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基礎から身につく組織再編税制 【第63回】「株式移転の概要」

基礎から身につく組織再編税制 【第63回】 「株式移転の概要」   太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太   前回までは「株式交換」について解説してきましたが、今回からは組織再編税制における「株式移転」について解説していきます。まずは「株式移転」に関する基本的な考え方を解説します。   1 株式移転の概要 株式移転とは、会社がその発行済株式の全部を新設する会社に取得させることをいいます(会社法2三十二)。 (※1) 「株式移転完全親法人」とは、株式移転により他の法人の発行済株式の全部を取得したその株式移転により設立された法人をいいます(法法2十二の六の六)。 (※2) 「株式移転完全子法人」とは、株式移転によりその株主の有する株式をその株式移転により設立された法人に取得させたその株式を発行した法人をいいます(法法2十二の六の五)。   2 株式移転の課税関係 株式移転に係る課税関係を非適格・適格ごとに表にまとめると、次のようになります。 なお、今回は株式移転の課税関係のイメージを持っていただくことを目的としているため、現時点で下記の表をすべて理解する必要はありません。 株式移転完全親法人、株式移転完全子法人、株式移転完全子法人の株主の課税上の取扱いの詳細については、次回以降で説明したいと思います。 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 【株式移転完全親法人の処理イメージ】 ① 非適格株式移転 ② 適格株式移転 ◆株式移転の概要のポイント◆ 株式移転があった場合には、原則として株式移転完全子法人の資産について時価評価が必要となります。 株式移転があった場合には、原則として株式移転完全親法人は、株式移転完全子法人の株式を時価で取得したものとして取り扱います。 特例として適格株式移転の場合には、株式移転完全子法人への時価評価課税はなく、株式移転完全親法人の株式移転完全子法人株式の取得価額は、株式移転完全子法人の株主の簿価を引き継ぎます。 株式移転があった場合には、株式移転完全子法人の株主にみなし配当は生じず、金銭等の交付の有無により譲渡損益を認識します。   (了)

#No. 565(掲載号)
#川瀬 裕太
2024/04/18

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第43回】「ヤオハン・ファイナンス事件(地判平7.11.9、高判平8.6.19、最判平9.9.12)(その1)」~租税特別措置法66条の6第3項~

〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第43回】 「ヤオハン・ファイナンス事件 (地判平7.11.9、高判平8.6.19、最判平9.9.12) (その1)」 ~租税特別措置法66条の6第3項~   税理士 松田 祐弥     1 事件の概要 X社は、平成元年3月末現在、いわゆる軽課税国等の指定を受けていた香港に所在するHXF社の発行株式のすべてを直接保有していた。HXF社は、租税特別措置法(以下「措置法」という) 66条の6(当時)に規定するX社に係る特定外国子会社等に該当する。 また、X社は、当時香港に所在するHX社の発行済株式数の33.4%をHXF社を通じて間接保有していた。さらにHX社の発行済株式数の33.3%を内国法人であるXJ社(X社の100%親会社)が保有しており、HX社はX社に係る特定外国子会社等に該当する。なお、HX社は株式の保有を主たる事業とし、デパート業を営むHXD社(独立企業の実態あり)の発行済株式数の100%を所有している。 〈資本関係図〉 X社は、平成元年5月21日から同2年5月20日までの事業年度(以下「本件係争年度」という)分法人税について、所得金額を4,947万円余として確定申告した。これに対し、Y税務署長は措置法66条の6の規定により、特定外国子会社等の課税対象留保金額3億2,744万円余(HXF社分1億7,099万円余、HX社分1億5,640万円余)を所得金額に加算する更正処分等(以下「本件課税処分」という)をした。X社は、HX社の主たる事業はグループ企業に対する金融貸付業であるから本件課税処分は違法であるとして、審査請求を経て本訴を提起した。 本訴においてはHXF社及びHX社の主たる事業がいずれも「株式の保有」であるから措置法66条の6第1項に規定する内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金不算入(以下「タックス・ヘイブン課税」という)の適用除外を定める同条3項の非持分会社基準に該当しないとしてなされた本件課税処分の適否が争われた(なお、HX社については、主たる事業が株式の保有であることに当事者間に争いはない)。   2 タックス・ヘイブン対策税制 わが国のタックス・ヘイブン対策税制は、昭和53年度税制改正によって創設された(※1)。タックス・ヘイブン対策税制の創設前は、タックス・ヘイブンを利用する租税回避に対して、法人税法11条の実質所得者課税の規定により、それを適用しうる範囲において規制してきたが、この規定の適用に当たっての実質帰属の具体的な判定基準が明示されていないため、執行面での安定性に必ずしも問題なしとしない面があった。このため、租税法律主義を堅持しつつ課税の執行の安定性を確保するという観点からも、租税回避対策のための明文規定の整備が強く要請されていた(※2)。 (※1) 創設の背景として、昭和50年6月の「多国籍企業等国際経済に関する件」と題する衆議院外務委員会決議における「企業が諸制度の不備に乗じ納税回避を図るが如き事態の出現をあらかじめ防止するため、納税を怠ったり、租税回避地に逃避したりする企業に対する有効な規制措置を検討すること」という勧告、及び同年9月のOECD「租税回避および脱税に関する理事会勧告」の存在がある。 (※2) 『昭和53年版 改正税法のすべて』大蔵財務協会(1978年)157頁 ◆法人税法11条(実質所得者課税の原則 ) タックス・ヘイブン対策税制の基本的な考え方が示された昭和53年度の税制改正に関する答申は、まず、同税制創設の必要性について次のように述べている。 上記答申は、創設するタックス・ヘイブン対策税制の概要について、次のとおり説明している。 (ロ)について、創設されたタックス・ヘイブン対策税制の下で、当初の軽課税国として、香港を含む27の国又は地域が、昭和53年3月31日付大蔵省告示38号により示された(ブラックリスト方式)(※3)。 (※3) 租税回避に利用される税制上の措置を講ずる国や地域が続出し、諸外国の税制改正の動向を適時適切に把握し対応することが非常に困難となったことから、平成4年度税制改正により、ブラックリスト方式は廃止された。同改正の結果、外国関係会社が「特定外国子会社等」に該当するか否かの判定は、個々の法人ごとに、各事業年度の所得に対して課される租税の額がその所得金額のトリガー税率(当初25%)以下であるか否かを基準に行うこととなった。 また、(ニ)は、タックス・ヘイブン対策税制の適用除外が認められるための基準(適用除外基準)の概要であるが、立法担当者によれば、この適用除外を設けた背景にある基本的な考え方は次のとおりである(※4)。 (※4) 高橋元監修『タックス・ヘイブン対策税制の解説』清文社(1979年)129頁 具体的な適用除外基準は以下のとおりであり(※5)、全てを満たす場合はタックス・ヘイブン対策税制の対象外となる。つまり、経済的実態として、特定外国子会社等が所在地国において自身の管理下で中身のある事業を行っている場合には、当該特定外国子会社等の所得全体を合算課税の対象としない。 (※5) 措置法66条の6第3項 〈タックス・ヘイブン対策税制の適用フローチャート〉   3 争点 本件は、HXF社及びHX社の1989年3月期における主たる事業が、措置法66条の6第3項のタックス・ヘイブン課税の適用除外の対象とならない「株式の保有」に該当するか否かについて争われた。   4 当事者の主張 (1) Xの主張 (2) Yの主張 ((その2)へ続く)

#No. 565(掲載号)
#松田 祐弥
2024/04/18

〈経理部が知っておきたい〉炭素と会計の基礎知識 【第1回】「“脱炭素”の流れ・・・中小企業にも関係があるの?」

〈経理部が知っておきたい〉 炭素と会計の基礎知識 【第1回】 「“脱炭素”の流れ・・・中小企業にも関係があるの?」   公認会計士 石王丸 香菜子   ● ● ● はじめに ● ● ● 「脱炭素」「カーボンニュートラル」「GX」「気候変動」・・・昨今、こうしたキーワードを日常的に見かけるようになりました。書店に寄れば関連書籍がズラリと並び、ウェブでこれらのキーワードを検索すれば途方もない数のサイトが候補に挙がります。 書籍やウェブサイトに目を通したものの、専門用語やアルファベットの渦に飲み込まれて、途中で挫折・・・、という経験がある方もいるかもしれませんね。 “脱炭素”に向けた動きは世界規模で加速しています。 大規模なグローバル企業は脱炭素経営を本格化させており、気候変動に関連した情報開示にも積極的です。一方、中小規模の企業、なかでも経理部のような間接部門では、日々の業務で脱炭素を強く意識することは少ないでしょう。しかし、さまざまな理由から、経理部でも脱炭素重視の時流と無関係ではいられない状況になりつつあります。 本連載は、経理部の方を主な対象に、脱炭素に関連する知識などを基礎から無理なく身に付けていただくことを目指します。 それでは、さっそくPNパッケージ社の経理部をのぞいてみましょう。 *  *  * 〔PNパッケージ社の登場人物〕 ・・・翌日・・・ *  *  * 「――世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする――」 2015年にパリで開かれたCOP21(※1)において合意された世界共通目標です。このために、「できる限り早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる」ことが示されています。2021年のCOP26では、パリ協定で「努力」目標とされた1.5℃が、事実上の共通目標に格上げされています。 (※1) COP:国連気候変動枠組条約締約国会議。第21回会議をCOP21と表記する。 脱炭素の実現に向けて年限付きのカーボンニュートラルの実現を表明している国・地域の数は、150以上(※2)。日本も、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること、すなわち、カーボンニュートラルを宣言し、それを推進するためのさまざまな施策を打ち出しています。 (※2) 2022年10月時点。 *  *  * *  *  * 脱炭素という目標に向かって、社会のしくみは大きく変わりつつあります。 たとえば、国内のCO2(二酸化炭素)排出量の15%程度(※3)を占める運輸部門の脱炭素化は課題の1つです。運輸部門のCO2排出量はその多くが自動車由来であり、政府は「2035年にはすべての新車を電動車にする」という目標を掲げています。自動車産業は、大転換期の真っただ中にあります。 (※3) 経済産業省資源エネルギー庁「令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)」第1部第3章第2節 さまざまな規制が強化される一方、脱炭素を後押しするための支援策や優遇措置が次々に打ち出されています。こうした政策の恩恵を享受できれば、企業にとっては追い風です。 *  *  * *  *  * 1990年代後半から2010年頃までに生まれたいわゆる「Z世代」は、特に環境への関心が高い世代です。気候変動対策の必要性を訴える活動を続けて有名となったグレタ・トゥーンベリさんも、Z世代の1人ですね。 こうした若い世代が消費者層の中核に移行するにつれ、消費者ニーズの変化が一層顕著になっていくことは想像に難くありません。企業は、直接的あるいは間接的に、消費者のニーズに合わせて事業を展開する必要に迫られています。 *  *  * *  *  * グローバルに活動を行う大企業を中心に、脱炭素経営への取組みが急速に広まっています。たとえば、花王(株)は、事業活動に伴い排出されるCO2を2040年までにゼロにし、さらに2050年までのカーボンネガティブ(※4)をめざしており、2021年には国内のロジスティクス拠点などで使用電力100%再生エネルギー化を実現しています(※5)。 (※4) カーボンネガティブ:CO2排出量<CO2吸収量の状態。CO2排出量=CO2吸収量を意味するカーボンニュートラルよりさらに望ましい。 (※5) 花王株式会社「2040年カーボンゼロ、2050年カーボンネガティブ実現に向けた活動を加速」 大企業が積極的に脱炭素経営に取り組む背景の1つには、機関投資家からの要請があります。 各種の保険会社や年金基金などの機関投資家は、長期的な時間軸で企業への投資を行っています。すなわち、投資先である企業に対し、短期的な利益の追求よりも、中長期的な企業価値の向上を求めているのです。 巨額の資金を分散投資するため、個々の投資先の利益だけでなく、気候変動が経済や金融市場全体に及ぼす影響にもフォーカスしています。化石燃料産業などからの投資撤退(ダイベストメント)の動きがあるのも、こうした理由によります。 【企業経営への影響】 *  *  * *  *  * 大企業は、多くの中小企業とサプライチェーンでつながっています。こうした大企業がCO2排出量を減らすには、自社内で削減するだけでなく、サプライチェーン全体での排出量を減らす必要があるのです。 【サプライチェーン全体で排出量を把握・削減】 そこで、サプライヤーに対して排出量のデータ把握や削減の取組みを求める大企業が増えています。たとえば、本田技研工業(株)は、サプライヤー各社と協働してCO2排出総量削減に向けた取組みを進めており、サプライヤーのCO2排出量低減に関わるデータを一元的に管理するシステムを運用しています(※6)。 (※6) 本田技研工業株式会社「Honda Sustainability Report 2022」P149 *  *  * *  *  * 大企業では、サステナビリティ関連の部署やチームを設け、脱炭素に向けた対応や情報開示についてもこうした部署などが専念する体制が増えています。 一方、中小規模の企業では、専門の部署や担当者を設けるのは難しいことが多いと考えられます。従来は存在しなかった業務なので担当部署が明確ではありませんが、社内の情報を横断的に収集しやすいこと、取引先との窓口として機能しやすいことなどを踏まえれば、経理部がその業務の一端を担う可能性が高いでしょう。脱炭素に向けた取組みを後押しするための補助金や税制上の優遇措置などを利用したい場合も、経理部にバトンが回ってくるはずです。 *  *  * *  *  * Q “脱炭素”の流れ・・・中小企業にも関係があるの? A 脱炭素の流れは企業を取り巻く環境そのものを変えています。中小企業も、脱炭素の視点を織り込んだ経営判断や脱炭素に向けた取組みが求められる局面が増えています。 (了)

#No. 565(掲載号)
#石王丸 香菜子
2024/04/18

〔まとめて確認〕会計情報の四半期速報解説 【2024年4月】期末決算(2024年3月31日)

〔まとめて確認〕 会計情報の四半期速報解説 【2024年4月】 期末決算(2024年3月31日)   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 3月決算会社を想定し、期末決算(2024年3月31日)に関連する速報解説のポイントについて、改めて紹介する。基本的に2024年1月1日から3月31日までに公開した速報解説を対象としている。 公開草案及び適用時期が将来のものは、基本的に記載の対象外としている。 期末決算でも、すでに公表した四半期決算に関連する速報解説に引き続き注意する必要がある。 具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。   Ⅱ 会計関係 企業会計基準委員会及び日本公認会計士協会は、次のものを公表している。 ① 改正実務対応報告第44号「グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する取扱い」(内容:グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の取扱いを定めるもの) ② 実務対応報告第46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」等(内容:グローバル・ミニマム課税について、法人税及び地方法人税の会計処理及び開示の取扱いを示すもの。補足文書がある。2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用) ③ 改正企業会計基準適用指針第2号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」及び改正企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(内容:いわゆるパーシャルスピンオフの会計処理を取り扱うもの) ④ 会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正(内容:③に関連していわゆるパーシャルスピンオフの会計処理を取り扱うもの)   Ⅲ 金融商品取引法関係 次のものが公布・公表されている。 ① 「記述情報の開示の好事例集2023」の公表(サステナビリティに関する考え方及び取組の開示)(内容:有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方及び取組の開示に関する好事例を紹介するもの) ② 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第14号)(内容:「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(実務対応報告第45号)等を受けたもの) ③ 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第16号)(内容:有価証券届出書における個人情報の記載の見直しを行うもの) ④ 「記述情報の開示の好事例集2023」の更新(内容:「コーポレート・ガバナンスの概要」等の項目の追加など)   Ⅳ 監査法人等の監査関係 監査法人及び公認会計士の実施する監査などに関連して、次のものが公表されている。 ① 品質管理基準報告書第1号実務ガイダンス第4号「監査事務所における品質管理に関するツール (実務ガイダンス)」の改正の公表について(内容:品質管理システムの評価に当たっての具体的な手順や文書等について検討したもの) ② 監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」に伴う監査基準報告書等の改正の公表について(内容:監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」(2023年1月12日改正)に伴って、監査基準報告書580「経営者確認書」などを改正するもの。原則として、2024年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する)   Ⅴ 過年度に公表されている会計基準等 過年度に公表されている会計基準等のうち、2023年4月1日以後に適用されるもの(早期適用を含む)として、次の会計基準等がある。 ① 「電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会計処理及び開示に関する取扱い」(2022年8月26日、実務対応報告第43号)(内容:「金融商品取引業等に関する内閣府令」における電子記録移転有価証券表示権利等の発行・保有等に係る会計上の取扱いを示すもの。2023年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用する。ただし、実務対応報告の公表日(2022年8月26日)以後終了する事業年度及び四半期会計期間から適用することができる) ② 「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(2023年11月17日、実務対応報告第45号)(内容:改正された「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号)上の電子決済手段の発行及び保有等に係る会計上の取扱いを示すもの。公表日(2023年11月17日)以後適用する) ③ 「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の一部改正」(2023年11月17日、企業会計基準第32号)(内容:上記②に関連し、連結キャッシュ・フロー計算書等における資金の範囲を改正するもの。公表日(2023年11月17日)以後適用する) ④ 会計制度委員会報告第8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」の改正について(上記②に関連し、連結キャッシュ・フロー計算書等における資金の範囲を改正するもの。公表日(2023年11月17日)以後適用する) ⑤ 「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年10月28日、改正企業会計基準第27号)等(内容:税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)及びグループ法人税制が適用される場合の子会社株式等(子会社株式又は関連会社株式)の売却に係る税効果についての取扱いを示すもの。2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。ただし、2023年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができる) (了)

#No. 565(掲載号)
#阿部 光成
2024/04/18

給与計算の質問箱 【第52回】「社会保険の料率の変更」~令和6年度対応~

給与計算の質問箱 【第52回】 「社会保険の料率の変更」 ~令和6年度対応~   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 令和6年度において各種社会保険の料率の変更はあるでしょうか。 A 雇用保険、厚生年金保険、子ども・子育て拠出金の料率の変更はない。労災保険、健康保険、介護保険(第2号被保険者)の料率は変更がある。 * * 解 説 * * 1 料率の変更がないもの (1) 雇用保険 令和6年4月1日から令和7年3月31日までの一般の事業の雇用保険料率は、会社負担が0.95%、従業員負担が0.6%である。従業員は、給料の総支給額×0.6%=雇用保険料を給料から天引きされる。 例えば、給料の総支給額300,000円の場合、300,000円×0.6%=1,800円の雇用保険料が給料から天引きされる。 〔令和6年度の雇用保険料率〕 (※) 厚生労働省ホームページより (2) 厚生年金保険 厚生年金保険の料率は、18.3%を折半して会社負担が9.15%、役員・従業員負担が9.15%である。役員・従業員は、標準報酬月額×9.15%=厚生年金保険料を給料から天引きされる。 例えば、標準報酬月額300,000円の場合、300,000円×9.15%=27,450円の厚生年金保険料が給料から天引きされる。 〔令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)〕 (※) 協会けんぽホームページより (3) 子ども・子育て拠出金 子ども・子育て拠出金は、会社が全額負担し従業員の負担はないことから給料計算には関係しない。 子ども・子育て拠出金の料率は、0.36%である。子ども・子育て拠出金の額は、被保険者個々の厚生年金保険の標準報酬月額×0.36%の総額である。 例えば、厚生年金の標準報酬月額300,000円の役員1名だけが社会保険に加入している会社の場合、300,000円×0.36%=1,080円の子ども・子育て拠出金を年金事務所へ支払う。   2 料率の変更があるもの (1) 労災保険 労災保険料は、会社が全額負担し従業員の負担はないことから給料計算には関係しない。 〔労災保険率表〕 (※) 厚生労働省ホームページより (2) 健康保険 協会けんぽに加入の東京の会社の令和6年2月分(3月納付分)までの健康保険の料率は、10.00%を折半して会社負担が5%、役員・従業員負担が5%だった。令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険の料率は、0.02%引下げの9.98%を折半して会社負担が4.99%、役員・従業員負担が4.99%になった。役員・従業員は、標準報酬月額×4.99%=健康保険料を給料から天引きされる。 例えば、標準報酬月額300,000円の場合、300,000円×4.99%=14,970円の健康保険料が給料から天引きされる。 (3) 介護保険(第2号被保険者) 第2号被保険者とは、40歳以上65歳未満の役員・従業員をいう。40歳未満及び65歳以上の役員・従業員の給料からは介護保険料を天引きしない。 協会けんぽに加入の東京の会社の令和6年2月分(3月納付分)までの介護保険の料率は、1.82%を折半して会社負担が0.91%、役員・従業員負担が0.91%だった。令和6年3月分(4月納付分)からの介護保険の料率は、0.22%引下げの1.6%を折半して会社負担が0.8%、役員・従業員負担が0.8%になった。役員・従業員は、標準報酬月額×0.8%=介護保険料を給料から天引きされる。 例えば、標準報酬月額300,000円の場合、300,000円×0.8%=2,400円の介護保険料が給料から天引きされる。 (了)

#No. 565(掲載号)
#上前 剛
2024/04/18

税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第52回】「不動産鑑定評価基準に定義のない「述語」の意味」

税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第52回】 「不動産鑑定評価基準に定義のない「述語」の意味」   不動産鑑定士 黒沢 泰   1 はじめに 不動産鑑定評価基準(以下、「基準」と呼びます)には様々な専門用語についてその定義が置かれていますが、そこに使用されている「述語」については格別の説明はなされていません。 例えば、鑑定評価額の決定に至るまでには複数の価格(又は賃料)が試算されますが、それぞれの試算結果にウェイトを付けながら(あるいは勘案しながら)最終結論を導くに当たり、各々の価格を「関連づけて」や「比較考量して」、あるいは「標準として」という述語が必ずといってよいほど用いられています。 しかし、基準にはこれらの述語の定義が直接登場してこないため、改めてその意味を確認しておく必要があります。 そこで、今回はこれらの述語についての一般的な解釈と、鑑定評価に即した解釈を比較しつつ解説を進めていきます。   2 鑑定評価に登場する「述語」の解釈 上記1で述べた3つの述語につき、一般的な解釈と鑑定評価に即した解釈を比較すれば以下のとおりです(以下、価格を対象として述べていきます)。   3 基準の規定とそこに登場する「述語」の一例 それでは、これらの述語は基準のなかにどのように登場してくるのでしょうか。 以下、具体例を掲げておきます(太字は筆者によります)。 (1) 更地価格を求める場合 (※1) 筆者注。建物及びその敷地を一体とした取引価格(取引事例)のなかから建物部分を除いた残額を土地の取引価格として査定し、これを基に諸要因の比較を行って求めた対象地の価格を意味します。 (※2) 筆者注。開発法とは、対象地を戸建住宅の敷地として分割し、又は分譲マンションの敷地として捉え(どちらに該当するかの判断は近隣地域における標準的な使用状況のいかんによります)、これを前提として試算される開発業者の採算可能な土地購入限度額を試算する手法です。開発法に関連した解説は【第30回】でも行っています。 ここでは、「関連づけて」と「比較考量して」という述語が登場します。それぞれの意味は上記2で述べたとおりですが、実務においては必ずしも上記価格の試算に必要な資料が十分に収集できるとは限りません。 その結果、理論上は「関連づけて」という意味合いをもつ価格であっても、精度が相対的に低くならざるを得ないケースもあり得ます。その反対に、現実の市場の状況から「比較考量して」という意味合いをもつ価格が相応のウェイトを有することもあり得ます(例えば、規模の大きな土地の場合、購入者は開発業者に限られるケースが多くあります)。 理論と実務との間に乖離が生じるケースもありますが、更地価格の鑑定評価に当たり基準に掲げられている述語の意味は以上のとおりです。 (2) 建物及びその敷地の価格を求める場合 ① 自用の建物及びその敷地の価格 ここでは、「関連づけて」という述語のみ登場しています。すなわち、理論上は上記の3つの試算価格に等しくウェイトを置いて決定すべきものといえます。 ただし、更地価格のところでも述べたとおり、実務においては必ずしも上記価格の試算に必要な資料が十分に収集できるとは限りません(例えば、周辺に賃貸物件がほとんど見当たらず、賃貸市場が形成されていない地域では、仮に収益価格を試算したとしてもその精度は相対的に劣るものとならざるを得ません)。 ② 貸家及びその敷地の価格 ここでは、「標準とし」という述語のほか、「比較考量して」という述語が登場しています。そこで、収益価格を「標準とし」ということばの意味ですが、対象物件が貸家であり、収益(家賃)のいかんが重要な要素を占めるため、他の試算価格に比べて収益価格が重視されることを表しています。   4 基準改正による位置付けの変化 基準は過去に何度か改正されていますが、改正に伴い、従前の基準では「比較考量して」という意味合いをもつ価格であったところ、改正後に「関連づけて」という位置付けに変更されたケースがあります。その反対に、従前の基準では「関連づけて」という意味合いをもつ価格であったところ、改正後に「比較考量して」という位置付けに変更されたケースもあります。 それぞれの改正の背景には、その時々の市場環境の変化や不動産取引の慣行の変化等があるものと推測されます。 不動産鑑定士のなかには、このような位置付けの変化を捉えて、以下のように呼ぶ人も少なからず見受けられます。 基準の中には格別定義のなされていない「述語」も、このようにして意味を捉えていくと興味深いものがあります。 (了)

#No. 565(掲載号)
#黒沢 泰
2024/04/18

《税理士のための》登記情報分析術 【第11回】「登記の優先順位」~別区における優先順位~

《税理士のための》 登記情報分析術 【第11回】 「登記の優先順位」 ~別区における優先順位~   司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎   1 「受付年月日・受付番号」がポイント 不動産に関する登記記録の権利部の「甲区」には主に所有権に関する事項が登記され、「乙区」には担保権などの所有権以外の権利に関する事項が登記される。甲区に登記された権利と、乙区に登記された権利が対立した場合、どちらの権利が優先されるかを判断する必要がある。 「登記は早い者勝ち」と言われるとおり、別区に記録された権利についても、先に登記された権利が優先されることになる。 ただし、同一区で登記された権利とは異なり、「順位番号」では先に登記された権利を判断することができない。別区で登記された権利の優先順位は、登記された「受付年月日・受付番号」で判断することになる。   2 別区において権利が対立するケース 別区において権利が対立するケースとしては、次のようなものがある。 【差押の登記後に賃借権の登記がされているケース】 このケースでは、甲区の順位番号2番で差押の登記がなされてから、1日遅れて乙区の順位番号1番で賃借権の設定登記がされている。 賃借権の登記原因を見ると、賃借権設定契約自体は令和6年5月10日になされているが、賃借権の登記が差押の登記より遅れているため、もし競売が実行された場合には賃借権の登記は抹消されることになる。 【所有権移転請求権仮登記後に抵当権の登記がされているケース】 このケースでは、甲区2番で登記された所有権移転請求権仮登記と同じ日付で、乙区1番において抵当権の登記がなされているものの、受付番号については抵当権の登記が後の番号になっている。 この場合、甲区2番で登記された所有権移転請求権仮登記が優先されることになるため、仮登記に基づく本登記がなされると抵当権の登記は抹消される結果となる。   3 まずは登記記録をしっかり見ることが重要 別区に登記された権利が対立することがあるということについては、あまり知られていない印象がある。思わぬ不利益を被ることがないように、「登記は早い者勝ちである」ということを念頭に登記記録を読む癖をつけるとよいだろう。 (了)

#No. 565(掲載号)
#北詰 健太郎
2024/04/18

《顧問先にも教えたくなる!》資産づくりの基礎知識 【第11回】「手軽な不動産投資? REITを知ろう」

《顧問先にも教えたくなる!》 資産づくりの基礎知識 【第11回】 「手軽な不動産投資? REITを知ろう」   株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 一般社団法人公的保険アドバイザー協会 理事 日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー(CFP®) 山中 伸枝   〇不動産投資のハードル 不動産投資と聞くと、家賃収入で悠々自適といったイメージを持たれる方も多いようですが、実際は手軽なものではありません。例えばワンルームマンションであれば、空室リスクに加え、リフォームやメンテナンス、災害への備えなど様々な費用が利益を圧迫してしまいます。また、管理会社を挟めば、さらに費用がかさみます。 加えて、投資金額が大きいというのも、チャレンジしにくいハードルです。物件を購入するためにはまとまったお金が必要ですし、ローンを組むにしても住宅ローンと異なり厳しい条件下での借入れになります。   〇「REIT」とは 「うーん、それでも不動産投資をしてみたい!」という方には、不動産を対象とした投資信託「REIT(リート)」がよいかもしれません。「REIT」とは、多くの投資家が資金を出し合って、専門家(投資法人)に不動産への投資等をお願いし、その利益を受け取る仕組みです。 REITは、不動産がその投資先です。一般に「投資信託」と言えば、複数の株式等に投資をすることで資産の分散を図りますが、REITの場合は複数の不動産物件に投資をすることで資産の分散を図ります。具体的には、オフィスビル、住居、倉庫、商業施設などが投資先です。 もともと、REITという仕組みはアメリカで生まれたもので、日本版のREITは、「JAPAN」の「J」をつけて「J-REIT」と呼ばれています。J-REITは投資信託の仲間ですが、証券取引所に上場しており、株式と同様に証券会社を通じて売買が可能です。   〇REITのメリット 不動産の利益と言えば、まず家賃収入です。REITの場合は、巨額の資金で複数のビル等を所有し、その家賃収入を利益とします。株価と異なり、家賃は契約により一定の収益を安定して見込めます。安定した家賃収入が利益の源ですから、高い配当利回りを期待できることが魅力です。また、ある程度景気に連動しますので、状況により家賃収入の上昇も期待できます。 複数の物件に投資していれば、空室リスクを抑えられますし、リフォームなどの様々なリスクもスケールメリットを活かして低減させることが可能です。 たくさんの投資家が資金を出し合うため、1人1人の投資額は少額で構いません。数万円で複数の不動産を持てるわけですから、合理的な投資方法とも言えるでしょう。 また、J-REITは証券取引所に上場しているため、いつでも売却が可能です。不動産オーナーにありがちな、売りたい時に物件が売れずに、不動産が“負動産”になってしまったという、笑えない話もなくなります。 もちろん、購入時や売却時には手数料がかかりますが、それぞれの物件の管理などのコストをすべて含んだ金額だと考えると、かなりリーズナブルなのではないでしょうか。また、REITの購入を借入れしてまで行う人はまずいないでしょうから、費用面での負担感も全く違います。   〇REITとNISA REITへはNISA制度を利用して投資できるので、利益に対して税金を取られることなく資産形成ができるという点も、大きなメリットです。NISAとはご存じのとおり、少額投資非課税制度で、投資から得られた利益に対し通常かかる20.315%の税金が非課税になる仕組みです。 2024年1月からは新NISAとしてその制度が拡充されました(【第2回】参照)。年間で投資できる金額は最大360万円、非課税で運用できる期間は無期限ですから、この仕組みの中で投資ができるREITの魅力がさらにアップすると言えます。 実際のマンションやビルに投資をしている不動産オーナーであれば、家賃収入あるいは不動産売却時の利益に当然税金がかかります。一方REITは小口から投資ができ、さらにその投資方法を意識することで税金も抑えられます。投資対象として検討してみるのもよいのではないでしょうか。   〇REITに投資すると・・・ 例えば、あるREITを運用する投資法人のウェブサイトを見ると、その投資法人がどのような物件を所有しているのか確認できます。それによると、オフィスビル、住宅、ホテル・旅館、物流施設や商業施設、そして病院などといった物件を実際に所有していることがわかります。 さらにサイトを見ていくと、マップ上に物件の場所が示されていたり、物件の詳細を知ることができるページに続いていたりします。中には、ご存じのビルがあったりすることもあり、ほんの一部ではあるけれど「ここに投資をしているのだ」と思うと、ちょっとした不動産王の気分が味わえるかもしれません。 *  *  * 投資の醍醐味は、自らのお金を使って経済とつながることなのではないでしょうか。そうすると、株式とはまた異なった視点で具体的な投資先を知ることができるREITに興味を持つ方もいらっしゃるのではないかと考えます。 現物投資にこだわる方は、「大家さん業」を味わいたいのかもしれませんが、少額で家賃収入が得られる投資先をご自身のポートフォリオに加えたいという方であれば、REITも検討してみてください。 (了)

#No. 565(掲載号)
#山中 伸枝
2024/04/18

《速報解説》 改正法人税法施行規則の公布により、令和6年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)様式が明らかに~中堅企業区分・繰越税額控除制度の創設に伴い賃上げ促進税制に係る様式が改正~

《速報解説》 改正法人税法施行規則の公布により、 令和6年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)様式が明らかに ~中堅企業区分・繰越税額控除制度の創設に伴い賃上げ促進税制に係る様式が改正~   Profession Journal編集部   令和6年度税制改正に対応した法人税申告書(別表)の様式を定めた改正法人税法施行規則(財務省令第36号)が、4月12日付官報号外第94号で公布された。これら改正後の様式は原則、令和6年4月1日以後終了事業年度から適用される(改正法規附則3)。官報同号では地方法人税及び租税特別措置の適用額明細書の様式改正も行われている。 以下、新設された様式を中心に紹介する。 令和6年度改正においては賃上げ促進税制が拡充されており、今回の様式改正では同税制に係る従来の様式である別表6(26)及び別表6(26)付表1が削除されたうえで、新たな様式となる別表6(24)及び別表6(24)付表1が新設されている(※)。 (※) 賃上げ促進税制に係る従来の様式である「別表6(26)付表2」は、「別表6(24)付表2」に別表番号のみ変更。 賃上げ促進税制は、従来、大企業(資本金1億円超)と中小企業(資本金1億円以下)の2つに分けて要件が規定されていたところ、令和6年度改正で新たに中堅企業(特定法人:常時使用従業員2,000人以下)の区分が設けられたことに対応し、新様式である別表6(24)では、「税額控除限度額等の計算」欄に「令和6年4月1日以後に開始する事業年度の場合」を置いたうえで「第1項適用の場合」(大企業の場合)、「第2項適用の場合」(中堅企業の場合)、「第3項適用の場合」(中小企業の場合)の3つの欄が設けられた(措法42の12の5①~③)。 また、令和6年度改正では、赤字の中小企業でも賃上げ促進税制の恩恵が受けられるよう、令和6年4月1日以後開始事業年度に同税制を適用しても控除しきれない金額を5年間繰り越せる繰越税額控除制度が創設されており、この制度に対応して別表6(24)では「前期繰越分」を記載する欄が新たに設けられているほか、この「前期繰越分」算出のために別表6(24)付表1では、「翌期繰越税額控除限度超過額の計算」欄が新たに用意されている。 〈別表6(24) 給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 〈別表6(24)付表1 給与等支給額、比較教育訓練費の額及び翌期繰越税額控除限度超過額がの計算に関する明細書〉 次に、GX・DX・経済安全保障の戦略分野における国内投資を促進するため、生産・販売量に応じて減税を行う新たな制度として戦略分野国内生産促進税制が令和6年度改正で創設されたところ、この税制に係る様式として、「別表6(27) 産業競争力基盤強化商品生産用資産を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」が新設されている。 なお、同じく令和6年度改正で創設されたイノベーションボックス税制(特許権等の譲渡等による所得の課税の特例)については、令和7年4月1日施行のため、今回の様式改正では対応した別表は織り込まれていない。 〈別表6(27) 産業競争力基盤強化商品生産用資産を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 さらに、令和5年度改正で導入されたグローバル・ミニマム課税のうち「所得合算ルール」が令和6年4月1日以降に開始する事業年度から適用されることに伴い、関係様式が下記のとおり新設されている。 ちなみに、令和6年度改正において交際費等の損金不算入制度の見直しがされているが、その内容は損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準の引上げ(1人当たり5,000円 ⇒ 10,000円)であり、あくまで交際費等の範囲に係る改正となるため、「別表15 交際費等の損金算入に関する明細書」に影響はなく、様式の改正は行われていない。 そのほか、別表5(1)の表中の「未納法人税等(退職年金等積立金に対するものを除く。)」が「未納法人税等(各事業年度の所得に対するものに限る。)」に改められるなど、既存様式に係る細かな改正も行われている。 (了)

#Profession Journal 編集部
2024/04/17

《速報解説》 JICPAが「監査及びレビュー等の契約書の作成例」を改正~期中レビュー導入への対応や守秘義務条項を一部追加~

《速報解説》 JICPAが「監査及びレビュー等の契約書の作成例」を改正 ~期中レビュー導入への対応や守秘義務条項を一部追加~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2024年3月18日付けで(ホームページ掲載日は2024年4月12日)、日本公認会計士協会は、「法規・制度委員会研究報告第1号「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の改正」を公表した。 これは、四半期開示制度の見直しに伴う改正などに対応するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 主な内容は次のとおりである。 (了)

#阿部 光成
2024/04/15
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