公開日: 2022/06/09 (掲載号:No.473)
文字サイズ

〈判例評釈〉相続マンション訴訟最高裁判決-相続税の節税目的で取得したマンションに対する評基通6項適用の可否が問われた事例- 【後編】

筆者: 安部 和彦

〈判例評釈〉

相続マンション訴訟最高裁判決

-相続税の節税目的で取得したマンションに対する評基通6項適用の可否が問われた事例-

【後編】

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

▷【前編】はこちら

 

3 本件判決への評価と実務対応

(1) 抜かないが故の「伝家の宝刀」

本件判決に接して真っ先に思ったのは、課税庁は日頃から「伝家の宝刀」を抜かないで済むための対応を怠るべきでないということである。ここでいう伝家の宝刀とは評基通6項のことであるが(※4)、なぜ抜くべきでないかといえば、評基通6項とは通達による評価の「否認」、すなわち自らが規定した評価方法(本件の場合は路線価による評価、評基通11)に「欠陥」があることを認めることにつながりかねず、その行為は「自己矛盾」というべきものであるからである。

(※4) 新聞でも、独自に評価をやり直せる例外規定である評基通6項のことを「伝家の宝刀」と称している。2022年4月19日付朝日新聞及び2022年2月28日付日本経済新聞参照。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

〈判例評釈〉

相続マンション訴訟最高裁判決

-相続税の節税目的で取得したマンションに対する評基通6項適用の可否が問われた事例-

【後編】

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

▷【前編】はこちら

 

3 本件判決への評価と実務対応

(1) 抜かないが故の「伝家の宝刀」

本件判決に接して真っ先に思ったのは、課税庁は日頃から「伝家の宝刀」を抜かないで済むための対応を怠るべきでないということである。ここでいう伝家の宝刀とは評基通6項のことであるが(※4)、なぜ抜くべきでないかといえば、評基通6項とは通達による評価の「否認」、すなわち自らが規定した評価方法(本件の場合は路線価による評価、評基通11)に「欠陥」があることを認めることにつながりかねず、その行為は「自己矛盾」というべきものであるからである。

(※4) 新聞でも、独自に評価をやり直せる例外規定である評基通6項のことを「伝家の宝刀」と称している。2022年4月19日付朝日新聞及び2022年2月28日付日本経済新聞参照。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

〈判例評釈〉相続マンション訴訟最高裁判決
-相続税の節税目的で取得したマンションに対する評基通6項適用の可否が問われた事例-

【前編】

1 はじめに

2 裁判の判決内容

(1) 事案の概要

(2) 事案の争点

(3) 裁判所の判断

〈一審:東京地裁令和元年8月27日判決〉

〈二審:東京高裁令和2年6月24日判決〉

〈上告審:最高裁令和4年4月19日判決〉

【後編】

3 本件判決への評価と実務対応

(1) 抜かないが故の「伝家の宝刀」

(2) 路線価評価の構造的な問題点

(3) 収益還元法の位置づけ

(4) 通達による評価の問題点

(5) 実務上の留意点

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
国際医療福祉大学大学院教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。

【主要著書】
・『消費税 インボイス制度導入の実務』(清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ 消費税の判定誤りと実務対応』(清文社)
・『新版 医療・福祉施設における消費税の実務』(清文社)
・『【第三版】税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与実務Q&A』(清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税Q&A』(清文社)
・『Q&A 医療法人の事業承継ガイドブック』(清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(清文社)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(税務経理協会)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(税務経理協会)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(中央経済社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(清文社)

【主要論文】
・「わが国企業の海外事業展開とタックスヘイブン対策税制について」(『国際税務』2001年12月号)
・「タックスヘイブン対策税制の適用範囲-キャドバリー・シュウェップス事件の欧州裁判所判決等を手がかりにして-」『税務弘報』(2007年10月号)
など
            

#