家族信託による
新しい相続・資産承継対策
【第2回】
「家族信託普及の潮流」
弁護士 荒木 俊和
1 はじめに
家族信託は近時になって相続・資産承継対策の手法として広まりを見せつつあるものであるが、本稿ではなぜ近時まで利用されてこなかったのか、どのようなきっかけで広まってきたのかについて解説する。
まず前提としての信託関係の法制度の変遷について触れた上で、普及の拡大を進めた団体の活動等について述べる。
2 信託法制の変遷
家族信託は、基本的に家族内で信託契約を締結し、資産の管理・処分を子、孫又は配偶者等に対して委ねるということが眼目となっている。
このため、家族信託を実行するためには信託法に則った信託契約を締結することが前提となる。
また、一方で家族間での信託といっても必ずしも信託業法による規制の対象外というものではないため、信託業法に違反しないよう運用することも不可欠である。
これらの観点から、日本における信託法制の変遷について概観する。
まず、日本においては明治時代から無尽会社や貸金業者において信託類似の業務が取り扱われてきたが、現在の信託銀行や信託会社のように健全性の担保された事業体ではなく、不健全な経営状態の会社も多く見受けられる状況があった。
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