公開日: 2026/07/23 (掲載号:No.678)
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国際課税レポート 【第26回】「トランプ関税劇場の第3幕」~最高裁判決後に浮上した301条・強制労働リスク~

筆者: 岡 直樹

国際課税レポート

【第26回】

「トランプ関税劇場の第3幕」

~最高裁判決後に浮上した301条・強制労働リスク~

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団名誉フェロー

 

7月24日、10%の122条関税が終了する。この関税は、2026年2月20日、米連邦最高裁が、国際緊急経済権限法(IEEPA)は大統領に関税を課す権限を与えていないと判断したことを受け、急遽導入されていたものだ。判決により、第二次トランプ政権の看板政策「トランプ関税」のうち、2025年の「相互関税」などIEEPAに基づく措置は法的根拠を失った。122条関税の延長には議会による立法が必要だが、本稿執筆時点で、延長に向けた具体的な動きはみられない。

2月の最高裁判決後、米税関・国境警備局(CBP)は2026年4月20日に還付手続きを開始し、5月にはIEEPA関税の還付金の支払いが始まった(JETROビジネス短信2026年5月28日)。赤澤亮正経済再生担当相が2025年4月から7月にかけて8回訪米し、関税引下げ交渉の対象として知られた「相互関税」の終了は、日本企業にとっては吉報、トランプ政権にとっては打撃となっていた。

もっとも、これで自らを“タリフマン”と呼ぶ「トランプ関税劇場」の幕が下りるわけではない。

緊急事態を理由に広範な関税を一挙に課す手法は行き詰まったが、政権は既存の通商法に基づく複数の制度へと関税政策を組み替えつつある。しかも、その過程で、これまで関税問題の陰に隠れていた強制労働などが新たな争点として浮上した。嵐が去るどころか、暴風域が広がったともいえる。

以下では、第一次トランプ政権の対中関税、第二次トランプ政権のIEEPA関税に続く“トランプ関税第3幕”についての現状と展望を紹介する。

(注) IEEPAに基づくトランプ関税導入と裁判の経緯について詳しくは、本連載【第20回】「「トランプ関税」と「ピラー2」~米・欧2つの最高裁審査~」参照

 

米最高裁がIEEPA関税(相互関税)を否定

トランプ大統領は2025年、米国の恒常的な貿易赤字や、合成麻薬・不法移民の流入を「国家緊急事態」と位置付け、IEEPAを根拠に広範な追加関税を導入した。IEEPAは、国家緊急事態に際して外国との経済取引を規制する法律であるが、歴代大統領が同法を根拠に関税を課した例はなかった。

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【第26回】

「トランプ関税劇場の第3幕」

~最高裁判決後に浮上した301条・強制労働リスク~

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団名誉フェロー

 

7月24日、10%の122条関税が終了する。この関税は、2026年2月20日、米連邦最高裁が、国際緊急経済権限法(IEEPA)は大統領に関税を課す権限を与えていないと判断したことを受け、急遽導入されていたものだ。判決により、第二次トランプ政権の看板政策「トランプ関税」のうち、2025年の「相互関税」などIEEPAに基づく措置は法的根拠を失った。122条関税の延長には議会による立法が必要だが、本稿執筆時点で、延長に向けた具体的な動きはみられない。

2月の最高裁判決後、米税関・国境警備局(CBP)は2026年4月20日に還付手続きを開始し、5月にはIEEPA関税の還付金の支払いが始まった(JETROビジネス短信2026年5月28日)。赤澤亮正経済再生担当相が2025年4月から7月にかけて8回訪米し、関税引下げ交渉の対象として知られた「相互関税」の終了は、日本企業にとっては吉報、トランプ政権にとっては打撃となっていた。

もっとも、これで自らを“タリフマン”と呼ぶ「トランプ関税劇場」の幕が下りるわけではない。

緊急事態を理由に広範な関税を一挙に課す手法は行き詰まったが、政権は既存の通商法に基づく複数の制度へと関税政策を組み替えつつある。しかも、その過程で、これまで関税問題の陰に隠れていた強制労働などが新たな争点として浮上した。嵐が去るどころか、暴風域が広がったともいえる。

以下では、第一次トランプ政権の対中関税、第二次トランプ政権のIEEPA関税に続く“トランプ関税第3幕”についての現状と展望を紹介する。

(注) IEEPAに基づくトランプ関税導入と裁判の経緯について詳しくは、本連載【第20回】「「トランプ関税」と「ピラー2」~米・欧2つの最高裁審査~」参照

 

米最高裁がIEEPA関税(相互関税)を否定

トランプ大統領は2025年、米国の恒常的な貿易赤字や、合成麻薬・不法移民の流入を「国家緊急事態」と位置付け、IEEPAを根拠に広範な追加関税を導入した。IEEPAは、国家緊急事態に際して外国との経済取引を規制する法律であるが、歴代大統領が同法を根拠に関税を課した例はなかった。

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連載目次

国際課税レポート

筆者紹介

岡 直樹

(おか・なおき)

税理士
東京財団名誉フェロー
国税庁国際課税分析官、税務大学校教授、主任国税訟務官(国際)。大法人、外国企業課税の経験を持つ。財務省主税局、OECD租税委員会事務局等に勤務。IFA(国際租税協会)、租税法学会、国際取引法学会会員。

【著作等】

・「タックスヘイブンとの闘いと国際租税法-新課税権とグローバルミニマム税-」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー143号(2020)

・「英国のアーロンソン報告書とGAAR」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー126号(2016)

・「日本の所得税負担の実態―高額所得者を中心に」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー118号(2014)

・「高額所得申告者・大規模法人の行動と税務行政への示唆」(税大論叢60号)(2009)

・「移転価格税制における情報義務と独立企業間価格の証明方法に関する考察」(税大論叢59号)(2008) 第18回租税資料館賞受賞

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