家族信託による
新しい相続・資産承継対策
【第19回】
「信託契約作成上の留意点⑥」
-受益者及び帰属権利者等の地位-
弁護士 荒木 俊和
委託者(【第17回】)、受託者(【第18回】)に続き、今回は信託契約における受益者及び帰属権利者等の地位について解説する。
1 受益者の信託契約における位置付け
受益者とは、受益権を有する者であり、受益権とは信託財産に関して受益者が受託者に対して請求できる権利及びその確保のために有する権利をいう(信託法第2条第6項・第7項)。
すなわち、受益者は受託者を通じ信託財産から発生する利益を享受する立場にあり、受託者が信託事務を正当に遂行することを確保するために、受託者への監督権限等の権限を有する。
家族信託の場合であれば、元の資産保有者が自己に代わって資産を管理処分することを求めて受託者に信託することが多いが、この場合は自益信託となり「委託者=受益者」になる。
受益者は受益権を持つことで信託財産に対する実質的な権利を保有することとなり、税務上の資産保有者とみなされる。
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