これからの会社に必要な 『登記管理』の基礎実務 【第11回】 「株主管理の仕組みづくり」 -株主名簿整備〈着手編〉- 司法書士法人F&Partners 司法書士 本橋 寛樹 はじめに 前回の株主名簿整備の必要性をふまえて、本稿では、株主名簿を整備するための手順について解説する。 自社の株主管理を本格的に見直したいと考えている読者は、株主名簿整備のための下記3ステップに着手してみよう。これらのステップを実践することにより、自社の株主をどの程度管理できているかを把握し、今後の株主管理の体制づくりのベースを築くことができる。 《株主名簿整備のための3ステップ》 それでは各ステップを詳しくみていこう。 ステップ①:株主に関する資料を集める まず、株主に関する資料を集める必要がある。 多くの読者が活用する資料は、次の3点になると思われる。 このうち「自社でWordやExcel等で管理しているデータ」は、その作成時、別表二や原始定款等の株主に関する資料を参照しているはずである。このため、どの資料をもとに作成されたかを精査することが望ましい。 なお、拙稿の「株主名簿整備の方法と会社のリスクマネジメント」のなかで、資料名とその詳細について解説しているので参考とされたい。 【登記記録から株主情報の変更を読み取れる場合】 登記記録には株主の氏名及び住所は記載されないが、株主に関する資料とあわせて登記記録を精査すると、会社が把握していた株主情報に変更があることを読み取れる場合がある。 ① 代表取締役の住所の記載 株式会社の代表取締役は氏名及び住所が登記される(会社法第911条第3項第14号)が、その代表取締役が株主の場合、別表二に記載の住所と登記記録に記載の住所が異なっていることがある。別表二の住所の記載が古ければ、その記載を最新の状態に更新すればよい。 一方、登記記録上の住所の記載が古ければ、代表取締役の住所変更の登記手続をする必要がある。 《別表二の記載例》 《登記記録例》 ② 原始定款 原始定款には、会社設立当時の株主(発起人)の氏名及び住所、割当株式数が記載される。登記記録の発行済株式数と記載が異なっていれば、会社設立後に株式数が変更されたと読み取れる。 《原始定款の記載例》 《登記記録》 ステップ②:株主名簿の記載事項に当てはめる ステップ①の資料をもとに、株主名簿の書式に当てはめる。株主名簿の書式は、少なくとも株主名簿の記載事項が網羅されていれば任意のものでよい。 《株主名簿の記載事項(会社法第121条)》 (※) 株券を発行しない会社では株券番号はなし。一例として備考欄に株券不発行と記載する。 《記入例》 ステップ③:株主全員と連絡が取れるかを確認する ステップ②で記載した株主名簿において、次のような株主はいなかっただろうか。 これらの株主は、今後会社から株主への連絡が困難となり、株主の所在が不明となりうる例である。 ①に関して、相続により株式を取得した者は、会社に株主名簿の書換を請求することができる(会社法第133条第2項)。 また②に関しては、株主の住所に変更がある場合、一般的な定款では、次のように、株主が会社に届出する旨の規定が定められている。 《定款の規定例》 しかし、株式を取得した者や株主(以下、「株主側」という)がこれらの会社法や定款の規定を知っているとは限らない。そうなると、株主側から変更の届出や名義書換の請求がなされるという保証はない。 会社が株主側から変更の届出や名義書換の請求を待ち、株主の相続や住所等の情報を知らないという状況が続けば、いずれ会社から株主側に連絡を取ることさえ難しくなってしまうだろう。 そこで、株主の所在が不明となり、株式が分散する前に、会社から株主側に対して連絡を取ることを推奨したい。上記①②のケースに対して下記のとおり対応することで、株式の分散の防止につなげられる。 ① 亡くなっている株主がいる場合 〈対応策〉 株式の相続の詳細を相続人に聴取し、会社から株式の売渡しの請求を行う。 ② 退職した役員や従業員が株主である場合 〈対応策〉 株式の売買を持ちかける。 連絡が取れない株主への対応 まったく連絡が取れない株主であっても株主の権利が失われるわけではない。 連絡が取れない株主が保有する株式を会社が処分する手段として、例えば、裁判所が関与する、「所在不明株主の株式売却制度」がある。 (注) 5年以上の継続した期間や官報公告等の諸手続を要する点に着目されたい。 株主側と連絡が取れなくなってから対応するよりも、株主側と連絡が取れるうちに、裁判所の関与なしで株主側との話し合いのうえ、会社が株式を取得する等の対応を取る方が会社にとって負担が少なく済むのではないだろうか。 中長期的な株主管理に向けて 株主名簿整備のための3ステップを実践してみて、自社の株主名簿は漏れなく整備できたたろうか。 もし株主名簿を整備する過程で株主に関して不明確な情報があれば、株主に関する資料の保管方法や会社が株主と接触する頻度が万全ではないといえる。 * * * 次回は、株主に関する資料の保管方法や会社が株主と接触する頻度に着目し、中長期にわたって株主管理を行うための運営方法について解説する。 (了)
〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第4話】 「所得控除の見直し」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一 「サラリーマンにとっては増税だな・・・」 中尾統括官は、昼休みに、新聞を机の上に広げながらつぶやく。 「どうしたのですか?」 近くにいた浅田調査官が新聞を覗きながら尋ねる。 「これだよ・・・平成30年度税制改正の焦点は、所得税改革・・・」 中尾統括官は、平成30年度税制改正大綱について書かれた新聞の見出しを読む。 「給与所得控除は一律10万円減額と書かれていますが・・・これって、私も対象になるのですか?」 浅田調査官が尋ねる。 「もちろん、君も含めて、給与所得者は全員だ。」 中尾統括官の語気は荒い。 「ただし、基礎控除が一律10万円引き上げられて、合計所得が2,400万円を超えると段階的に縮減される形になるから、結局、君はプラスマイナスゼロということで、改正の影響はない。」 浅田調査官は頷く。 「・・・まだ、現時点で法案は成立していないから何とも言えないが・・・平成30年度税制改正大綱では、給与所得者に対して、給与収入850万円を超える会社員の給与所得控除を195万円で頭打ちにすると・・・書かれている・・・」 浅田調査官は新聞記事を目でたどる。 「・・・統括官の年収はもちろん850万円を超えているでしょうからから・・・増税になるということですか?」 中尾統括官は黙って頷く。 「・・・新聞によると、年収850万円を超えるサラリーマンは全体の5%弱と書かれていますから・・・中尾統括官は高額所得者なのですね。」 浅田調査官は嬉しそうに言う。 「そんなことはないよ。」 中尾統括官はキッパリと否定する。 「・・・ところで、給与所得控除については、平成26年度税制改正で上限の引下げが行われたばかりなのに、また引下げをするのですね。」 浅田調査官は、平成26年度改正のパンフレットを見る。 「そして今回は、給与収入850万円超のサラリーマンは、給与所得控除額195万円で頭打ち・・・」 浅田調査官の言葉に、中尾統括官は頷く。 「同時に、公的年金等控除も見直しされる予定だ・・・」 中尾統括官は2年後の自分の退職のことを考える。 「・・・大綱によれば、年金1,000万円で控除に上限を設け、年金以外の所得が1,000万円超で控除10万円減になり、2,000万円超で20万円減になる・・・と書かれている。」 そう言いながら、中尾統括官は、現在の公的年金等控除額の表を見る。 「・・・年金課税については、社会保険料拠出を全額所得控除する一方で、給付についても公的年金等控除などによって、実質的に年金が非課税になっているとの問題点が指摘されているんだ・・・」 中尾統括官が言う。 「国民年金などは、企業年金と違って給付される金額そのものが小さいから、ほとんどが公的年金等控除額の範囲内になって課税されていない・・・」 浅田調査官は付け加える。 「しかし、どうしてサラリーマンばかりを狙って増税を繰り返すのでしょうか・・・あまり重税になると、勤労意欲が失われると思うのですが・・・」 浅田調査官は腕を組みながら不満を言う。 「私もまったく同感だよ・・・クロヨンという言葉があるように、給与所得の捕捉率は、他の事業所得や農業所得と異なって、90%と非常に高い。だから、サラリーマンは所得をごまかせない・・・もっとも、税務職員がそんなことを言うのも変な話だけどね・・・」 中尾統括官は苦笑する。 「しかし、サラリーマンを大切にしなければ・・・そのうち、サラリーマンの暴動が起きますよ。」 浅田調査官は真剣に言う。 「・・・とりあえず、今後、納税者からの質問に答えるためにも、君も税制改正については十分に勉強しておく必要があるね。」 中尾統括官は浅田調査官の顔を見る。 「そうですね、税務調査に行くと、調査中に、納税者から、新聞で書かれている税制改正の内容について質問を受けることが多いですから、勉強する必要があると思います。」 浅田調査官は、大きく頷く。 (つづく)
《速報解説》 2019年9月末まで事業完了期限が延長された「軽減税率対策補助金」、 申請受付期限は同年12月16日に決定 ~B-1型の指定事業者は事前の交付申請期限に留意~ Profession Journal 編集部 中小企業・小規模事業者が、消費税の軽減税率に対応するためのレジシステム・受発注システムの改修等を行った場合に一定の補助が受けられる「軽減税率対策補助金」だが、補助を受けるための改修等の事業完了期限が2019年9月30日(月)(延長前は今月31日が期限)まで大幅に延長されたのは既報のとおり。 ただし、補助金の申請受付期限について中小企業庁は、「事業完了期限に合わせて設定することとし、具体的な時期については後日公表する」としていた。 このたび1月9日付で中小企業庁はホームページ上にて、この申請受付期限を2019年12月16日(月)とすることを公表した。 なお上記公表に伴い、軽減税率対策補助金のホームページでは同日付で、各種の公募要領や申請の手引き等の改訂が行われている。 (※) 軽減税率対策補助金ホームページより 一連の期限延長前は、事業完了期限と申請受付期限が共に2018年1月31日とされていたが、今回の申請受付期限延長によって、事業完了期限との間に一定の期間が設けられたことで、改修等完了後に申請手続を行うことが可能となるため、企業にとってはある程度の余裕が生じることになろう。 ただし注意したいのが、B型(受発注システムの改修等支援)のうち、システムベンダー等に発注して受発注システムを改修等する場合のB-1型のケースだ。 B-1型の場合、指定事業者による代理申請制度が採られており、指定事業者には、改修等に着手する前の「交付申請」と改修等完了後の「完了報告」という2段階の申請が必要とされる。 このようにB-1型は、A型(複数税率対応レジの導入等支援)及びB-2型(事業者自らが製品等を購入し導入する)とは異なり「事前申請」が必要であり、事前申請の期限(交付申請書の提出期限)は2019年6月28日(金)とされている点には留意されたい。 (※) 軽減税率対策補助金ホームページより (了)
《速報解説》 平成32年4月1日以後開始事業年度から電子申告義務化 ~資本金1億円超の大企業~ 税理士 佐藤 善恵 生産性向上の推進や官民のコスト削減の観点から、資本金1億円超の大企業について、法人税等の電子申告が義務化される。また、これにあわせ、企業の電子申告の利便性向上に資するよう、電子申告にかかる制度及び運用が整備されることとなった。 この電子申告の義務化は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)からの適用である。 また、書面申告についても法人税申告書の署名押印に関して措置が講じられる。この点については、中小企業も同様の扱いであるから、以下の【2】(3)を確認されたい。なお、この書面申告に関する措置は、改正法施行後に準備が整い次第、具体的には法人税法施行規則が申告書様式を定めた時点からの適用となる見込みである。 【1】 改正案の概要 電子申告義務化の対象主体は、内国法人のうち事業年度開始の時において資本金の額等が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社である。また、消費税等については、これに国及び地方公共団体が義務化対象に含められる。 対象となる申告書は、次のとおりであって、これらの申告書に記載すべきものとされる事項について、電子情報処理組織を使用する方法(e‐Tax、eLTAX)により提供しなければならない。 また、電子申告の義務化によって、各申告書の添付書類についても同様に電子申告が求められる。ただし、法人税の添付書類については、光ディスク等による提出も認められる。 【2】 義務化に向けた環境整備 (1) 提出情報等のスリム化 (2) 提出方法の拡充等 法人税及び地方法人税の申告手続について、別表(明細記載を要する部分に限る)、財務諸表及び勘定科目内訳書に係るデータ形式が柔軟化される。具体的にはCSV形式(エクセル)が挙げられている。 そして、運用上、勘定科目内訳書の記載内容の簡素化等が図られ、併せて、電子情報処理組織の送信容量拡大などの対応が行われる。 (3) 認証手続の簡便化 (4) 提出先の一元化 (5) 宥恕規定と無申告加算税・不申告加算金の取扱い 電機通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合において、書面による申告書の提出ができると認められるときは、所轄税務署長の承認を受けて、申告書及び添付書類を書面提出することができる。 電機通信回線の故障等の一定の理由以外の理由によって電子申告がなされない場合には、無申告(不申告)として扱われるので留意が必要である。ただし、現在の運用上の取扱いを踏まえ、期限内に申告書の主要な部分が電子的に提出されていれば、無申告加算税は課さない取扱いとなる。 この「申告書の主要な部分」以外の書類の電子提出の確保策については、施行後の電子的な提出状況等を踏まえ、そのあり方が検討される(地方税における宥恕規定は、国税における措置等を踏まえて検討される)。 (了) ↓お勧め連載記事↓
《速報解説》 恒久的施設(PE)関連規定の見直し ~平成30年度税制改正大綱~ 税理士・行政書士 島田 弘大 1 はじめに 平成29年12月14日に「平成30年度税制改正大綱」が公表され、22日に閣議決定された。日本企業の健全な海外展開を支えることにより海外の成長を国内に取り込むと同時に、BEPSプロジェクトを背景に国際的な脱税や租税回避に対する効果的な対応も求められることから、毎年のように国際課税に関する重要な改正が行われている。 平成30年度の税制改正においても国際課税における改正が行われているが、国際課税の重要な改正の中に「恒久的施設関連規定の見直し」がある。 恒久的施設(Permanent Establishment)(以下「PE」という)の主な改正ポイントは、「PE認定の人為的回避防止措置の導入」と「租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備」の2つである。 2 PE認定の人為的回避防止措置の導入 (1) 支店PEの見直し ① 現行法 「支店PE」とは、支店、出張所その他の事業所若しくは事務所、工場又は倉庫業者の倉庫その他事業を行う一定の場所をいう。ただし、保管、展示、引渡し、その他の特定の活動(以下、「特定活動」という)のみを行う場所等は、支店PEには含まれない。 ② 改正案 ③ 留意すべきポイント 保管などの特定活動のみを行う場所であったとしても、準備的又は補助的な性格のものではない場合には支店PEに該当することになる。したがって、例えば相当数の従業員が勤務し、製品の保管・引渡しのみを行うための倉庫等については改めて検討が必要になる。 (2) 代理人PEの見直し ① 現行法 「代理人PE」とは、下記(ア)~(ウ)をいう。ただし、その者が、その事業に係る業務を、非居住者等に対し独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合における当該者(以下、「独立代理人」という)を除く。 ② 改正案 非居住者等の「資産の所有権の移転等」に関する契約の締結に関する業務を行う者を常習代理人に加える。また、独立代理人の範囲から、専ら又は主として一又は二以上の自己と密接に関連する者に代わって行動する者を除外する。 ③ 留意すべきポイント 常習代理人の範囲に「資産の所有権の移転等に関する契約」も含まれることになる。したがって、例えば販売委託契約(コミッショネア契約)で外国法人が日本の受託者(コミッショネア)を経由して日本の顧客に自社製品の売買を行っている場合も、その受託者(コミッショネア)が代理人PEに該当する可能性が考えられる。 (3) 建設PEの見直し ① 現行法 「建設PE」とは、建設、据付け、組立てその他の作業又はその作業の指揮監督の役務の提供で、1年を超えて行われる建設作業場をいう。 ② 改正案 建設PEの期間要件について、契約を分割して建設工事等の期間を1年以下とすることにより建設PEを構成しないことがその契約の分割の主たる目的の1つであった場合には、分割された期間を合計して判定を行うこととする。 ③ 留意すべきポイント 作業期間が1年超であるかどうかについて、分割された期間を合計して判定を行うことが明記されることとなるため、契約が分割されていることにより建設PEとなっていない場合には注意が必要となる。 3 租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備 わが国が締結した租税条約において、国内法上のPEと異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける非居住者等については、その租税条約上のPEを国内法上のPEとする。 OECDモデル租税条約と合わせるため、国内法上の上記2の(2)①(イ)在庫保有代理人、(ウ)注文取得代理人を削除、またその他の国内法上の定義についても一部変更される。 4 適用時期 ▷法人税:平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用する。 ▷所得税:平成31年分以後の所得税について適用する。 (了)
《速報解説》 「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」が公表される ~具体的な共通化の内容を明示、平成29年度中を目途に環境を整備~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成29年12月28日、内閣官房、金融庁、法務省、経済産業省は、次のものを公表している(③は金融庁と法務省による)。 これは、「未来投資戦略2017」で示された、金融商品取引法に基づく有価証券報告書と会社法に基づく事業報告・計算書類(事業報告等)との「一体的開示」をより行いやすくするための両書類の記載内容の共通化に関する手当てをまとめたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 共通化の内容 共通化の内容は次のとおりである(「施規」は会社法施行規則の略であり、「計規」は会社計算規則の略である)。 上記②の「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について(参考資料)」では図解を用いて具体的に共通化の内容が示されているので、理解しやすいものと考えられる。 1 「主要な経営指標等の推移」/「直前三事業年度の財産及び損益の状況」(開示府令第三号様式記載上の注意(5)/施規120条1項6号) 2 「事業の内容」/「主要な事業内容」(開示府令第三号様式記載上の注意(7)/施規120条1項1号) 3 「関係会社の状況」/「重要な親会社及び子会社の状況」について(開示府令第三号様式記載上の注意(8)/施規120条1項7号) 4 「従業員の状況」/「使用人の状況」(開示府令第三号様式記載上の注意(9)/施規120条1項2号) 5 「経営上の重要な契約等」/「事業の譲渡」等(開示府令第三号様式記載上の注意(14)/施規120条1項5号ハからへまで) (※) なお、有価証券報告書における組織再編成契約以外の契約の開示については、従来と同様、記載することが求められる。 6 「主要な設備の状況」/「主要な営業所及び工場」の状況(開示府令第三号様式記載上の注意(18)/施規120条1項2号) 7 「大株主の状況」/上位十名の株主に関する事項(開示府令第三号様式記載上の注意(25)/施規122条1号) (※) なお、①についての公開草案、②についての公開草案がそれぞれ公表されている。 8 「ストックオプション制度の内容」/「新株予約権等に関する事項」(開示府令第三号様式記載上の注意(27)/施規123条1号及び2号) (※) なお、①から③については、公開草案が公表されている。 9 「役員の状況」/会社役員の「地位及び担当」並びに「重要な兼職の状況」(開示府令第三号様式記載上の注意(36)/施規121条2号及び8号) 10 「社外役員等と提出会社との利害関係」/社外役員の重要な兼職に関する事項(開示府令第三号様式記載上の注意(37)及び開示ガイドライン5-19-2/施規124条1項1号及び2号) (※) なお、有価証券報告書では、社外役員(個人)と提出会社の関係も記載の対象となる点については従来と同様である。 11 「社外取締役の選任に代わる体制及び理由」/「社外取締役を置くことが相当でない理由」(開示府令第三号様式記載上の注意(37)/施規124条2項) 12 「役員の報酬等」/「会社役員の報酬等」(開示府令第三号様式記載上の注意(37)/施規121条4号から6号まで並びに124条1項5号及び6号) (※1) 事業報告及び有価証券報告書において共通の記載を行う場合は、社外取締役を除く取締役、社外取締役、社外監査役を除く監査役、社外監査役それぞれの報酬総額に区分して記載することが想定されている。 (※2) 「報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針」を定めていない場合に、有価証券報告書では、その旨を記載することが求められる。 13 「監査公認会計士等に対する報酬の内容」/「各会計監査人の報酬等の額」及び「株式会社及びその子会社が支払うべき金銭その他の財産上の利益の合計額」(開示府令第三号様式記載上の注意(38)/施規126条2号及び8号イ) 14 財務諸表及び計算書類の表示科目(財規17条1項7号等/計規74条3項1号トからリまで等) 15 財務諸表及び計算書類の1株当たり情報に関する注記(財規68条の4及び95条の5の2並びに連結財規44条の2及び65条の2/計規113条) Ⅲ 今後の検討 金融庁及び法務省は、Ⅱで示した事項について、平成29年度中を目途に対応を行うと述べられている。 また「今後の検討」として、以下の事項が述べられている。 (了)
《速報解説》 フェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン含む 金融商品取引法改正に係る政令・内閣府令が公布される ~施行日は平成30年4月1日で確定~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成29年12月27日、「金融商品取引法施行令等の一部を改正する政令」等として、次のものが公布された(官報号外第282号)。 これは、株式等の高速取引を行う者に対する登録制の導入等、フェア・ディスクロージャー・ルール(上場会社による公平な情報開示)などに関するものである。 上記のほか、「郵便貯金銀行及び郵便保険会社に係る移行期間中の業務の制限等に関する命令の一部を改正する命令」などの共管命令がある。 これにより、平成29年10月24日から意見募集されていた「平成29年金融商品取引法改正に係る政令・内閣府令案等」が確定することになる。「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」も公表されているので、法令の解釈に関して参考になると考えられる。 なお、金融商品取引法27条の36の規定に関する留意事項(フェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン)並びにフェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン案に寄せられたコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は、後日公表するとのことである。 そして、平成30年2月6日、フェア・ディスクロージャー・ルールガイドラインが公表され、平成30年4月1日付で制定・適用することとされた(公開草案に対するコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方も公表)。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な改正の内容 1 金融商品取引法施行令 2 内閣府令 (1) 株式等の高速取引に関連する内閣府令 (2) 金融商品取引所グループの業務範囲の柔軟化 (3) フェア・ディスクロージャー・ルール ① ルールの対象となる情報受領者の範囲について規定する。 ② 公表前の重要な情報を証券アナリスト等に提供した場合の当該情報の公表方法として、EDINET等のほか、自社ホームページを規定する。 (4) その他 3 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針 証券会社等が、無登録で高速取引行為を行う者である場合や高速取引行為者において電子情報処理組織の管理を十分に行うための措置を適正に講じていることが確認できない場合に、取引を受託することがないよう取引開始時等の確認について例示するほか、所要の改正を行う。 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針(別冊)において、高速取引行為者向けの監督指針が示されている。 4 フェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン 「金融商品取引法第27条の36の規定に関する留意事項について」(フェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン)において、次の事項に関する問1から問8までが記載されている。 Ⅲ 適用時期等 「金融商品取引法の一部を改正する法律」(平成29年法律第37号)の施行日は平成30年4月1日であり(「金融商品取引法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成29年12月27日、政令第325号)、前述の政令・内閣府令等についても、平成30年4月1日から施行される。 (了)
《速報解説》 措置法40条の「承認特例」に係る対象範囲の拡充及び要件見直し ~平成30年度税制改正大綱~ 公認会計士・税理士・社会保険労務士 中村 友理香 平成29年度税制改正で、対象法人の範囲の拡充と対象財産の見直しが図られた、『公益法人等に財産を寄付した場合の譲渡所得等の非課税の特例の「承認特例」』について、以下のとおり、平成30年度税制改正においてさらなる改正が行われる。 (1) 公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例 個人が、現金以外の土地・建物などの財産を法人に寄附した場合には、寄附時の時価で譲渡があったものとみなされ、これらの財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税される。 ただし、これらの財産を公益法人等に寄附した場合において、その寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、この所得税について非課税とする制度が設けられている。 (2) 公益法人等に財産を寄付した場合の譲渡所得等の非課税の特例の「承認特例」 文部科学大臣所轄学校法人に対する現物寄附については、上記(1)の国税庁長官の承認を受けるための要件が緩和されるとともに、手続の簡素化が図られた承認特例(以下「承認特例」という)制度が平成15年4月から設けられている。 この「承認特例」とは、(1)の非課税の特例の特例的位置づけとなり、一定の要件を満たし、必要とされる書類を添付して国税庁長官への申請書の提出があった場合において、提出の日から1ヶ月以内に承認又は承認をしない旨の決定がなかった場合には、非課税承認があったものとみなされる制度である。 (1)の特例制度は審査標準期間が明確でなく、承認まで長期間かかる場合もあるなど活用しにくい面があるため、期間が示されている当該承認特例制度は条件が合えば、(1)に比べると利用しやすい制度といえる。 平成29年度税制改正において、当該承認特例の対象財産が見直された上で、その対象となる法人の範囲が拡充された。 具体的には、平成29年4月以降、「公益社団法人」、「公益財団法人」、「大学、高等専門学校、幼稚園、小学校、中学校、高等学校などの一定の学校を設置する学校法人」、「社会福祉法人」(以下「承認特例対象法人」という)に対して、その法人の役員等以外の人が、土地、建物などの財産を寄附した場合で、その他の一定の要件を満たしたときには承認特例の対象とされることになった。 承認特例の要件は以下の4つである。平成29年度改正前と比べ、新たに要件2が追加された。 (※1) 6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族 (※2) 次に掲げる一定の関係を有する人 ●事実上婚姻関係と同様の事情にある人 ●使用人及び使用人以外の人でその人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している人 ●上記に掲げる人の親族でこれらの人と生計を一にしている人 ●以下に掲げる法人の役員又は使用人 ・その人が会社役員となっている他の法人 ・その人及び上記に掲げる人並びにこれらの人と特殊の関係にある法人を判定の基礎にした場合に同族会社に該当することとなる他の法人 (3) 平成30年度税制改正の内容 平成30年度税制改正では、承認特例の対象範囲に以下の2つが追加される。 ① 国立大学法人、大学共同利用機関法人、公立大学法人、独立行政法人国立高等専門学校機構又は国立研究開発法人(法人税法別表第一に掲げる法人に限る)に対する贈与等で、その贈与等に係る財産が一定の手続の下でこれらの法人の行う研究開発の実施等の業務に充てるための基金に組み入れられるもの ② 国立研究開発法人(法人税法別表第二に掲げる法人に限る)、公益社団法人又は公益財団法人に対する贈与等でこれらの法人の理事、監事、評議員その他これらに準ずるもの(その親族等を含む)以外の者からのもののうち、その贈与等に係る財産が一定の手続きの下でこれらの法人の行う研究開発の実施等の業務等に充てるための基金に組み入れられるもの また、平成29年度税制改正で追加された要件2の、対象財産から株式等を除外する措置も廃止される。ただし、贈与等に係る財産が株式等である場合は、①の贈与等の場合を除き、提出の日から3ヶ月以内に承認又は承認をしない旨の決定がなかった場合には、承認があったものとみなされる仕組みとなる。 (了) ↓お勧め連載記事↓
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2017年12月28日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.250を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。