常識としてのビジネス法律
【第15回】
「各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その3)」
弁護士 矢野 千秋
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【第13回】 各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その1)
1 代金はいつどのように請求するか
2 請求書、催告書、督促状の書き方
3 相手から支払いの延期を求められたら
4 依頼されたのが手形ジャンプであったとき
5 危険な兆候
6 出荷停止と商品引上げ(現実化)の判断
7 売掛金の手形化(確実化)
8 個人保証を取る(確実化)
9 公正証書の利用法(確実化)
【第14回】 各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その2)
10 内容証明郵便での請求
11 代物弁済による回収
12 代位弁済による回収
13 代理受領による回収
14 相殺による回収
15 債権譲渡による回収
16 担保を利用した債権回収方法(確実化)
(16 担保を利用した債権回収方法(確実化))
(2) 物的担保とは
「物的担保」とは、財産を担保にとるものである。
物的担保には、「法定担保」と「約定担保」の2種がある。
① 法定担保
「法定担保」とは、ある一定の債権について法律上当然に成立する担保権で、「先取特権」と「留置権」がある。
(注) 先取特権
法に定められた特定の債権を有する者が、債務者の総財産または特定の財産から優先弁済を受けうる法定担保物権である。
総財産から優先弁済を受けうるものを「一般の先取特権」といい、法は①共益費用②雇人給料③葬式費用④日用品供給の4つを定める(民法306条)。
特定の動産または不動産から優先弁済を受けうるものを「特別の先取特権」というが、動産の先取特権として8つを定め(民法311条から324条)、不動産の先取特権として3つを定める(民法325条から328条)。
(注) 留置権
他人の物の占有者がその物に関して生じた債権を有している場合、その債権の弁済を受けるまでその物を留置しうる法定担保物権である(民法295条)。物を留置して債務者に弁済を促すところにこの担保権の中核があり、その物の使用収益権も、その物を換価して換価金の中から他の債権者に先立って優先的に弁済を受ける権利(優先弁済権)もない。
商人間の取引については商事留置権(商法521条)がある。
商人間で、双方にとっての商行為から生じた債権が弁済期にあるときは、その債務者との間の商行為から自分が占有するに至った債務者所有の物を留置することができる。
この場合は、その物に関して生じた債権である必要がない。
② 約定担保
「約定担保」とは、当事者の約定によって設定される担保権で、抵当権、質権、譲渡担保、仮登記担保、所有権留保がある。
人的担保(前回参照)はその者の資力如何によって不確実なので、物的担保が担保力に優り、なかんずく抵当権が有力である。
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