公開日: 2023/08/03 (掲載号:No.530)
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マンション評価に関する通達案の概要と論点整理~明らかとなった6割水準評価等への理論・実務的な検証~

筆者: 安部 和彦

マンション評価に関する通達案の概要と論点整理

~明らかとなった6割水準評価等への理論・実務的な検証~

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

1 はじめに

去る7月21日に国税庁から「居住用の区分所有財産の評価について」に係る法令解釈通達の案が公表され、意見公募手続(パブリックコメント)が実施されることとなった(締切は8月20日)。

当該通達案は、昨年4月の最高裁判決(最高裁令和4年4月19日判決・民集76巻4号411頁(TAINSコード:Z888-2406)(※1))を受けて、昨年末の与党税制改正大綱で「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。」(※2)という旨が指摘されており、これに呼応する形で国税庁が、主として納税者の予見可能性を確保する観点(※3)から、「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」を本年1月から3回にわたって開催し検討した成果である。

(※1) 判例評釈として、例えば、拙稿「〈判例評釈〉相続マンション訴訟最高裁判決-相続税の節税目的で取得したマンションに対する評基通6項適用の可否が問われた事例【前編】【後編】」Profession Journal No.472、473等参照。

(※2) 自由民主党・公明党「令和5年度 税制改正大綱」(令和4年12月16日)21頁

(※3) 国税庁「第1回 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」(令和5年1月30日)別添2資料1頁参照。

本稿では、当該通達案の内容を紹介するとともに、現在考えられる論点や疑問点を理論・実務の双方から検討して、パブリックコメントや今後の実務の参考資料を提供できればと考えている。

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~明らかとなった6割水準評価等への理論・実務的な検証~

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

1 はじめに

去る7月21日に国税庁から「居住用の区分所有財産の評価について」に係る法令解釈通達の案が公表され、意見公募手続(パブリックコメント)が実施されることとなった(締切は8月20日)。

当該通達案は、昨年4月の最高裁判決(最高裁令和4年4月19日判決・民集76巻4号411頁(TAINSコード:Z888-2406)(※1))を受けて、昨年末の与党税制改正大綱で「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。」(※2)という旨が指摘されており、これに呼応する形で国税庁が、主として納税者の予見可能性を確保する観点(※3)から、「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」を本年1月から3回にわたって開催し検討した成果である。

(※1) 判例評釈として、例えば、拙稿「〈判例評釈〉相続マンション訴訟最高裁判決-相続税の節税目的で取得したマンションに対する評基通6項適用の可否が問われた事例【前編】【後編】」Profession Journal No.472、473等参照。

(※2) 自由民主党・公明党「令和5年度 税制改正大綱」(令和4年12月16日)21頁

(※3) 国税庁「第1回 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」(令和5年1月30日)別添2資料1頁参照。

本稿では、当該通達案の内容を紹介するとともに、現在考えられる論点や疑問点を理論・実務の双方から検討して、パブリックコメントや今後の実務の参考資料を提供できればと考えている。

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連載目次

〈判例評釈〉相続マンション訴訟最高裁判決
-相続税の節税目的で取得したマンションに対する評基通6項適用の可否が問われた事例-

【前編】

1 はじめに

2 裁判の判決内容

(1) 事案の概要

(2) 事案の争点

(3) 裁判所の判断

〈一審:東京地裁令和元年8月27日判決〉

〈二審:東京高裁令和2年6月24日判決〉

〈上告審:最高裁令和4年4月19日判決〉

【後編】

3 本件判決への評価と実務対応

(1) 抜かないが故の「伝家の宝刀」

(2) 路線価評価の構造的な問題点

(3) 収益還元法の位置づけ

(4) 通達による評価の問題点

(5) 実務上の留意点

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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