税理士ができる
『中小企業の資金調達』支援実務
【第6回】
「具体的な資金調達支援の流れ(その3)」
~申し込みに必要な資料の作成支援~
公認会計士・中小企業診断士・税理士
西田 恭隆
社長が金融機関に相談に行き、融資担当者から難しいと言われない限りは、融資の可能性がある。そこで次は、申し込みに必要な資料の作成に進む。事業計画書、資金繰り表、決算書、合計残高試算表を作成して提出する。
今回は、これら資料作成に関する支援内容を解説する。決算書および合計残高試算表については説明不要と思われるので、事業計画書、資金繰り表の作成支援について述べる。
【第3回】で説明したとおり、事業計画書は、会社がどのような事業を行って売上と利益をあげる予定なのか、説明するための書類である。事業内容を「文章で説明する部分」と、それを「計数で説明する部分」の2つから構成され、資金の必要性、資金を使う目的、返済原資となる利益がどの程度発生するのかを金融機関側に伝えるものであった。一方、資金繰り表は、会社の入出金情報を表す書類であり、返済原資となる現預金が確保できることを説明するものであった。
会計税務の専門家である税理士は、これら資料のうち、主に計数面の作成支援を行う。ただし、あくまで支援であって、計数自体は社長に考えてもらう必要がある。融資交渉の場では、社長自身が金融機関に対して説明を行い、責任を負うからである。社長が主体的に計数を考え、税理士はそれを整理、文書化するという支援の形が良い。
1 事業計画書の作成支援
まず、事業計画書の計数作成支援について述べる。売上と利益の見込み数値を作るだけなので、会計に詳しくない社長でも比較的簡単に作成可能である。しかし、返済原資を確保するために必要な利益はいくらか、という点は会計の知識が必要になる。税理士が助言できる点である。
必要利益は、簡易キャッシュフロー(=当期純利益+減価償却費)の考えを使って算定する。例えば、年間返済額が100万円で、減価償却費が60万円の場合、返済に必要な当期純利益は40万円となる。これに法人税等や販売管理費、売上原価を加えると、返済に必要な年間売上高が決まる。
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