公開日: 2017/09/28 (掲載号:No.237)
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家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第22回】「家族信託の活用事例〈不動産編③〉(2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を後妻に渡し、後妻の死後は収益物件自体を前妻との間の子に渡す事例)」

筆者: 荒木 俊和

家族信託による

新しい相続・資産承継対策

【第22回】

「家族信託の活用事例〈不動産編③〉

(2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を後妻に渡し、後妻の死後は収益物件自体を前妻との間の子に渡す事例)」

 

弁護士 荒木 俊和

 

今回解説するのは、「2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を後妻に渡し、後妻の死後は収益物件自体を前妻との間の子に渡す」という事例である。

- 相談事例 -

私(75歳)には今年70歳になる妻がおり、現在2人で暮らしています。

私は何棟か賃貸アパートを所有していますが、今年の春に脳の疾患で倒れて以来、体調が優れません。私に万が一のことがあった場合には、それ以降の家賃収入は妻に渡したいと思っています。

私には離婚経験がありまして、前妻との間には40歳になる長男がおり、今でもよく連絡を取っています。長男と今の妻とは、特に仲が悪いわけではありません。

賃貸アパートの建っている土地は曽祖父の代から引き継いできたものですので、今の妻の親族には渡したくないと思っており、今の妻が亡くなった後は、長男に引き継がせたいと考えています。

 

1 家族信託活用のポイント

(1) 遺言の限界・アパート管理の問題

前回述べたように、本件のように2者に対して連続して財産を引き継ぎたいとの要望に関して遺言で対応しようとした場合、「後継ぎ遺贈」の問題として法的な安定性の面で疑問が残ることになる。

また、遺言で対応しようとした場合、本人の死亡時にアパートの所有権が移転することになるため、管理の引継ぎが問題となる点についても同様である。

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家族信託による

新しい相続・資産承継対策

【第22回】

「家族信託の活用事例〈不動産編③〉

(2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を後妻に渡し、後妻の死後は収益物件自体を前妻との間の子に渡す事例)」

 

弁護士 荒木 俊和

 

今回解説するのは、「2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を後妻に渡し、後妻の死後は収益物件自体を前妻との間の子に渡す」という事例である。

- 相談事例 -

私(75歳)には今年70歳になる妻がおり、現在2人で暮らしています。

私は何棟か賃貸アパートを所有していますが、今年の春に脳の疾患で倒れて以来、体調が優れません。私に万が一のことがあった場合には、それ以降の家賃収入は妻に渡したいと思っています。

私には離婚経験がありまして、前妻との間には40歳になる長男がおり、今でもよく連絡を取っています。長男と今の妻とは、特に仲が悪いわけではありません。

賃貸アパートの建っている土地は曽祖父の代から引き継いできたものですので、今の妻の親族には渡したくないと思っており、今の妻が亡くなった後は、長男に引き継がせたいと考えています。

 

1 家族信託活用のポイント

(1) 遺言の限界・アパート管理の問題

前回述べたように、本件のように2者に対して連続して財産を引き継ぎたいとの要望に関して遺言で対応しようとした場合、「後継ぎ遺贈」の問題として法的な安定性の面で疑問が残ることになる。

また、遺言で対応しようとした場合、本人の死亡時にアパートの所有権が移転することになるため、管理の引継ぎが問題となる点についても同様である。

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連載目次

家族信託による
新しい相続・資産承継対策

▷総論

▷よくある質問・留意点

▷外部専門家等の活用

▷家族信託におけるリスク・デメリット

▷信託契約作成上の留意点

▷家族信託の活用事例~不動産編~

▷家族信託の活用事例~株式編~

筆者紹介

荒木 俊和

(あらき・としかず)

弁護士・札幌弁護士会所属

アンサーズ法律事務所
 http://answerz-law.com

つなぐ相続アドバイザーズ
 http://www.tsunagu-s.jp

昭和57年 三重県生まれ
平成17年 一橋大学法学部卒業
平成20年 東京大学法科大学院修了
 同 年 司法試験合格
平成21年 司法修習修了(新62期)、弁護士登録
平成22年 森・濱田松本法律事務所入所
平成24年 札幌みずなら法律事務所(現・みずなら法律事務所)入所
平成26年 アンサーズ法律事務所設立
     株式会社つなぐ相続アドバイザーズ設立 取締役就任

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