国際税務の改正・固定資産税の特例措置

[13] 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン税制)の見直し

[14] 国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施

[15] 機械装置の固定資産税の特例措置の創設

▷平成27年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率の引下げ

~はじめに~

[1] 連結法人税率の引下げ

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その1)

[2] 連結欠損金の控除限度額の段階的引下げ

(1) 連結欠損金の控除限度額の段階的引き下げ

(2) 連結所得金額の100%を控除限度額とする特例

① 中小法人等

② 経営再建中の法人

【第3回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その2)

③ 新設法人

【第4回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その3)

[3] 連結欠損金の繰越期間の延長

[4] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[5] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第5回】 受取配当等の益金不算入制度の見直し

[6] 連結納税適用法人に係る受取配当等の益金不算入制度の見直し

【第6回】 研究開発税制の見直し

[7] 連結納税適用法人に係る研究開発税制の見直し

【第7回】 地方拠点強化税制の創設(その1)

[8] 連結納税適用法人に係る地方拠点強化税制の創設

(1) 改正の概要

(2) 地方拠点建物等の取得費の特例措置

【第8回】 地方拠点強化税制の創設(その2)

(3) 雇用促進税制の拡充

【第9回】 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

[9] 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

【第10回】 所得拡大促進税制・その他の租税特別措置法上の見直し

[10] 連結納税適用法人に係る所得拡大促進税制の見直し

[11] その他の租税特別措置法上の見直し

【第11回】 事業税の改正

[12] 連結納税適用法人に係る事業税の改正

【第12回】 国際税務の改正

[13] 連結納税適用法人に係る国際税務の改正

筆者紹介

足立 好幸

(あだち・よしゆき)

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト

グループ通算制度・連結納税制度・組織再編税制を専門にグループ企業の税制最適化、企業グループ税制に係る業務を行う。

著書に、『令和6年10月改訂 プロフェッショナル グループ通算制度』『グループ通算制度への移行・採用の有利・不利とシミュレーション』『グループ法人税制Q&A』『M&A・組織再編のスキーム選択』(以上、清文社)、『グループ通算制度の実務Q&A』『グループ通算制度の税効果会計』『早わかり 連結納税制度の見直しQ&A-グループ通算制度の創設で何が変わる?』『ケーススタディでわかる連結納税申告書の作り方』『連結納税の組織再編税制ケーススタディ』『連結納税の清算課税ケーススタディ』『連結納税の欠損金Q&A』『連結納税導入プロジェクト』(以上、中央経済社)など多数。
 

関連書籍

重点解説 法人税申告の実務

公認会計士・税理士 鈴木基史 著

減価償却資産の耐用年数表

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

演習法人税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編

【電子書籍版】法人税事例選集

公認会計士・税理士 森田政夫 共著 公認会計士・税理士 西尾宇一郎 共著

減価償却実務問答集

柳沢守人 編

詳解 グループ通算制度Q&A

デロイト トーマツ税理士法人 稲見誠一・大野久子 監修

企業法務で知っておくべき税務上の問題点100

弁護士・税理士 米倉裕樹 著 弁護士・税理士 中村和洋 著 弁護士・税理士 平松亜矢子 著 弁護士 元氏成保 著 弁護士・税理士 下尾裕 著 弁護士・税理士 永井秀人 著

法人税申告書と決算書の作成手順

税理士 杉田宗久 共著 税理士 岡野敏明 共著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#