公開日: 2013/02/21 (掲載号:No.7)
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平成26年1月から施行される「国外財産調書制度」の実務と留意点【第3回】

筆者: 小林 正彦

平成26年1月から施行される

「国外財産調書制度」の実務と留意点

【第3回】

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

(第1章 制度の概要・1-3 制度創設の背景)

(3) 国外財産報告制度の実効性の裏付けとなる他制度の整備
これまで述べてきたように、国税当局にとって居住者が保有する国外財産を把握することについては、質問検査権の及ぶのが日本の領土内に限られるという制約があり、租税条約による情報交換にも限界があるという問題があった。

このままでは、居住者に国外財産報告義務を課しても、正確性をチェックする手段がないのでは実効性がなく、“画に描いた餅”にならざるを得ない。

ところが、最近のタックス・ヘイブン諸国との情報交換協定の締結の進展や、租税条約の情報交換規定の見直しによる実効性の確保の動きが目覚ましく進展したことなどにより、脱税の防止に対する国際間の協力体制が急速に整備されてきたことで、状況が変化しつつある(詳細は下記で述べる)。

また、国外送金調書制度により、国税当局は、一般の金融機関を使って海外送金した場合には、1回の送金で100万円以上のものについては、金融機関から自動的に情報を入手できる仕組みができている。

外国に資金が出て行った後に、それがどのように使われたかは国税当局には分からないが、海外送金された事実がつかめていれば、あとは税務調査によって追跡する余地は残されており、実際に国外送金調書は国外財産に係る申告漏れを把握する端緒として顕著な活用効果を示しているようである。

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平成26年1月から施行される

「国外財産調書制度」の実務と留意点

【第3回】

 

税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦

(第1章 制度の概要・1-3 制度創設の背景)

(3) 国外財産報告制度の実効性の裏付けとなる他制度の整備
これまで述べてきたように、国税当局にとって居住者が保有する国外財産を把握することについては、質問検査権の及ぶのが日本の領土内に限られるという制約があり、租税条約による情報交換にも限界があるという問題があった。

このままでは、居住者に国外財産報告義務を課しても、正確性をチェックする手段がないのでは実効性がなく、“画に描いた餅”にならざるを得ない。

ところが、最近のタックス・ヘイブン諸国との情報交換協定の締結の進展や、租税条約の情報交換規定の見直しによる実効性の確保の動きが目覚ましく進展したことなどにより、脱税の防止に対する国際間の協力体制が急速に整備されてきたことで、状況が変化しつつある(詳細は下記で述べる)。

また、国外送金調書制度により、国税当局は、一般の金融機関を使って海外送金した場合には、1回の送金で100万円以上のものについては、金融機関から自動的に情報を入手できる仕組みができている。

外国に資金が出て行った後に、それがどのように使われたかは国税当局には分からないが、海外送金された事実がつかめていれば、あとは税務調査によって追跡する余地は残されており、実際に国外送金調書は国外財産に係る申告漏れを把握する端緒として顕著な活用効果を示しているようである。

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連載目次

「平成26年1月から施行される「国外財産調書制度」の実務と留意点」(全8回)

筆者紹介

小林 正彦

(こばやし・まさひこ)

デロイト トーマツ税理士法人 東京事務所
移転価格サービス
パートナー/税理士

1957年生まれ
長野県松本市出身

【職歴】
・1980年4月東京国税局採用
・1980年から2006年まで、国税庁、東京国税局調査部、東京国税局管内税務署において移転価格・相互協議、APA審査、法人税調査、所得税調査、源泉税調査事務等国際課税関係事務を中心に幅広い国税に関する実務を経験
・2006年7月税大研究部教授を最後に国税庁を退官、税理士法人トーマツに入社
・2008年7月パートナー就任
・現在、移転価格サービス所属パートナー、租税争訟支援サービスチームのヘッドとして、移転価格を含む税務調査対応、不服申立て、移転価格プランニング、APA申請、相互協議等に幅広い分野に関するコンサルティング業務に従事

【著書】
・『平成25年1月施行の実務に対応!税務調査のすべてQ&A』共著(清文社)

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