公開日: 2014/09/11 (掲載号:No.85)
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常識としてのビジネス法律 【第15回】「各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その3)」

筆者: 矢野 千秋

常識としてのビジネス法律

【第15回】

「各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その3)」

 

弁護士 矢野 千秋

 

1~16(1)はここをクリック

【第13回】 各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その1)

1 代金はいつどのように請求するか

2 請求書、催告書、督促状の書き方

3 相手から支払いの延期を求められたら

4 依頼されたのが手形ジャンプであったとき

5 危険な兆候

6 出荷停止と商品引上げ(現実化)の判断

7 売掛金の手形化(確実化)

8 個人保証を取る(確実化)

9 公正証書の利用法(確実化)

【第14回】 各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その2)

10 内容証明郵便での請求

11 代物弁済による回収

12 代位弁済による回収

13 代理受領による回収

14 相殺による回収

15 債権譲渡による回収

16 担保を利用した債権回収方法(確実化)

 

(16 担保を利用した債権回収方法(確実化))

(2) 物的担保とは

「物的担保」とは、財産を担保にとるものである。
物的担保には、「法定担保」と「約定担保」の2種がある。

① 法定担保
「法定担保」とは、ある一定の債権について法律上当然に成立する担保権で、「先取特権」と「留置権」がある。

(注) 先取特権
法に定められた特定の債権を有する者が、債務者の総財産または特定の財産から優先弁済を受けうる法定担保物権である。
総財産から優先弁済を受けうるものを「一般の先取特権」といい、法は①共益費用②雇人給料③葬式費用④日用品供給の4つを定める(民法306条)。
特定の動産または不動産から優先弁済を受けうるものを「特別の先取特権」というが、動産の先取特権として8つを定め(民法311条から324条)、不動産の先取特権として3つを定める(民法325条から328条)。

(注) 留置権
他人の物の占有者がその物に関して生じた債権を有している場合、その債権の弁済を受けるまでその物を留置しうる法定担保物権である(民法295条)。物を留置して債務者に弁済を促すところにこの担保権の中核があり、その物の使用収益権も、その物を換価して換価金の中から他の債権者に先立って優先的に弁済を受ける権利(優先弁済権)もない。
商人間の取引については商事留置権(商法521条)がある。
商人間で、双方にとっての商行為から生じた債権が弁済期にあるときは、その債務者との間の商行為から自分が占有するに至った債務者所有の物を留置することができる。
この場合は、その物に関して生じた債権である必要がない。

② 約定担保
「約定担保」とは、当事者の約定によって設定される担保権で、抵当権、質権、譲渡担保、仮登記担保、所有権留保がある。
人的担保(前回参照)はその者の資力如何によって不確実なので、物的担保が担保力に優り、なかんずく抵当権が有力である。

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【第15回】

「各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その3)」

 

弁護士 矢野 千秋

 

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【第13回】 各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その1)

1 代金はいつどのように請求するか

2 請求書、催告書、督促状の書き方

3 相手から支払いの延期を求められたら

4 依頼されたのが手形ジャンプであったとき

5 危険な兆候

6 出荷停止と商品引上げ(現実化)の判断

7 売掛金の手形化(確実化)

8 個人保証を取る(確実化)

9 公正証書の利用法(確実化)

【第14回】 各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その2)

10 内容証明郵便での請求

11 代物弁済による回収

12 代位弁済による回収

13 代理受領による回収

14 相殺による回収

15 債権譲渡による回収

16 担保を利用した債権回収方法(確実化)

 

(16 担保を利用した債権回収方法(確実化))

(2) 物的担保とは

「物的担保」とは、財産を担保にとるものである。
物的担保には、「法定担保」と「約定担保」の2種がある。

① 法定担保
「法定担保」とは、ある一定の債権について法律上当然に成立する担保権で、「先取特権」と「留置権」がある。

(注) 先取特権
法に定められた特定の債権を有する者が、債務者の総財産または特定の財産から優先弁済を受けうる法定担保物権である。
総財産から優先弁済を受けうるものを「一般の先取特権」といい、法は①共益費用②雇人給料③葬式費用④日用品供給の4つを定める(民法306条)。
特定の動産または不動産から優先弁済を受けうるものを「特別の先取特権」というが、動産の先取特権として8つを定め(民法311条から324条)、不動産の先取特権として3つを定める(民法325条から328条)。

(注) 留置権
他人の物の占有者がその物に関して生じた債権を有している場合、その債権の弁済を受けるまでその物を留置しうる法定担保物権である(民法295条)。物を留置して債務者に弁済を促すところにこの担保権の中核があり、その物の使用収益権も、その物を換価して換価金の中から他の債権者に先立って優先的に弁済を受ける権利(優先弁済権)もない。
商人間の取引については商事留置権(商法521条)がある。
商人間で、双方にとっての商行為から生じた債権が弁済期にあるときは、その債務者との間の商行為から自分が占有するに至った債務者所有の物を留置することができる。
この場合は、その物に関して生じた債権である必要がない。

② 約定担保
「約定担保」とは、当事者の約定によって設定される担保権で、抵当権、質権、譲渡担保、仮登記担保、所有権留保がある。
人的担保(前回参照)はその者の資力如何によって不確実なので、物的担保が担保力に優り、なかんずく抵当権が有力である。

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連載目次

「常識としてのビジネス法律」(全30回)

筆者紹介

矢野 千秋

(やの・ちあき)

弁護士

昭和59年 弁護士登録(第二東京弁護士会)
同年 竹内総合法律事務所に入所(主に企業法務一般・知的財産権担当)
平成4年 米国人名辞典 WHO’S WHO IN THE WORLD掲載
平成7年 独立し高輪に法律事務所設立(主に企業法務一般・知的財産権・民事一般)

(現在)
企業系ビジネスセミナー講師(SMBC、三菱UFJ、みずほ、りそな、日経新聞、産業経理協会、経営調査研究会、四国生産性本部、浜銀総研、長野経済研究所、百五経済研究所 等)
「ソフトウェアの著作権」「知的財産権」「会社の日常業務の法律知識」「取締役に必要な法律知識」「監査役に必要な法律知識」「会社法」「手形小切手法」「債権回収の法律実務」「債権回収と民事再生法」「契約に関する法律知識」「会社のトラブル対策」等

矢野総合法律事務所
〒100-0012 東京都千代田区日比谷公園1番3号 市政会館110号室
TEL 03(3501)9161
FAX 03(5501)3186

【専門分野】
民事・商事・知的財産権法や企業法務

【主な著書】
・『よくわかる!知的財産法実務入門〔第2版〕』(民事法研究会)
・『これだけは知っておきたい 会社で役立つ日常業務の法律知識
・『株主総会・取締役会・監査役 会社機関の運営と基礎知識』
・『カンタン解説!新会社法の基礎と重要ポイント』(以上、清文社)
・『手形小切手法提要』
・『手形小切手法ダイヤグラム』
・『会社法提要』
・『会社法ダイヤグラム』(以上、早稲田経営出版)
・『違法営業活動防止ハンドブック」(ダイヤモンド社)

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