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「企業結合に関する会計基準」等の改正点と実務対応 【第6回】「共通支配下の取引の会計処理④」~子会社株式を一部売却した場合(売却後も支配関係は継続)の連結財務諸表上の税効果の会計処理~

「企業結合に関する会計基準」等の 改正点と実務対応 【第6回】 (最終回) 「共通支配下の取引の会計処理④」 ~子会社株式を一部売却した場合(売却後も支配関係は継続)の 連結財務諸表上の税効果の会計処理~   有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 布施 伸章   (注)本連載記事において、文中、意見に関する部分は筆者の私見である。 1 はじめに 今回は、平成25年改正会計基準のうち、子会社株式を一部売却した場合(売却後も支配関係は継続)の連結財務諸表上の税効果の会計処理について解説する。 改正前連結会計基準では、子会社株式を追加取得した場合や一部売却した場合のほか、子会社の時価発行増資等の場合には損益を計上する取引としていたが、改正後連結会計基準では、親会社の持分変動による差額は、資本剰余金に計上することとされた。 この結果、連結上の税効果の取扱いは、子会社株式を追加取得した場合や子会社の時価発行増資等の場合も影響を受けるが、本解説では子会社株式を一部売却した場合のみを取り上げることにする。   2 子会社株式を一部売却した場合(売却後も支配関係は継続)の税効果の処理 改正後連結会計基準では、「子会社株式を一部売却した場合(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)には、売却した株式に対応する持分を親会社の持分から減額し、非支配株主持分を増額する。売却による親会社の持分の減少額(以下「売却持分」という)と売却価額との間に生じた差額は、資本剰余金とする。」(連結会計基準29項)と定め、さらに「子会社株式の一部売却において、関連する法人税等(子会社への投資に係る税効果の調整を含む。)は、資本剰余金から控除する。」(連結会計基準(注9)(2))と定めている。 改正後連結会計基準では、資本剰余金から控除する税金の額は子会社株式の売却価額とそれに対応した投資の連結貸借対照表上の価額との差額に関する部分と考えられ、子会社株式の売却直前における投資の連結貸借対照表上の価額に関する一時差異の調整は、これまでと同様の税効果の会計処理を行うものと考えられる。 以下、この点を具体的な事例に基づいて解説する。 (1) 個別財務諸表の会計処理 〈子会社株式の売却年度〉 会社は100%子会社を設立し、その後、当該子会社株式の40%を譲渡し、60%子会社にしたとする。当該子会社株式の譲渡価額は500、譲渡に対応する子会社株式の簿価は100、売却益400に対して税金を120(税率40%)支払うものとする。 この場合、親会社の個別上は、以下のように、売却差額400はすべて損益に計上されるため、関連する法人税等もすべて損益に対応するものとなる。 (2) 連結財務諸表上の会計処理 〈子会社株式の売却の意思決定を行った年度〉 当該子会社は設立以来、業績は順調であり、売却持分に対応する売却直前の投資の連結貸借対照表上の価額は400となり、個別上の投資の取得原価100との間に将来加算一時差異が300生じていた。ただし、会社は、これまでは予測可能な将来の期間に子会社株式の売却を行う意思がないとして繰延税金負債を計上していなかった(連結税効果実務指針37項)。 今般、子会社株式の売却の意思決定をしたことに伴い、以下のように、繰延税金負債を認識することとした(連結税効果実務指針38項)。 改正後連結会計基準では、親会社の持分変動による差額を資本剰余金に計上するとされたが、売却時までに子会社が獲得した利益は、あくまで連結財務諸表上も(資本剰余金に振り替えることなく)当期純利益に反映させることになる。 このため、売却直前の投資の連結貸借対照表上の価額との差異である将来加算一時差異に対する税効果は、これまでと同様、法人税等調整額として損益に計上することになる。 〈子会社株式を売却した年度〉 子会社株式の売却時には、(売却直前における)投資の連結貸借対照表上の価額と個別上の投資の取得原価との差額300は、既に連結上は利益として認識済であるため、個別財務諸表で計上された子会社株式売却益から控除される。 このため、これに対応した繰延税金負債120も取り崩し、法人税等調整額として損益に計上することになる。 次に売却価額500と投資の連結貸借対照表上の価額400との差額100は、個別財務諸表上は利益に計上されているが、改正後連結会計基準では、この部分を資本剰余金に振り替えることとされ、さらに、これに対応する税金も資本剰余金から控除することとされた(改正後連結会計基準29項、(注9)(2))。 なお、資本剰余金から控除される税金は、売却価額と投資の連結貸借対照表上の価額との差額に対応するもので、一時差異に対応する税金費用ではない(税効果会計の適用によるものではない)。 以上の関係を図表で示せば、次のようになる。 【図表】 子会社株式売却に係る税効果の処理のイメージ   なお、税金に関する会計処理の論点としては、以下も考えられるが、この点は、JICPAの連結税効果実務指針等で取り上げられることが考えられる。   3 設例 以下の設例では、上記の解説を税効果以外の会計処理とあわせてまとめたものである。 当該会計処理を行った後のB/S及びP/Lも示しており、当期純利益と税金費用との関係もご確認いただきたい。 このほか、上記①の論点に関連して、子会社株式を売却した年度に親会社において十分な課税所得がなく、法人税等の支払いがないケース(資本剰余金から控除する税金の額は支払税金ではなく、法定実効税率に基づいて算定した税金相当額としている)も【参考】として示している。 子会社株式の一部売却を決定した年度(X1/3/31) ●P社は過年度に250を出資して、100%子会社S社を設立した。 ●当期末(X1/3/31)において、P社は翌年度にS社株式の40%の売却を決定した。売却株式に対応するS社株式の個別上の簿価は100、連結上の簿価は400である。 ●P社は連結上、売却株式に対応する税効果の処理を行う。 ●実効税率は40%である。 ●P社及びS社のX1/3/31におけるB/Sは以下のとおりである。 子会社株式の売却を実行した年度(X2/3/31) ●P社は翌年度期首(X1/4/1)にS社株式の40%(簿価100)を500で売却し、売却益400を計上した。 ●P社は個別上、売却益に対して160の税金を支払うものとする(税率40%) ●P社のS社株式売却益を除く利益は0、S社の当期純利益も0である。 (連載了)

#No. 48(掲載号)
#布施 伸章
2013/12/12

税効果会計を学ぶ 【第24回】「繰延税金資産及び繰延税金負債の表示・税効果会計に関する注記」

-お知らせ- 適用指針等を織り込んだ最新版の『税効果会計を学ぶ』が好評連載中です。   税効果会計を学ぶ 【第24回】 (最終回)  「繰延税金資産及び繰延税金負債の表示・ 税効果会計に関する注記」   公認会計士 阿部 光成   「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第6号。以下「連結税効果実務指針」という)では、繰延税金資産及び繰延税金負債の表示について規定している。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ 繰延税金資産と繰延税金負債の表示 1 相殺 連結財務諸表規則45条では、繰延税金資産と繰延税金負債の表示に関して次のように規定している。 上記の規定は、同一納税主体に係る税金については、繰延税金資産と繰延税金負債を相殺して表示することを意味している(連結税効果実務指針42項)。 同一納税主体とは、納税申告書の作成主体をいい、通常は「法人」単位で考えることができるが、連結納税制度が採用されている国又は地域では、連結納税の範囲に含まれる連結会社群が同一納税主体となる。 2 繰延税金資産から控除した額の開示 個別税効果実務指針22項に従って、繰延税金資産の算定に当たり繰延税金資産から控除した金額がある場合には、当該金額を注記することとなる(連結税効果実務指針43項)。 当該注記は繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別内訳に関する注記において、評価性引当額、回収懸念額等その内容を示す適当な名称を付し控除前の繰延税金資産合計額から一括して控除する形式によることができる。   Ⅱ 税効果会計に関する注記 連結財務諸表規則15条の5は、「税効果会計に関する注記」について次のように規定している。   Ⅲ 事例 連結財務諸表における「税効果会計に関する注記」の事例として以下のものがある。いずれも金融庁のEDINETから検索したものであり、特段の意図はない。 〈エステー(株)(平成25年3月期)〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 〈川崎重工業(株)(平成24年3月期)〉   Ⅳ 終わりに 本連載「税効果会計を学ぶ」は、今回の【第24回】をもって終了することとなる。 実務上、税効果会計に関する論点は多岐にわたっており、特に繰延税金資産の回収可能性の判断については悩まれることが多いと思われる。 今回の連載が、少しでも実務に役立つことを期待して、連載を終了することとする。 (連載了)

#No. 48(掲載号)
#阿部 光成
2013/12/12

林總の管理会計[超]入門講座 【第16回】「経理部が行う原価計算実務の限界」

林總の 管理会計[超]入門講座 【第16回】 「経理部が行う原価計算実務の限界」   公認会計士 林 總   原価計算にまつわる『都市伝説』   伝統的原価計算が有効に機能しない (了)

#No. 48(掲載号)
#林 總
2013/12/12

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第27回】連結会計②「連結会社相互間の取引等の消去」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第27回】 連結会計② 「連結会社相互間の取引等の消去」   仰星監査法人 公認会計士 大川 泰広   〈事例による解説〉 ●X2年3月期に以下のような取引を行いました(分かりやすくするため、A社・B社のX2年3月期の営業取引は、以下の取引のみであったと仮定します)。     ●X2年3月期のA社・B社の貸借対照表、損益計算書及び利益剰余金勘定は以下のとおりです。  〈会計処理〉 ① 債権・債務の相殺消去 ② 取引高の相殺消去 ③ 未実現利益の消去 (*1) (A社からの仕入単価10-外部仕入先からの仕入単価8)×C商品10個=20 ④ 剰余金の配当の相殺消去 (*2) 株主資本等変動計算書の勘定科目  〈会計処理の解説〉 連結財務諸表は、企業グループの財政状態、経営成績を報告するものであるため、連結財務諸表には、企業グループ外部に対する債権・債務、取引高のみを計上しなければなりません。 したがって、企業グループ内部の取引は、連結上、内部取引としてすべて消去しなければなりません。 本事例におけるA社からB社への販売取引は、企業グループ内部の取引となるため、連結上、これを相殺消去する必要があります。 また、この取引に伴って発生した売掛金・買掛金についても、連結上、相殺消去します。 B社が期末在庫として保有しているC商品は、A社からの仕入単価10×10個=100で計上されています。 しかし、A社からB社への販売は、企業グループで見れば棚卸資産の移動に過ぎないため、A社がB社に販売したときに計上した内部利益は消去する必要があります。 A社ではC商品を8で仕入れ、10でB社に販売しています。 したがって、B社が保有するC商品には、1個当たり2の内部利益が計上されていますので、連結上、これを消去する必要があります。 B社からA社への配当は、企業グループで見れば資金の移動に過ぎません。 したがって、連結上は、A社で計上した受取配当金(収益)と、B社で計上した剰余金の配当(株主資本等変動計算書の減少科目)を相殺消去します。 結果、連結株主資本等変動計算書の剰余金の配当には、親会社から親会社の株主への配当金額のみが計上されます。 単純合算財務諸表に連結修正を反映すると、以下のようになります。 連結修正を反映することによって、連結財務諸表の各勘定科目には、企業グループ外部との取引金額のみが計上されていることが分かります。 次回は、少数株主持分について解説します。   (了)

#No. 48(掲載号)
#大川 泰広
2013/12/12

退職金制度の作り方 【第2回】「退職金制度の種類」

退職金制度の作り方 【第2回】 「退職金制度の種類」   なりさわ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士 成澤 紀美   退職金制度を導入する場合、制度そのものをどのような仕組みにすべきか、考えなければならない。 具体的には、勤続年数だけで支給額を決定するのか、一定の人事評価基準を影響させるのかなど、いくつかの方法がとられている。   基本給連動型(退職時給与×支給係数) 退職時の給与額(基本給)に勤続年数に応じた支給係数を乗じる方式で、最も多くの企業で採用されている方法である。 この方法は退職金額を計算しやすいものの、将来の給与額まで想定できず、勤続年数が長いほど退職金額が多額になってしまう恐れがある。また、給与額が下がると想定退職金も減額となるため、給与額の引下げが難しく賃金設計が自由に行いにくいという問題もある。   定額型(勤続年数による定額) この方法は、勤務年数に応じた退職金額をあらかじめ定めておくものである。例えば、勤続5年で30万円、10年で100万円、20年で400万円など一定額になる。 給与と退職金額との連動がなく、勤続年数に応じた退職金額が予め想定しやすいものの、基本的には勤務年数のみを基準とするため、在職中の貢献度合いを退職金に反映しにくいという側面もある。   ポイント型(勤続年数、職責ポイント×支給単価) 毎年、職責や役職ごとに予め設定されているポイントを付与し、付与された総ポイントにポイント単価を乗じて計算する方法である。入社1年目~3年目は毎年5ポイント、役職者は役職ごとに20ポイント~50ポイントと付与していく。 この方法は、給与との連動をなくし、毎年の貢献度合いを退職金に反映させることができる一方で、中小企業では毎年のポイント付与を正確に管理していくのが難しいため、大手企業に比較すると積極的な導入がされにくいものとなっている。 またポイント単価の変更(減額)は、労働者の不利益変更につながるため、取扱いに注意が必要でもある。   別メニュー型(退職時の役職に応じた定額×勤務年数別の支給係数) 退職時の役職に応じて退職金額を定額で定め、これに勤務年数別の支給係数を乗じる方法で、定額方式と同じように、給与と退職金額との連動をなくし、さらに在職中の貢献度合いを反映させようというものである。 定額型のデメリットを改善した方法とされるが、退職時点での役職で貢献度合いを判断することとなるため、在職中の貢献度合いを正確に反映できないという欠点もある。 ◆   ◆   ◆ いずれの方法にも一長一短があるのは否めないが、貢献度合いを盛り込むべきか、金額を固定化するかなど、退職金を支給する意味・目的に見合った方法を検討していくべきである。 *   *   * 次回は、退職金の積み立て方法をお伝えしたい。 (了)

#No. 48(掲載号)
#成澤 紀美
2013/12/12

年金制度をめぐる最新の法改正と留意点 【第4回】「年金強化法等における改正事項(その2)」

年金制度をめぐる 最新の法改正と留意点 【第4回】 (最終回)  「年金強化法等における改正事項(その2)」   特定社会保険労務士 佐竹 康男   1 短時間労働者への適用拡大(平成28年10月1日施行) (1) 短時間労働者の適用拡大(適用除外の明確化) 一定の短時間労働者は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することができなかったが、社会保険の適用除外者を明確にすることにより、短時間労働者の適用拡大が図られる。 現在、1日又は1週間の所定労働時間及び1月の所定労働日数が通常の労働者(正社員)の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上である短時間労働者は、原則として被保険者として取り扱われているが、平成28年10月1日以降、通常の労働者に比べて1週間の所定労働時間又は所定労働日数が4分の3未満の者のうち、次の①から④までの要件に該当するものは、社会保険の被保険者になる。 ただし、当分の間、常時501人以上使用する事業所(特定適用事業所という)においてのみ、適用拡大が図られることになった。 (2) 実務上の留意点 〈厚生年金保険法第12条(適用除外)に次の第五号が追加される〉   2 年金機能強化法におけるその他の改正(施行日はすべて平成26年4月1日) (連載了)

#No. 48(掲載号)
#佐竹 康男
2013/12/12

会計事務所 “生き残り” 経営コンサル術  【第12回】「お客様が喜んで下さる本当のコンサルとは」

会計事務所 “生き残り” 経営コンサル術 【第12回】 (最終回)  「お客様が喜んで下さる本当のコンサルとは」   株式会社 経営ステーション京都 代表取締役 京セラ株式会社 元監査役 公認会計士・税理士 田村 繁和   早いもので、この連載を始めてから1年が経ち、今回で最終回になります。 勝手なことをお話してきまして、たいへん申し訳なく思っております。 お客様と長い間接してきて、本当に感謝されたのは、経営危機の会社が利益を出して立ち直った時でした。 私は、その時の社長の笑顔を見て、「これが本当のコンサルなんだなあ」と思いました。 何度もお話してきましたが、会計事務所向けの会計ソフトを使って簡単にできることがコンサルだと思ってもらっては困るのです。また、デューデリをして経営計画を作ることがコンサルだと思っている人も困ります。 どんなに立派な経営計画書を作っても、実績が目標に達成せずに倒産してしまっては、コンサルしたことにはならないのです。 会社経営をされている社長の願いは、「どんなことがあっても倒産しない会社」をつくることです。 そのためには、全社員が利益に向かって走り出す仕組みをつくることです。 そこで、部門別に利益を出して経営を見ていくことが必要となってきます。 このようなお話をしますと、半分ぐらいの社長が「私どもでは部門別に損益を出しています」と言われます。 そこで、「どうですか。うまくいってますか?」と尋ねますと、ほとんどの方が、「うまくいかなくて経営会議を挫折した」とお答えになるのです。 では、どうして経営会議がうまくいかないのでしょうか。 それにはいくつかの理由があります。 「全社員が売上最大、経費最少に向けて走り出せ」という標語は、世間でよく言われます。しかし、現在の部門別損益計算書には、製造部門に売上はありません。 そのため、社長がこのような話をしても、製造部門の人は「俺たちには売上がないから、売上最大をどうして目指せばいいのか」と不満の声が出てきます。 そして、ここでまず挫折してしまうのです。 そこで、上記のテーマを実現するために、製造部門に売上科目をつくる必要があります。つまり、従来の部門別損益計算書を、ひと工夫加工していく必要があるのです。 さらに、経営会議がうまくいかない第2の理由は、「経営会議をどうしてやっていけばいいのかわからない」ということです。 社員と外注先は、同じように会社からお金をもらって生活しています。外注先の方は必ずと言っていいほど、お金をもらう時に頭を下げます。しかし、社員の人で頭を下げる人はごくわずかです。 これだけみても、外注先の方が経営者意識をもって仕事をしていることがわかります。 そこで、「各部門の責任者」を「外注先の社長」として、経営会議を行っていけばいいのです。 そして、各部門の責任者から、あたかも別会社のように、活気あふれる意見が飛び出してくれば、各部門の利益が生まれてくるのです。 このような経営会議にするためには、経営システムをつくるだけではうまくいきません。社員が「なぜこの会議をやっていくのか」を理解することが必要なのです。 そのためには、経営理念や社訓をつくって、毎朝の朝礼で意思確認をしていくことが大切となってきます。 このように本当のコンサルは、コンピュータソフトを使って簡単にできるものではありません。全社員を巻き込んで、真剣に議論し、全社員と共に、利益に向かって走り出す仕組みをつくることなのです。 私と異なった意見をもってられる方も、たくさんおられると思います。しかし、今までお話してきたことが、京セラの監査役としての経験から学ばせていただいたことなのです。 1年間ご愛読いただき、ありがとうございました。 (連載了)

#No. 48(掲載号)
#田村 繁和
2013/12/12

顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第27回】「経費管理のKPI(その① 経費処理社内指導)」

顧問先の経理財務部門の “偏差値”が分かる スコアリングモデル 【第27回】 「経費管理のKPI (その① 経費処理社内指導)」   株式会社スタンダード機構 代表取締役 島 紀彦   はじめに 前回までは「原価管理」のKPIを取り上げたが、今回から6回にわたり、「経費管理」のKPIを取り上げる。 経費管理の対象となる取引の特徴を仕入・買掛債務管理のそれと比較してみると、個々の取引金額が小さいこと、発生する取引件数が多いこと、社内においてその経費支出に関係している主管部門の数が多いこと、その使途や発生頻度がさまざまで非定型的であること等が挙げられる。 このような取引の特徴から、経費管理においては、僅少な金額の取引も含んだ多種多数の取引の正確性を限られた人員でいかに管理するのかという視点が求められる。 今回は、経費管理の入口において起票の正確性を担保するため経理財務部門が担うべきサービスレベルを評価するKPIを取り上げる。   KPIが設定された業務プロセスの確認 まず、経済産業省スタンダードで整理された業務プロセスを引用しながら、このKPIに対応する業務プロセスを押さえておこう。 経済産業省スタンダードでは、経費管理において、会社が担う一般的な機能を、「年度予算管理」と「日常管理」に分けている。 このうち、「日常管理」を構成する機能は、「通常経費処理」、「仮払決済」、「差額決済」である。 今回解説するKPIは、「日常管理」における「通常経費処理」に関連する業務プロセスにおいて設定されている。 〈経済産業省スタンダード:経費管理で会社が担う機能〉 (経済産業省「経理・財務サービス スキルスタンダード」より)   さらに、経済産業省スタンダードでは、「通常経費処理」に関連する業務プロセスを次のようにまとめている。 〈経済産業省スタンダード:7.3.1処理指導〉 (経済産業省「経理・財務サービス スキルスタンダード」より)   経理財務部門は、経費管理の対象となる支出について、支出を行った主管部門に対してその支出内容を確認し、会社の営業目的との関連性を踏まえて、適切な処理方法を指導する。処理方法には、勘定科目、取引日、取引金額、取引先等、経費伝票を作成するために必要なあらゆる入力項目が含まれる。 今回のKPIは、経理財務部門が主管部門から受領する経費伝票を修正する割合に着目し、経理財務部門が行う経費処理社内指導によって達成されている経費処理の正確性を問うものである。 定義を理解する 調査項目の文言から、KPIの定義を確認しよう。以下、KPIの項目を再掲する。 「経費伝票」とは、販売費及び一般管理費の勘定科目に対応する取引を記帳するために作成する伝票をさす。 支払伝票、支払依頼書、振替伝票等、呼称を問わない。 「経費伝票を修正」とは、経費伝票の金額、勘定科目、消費税区分、税務上の取扱の正確性を添付された原始証憑等の入力元資料の内容に照らして判断し、誤りや不適正を訂正することをさす。 KPIの算出式から自明であるが、「経費伝票を修正」する主体は、経理財務部門であり、修正の対象となるのは、経費支出を行った主管部門が作成した経費伝票である。 すなわち、スコアリングモデルでは、経費伝票の起票は、経理財務部門ではなく、主管部門が行うことを想定している。 なお、KPIの算出式の分子にあたる、「直前決算期1年間で経理財務部が修正指摘を行った経費伝票枚数(A)」について、主管部門が入力した時点で、誤りがあれば自動的に修正差し戻しされる情報システムを利用している場合、経費伝票の誤りは主管部門で正され、経理財務部門が訂正することはないので、(A)に0枚と記入する。   KPIの背景にある価値判断 スコアリングモデルでこのKPIを設定したのはなぜか。 このKPIは、経費の発生額及び発生状況を適正に財務諸表に反映するため、主管部門において適正な経費伝票の起票を行うことが望ましいという価値判断に基づいて設定されている。 小規模会社では、経費管理の対象となる社内のあらゆる取引について、経理財務部門が経費伝票を起票し、経費支出にかかる承認権限を行使しているかもしれない。 他方、会社が一定規模を超えて、事業の内容が複雑で社内に複数の部門を抱えるようになると、業務の遂行上その経費支出を必要とする主管部門が支出にかかる承認と経費伝票の起票を担い、経理財務部門は主管部門から回付された経費伝票の正確性を事後的に確認し、最終的な金銭支出を承認する職務分掌が成立していることが多い。 その場合、主管部門の経理や税務の知識の水準によって、起票内容の正確性が損なわれるリスクが高くもなり低くもなる。 このリスクに対する管理のあり方について、経理財務部門が最終的にすべての経費伝票を確認して経費伝票の正確性を担保するという会社もあろう。 しかし、このような経理財務部門による事後的な発見だけに依存し、経費を実際に使っている主管部門が経費伝票の正確性に無関心のままでは、経理財務部門が修正指摘を行う経費伝票枚数は一向に減少せず、経理財務部門の事務処理担当者は増員の一途をたどるだろう。 むしろ、経費伝票の正確性は、一義的にはその経費支出を発生させた源である主管部門が担い、経理財務部門が担う事後的な発見は、これに過度に依存せず、最後の砦と考えるのが、現実的な発想である。 そのためには、規程、教育、情報システムの整備により、社内の情報伝達と意思疎通を増やし、主管部門の経理や税務の知識の水準を上げて、発生源である主管部門が正しく経費伝票を起票するために事前に行う予防を一定程度まで高めることが求められる。 そのような価値判断がなければ、経理財務部門は、その人員規模だけが膨張し、経費伝票確認事務に忙殺され、戦略的機能を果たすことは覚束ないだろう。 そこで、スコアリングモデルでは、主管部門における経費伝票の正確性を比較するため、経理財務部門が主管部門から受領する経費伝票を修正する割合をKPIとした。 割合は%で表されるが、この数値が小さい会社が大きい会社よりも相対的に望ましいと考えている。 どの程度の割合が望ましいのかという問題に対しては、各会社が提供したKPIデータ群によって形成されるベンチマークが答を示すわけだが、その割合こそ、経費伝票の正確性について主管部門と経理財務部門が担うチェックアンドバランスの均衡点の現実的な落ち着き所を示すことにもなろう。   顧問先のKPIを測定してみる では、実際にどのような手続でKPIを測定するのか。 まず、読者は、顧問先の経理財務業務を観察し、経理財務部門が経費指導を行う業務プロセスが組み込まれていることを確認していただきたい。 例えば、経理規程、経理通達、社内研修の資料を閲覧し、主管部門の経理や税務の知識の水準を高める仕組みの存在を確認することが考えられる。 それを前提に、例えば、一定期間に主管部門で起票された経費伝票数と経理財務部門が修正した経費伝票数の比率を算出していただきたい。 さて、読者の顧問先において、経理財務部門が主管部門から受領する経費伝票を修正する割合は何%になったであろうか。 *  *  * 次回も、引き続き「経費管理」を構成する複数のKPIから、経費管理の効率性のサービスレベルを評価するKPIを取り上げる。 (了)

#No. 48(掲載号)
#島 紀彦
2013/12/12

税理士・公認会計士事務所[ホームページ]再点検のポイント 【第11回】「ホームページの訪問者を調べてみよう」

税理士・公認会計士事務所 [ホームページ]再点検のポイント 【第11回】 「ホームページの訪問者を調べてみよう」   データライズ株式会社 代表取締役社長 公認会計士・税理士 河村 慎弥   今回からは、「集客できる」良いホームページへの取り組み方について、実践的に考えていきます。 前回の最後に、「集客できる」良いホームページは、まずホームページの訪問者数が多く、次に訪問者数に対する問合せ件数の比率が高いことが必要だとお話させていただきました。 これらを考えていくにあたり、まずは、ご自分の事務所のホームページへアクセスした方(訪問者)の数がわかる仕組みを用意する必要があります。 このホームページへの訪問者数をカウントすることを「アクセス解析」と呼びます。 まずは、ご自分の事務所のホームページのアクセス解析をできるようにしましょう。 ホームページを制作した時に、何らかのアクセス解析ツールが組み込まれているのなら問題ないのですが、組み込まれていない場合には、新たに組み込む必要があります。 でもご安心ください。それほど大変な作業ではありませんので。 *  *  * アクセス解析ツールとして多く使われているのは、グーグル・アナリティクス(Google Analytics)というサービスです。 グーグル・アナリティクスは、グーグル社から「無料で!」提供されています。 グーグル・アナリティクスを使うためには、まず、グーグル・アナリティクスのホームページの「アカウントを作成」で、名前などの登録を行う必要があります。 なお、もしグーグル社が提供するジー・メール(Gmail)という無料のメールサービスをご利用中でしたら、改めて「アカウントを作成」して名前などの登録を行うことなく、グーグル・アナリティクスを利用できます。 その上で、ホームページのすべてのページに、訪問者があったことをグーグル・アナリティクスに知らせる簡単なプログラムを埋め込む必要があります。 これは、ホームページ制作会社に依頼すればやってくれるはずです。 作業料金は、ホームページ制作時なら無料が一般的だと思いますが、すでに公開中のホームページの改変の場合は、更新料が必要なことが多いと思います。 これらがすべて完了すると、グーグル・アナリティクスのあなた専用のページに、あなたの事務所のホームページのアクセス状況が表示されるようになります。 ここまでのお話が少しわかりづらいと思われた方は、ホームページ制作会社に「グーグル・アナリティクスが使えるようにしてほしい!」と言ってみてください。 *  *  * グーグル・アナリティクスでは、ホームページの訪問者は「ユーザー」と呼ばれますが、「ユーザー」に関してどのような情報がわかるのか、みていきましょう。 仮に「過去1ヶ月間」という期間を指定して、以下の情報が表示されたとします。 似たような言葉が並んでいますが、それぞれ以下のようなことを意味しています。 「訪問数:361」は、過去1ヶ月間に、あなたの事務所のホームページが361回訪問されたことを表しています。 そして「ユーザー数:274」は、過去1ヶ月間に、274人が訪問したということを表しています。 同じ人が複数回訪問することもありますので、この2つの数字は一致しません。 さらに、「ページビュー数:1,279」というのは、事務所ホームページ内のすべてのページを対象に、何回見られたかを表します。 例えば、過去1ヶ月の間に、1人のユーザー(訪問者)が2回訪問して、事務所ホームページの3ページ分を閲覧していったら、 ということになります。 次に、以下のような情報も表示されます。 まず「訪問別ページビュー:3.54」は、1回の訪問につき平均3.54ページ訪問者が見ていたということ、「訪問時の平均滞在時間 00:02:24」は、1回の訪問につき平均2分24秒、訪問者がホームページ内に留まっていたことを表しています。 また「直帰率:43.49%」は、最初に訪問したページから、事務所ホームページ内の他のページへ行かずに、事務所ホームページとは別のホームページへ移ってしまった(帰ってしまった)訪問の割合です。 この「訪問別ページビュー」が多く、「訪問時の平均滞在時間」が長いということは、あなた(の事務所)に興味をもってくれている人が多いことを表します。 これに対し、「直帰率」が高い場合には、一目見て興味なしと判断している人が多いことを表します。 また、「訪問数について」の「New Visitor:263(72.9%)」は、新規の訪問数が263(72.9%)であることを、「Returning Visitor:98(27.1%)」は、再訪問数が98(27.1%)であることを表しています。 新規の訪問が多いということは、新たな顧客獲得の可能性が高まっているといえます。 グーグル・アナリティクスでは、これらの他にも、訪問者がどこの都市からアクセスしているのか、パソコン、スマートフォン及びタブレットの何を使って見ているのかという細かな情報までわかります。 さらには、あなたの事務所のホームページの中の各ページをどの順序で見ていったのか、といったこともわかってしまいます。 これらの情報を分析して、ホームページを集客に結びつけるためには、どのページをどう変えなければならないのかを考えていくことになります。 *  *  * 最後に、グーグル・アナリティクスは無料のサービスのため、使い方の丁寧な説明は、グーグル社からは提供されておりません。 しかし、使い方を分かりやすく解説した第三者によるホームページがいくつも公開されていますし、関連する書籍も発刊されていますので、興味のある人は「グーグル・アナリティクス 使い方」などのキーワードで検索してみるとよいでしょう。 (了)

#No. 48(掲載号)
#河村 慎弥
2013/12/12

《速報解説》「新EDINETの概要とXBRLデータに関する監査人の留意事項」(公開草案) について

《速報解説》 「新EDINETの概要とXBRLデータに関する 監査人の留意事項」(公開草案)について   公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成25年12月10日、日本公認会計士協会(IT委員会)は「IT委員会研究報告『新EDINETの概要とXBRLデータに関する監査人の留意事項』(公開草案)」を公表した。 公開草案は、監査人の実務の参考に資するため、新EDINETの概要とXBRLデータに関する監査人の留意事項について取りまとめを行ったものである。 意見募集期間は平成26年1月9日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 留意事項 平成25年9月17日から新EDINETの運用が開始され、会社は平成25年12月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書から、新しい技術仕様のXBRL形式で作成し提出することを義務付けられている。 これにより、XBRLの対象範囲が拡大し、財務諸表本表のみから注記を含む財務諸表全体がXBRLの対象となった。特に、XBRLの対象範囲の拡大には独立監査人の監査報告書(中間監査報告書及び四半期レビュー報告書を含む)も含まれていることに注意が必要である。   Ⅲ 公開草案の主な内容 1 公開草案の構成 公開草案の構成は次のとおりである。   2 旧EDINETからの変更点 主な変更点は、次のとおりである。   3 監査人の留意事項 「監査人の留意事項」として、次のことが述べられている。 (了)

#No. 47(掲載号)
#阿部 光成
2013/12/11
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