公開日: 2026/05/14 (掲載号:No.668)
文字サイズ

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第42回】「国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討」-国税徴収法の性格の変化:「中間的な通則法」から滞納処分手続法へ-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

国税通則法構造手続

【第42回】

「国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討」

-国税徴収法の性格の変化:「中間的な通則法」から滞納処分手続法へ-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

1 はじめに

これまで本連載をコンメンタール的「読み物」第1回参照)として国税通則法の規定を検討してきたが、前回で国税通則法第9章(雑則)までの検討を終えた。

残すは国税通則法第10章(罰則)と第11章(犯則事件の調査及び処分)となったが、この2つの章は租税処罰法ないし租税制裁法のうち、租税危害犯等の租税犯及び租税罰を定める租税刑法に関する規定並びに犯則事件調査及び通告処分を定める租税犯則手続法に関する規定を置く章である。それらの規定のうち煽動犯及び租税犯則手続法に関する規定(税通126条、131条以下)は、平成29年度税制改正(平成29年3月31日法律第4号)前は国税犯則取締法(明治33年3月17日法律第67号)に置かれていた規定が、同改正によって同法の廃止(平成30年4月1日)に伴い国税通則法に移されたものである。

そこで、それらの章に置かれた規定(税通126条~160条)を本連載でどのように取り扱うかを検討したところ、本連載のタイトル及びその基礎にある本連載の構想を考慮して、税法の体系上租税手続法とは区別される租税処罰法の分野に属する上記の規定は本連載では取り上げないことにした(税法の体系については清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)11頁、金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)28-29頁、拙著『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)【86】等参照)。

本連載のタイトルを「国税通則法の構造と手続」としたのは次のような構想(第1回)が念頭にあったからである。

国税通則法という実定法の現実の「構造」(本連載では「実定的構造」という)と、租税実体法と租税手続法との目的従属的関係を内包する税法学の体系に基づく「構造」(本連載では「体系的構造」という)のうちいずれから国税通則法の検討にアプローチするかは、同法の規定なり手続をその基礎に立ち返って理解しようとする場合、重要な意味をもつと考えるものであるが、このように考えて、本連載のタイトルを「国税通則法の構造と手続」としたところである。

このような構想からすると、本連載において国税通則法の検討にその実定的構造からアプローチすることは前回で終えたことになるが、その体系的構造からアプローチする場合には、国税徴収法の検討がなお課題として残されていることになる。すなわち、国税徴収法は、国税通則法と同じく、租税実体法に対して目的従属的関係にある租税手続法に属しており、しかも国税通則法の制定前には「いわば中間的な租税通則法」(租税徴収制度調査会「租税徴収制度の改正に関する答申」(昭和33年12月。以下「租税徴収制度調査会答申」という)4頁)ないし「中間的な通則法」(税制調査会「国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)」(昭和36年7月。以下「国税通則法制定答申」という)2頁)としての性格をもつと考えられていたことからすると、税法学の体系の観点からは、国税通則法と「一体として」観察し検討すべきものであり、むしろそうすること(国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討)によって国税通則法の実定的構造の特色もより明らかになるように思われる。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。

すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。

Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。

会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。

谷口教授と学ぶ

国税通則法構造手続

【第42回】

「国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討」

-国税徴収法の性格の変化:「中間的な通則法」から滞納処分手続法へ-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

1 はじめに

これまで本連載をコンメンタール的「読み物」第1回参照)として国税通則法の規定を検討してきたが、前回で国税通則法第9章(雑則)までの検討を終えた。

残すは国税通則法第10章(罰則)と第11章(犯則事件の調査及び処分)となったが、この2つの章は租税処罰法ないし租税制裁法のうち、租税危害犯等の租税犯及び租税罰を定める租税刑法に関する規定並びに犯則事件調査及び通告処分を定める租税犯則手続法に関する規定を置く章である。それらの規定のうち煽動犯及び租税犯則手続法に関する規定(税通126条、131条以下)は、平成29年度税制改正(平成29年3月31日法律第4号)前は国税犯則取締法(明治33年3月17日法律第67号)に置かれていた規定が、同改正によって同法の廃止(平成30年4月1日)に伴い国税通則法に移されたものである。

そこで、それらの章に置かれた規定(税通126条~160条)を本連載でどのように取り扱うかを検討したところ、本連載のタイトル及びその基礎にある本連載の構想を考慮して、税法の体系上租税手続法とは区別される租税処罰法の分野に属する上記の規定は本連載では取り上げないことにした(税法の体系については清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)11頁、金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)28-29頁、拙著『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)【86】等参照)。

本連載のタイトルを「国税通則法の構造と手続」としたのは次のような構想(第1回)が念頭にあったからである。

国税通則法という実定法の現実の「構造」(本連載では「実定的構造」という)と、租税実体法と租税手続法との目的従属的関係を内包する税法学の体系に基づく「構造」(本連載では「体系的構造」という)のうちいずれから国税通則法の検討にアプローチするかは、同法の規定なり手続をその基礎に立ち返って理解しようとする場合、重要な意味をもつと考えるものであるが、このように考えて、本連載のタイトルを「国税通則法の構造と手続」としたところである。

このような構想からすると、本連載において国税通則法の検討にその実定的構造からアプローチすることは前回で終えたことになるが、その体系的構造からアプローチする場合には、国税徴収法の検討がなお課題として残されていることになる。すなわち、国税徴収法は、国税通則法と同じく、租税実体法に対して目的従属的関係にある租税手続法に属しており、しかも国税通則法の制定前には「いわば中間的な租税通則法」(租税徴収制度調査会「租税徴収制度の改正に関する答申」(昭和33年12月。以下「租税徴収制度調査会答申」という)4頁)ないし「中間的な通則法」(税制調査会「国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)」(昭和36年7月。以下「国税通則法制定答申」という)2頁)としての性格をもつと考えられていたことからすると、税法学の体系の観点からは、国税通則法と「一体として」観察し検討すべきものであり、むしろそうすること(国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討)によって国税通則法の実定的構造の特色もより明らかになるように思われる。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。

すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。

Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。

会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。

連載目次

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同センター理事・同センター「日税研究賞」選考委員・同センター編集委員会委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社・2023年)、『基礎から学べる租税法〔第4版〕』(共著・弘文堂・2025年)、『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)、『税法基本判例Ⅱ』(清文社・2025年)など。
 
   

#