《速報解説》 復興特別法人税の1年前倒し廃止 ~平成26年度税制改正大綱~ 税理士法人オランジェ 代表社員 税理士 石田 寿行 1 復興特別法人税の概要 経済の好循環を早期に実現する観点から、「平成26年度税制改正大綱」により復興特別法人税が1年前倒しで廃止されることとなった。 復興特別法人税は、東日本大震災からの復興を図るために必要な財源を確保するため平成24年度税制改正により創設され、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度について、法人税額に10%を上乗せする制度である。 今回の改正で1年前倒しで廃止されることにより、平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度については復興特別法人税が課税されないこととなる。 改正前と改正後の税率は以下の通りとなる。 〈改正前〉 〈改正後〉 (※1) 期末の資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下の普通法人その他一定の法人 (※2) 平成27年4月1日以後開始事業年度については19%(本則) 2 改正後のタイムテーブル 本改正によるタイムテーブルを示すと、以下のようになる。 〈法人税率〉 〈中小法人軽減税率〉 (了)
《速報解説》 国税不服申立制度の見直し ~平成26年度税制改正大綱~ 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 1 はじめに 去る12月12日に公表された与党による「平成26年度税制改正大綱」は、133ページにわたる大部のものである。 その中において、本稿で取り上げる「国税不服制度の見直し」に言及した部分はわずか20行あまりであるが、見直しが実現すれば、実務面においては大きな影響のある内容となっている。 2 不服申立前置主義の見直し 大きく見直されたのは、以下の3点である。 もともと、「異議申立て」と「審査請求」という二重の前置主義に対しては、納税者側からの批判も多かったところであるが、本見直しにおいて、“異議申立て前置”という縛りを外し、直接不服審査請求を行うことも可能にすることにより、納税者に選択権を与えたことは、申立期間の1ヶ月延長とともに、納税環境整備の一環として評価できる。 3 国税不服審判手続の見直し 大きく見直されたのは、以下の2点である。 これまで、審査請求人が閲覧(閲覧のみで謄写は不可)できる証拠は、処分庁が提出したものに限られており、審判官が職権で収集した資料を見ることができなかった。 その結果、処分庁は提出書類をなるべく減らし、審判を優位に進めようとする傾向にあったが、今回の見直しが実現すれば、そうした情報の非対称性が緩和され、審査請求人がより効果的な主張・立証を行えるようになると考えられる。 また、審査請求人が審判官に対して口頭で意見を陳述するだけの現在の審判手続に、処分庁に対して質問できる権利を通則法上で整備することによって、国税不服審判所の目指す「納税者の正当な権利利益の救済を図る」という役割が、これまで以上に増すことが期待できよう。 4 国税不服審判所長による通知 国税通則法99条によれば、これまで、通達と異なる法令の解釈による裁決には、国税不服審判所長が、国税庁長官にあらかじめ意見を申し出なければならず、国税庁長官は、国税審議会の議決に基づいて指示を行うとされてきた。 これを本見直しでは、国税不服審判所長は、国税庁長官にあらかじめ意見を通知すればよく、その後、国税庁長官と国税不服審判所長は、連名で、国税審議会に諮問、国税不服審判所長はその議決に基づいて裁決することになる。 2011年11月に財務省が行政救済制度検討チームに提出した資料によれば、これまで、国税不服審判所長の申出はわずか9件に過ぎず、実質的に機能してこなかった通則法99条は、国税不服審判所が国税庁から独立していないことの証左の一つとされてきた。 この見直しが実現すれば、国税不服審判所長は、これまでよりも通達に縛られずに判断が可能となる可能性が高まるかもしれない。 5 適用時期 上記2及び3の見直しについては、「改正行政不服審査法の施行の日から適用する」とされているが、行政不服審査法の改正については、6月21日に、総務省が発表したリリースにおいて、「次期通常国会への法案提出を目指します」と記されているのみで、具体的な施行日付までは明らかになっていない。 また、上記4の見直しについても、改正及び施行時期について、大綱には言及されていない。 (了)
《速報解説》 税理士制度の見直し ~平成26年度税制改正大綱~ 弁護士 木村 浩之 1 はじめに 平成26年度税制改正大綱では、納税環境整備の一環として、その重要な役割を担う税理士制度の見直しが盛り込まれている。 税理士は、税務に関する専門家として、「独立した公正な立場において、申告納税制度の理念に沿って、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」とされており(税理士法1条)、今回の改正では、このような税理士の公共的使命に照らして、その業務をより適正に遂行するための所要の整備がなされることになる。 以下では、主な改正の内容について概説することとしたい。 2 改正の概要 (1) 税理士業務に関するもの 税理士には、「開業税理士」と「補助税理士」があり、補助税理士については、他の税理士又は税理士法人の補助者として常時税理士業務に従事する税理士であることから、その所属する税理士等が委嘱を受けた事案について、自らの名において税理士業務を行うことができるが、納税者等から直接委嘱を受けて税理士業務を行うことはできないとされている。 今回の改正では、これをより柔軟にして、その所属する税理士等の承諾を得て、納税者等から直接委嘱を受ける場合の手続が定められることになる。 この改正については、平成27年4月1日から適用される予定である。 (2) 税理士資格の取得に関するもの 弁護士及び公認会計士については、自動的に税理士となる資格が付与されている(税理士法3条1項3号4号)。 これについては、日本税理士会連合会が一定の要件を課すべきであるとの要望をしており、これに対して日本弁護士会連合会及び日本公認会計士協会が反対をしていたことは最近のニュースにもなっていた。 今回の改正では、日本税理士会連合会の意見を一部採り入れる形で、公認会計士に係る資格付与については、一定の税法に関する研修を受講する必要があるものと変更されることになる。 この改正については、現在の有資格者及び当面の受験予定者に配慮して、平成29年4月1日以後に公認会計士試験に合格した者について適用されることになる。 (3) 税理士の信頼性確保に関するもの 以上の改正のほか、税理士の信頼性を確保するために、次のような改正がなされることになる。 これらの改正については、平成27年4月1日から適用される予定である。 (了)
《速報解説》 「租税特別措置法(相続税法の特例関係の取扱いについて)の 一部改正について(法令解釈通達)」の公表について ~小規模宅地等の評価減特例に関する取扱い~ 税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良 【はじめに】 平成25年11月29日付で、国税庁から「「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)」が公表された(以下、通達改正と呼ぶ)。これは平成25年度税制改正における相続税の小規模宅地特例の改正に関連する通達改正である。 平成25年度税制改正での小規模宅地特例の改正は、以下の4項目となる(平成25年度税制改正の大綱)。 今回の通達改正は、69-4-10(選択特例対象等のうちに貸付事業用宅地等がある場合の限度面積要件)の改正以外は上記の(3)(4)に関連するものである。したがって、改正通達の適用時期については、平成26年1月1日以後に相続・遺贈により取得をする財産に係る相続税について適用される。 ただし、改正通達のうち、69-4-10(選択特例対象等のうちに貸付事業用宅地等がある場合の限度面積要件)についてのみ、平成27年1月1日以後に相続・遺贈により取得をする財産に係る相続税について適用される。 これらの適用時期は、上記(1)(2)(3)(4)に適用時期にあわせる形となっている。 以下、通達改正につき、個別にみていくこととする。 【措通69の4-7】(被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 平成25年度税制改正により、被相続人が老人ホームへ入所した場合でも一定の要件を満たしていれば自宅土地につき小規模宅地特例が認められるようになった(上記(4))。 これに関連して、相続時点では被相続人の居住の用に供されていない土地でも、上記(4)の要件を満たしている土地については、小規模宅地特例の適用対象となることが、改正通達69の4-7(2)に明記された。 なお、平成25年度税制改正により、二世帯住宅については、(区分所有以外については、家屋の構造にかかわらず)その敷地のうち被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分が適用対象とされたため、改正通達69の4-7(注)にて、(被相続人の居住の用に供された部分だけでなく)被相続人の親族の居住の用に供された部分についても、小規模宅地特例の適用対象となることが明記された。 ここで「被相続人の親族の居住の用に供されていた部分」の「被相続人の親族」であるが、相続人に限定されてはいないため、相続人ではない(被相続人の民法上の)親族が居住している部分についても、小規模宅地特例の適用対象に含まれると判断される。 【措通69の4-7の2】(要介護認定等の判定時期) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 平成25年度税制改正により、被相続人が老人ホームへ入所した場合でも、一定の要件を満たしていれば、自宅土地につき小規模宅地特例が認められるようになった(上記(4))。 この一定の要件の1つに、「被相続人に介護が必要なため入所したものであること」がある。 改正された租税特別措置法及び同施行令では明確にはされていないが、改正通達69の4-7の2において、介護が必要であったか否か(具体的には、要介護・要支援認定、障害支援区分認定を受けていたかどうか)の判断は、被相続人の相続の開始の直前において行うことが明記された。 平成25年度税制改正の大綱では「被相続人に介護が必要なため入所したものであること」とあるため、民間老人ホーム等へ入居する時点において介護が必要(具体的には、要介護・要支援・障害支援区分認定をうけること)と考えることもできるが、改正通達では、そうではなく、相続の開始の直前の状況で判断することが明記された。 つまり、老人ホーム等へ入居する時点では、介護が必要でない(要介護・要支援・障害支援区分認定のいずれも受けていない)場合でも、その後において相続発生前までに介護が必要な状況になれば(要介護・要支援・障害支援区分認定を受ければ)、この要件を満たしていると判断されることとなる。 【措通69の4-7の3】(建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 平成25年度税制改正により、二世帯住宅については、その敷地のうち被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分が適用対象とされた。 ただし、改正された租税特別措置法施行令40条の2第10項で、被相続人の自宅建物が「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」か否かにより、この二世帯住宅に対する小規模宅地特例の適用要件が異なることとされている。 被相続人の自宅建物が「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」に該当する場合には、被相続人の居住していた独立部分に、当該自宅土地を相続・遺贈で取得する親族が、生前から居住(同居)していることが小規模宅地特例の適用要件となる。 被相続人の自宅建物が「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」に該当しない場合には、被相続人の居住していた独立部分に、当該自宅土地を相続・遺贈で取得する親族が、生前から居住(同居)していることまでは要件とされておらず、当該建物に(被相続人の居住する独立部分だけでなく、同一建物のその他の独立部分のどこかにでも)、当該自宅土地を相続・遺贈で取得する親族が、生前から居住していることが、小規模宅地特例の適用要件とされている。 具体的には、二世帯住宅(玄関などすべてが分離されている構造のものを想定)について、各独立部分に被相続人、相続人が住んでいるケースで検討すると、 つまり、被相続人の居住していた自宅建物が「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」に該当するか否かで、小規模宅地特例の適用について大きな影響が生じる可能性がある。 したがって、「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」の定義が、小規模宅地特例の適用上、非常に重要となる。 建物の区分所有等に関する法律第1条には とあり、「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」の定義としては、「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができる建物」と判断される。 このように解釈すると、区分所有登記されていなくても、区分所有登記できる建物については、「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」に含まれると解釈される余地がある。 そうなると、二世帯住宅のうち完全分離型タイプのものは、中で行き来できるものでも、「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」に該当するものが相当程度発生する可能性があり、それらについては結果として、小規模宅地特例が適用できなくなるケースが大半と推測される。 ただし、この「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」の定義については、「通常は区分所有建物である旨の登記がされている建物」に限定される旨の解釈が、財務省立法担当者により示されている(「平成25年度税制改正の解説」p.589 )。 改正通達69の4-7の3においても、財務省立法担当者の解釈と同趣旨のことが明記された。 【措通69の4-9】(店舗兼住宅等の敷地の持分の贈与について贈与税の配偶者控除等の適用を受けたものの居住の用に供されていた部分の範囲) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 平成25年度税制改正により、参照条文番号が変更となったため、変更されている。 【措通69の4-10】(選択特例対象宅地等のうちに貸付事業用宅地等がある場合の限度面積要件) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 平成25年度税制改正により、小規模宅地特例(特定居住用宅地等)の適用限度面積が増加し(上記(1))、特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等の併用適用が可能となった(上記(2))。ただし、貸付事業用宅地等と併用適用する場合には、従前どおり、適用面積の調整計算が必要であるため、改正通達69の4-10において算式が示されている。 なお、算式の意味するところであるが、特定事業用等宅地等(400㎡)、貸付事業用宅地等(200㎡)、特定居住用宅地等(330㎡)のそれぞれにつき、適用上限面積が異なるため、適用面積の調整を行っているものである。 【措通69の4-13】(不動産貸付業等の範囲) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 平成25年度税制改正により、参照条文番号が変更となったため、変更されている。 【措通69の4-21】(被相続人の居住用家屋に居住していた親族の範囲) ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 69の4-21は改正前、同居親族が自宅土地を相続する場合(租税特別措置法69条の4第3項イ)及びいわゆる「家なき子」(租税特別措置法69条の4第3項ロ)の解釈通達という位置付けであった。 平成25年度税制改正により、一棟の建物(区分所有建物以外)内に、相続・遺贈でその敷地を取得する親族が居住していれば、被相続人及びその親族が居住する部分は小規模宅地特例の適用対象となったため、同居親族が自宅土地を相続する場合(租税特別措置法69条の4第3項イ)に、同居か否かについて特にその解釈は不要になったと考えられる。 したがって、69の4-21は、「家なき子」(租税特別措置法69条の4第3項ロ)の解釈通達という位置付けへ改正された。 「家なき子」の適用要件の一つに、 ことがある。 「被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族」の定義ついて、改正された69の4の21で解釈が示されているが、二世帯住宅のように複数の独立部分がある場合には、被相続人が居住していた独立部分において、被相続人と共に起居していた親族をいうことが示されている。 同居親族が自宅土地を相続する場合(租税特別措置法69条の4第3項イ)の同居判定は、区分所有登記されていない建物であれば、一棟の建物内に居住しているか否かで実質的に判断される一方、「家なき子」(租税特別措置法69条の4第3項ロ)の同居親族要件(同居親族がいる場合には「家なき子」として小規模宅地特例は適用できない)では、被相続人の居住する独立部分に居住(同居)しているか否かで判断されることとされているため、改正前後で「家なき子」の適用できるケースが大きく異なる可能性があると思われる。 具体的には、改正前よりも、より多くのケースで「家なき子」として小規模宅地特例の適用できる可能性があると思われるが、これについては別の機会に検討することとしたい。 (了)
《速報解説》 ゴルフ会員権等の譲渡損失に係る損益通算の廃止 ~平成26年度税制改正大綱~ 弁護士 木村 浩之 1 はじめに 「平成26年度税制改正大綱」では、個人所得課税に関する改正として、譲渡損失に係る損益通算が制限される範囲が拡張されることになった。 すなわち、現在の制度では、別荘などの贅沢資産を譲渡した場合に譲渡損失が生じたとしても、担税力を減殺させるものではないとの考慮から、他の所得との損益通算を認めないことにしているが、この対象となる資産は動産・不動産に限られていた。 今回の改正では、ゴルフ会員権を典型として、動産・不動産以外の資産でも贅沢資産とみられる場合には、同様の取扱いをすることが公平であると考えられ、損益通算が制限される範囲を拡張することとされた。 2 損益通算の制限に係る現行制度の概要 所得税法は、「生活に通常必要でない資産」に係る所得の計算上生じた損失については、他の所得との損益通算を認めないこととしている(所法69②)。 そこで、別荘などの生活に通常必要でない資産を譲渡して損失が生じた場合でも、その譲渡損失については、給与所得や事業所得などの他の所得と損益通算することができないことになる。 ここでいう「生活に通常必要でない資産」とは、現行制度では、次に掲げる資産をいうものとされている(所令178①) 上記のとおり、譲渡損失に係る損益通算が制限される生活に通常必要でない資産は、動産・不動産に限られていた。 そこで、ゴルフ会員権(プレー権)やリゾート会員権(施設利用権)などについては、生活に通常必要な資産とは考えられないものの、その資産の性質が「債権」であることから、現行制度上、この制限の対象とはなっておらず、譲渡損失に係る他の所得との損益通算が認められていた。 3 今回の改正の概要 今回の改正では、「生活に通常必要でない資産」の範囲に、「主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産」が加えられることで、ゴルフ会員権を典型とする債権であっても、譲渡損失に係る損益通算の制限の対象に含まれることになる。 これにより、改正後は、ゴルフ会員権等を譲渡して損失が生じたとしても、給与所得や事業所得などの他の所得とは通算できないことになる。 4 適用時期 以上の改正は、平成26年4月1日以降の譲渡に適用されることになるが、譲渡損失の計上時期については、納税者の選択によって契約日を基準とすることが認められている(所基通36-12参照)。 そこで、譲渡損失が見込まれるゴルフ会員権等を保有しており、他の所得との損益通算の適用を受けようとするのであれば、遅くとも同年3月31日までに譲渡契約を締結する必要があることに留意されたい。 (了)
《速報解説》 「平成26年度税制改正大綱」 重要項目の抜粋掲載 Profession Journal編集部 平成25年12月12日(木)に公表された「平成26年度税制改正大綱」のうち、特に重要と思われる事項を下記に抜粋掲載した。 なお、大綱の全体は下記より参照いただきたい。 また10月1日に公表された「民間投資活性化等のための税制改正大網」についての情報は、こちらのページをご覧いただきたい。 基本的考え方 【大綱P6】 個人所得課税 【大綱P21】 【大綱P21】 【大綱P24】2013/12/17追記 【大綱P25】 【大綱P27】2013/12/17追記 【大綱P28】 【大綱P29】 【大綱P33】 【大綱P38】 【大綱P40】 【大綱P41】 【大綱P43】 ※国税同様P38(2013/12/16注記) 【大綱P49】 【大綱P49】 【大綱P49】 【大綱P50】2013/12/17追記 【大綱P50】 【大綱P50】 【大綱P57】2013/12/17追記 資産課税 【大綱P59】 【大綱P62】 【大綱P63】 【大綱P64】 【大綱P69・70】 【大綱P72】 法人課税 【大綱P74】 【大綱P76】 【大綱P77】2013/12/17追記 【大綱P79】 【大綱P90】 【大綱P91】2013/12/17追記 【大綱P94】2013/12/17追記 【大綱P95】 消費課税 【大綱P96】 車体課税の見直しについては、下記国交省資料を参照。 【大綱P101】 【大綱P101】2013/12/17追記 【大綱P102】 国際課税 【大綱P104】2013/12/17追記 【大綱P107】 納税環境整備 【大綱P107】 【大綱P110】 【大綱P112】 (了)
《速報解説》 国際統合報告評議会による 「国際統合報告フレームワーク」の公表について 公認会計士・税理士 若松 弘之 2013年12月9日、国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council、以下「IIRC」という。)から国際統合報告フレームワーク(THE INTERNATIONAL FRAMEWORK)(以下、「フレームワーク」という。)が公表された。 2010年に設立されたIIRCは、利害関係者に対して企業の長期的な価値創造能力を簡潔に伝えるため、財務情報と非財務情報を統合的に関連付けた「統合報告」のフレームワーク策定に向けて活動してきた。2011年9月に議論のたたき台としてディスカッション・ペーパー公表した後、議論を集約した結果として、2013年4月にコンサルテーション・ドラフトを公表し、関係者から幅広いコメントを募集していた。 当フレームワークは、コンサルテーション・ドラフトに寄せられた350を上回るコメントを慎重に検討し、当該ドラフトに修正を加えたものである。 国際統合報告フレームワークは、「パート1―イントロダクション」と「パート2―統合報告」の二部構成になっており、それぞれの主要項目は以下のとおりである。 また、フレームワークと同時に、「結論の基礎(BASIS FOR CONCLUSIONS)」と「重要論点の要約(SUMMARY OF SIGNIFICANT ISSUES)」も公表されており、それぞれの位置付けと内容は以下のとおりである。 経理・財務・IR・CSR部門などの実務担当者においては、今回公表された3つの文書を有機的に関連付けて利用することが望まれる。 既に公表済みであったコンサルテーション・ドラフトに基づいて、統合報告の概念や自社における統合報告書のイメージを検討してきた企業も多いと思われる。その場合には、「重要論点の要約」のQ&Aに実務上の疑問点が集約されているため、こちらを参照しながら、フレームワークで最終的に修正された点を中心に、再度フレームワークが要求する事項を確認することが大切である。 また、今回のフレームワーク公表を契機として本格的に統合報告に取り組もうとする企業も多いと考えられる。その場合には、本フレームワークを一から理解していくことが近道だと考える。 ただし、フレームワークには「基礎概念」や「基本原則」など、抽象的表現が多く理解が難しい部分もあるため、合わせて「結論の基礎」を参考にすることをおすすめする。特に「結論の基礎」における「重要性の判断」や「資本と価値創造の関連性」などは理解の一助になると思われる。 IIRC設立から3年あまりの検討期間を経て、今般ようやく、統合報告のフレームワークが確定した。今後、実務的ガイドラインの開発や統合報告に対する保証の枠組みの策定など解決していくべき課題は多いが、今回のフレームワーク公表が、G20の16ヶ国を含む25カ国以上の企業における実務的な取組みの加速につながり、企業の持続的成長に寄与していくことが期待されている。 一方、我が国においては、CSR報告書などの非財務情報を公表する企業数では各国に引けを取らないが、開示内容の充実面における課題も指摘されており、今後、統合報告への積極的な取組みが重要となっていくであろう。 (了)
「平成26年度 税制改正大綱」の公表について 12月12日(木)「平成26年度税制改正大綱」が公表されました。
12月12日(木)AM10:30、Profession Journal の No.48 が公開されました。 Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開してまいります。 Web情報誌 Profession Journalは、プロフェッションネットワークのプレミアム会員専用の閲覧サービスです。 Profession Journalについての詳細はこちら。 バックナンバー一覧はこちら。
酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第11回】 「内縁の妻は配偶者控除の適用を受けられるか?(その2)」 ~租税行政への配慮と実質に従った租税法の適用姿勢~ 国士舘大学法学部教授・法学博士 酒井 克彦 1 租税行政事務への配慮 内縁の妻に配偶者控除を認めることにより、租税行政事務に重大な支障を来たしはしないかという問題もあろう。 この点について、前回一部を紹介した大阪地裁昭和36年9月19日判決(行裁例集12巻9号1801頁)は次のように論じている。 実際問題として、租税行政庁において、内縁の妻かそれ以外の単なる私通関係であるか、婚姻関係であるかを見極めることが可能であろうか。この点について考える必要があるかもしれない。 もっとも、租税法には、内縁関係であることの認定を前提とする規定がいくつも存在している。 例えば、国税徴収法75条《一般の差押禁止財産》は、次のように規定して、内縁関係者の所有する生活最低限の用に供する財産への差押えを禁止している。 また、所得税法等は、同族会社等の行為又は計算の否認等の対象について、その同族会社の判定基準を施行令に委任しているが、例えば、所得税法施行令276条《事業の主宰者の特殊関係者の範囲》は、次のように規定しており、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」の保有する株式等をも勘案した上で、判定を行うこととしている。 このように、租税法においては、しばしば婚姻の届出をしていないものの婚姻関係と同様の関係にある者の認定を行うことを前提とした規定を用意しているのである。 上記大阪地裁判決においても、次のように説示している。 2 実質によるべきか形式によるべきか また、租税法の解釈適用の場面においては、適用対象とされる事実の実質的側面に注目して適用を行うべきか、形式的側面に注目して適用を行うべきかという点が論じられることがある。 この点につき、東京大学名誉教授の金子宏氏が、 と論じられるとおり(金子『租税法〔第18版〕』135頁(弘文堂2013))、実質は形式を凌駕すると考えるべきであろう。 そうであれば、なおさら、形式上の「婚姻届」という用紙の提出のみに着目をするのではなく、より租税法がその適用の基礎とすべきとされている実質、すなわち、婚姻の意思や共同生活の実体という側面の認定を前提として、課税関係を考えるべきなのではないかという疑問が浮上する。 そもそも、心素である婚姻意思と体素である共同生活が一体となった状態である内縁関係は、婚姻意思が存在するが共同生活を欠く場合である婚約や、婚姻意思が存在しないいわゆる私通関係とは区別されているのである。 民法は、内縁関係に認められる実質的な婚姻関係性に配慮して、様々な議論を経て、学説及び判例において、婚姻関係にある者と同様の法律的保護を与えるようにしており、また、他の社会法領域においても同様に内縁関係者を保護しているのである。 例えば、最高裁昭和33年4月11日第二小法廷判決(民集12巻5号789頁)は、次のように判示して、内縁関係者を保護している。 このように考えると、租税法においても同様に、内縁の妻を配偶者控除の対象としても問題はないように思われるが、どうであろうか? (続く)