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〈経理部が知っておきたい〉炭素と会計の基礎知識 【第16回】「戦略の開示 ~企業が目指す未来を可視化する」

〈経理部が知っておきたい〉 炭素と会計の基礎知識 【第16回】 「戦略の開示 ~企業が目指す未来を可視化する」   公認会計士 石王丸 香菜子   〔ジャーナル食品社の登場人物〕 *  *  * SSBJ基準では、企業がサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する開示を行うにあたり、次の4要素を開示することが求められます(【第14回】参照)。 「戦略」の開示は、企業がどのようなサステナビリティ関連のリスク及び機会に直面し、それと向き合うためにどのような戦略をとっているのか、どのような未来像を描いているのかを示す重要な情報です。 この「戦略」に関して、SSBJ基準により開示が求められる内容は、大きく整理すると次の3点になります。 *  *  * 【ENEOSホールディングス(株) 2025年3月期有価証券報告書】 (第2 事業の状況 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 2.持続可能な地球環境の形成・保全への貢献 より抜粋) (※) 脚注(★)は筆者による *  *  * バリュー・チェーンとは、企業のビジネス・モデルや事業を取り巻く外部環境に関連する、相互作用・資源・関係のすべてをいいます。 *  *  * *  *  * 企業のサステナビリティ関連のリスク及び機会は、企業がバリュー・チェーンを通じて関係者・社会・経済・自然環境などと相互に作用することによって生まれています。そのため、情報の利用者が企業のサステナビリティ関連のリスク及び機会を評価するには、バリュー・チェーン全体に関する情報を開示することが有用と考えられています。 *  *  * *  *  * SSBJ基準では、サステナビリティ関連のリスク及び機会について、 を開示することが求められます。 *  *  * *  *  * また、このようなサステナビリティ関連のリスク及び機会の内容とその影響を踏まえたうえで、企業がどのような戦略や意思決定をとっているかを開示することが求められます(先述の《B》)。次の開示例を見てみましょう。 【カゴメ(株) 2024年12月期有価証券報告書】 (第2 事業の状況 2【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】 〈持続可能な地球環境/戦略〉より抜粋) (※) 脚注(★)は筆者による *  *  * (※) 緩和:温室効果ガス排出に対し、炭素削減又は炭素吸収などの対応を行うこと 適応:起こりつつある気候変動の影響を防止又は軽減するための備えや、変化した気候パターンに対応したビジネスを行うこと *  *  * 気候関連の移行計画とは、低炭素経済に向けた移行のために企業が設定した目標・活動・資源を示した戦略を指します。SSBJ基準では、気候関連の移行計画がある場合、その内容を開示することが求められます。 *  *  * 【移行計画の開示で利用される図表のイメージ】 *  *  * 4つのコア・コンテンツのうち「戦略」の開示は、企業がサステナビリティ関連のリスク及び機会を踏まえ、どんな未来像を描き、その実現に向けて何を重点的に進めているのかを示すものです。開示を行う企業にとっては持続可能な価値づくりを語る本筋の部分であり、情報の利用者にとっては重要な読みどころのひとつと言えます。 *  *  * *  *  * Q サステナビリティに関する戦略についてどのような開示をするの? A 企業が直面するサステナビリティ関連のリスク及び機会の内容とその影響、それを踏まえてとられている戦略や意思決定、将来の不確実性に対する戦略やビジネス・モデルの耐性を開示します。開示企業にとっては、持続可能な価値づくりを語る本筋の部分と言えます。 (了)

#No. 653(掲載号)
#石王丸 香菜子
2026/01/22

連結会計を学ぶ(改) 【第13回】「連結会社相互間の取引高の相殺消去」

連結会計を学ぶ(改) 【第13回】 「連結会社相互間の取引高の相殺消去」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 連結損益計算書の作成に際しては、連結会社相互間の取引高の相殺消去及び未実現損益の消去等の処理を行って作成する(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)34項)。 今回は、連結会社相互間の取引高の相殺消去について解説する。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 取引高の相殺消去 親会社と子会社で取引が行われる場合(連結会社相互間の取引高)、それは企業集団としては内部取引であることから、連結損益計算書の作成に際して、相殺消去する必要がある(連結会計基準35項)。 なお、会社相互間取引が連結会社以外の企業を通じて行われている場合であっても、その取引が実質的に連結会社間の取引であることが明確であるときは、この取引を連結会社間の取引とみなして処理するので、注意が必要である(連結会計基準(注12))。 作成のイメージは、おおむね次の図表のとおりである。 【図表:連結損益計算書の作成プロセスのイメージ】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   Ⅲ 連結精算表の作成   (了)

#No. 653(掲載号)
#阿部 光成
2026/01/22

〔まとめて確認〕会計情報の四半期速報解説 【2026年1月】第3四半期決算(2025年12月31日)

〔まとめて確認〕 会計情報の四半期速報解説 【2026年1月】 第3四半期決算(2025年12月31日)   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 3月決算会社を想定し、第3四半期決算(2025年12月31日)に関連する速報解説のポイントについて、基本的に2025年10月1日から12月31日までに公開した速報解説を対象としている。 公開草案及び適用時期が将来のものは、基本的に記載の対象外としている。 具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。 なお、月ごとの速報解説のポイントについては、下記の連載を参照されたい。   Ⅱ 会計関係 次のものが公表されている。 ① 企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」等 (内容:中間会計基準及び四半期会計基準等を統合するもの。補足文書も公表) ② 「非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第47号) (内容:いわゆるバーチャル電力購入契約(Virtual Power Purchase Agreement(バーチャルPPA))に関する会計上の取扱いを示すもの)   Ⅲ 監査役等の監査関係 監査役等の実施する監査などに関連して、次のものが公表されている。 ① 「グループ・ガバナンスと監査役等の監査について」 (内容:グループ・ガバナンスの監査に向けた提言。日本監査役協会 ケース・スタディ委員会) ② 「会計監査人評価の現状と今後の在り方」 (内容:会計監査人の評価を効率化し、実効性向上を目的として研究したもの。日本監査役協会関西支部 監査役スタッフ研究会) ③ 「監査役等の引継ぎ手引書」 (内容:現任の監査役等が監査活動を実施する中で積み上げてきたものなどを引き継ぐためのツールとして取りまとめたもの。日本監査役協会関西支部事務局)   Ⅳ 過年度に公表されている会計基準等 過年度に公表されている会計基準等のうち、2025年4月1日以後に適用されるもの(早期適用を含む)として、次の会計基準等がある。 ① 「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第46号)等 (内容:グローバル・ミニマム課税について、法人税及び地方法人税の会計処理及び開示の取扱いを示すもの。補足文書がある。2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する(実務対応報告第46号14項)。ただし、実務対応報告第46号13項の四半期財務諸表及び中間財務諸表における注記の定めについては、実務対応報告第46号14項の定めにかかわらず、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する(実務対応報告第46号15項)) ② 2024年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の改正 (内容:包括利益の表示、特別法人事業税及び種類株式の取扱いについて改正するもの。早期適用の可否については、各会計基準等をお読みいただきたい。改正包括利益会計基準及び改正株主資本適用指針は、2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度の期首から適用する。改正法人税等会計基準及び改正税効果適用指針は、2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。改正「種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第10号)は、2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度及び事業年度の期首以後取得する種類株式について適用する) ③ 改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」 (内容:ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式の時価評価に関するもの。2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができる) ④ 企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等 (内容:借手のすべてのリースについて資産及び負債を計上するリースに関する会計基準。2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができる) (了)

#No. 653(掲載号)
#阿部 光成
2026/01/22

給与計算の質問箱 【第73回】「役員の社会保険料の削減」

給与計算の質問箱 【第73回】 「役員の社会保険料の削減」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 役員報酬を低く、役員賞与を高く設定し、事前確定届出給与に関する届出書を提出することで、役員の社会保険料を減らせると聞きました。その内容について教えてください。 A 役員は40歳未満(介護保険対象外)とし、協会けんぽ東京支部の2025年3月分(4月納付分)~2026年2月分(3月納付分)の社会保険料を前提として、以下、解説する。 * * 解 説 * * 〈図表1〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 〈図表2〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 〈図表1〉は、役員報酬月額5万円×12ヶ月、役員賞与11,400,000円×1回、年額12,000,000円の社会保険料である。 これより本人及び会社負担の年間の社会保険料はそれぞれ以下のとおりとなる。 〈図表2〉は、役員報酬月額100万円×12ヶ月、年額12,000,000円の社会保険料である。 これより本人及び会社負担の年間の社会保険料はそれぞれ以下のとおりとなる。 よって社会保険料の差額は、以下のとおりとなる。 役員報酬を低く設定し、役員賞与を高く設定することで社会保険料を減らせるといえる。一方で、以下の点に留意する必要がある。 (了)

#No. 653(掲載号)
#上前 剛
2026/01/22

《税理士のための》登記情報分析術 【第32回】「「国籍」が登記事項に?」

《税理士のための》 登記情報分析術 【第32回】 「「国籍」が登記事項に?」   司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎   2025年の終わりごろに不動産を取得し登記申請を行う際に、「国籍」を届出ることを義務化するという報道が大きくなされた。我が国では外国人による不動産の取得について制限が緩やかであるため、安全保障上の懸念が高まっていることや、所有者不明土地問題への対応といったことが背景にある。税理士は顧客の不動産取得等について関わることも多いと思われるため、現在検討されている制度の概要等について解説を行う。   1 所有権に関する登記事項 所有権に関する登記は登記記録の「甲区」に記録されるが、登記事項は不動産登記法に定められており、主なものとしては次のものがある。 【所有権に関する主な登記事項】 1 登記の目的 2 申請の受付年月日及び受付番号 3 所有者の住所、氏名、共有である場合は持分 4 所有者が法人であるときは、会社法人等番号 5 国外居住者である場合には、国内連絡先に関する事項 (国内連絡先がない場合には、「なし」とすることができる)   登記事項は登記記録に記載をされるため、誰でも手数料を払えば情報にアクセスできることになる。もし、今回話題となっている「国籍」も登記事項となるのであれば、所有者の国籍を第三者が閲覧可能になるが、プライバシーの観点からは懸念が生じる。   2 検索用情報とは 2026年4月1日に不動産の所有者の住所や氏名の変更登記の申請が義務化される。これは2024年4月1日にスタートした相続登記の申請義務化と同様に、所有者不明土地問題に対応するために行われるものである。 住所等の変更登記の申請義務化と同時に、所有者の負担を軽減するために、法務局が住基ネット情報を検索し、所有者の住所等に変更があれば職権で登記を行う「スマート変更登記」制度が開始される。法務局が所有者の住所等の変更の情報を調べて、所有者に代わって住所等の変更登記を行ってくれるのである。スマート登記制度の利用の対象となるためには、法務局が所有者の住基ネット情報を検索するために必要となる「検索用情報」を、法務局にあらかじめ申出ておく必要がある。検索用情報としては次のものがある。 【検索用情報】 検索用情報には、登記事項となっている(1)氏名や(3)住所などの情報もあるが、(2)ふりがなや(4)生年月日、(5)メールアドレスのように登記事項とはなっていない情報もある。検索用情報はあくまで法務局内部の事務処理に利用されるものであり、外部に公示される性質のものではない。 2025年4月21日以降に所有権を取得する登記を申請する場合には、登記申請書に検索用情報を記載して申出ることになっている。既に不動産の所有権を取得している人は、検索用情報の申出を独自にすることができる。   3 国籍を検索用情報として届出る 2025年12月23日に不動産登記規則の一部を改正する省令案がパブリック・コメントに付され、話題となっていた不動産登記申請時における「国籍」の届出は、検索用情報として申出ることが明らかとなった。検索用情報は公示されるものでないため、プライバシー保護の観点での懸念は少なくなったといえる。 国籍の申出は外国人に限らず日本人も必要となり、登記申請時に国籍が判る公的書面などを添付することが求められることになる。制度の施行は2026年中に予定されているが、国籍の届出をさせること自体に反対する声も多いと聞く。今後の動向に注目が必要であろう。   (了)

#No. 653(掲載号)
#北詰 健太郎
2026/01/22

税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第73回】「知っているようで知らない「固定資産税評価に特徴的な画地計算法の一例」」~鑑定評価との比較も交えて~

税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第73回】 「知っているようで知らない 「固定資産税評価に特徴的な画地計算法の一例」」 ~鑑定評価との比較も交えて~   不動産鑑定士 黒沢 泰   1 はじめに 前回は、「知っているようで知らない『固定資産税評価における路線価付設』の基礎知識」というタイトルで、固定資産税評価における路線価付設の仕組みを解説しました。そこでは、公示価格や鑑定評価によって求められた価格の7割を目安に路線価を付設するとともに、その基になる価格は近隣地域において間口・奥行、面積、形状等が普遍的な宅地(=標準的な画地)を前提としていることも併せて述べました。 そこで、今回は「7割評価」という目安がどのようにして設定されたかの背景及び拠り所を述べた後に、鑑定評価との比較も交えつつ、知っているようで知らない固定資産税評価に特徴的な画地計算法の一例を掲げてみたいと思います。   2 「7割評価」の背景及び拠り所 今から30年以上前に遡りますが、固定資産税の評価に地価公示や鑑定評価が活用されるに至った背景には、土地基本法の制定(平成元年12月22日)に伴う公的土地評価の均衡化及び適正化という解決すべき課題が迫っていたことが挙げられます。 すなわち、1980年代後半に地価が著しく高騰したことの影響を受けて、公示価格と固定資産税評価額のレベルとの間に著しい乖離(固定資産税評価額<公示価格)が生ずることとなりました。筆者の記憶をたどってみても、この頃の固定資産税評価額(宅地)の水準は、東京及びその近郊の都市圏では当時の時価の10分の1から10分の2くらいであったように思われます。 上記事情も相まって土地基本法が制定され、同法第16条(現行法では第17条)に、以下のとおり、公的土地評価の均衡化及び適正化の目標が掲げられました。このなかに、「課税の適正化に資するため」という規定も織り込まれています(下線は筆者)。 その後、平成3年1月には閣議決定として「総合土地政策推進要領」が策定され、「平成6年度以降の評価替えにおいて、土地基本法第16条の規定の趣旨を踏まえ、相続税評価との均衡にも配慮しつつ、速やかに、地価公示価格の一定割合を目標に、その均衡化・適正化を推進する」ものとされました。このような経緯を知っておくことは、現在、固定資産税の評価替えに当たり、地価公示及び鑑定評価が活用されている意義を理解する意味で非常に重要であるといえます。 そこで、「7割評価」の背景ですが、筆者の聞くところによりますと、 地価安定期であった昭和50年代における固定資産税評価額と公示価格の格差(固定資産税評価額<公示価格)は7割程度であったこと このような事情も勘案して7割程度の水準を目途に宅地の評価を行うことが妥当と考えられること をはじめとする検討結果に基づき、中央固定資産評価審議会の了承を得て決定されたと の由です。 また、「7割評価」の趣旨については、当時、依命通達の改正によって示されましたが、平成9年度評価替え時から大臣告示ということで固定資産評価基準に規定されています(その内容は前回、「固定資産評価基準第12節 経過措置」として掲載済です)。   3 固定資産税評価に特徴的な画地計算法の一例~鑑定評価との比較も交えて 固定資産税評価だけに限ったことではありませんが、土地の評価に当たってはまず画地の認定(=評価の単位となる画地の範囲を決定すること)が重要となります。その理由は、画地の範囲をどのようにとらえるかにより、結果的に評価額に少なからず影響を及ぼすことがあるからです。 固定資産評価基準(以下、「評価基準」といいます)では、一筆を一画地として評価することを原則としていますが、例外として、二筆以上の宅地にわたり建物が存在するなど複数の宅地が一体として利用されている場合は、二筆以上の宅地を一体で一画地として評価する旨定めています。 上記のとおり、評価基準においては、利用上の一体性に着目した画地の認定方法が重視され、所有者の一体性は基本的に問題とされていません。この点が鑑定評価と本質的に異なる点です。 すなわち、固定資産税評価においては、各筆の所有形態よりも現実的な利用状況に着目した画地の認定を行っている点に特徴が見られます。 例えば、一つの画地が甲の所有地と乙からの借地とに区分されていても、この上にまたがって甲が建物を建築し、敷地を一体利用していれば(下図参照)、各々の土地は所有者が異なっていてもこれらを合わせた範囲が一つの画地として認定されます。 その結果、各々を単独で評価した場合には評価額が異なっても、固定資産税評価の上では同一の単価で評価される仕組みとなっています(その背景には、固定資産税の目的からして、処分可能性(市場性)よりも一体利用という事実を重視し、各々の土地に対して等しく課税すべきであるという考え方があるものと推察されます)。 なお、各々の土地を単独で評価した場合、著しく差が生ずるのは乙所有地です。すなわち、甲所有地は一体地と比べ奥行距離が短くなる影響を受けるだけですが、乙所有地は無道路地となり市場における単独処分は困難で、甲所有地とは格段に価値の相違が生ずるからです。 鑑定評価では市場性という観点を視野に入れ、特段の評価条件を付して評価を行う場合(※1)は別として、このような条件が付されない限り、所有者の異なる各筆は別々の区画(画地)として単独で評価を行うこととなります(※2)。 (※1) この場合、例えば、乙所有地を隣接地の所有者甲が買い取って一体利用をする前提で評価します(鑑定評価の専門用語でいえば、求める価格は「限定価格」となります)。 (※2) この場合、乙所有地を不特定多数の者を対象として売却する前提で評価します(鑑定評価の専門用語でいえば、「正常価格」となります)。   4 まとめ 固定資産税評価額は、土地建物の所在する市町村等により算定されるため、その仕組みについては知っているようで知らない部分もあることと思います。 本稿が何かの参考になれば幸いです。 (了)

#No. 653(掲載号)
#黒沢 泰
2026/01/22

〈税務ライター・鈴木まゆ子の〉『ここがヘンだよ日本の税制』【第1回】「基礎控除の上乗せがナゾすぎる・・・納得いかない2つの理由」

〈税務ライター・鈴木まゆ子の〉 ここがヘンだよ日本の税制 第1回 基礎控除の上乗せがナゾすぎる・・・ 納得いかない2つの理由 税理士・税務ライター 鈴木 まゆ子   さて1回目のテーマは「基礎控除の上乗せ」。 そう感じる税理士の先生方は非常に多いのではないでしょうか。事実、私も違和感を覚えました。 今回は、基礎控除の上乗せの中身をつまびらかにし、なぜ私たちが「何かヘン」と感じるのかを明らかにしてまいります。   基礎控除の上乗せとは何か  基礎控除の上乗せとは、所得が一定額以下の納税者につき「本来の基礎控除に加えてさらに基礎控除を受けられるようにしよう」というものです。 令和7年度税制改正で創設されました・・・と言いたいところですが、正しく言うならば「令和7年度税制改正大綱に基づく法律の改正案を審議する国会の最中に登場しました」です。 当初、大綱ベースだと「基礎控除は従来の48万円から58万円に引き上げ」となっていました。 しかし国会審議中、野党からも与党からも修正案が提出されたのです。これを折衷させる形で登場したのが、最大37万円の基礎控除の上乗せだったと言われています。   基礎控除の上乗せの制度概要 この制度のポイントは、以下の通りです。 ●合計所得金額132万円以下はずっと「基礎控除37万円上乗せ」 上乗せ額の構造は次のようになっています。 合計所得金額 加算額 令和7年・8年 令和9年以降 132万円以下 37万円 132万円超 336万円以下 30万円 0円 336万円超 489万円以下 10万円 489万円超 655万円以下 5万円 引用元:令和7年 税制改正の解説(所得税法等の改正)|財務省 合計所得金額132万円以下(給与年収だと200万4,000円未満)であれば恒久的に基礎控除の上乗せが受けられます。元々の基礎控除は改正で58万円になったので、この所得層の基礎控除は総額で95万円となったのです。 引用元:令和7年分 年末調整のしかた|国税庁 ●合計所得金額132万円超655万円以下は「2年間だけ基礎控除上乗せ」 合計所得金額132万円を超えても655万円までは基礎控除の上乗せがあります。ただし上乗せ額は所得額に応じて減少します。加えて、加算措置は令和7年・令和8年の2年間限定です。 つまり令和9年以降、この所得層の基礎控除は上乗せナシの一律58万円となります。 ●基礎控除の上乗せ規定は租税特別措置法 引き上げの対象となった基礎控除は、所得税法に規定されています。しかし、基礎控除の上乗せは、租税特別措置法(以下「措置法」)に定められています。 ●基礎控除の上乗せは非居住者に適用なし 基礎控除の上乗せは非居住者に適用されません。なぜなのか。それは条文を読み解いていくと分かります。 非居住者に適用される所得控除は雑損控除・寄付金控除・基礎控除だけです。いずれも所得税法に規定されています。 【基礎控除の上乗せが非居住者に適用されるのか? 〈読み解き(その1)〉】 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 引用元:所得税法|e-gov (左記を基に筆者が加工して作成) 基礎控除の上乗せは、一見「別段の定め」として非居住者にも適用されそうです。しかし、この上乗せを規定している措置法規定は、対象を居住者に限定しています。 【基礎控除の上乗せが非居住者に適用されるのか? 〈読み解き(その2)〉】 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 引用元:租税特別措置法|e-gov(左記を基に筆者が加工して作成) ゆえに、基礎控除の上乗せは非居住者にはなく、58万円の基礎控除を適用するのみとなります。 ●源泉徴収税額表にも基礎控除の上乗せは適用なし 令和7年度税制改正による基礎控除の引き上げは、令和8年1月1日以降の給与所得の源泉徴収税額(甲欄)にも影響します。 ただし、基礎控除の上乗せは、源泉徴収税額に反映されません。 以上が基礎控除の上乗せの概要ですが、納得のいかない点が2つあります。   「基礎控除の上乗せ」ここがヘン① 生存権を措置法で規定する愚 ●基礎控除とは何か 基礎控除とは、基礎的人的控除の1つとされます。 基礎的人的控除とは 「この金額までは、この人が生活して生きているためのどうしても必要な所得だから課税しないでおこう」 という最低生活費を所得全体から差し引くことです。 憲法25条の生存権「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に由来するとされています。人間の権利でもっとも尊重されるべきものです。 ●措置法とは何か 措置法とは、特定の政策や社会的な課題を解決するために、通常の法律では対応しきれない特定の事項に限定して優遇や制限、手続きなど特別な措置を定めた法律をいいます。 租税特別措置法であれば、特定の政策を達成するために税負担を軽減するなどの規定が設けられます。 令和6年に話題になった定額減税や住宅借入金等特別控除がこれに当たります。通常は期間限定です。 ●基礎控除は特定の政策実現のためのものなのか このように並べてみると「基礎控除」と「措置法」の性質がまったく別のものであることが分かります。 基礎控除:置かれた状況に関係なく恒久的な権利にもとづくもの 措置法:特定の政策のための期間・対象者限定のもの 時限立法である措置法で不変の権利にもとづく基礎控除を規定することがそもそもおかしいのです。   「基礎控除の上乗せ」ここがヘン② 中所得者層の上乗せが2年限定である理由が不明 改正内容の意図については財務省が毎年公表している「税制改正の解説」に示されていますが、基礎控除の引き上げ・上乗せについては「改正の趣旨」で次のように書かれています。 所得税については、基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題があります。 わが国経済は長きにわたり、デフレの状態が続いてきたため、この間こうした問題が顕在化することはありませんでしたが、足元では物価が上昇傾向にあります。一般に指標とされる消費者物価指数(総合)は、最後に基礎控除の引上げが行われた平成7年から令和5年にかけて10%程度上昇し、令和6年も10月までに3%程度上昇しており、今後も一定の上昇が見込まれています。また、生活必需品を多く含む基礎的支出項目の消費者物価は平成7年から令和5年にかけて20%程度上昇しています。こうした物価動向を踏まえ、所得税の基礎控除の額を最高48万円から最高58万円に10万円、20%程度引き上げることとされました。 そのうえで、低所得者層の税負担に対して配慮する観点や、物価上昇に賃金上昇が追いついていない状況を踏まえ、中所得者層を含めて税負担を軽減する観点から、所得税の基礎控除の特例を創設することとされました。 引用元:令和7年 税制改正の解説(所得税法等の改正)|財務省 この趣旨説明は、行政学でいうところの「行政の説明責任」によるものです。 行政機関としては十分に説明を果たした、となるのでしょうが、国民としてはイマイチ納得いきません。 「中所得者層の基礎控除の上乗せが逓減するのはなぜ? なぜ2年間限定なの?」という疑問は残ります。 「『物価上昇に賃金上昇が追いついていない状況を踏まえ、中所得者層を含めて税負担を軽減』という表現があるだろう? すでに所得制限だって税制上で行われているだろう? そこから行間を読みなさい」と言うのが行政の言い分なのかもしれません。 しかし、その税制の影響を直接受けるのは国民です。2年間限定の制度で年末調整と確定申告、さらには還付申告と更正の請求と修正申告が振り回されるのだから、もっと説明してほしいところです。 もっともこれは、財務省に説明を求めるのではなく、立法機関である国会の議員たちに求めるべきことかもしれません。   国民の理解を得られるような税制改正を 基礎控除の上乗せは基礎控除の引き上げ・給与所得控除の最低保障額の拡大と併せ「物価上昇にあえぎ苦しむ国民の生活を救済するため」のものです。 それゆえに令和7年度税制改正では与野党の攻防が激しく行われることとなりました。 その結果、給与年収160万円の壁が実現したわけですが、所得控除の所得要件が給与年収ベースで123万円以下となるなどのチグハグ感も否めません。 国民は立法機関と行政機関の奴隷ではなく、日本という国の主権者です。 ゆえに税制は国民のものであり、国民が理解できるものでなくてはなりません。 国民生活への配慮と同時に「国民が1人で申告書を書いて納税額に納得できる」税制を国会にいらっしゃる方々には考えていただきたいものです。 (了)

#No. 653(掲載号)
#鈴木 まゆ子
2026/01/22

《速報解説》 内閣官房から「人的資本可視化指針(改訂版)」(案)が公表される~経営戦略と人材戦略の連動の可視化に関するより具体的な考え方を示す~

 《速報解説》 内閣官房から「人的資本可視化指針(改訂版)」(案)が公表される ~経営戦略と人材戦略の連動の可視化に関するより具体的な考え方を示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2026(令和8)年1月20日、内閣官房の非財務情報可視化研究会から、「人的資本可視化指針(改訂版)」(案)が公表され、意見募集が行われている。 これは、人的資本開示を行う場合に、どのような開示が企業と投資家の建設的な対話に有用であると考えられるか検討を行い、取りまとめたものである。 「第1部 経営戦略と人材戦略の連動」と、「第2部 4つの要素に従った開示」の2部構成となっている。 意見募集期間は2026年2月10日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 経営戦略と人材戦略の連動 「第1部 経営戦略と人材戦略の連動」は、人材戦略を経営方針・経営戦略等に関連付けて具体的に記載することを検討するすべての企業に役立つよう記載している。 改訂版の人的資本可視化指針(案)では、経営戦略と人材戦略の連動の可視化に関する、より具体的な考え方を示している。 「あるべき組織・人材の姿」を明確にし、それを踏まえた人的資本に関する課題に対処するための「必要となる人的資本投資」を整理することにより、自社にとっての経営戦略と連動した人材戦略を明確にすることが可能になると考えられるとしている。   Ⅲ 4つの要素に従った開示 「第2部 4つの要素に従った開示」は、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が開発するサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)に示された4つの要素を踏まえた開示を検討する企業に役立つよう記載している。 SSBJ基準において、4つの要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標)に基づく開示が求められている。 これらのうち、「(人材)戦略」と「(人的資本関連の)指標及び目標」に関して、経営戦略と関連付けた開示が投資家から期待されている。 「(人材)戦略」と「(人的資本関連の)指標及び目標」と関連付ける形で、「ガバナンス」と「リスク管理」の開示を行うことにより、4つの要素に従った開示となる。 (了)

#阿部 光成
2026/01/21

《速報解説》 国税庁、インボイス登録の再取得に関する新たなQ&Aを公表~経過措置適用期間中の再登録手続きを明確化~

《速報解説》 国税庁、インボイス登録の再取得に関する新たなQ&Aを公表 ~経過措置適用期間中の再登録手続きを明確化~   Profession Journal 編集部   国税庁はホームページ上で掲載している「インボイスの取扱いに関するご質問」を令和8年1月16日更新し、新たに1問を公表した。 なお、今回新たに公表された質問は「問Ⅹ 登録に係る経過措置により課税事業者となる期間における再登録」であるが、適格請求書発行事業者の登録に係る経過措置により課税事業者となった後、いったん登録を取りやめた事業者が、同一課税期間中に再度登録を受ける場合の手続きに関するものである。   1 具体的な質問内容 問Ⅹの具体的な質問としては、免税事業者である個人事業者として令和6年4月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けた後、令和7年12月1日に「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出し、令和8年1月1日から適格請求書発行事業者の登録を取りやめたが、同年中に改めて登録を受け直したいと考え、その場合における手続の内容を確認するものとなっている(基準期間(令和6年)の課税売上高は1,000万円以下)。   2 登録に係る経過措置 免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、原則として、消費税課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となる必要がある。令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合、適格請求書発行事業者の登録申請書(以下「登録申請書」)に登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載することで、その登録希望日から課税事業者となる経過措置(以下「登録に係る経過措置」)が設けられている。 登録に係る経過措置の適用を受ける場合(登録日の属する課税期間が令和5年10月1日を含む場合を除く)、登録日の属する課税期間の翌課税期間から登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、適格請求書発行事業者の登録を取りやめたとしても、基準期間の課税売上高にかかわらず免税事業者となることはできない。   3 質問への回答 上記のことから、令和8年分も課税事業者として消費税の確定申告が必要となると言及した上で、再度登録を受けるに当たっては、改めて登録申請書の提出が必要としている。 また、新たに登録に係る経過措置の適用を受けることになるため、登録申請書には登録希望日を記載し、その登録を受けようとする日から起算して15日前までに提出する必要があるとしている。   4 留意事項等 留意事項等としては、①再度登録を受けた日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間は免税事業者となることはできないこと、また、②再度登録を受けるために提出する登録申請書の「事業者区分」については、便宜上、「免税事業者」とした上で、登録希望日を記載するよう言及されている。 なお、令和8年10月1日から再登録を受ける場合の例についても下記のイメージが示されている。 (出典) 国税庁ホームページ (了) ↓お勧め連載記事↓

#Profession Journal 編集部
2026/01/19

プロフェッションジャーナル No.652が公開されました!~今週のお薦め記事~

2026年1月15日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.652を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2026/01/15
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