〈業種別〉
会計不正の傾向と防止策
【第2回】
「土木工事業」
公認会計士・税理士 中谷 敏久
本連載の趣旨については【第1回】を参照
どのような業種業態か?
土木工事業は、戦後の高度成長期には日本のインフラ整備に大きく貢献し、業界規模も拡大を続けたが、国内の景気変動に大きく左右され、金融危機による民間設備投資の減少や地方公共団体の財政悪化に伴う公共事業の見直しにより、一時低迷が続いた時期もあった。
しかし最近では、東日本大震災の復興需要やアベノミクスによる大規模な公共投資により、業界の受注工事高は増加傾向にある。
公共事業を受注したい業者には経営事項審査を受けることが義務付けられてはいるものの、依然としてどんぶり勘定的な経営をしている業者は少なくない。また、元請業者、下請業者、孫請業者という一種のヒエラルキーが定着しており、これらを悪用した不正が繰り返し行われている。
どのような不正が起こりやすいか?
材料費、労務費、経費等の発生原価は工事の進捗に伴って工事別に台帳に集計される仕組みとなっているが、この工事原価を本来の工事ではなく別の工事に集計する不正が起こりやすい。業界では「原価移動」あるいは「原価付け替え」と称されているものであり、赤字工事を回避するため、あるいはその発覚を遅らせるために行われる。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。