公開日: 2016/02/10 (掲載号:No.156)
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[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第9回】「グループ企業への具体的な関与(その3)」~監査機能の課題と重要性①~

筆者: 松藤 斉

[子会社不祥事を未然に防ぐ]
グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ

【第9回】

「グループ企業への具体的な関与(その3)」
~監査機能の課題と重要性①~

 

公認会計士 松藤 斉

 

本稿では、企業グループで起こり得る不祥事や不正のリスク対応の観点で、監査機能を担う監査役(会)及び監査委員(会)、内部監査部門、会計監査人の個々の課題や状況、監査機能の強化について私見を述べる。その前に、不正リスク対策等について少し触れておく。

 

1 不正リスク対策

① 潜在不正

不正や不祥事はいつかは発覚するとも言えるが、発覚せずに断続的に再発したり、現在も継続している可能性がある。アンケート調査(有限責任監査法人トーマツ グループ「Japan Fraud Survey2014」)によると、回答企業の約25%で不正が発覚しているが、全ての企業にとって隠れた不正は知る由がなく、「当社ではそのようなことはない」という認識ではなく、「いつかは当社でも発覚する、すでに発生している恐れがある」との前提に立ち、不正リスクをどの程度削減できるか、起こった場合の対処を誤らないことが肝要である。

② 管理対象の不正動機

日本企業では、「自分の代で問題を作りたくない、会社や組織に迷惑をかけたくない、上司・先輩を裏切りたくない」という経営トップから従業員に至るまでの意識、心情が不祥事に発展する事例も多い。その結果、相談を受け事実を知った上司や後任が不正や損失を放置したり、関与を始めてダメージがますます膨らむのである。

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[子会社不祥事を未然に防ぐ]
グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ

【第9回】

「グループ企業への具体的な関与(その3)」
~監査機能の課題と重要性①~

 

公認会計士 松藤 斉

 

本稿では、企業グループで起こり得る不祥事や不正のリスク対応の観点で、監査機能を担う監査役(会)及び監査委員(会)、内部監査部門、会計監査人の個々の課題や状況、監査機能の強化について私見を述べる。その前に、不正リスク対策等について少し触れておく。

 

1 不正リスク対策

① 潜在不正

不正や不祥事はいつかは発覚するとも言えるが、発覚せずに断続的に再発したり、現在も継続している可能性がある。アンケート調査(有限責任監査法人トーマツ グループ「Japan Fraud Survey2014」)によると、回答企業の約25%で不正が発覚しているが、全ての企業にとって隠れた不正は知る由がなく、「当社ではそのようなことはない」という認識ではなく、「いつかは当社でも発覚する、すでに発生している恐れがある」との前提に立ち、不正リスクをどの程度削減できるか、起こった場合の対処を誤らないことが肝要である。

② 管理対象の不正動機

日本企業では、「自分の代で問題を作りたくない、会社や組織に迷惑をかけたくない、上司・先輩を裏切りたくない」という経営トップから従業員に至るまでの意識、心情が不祥事に発展する事例も多い。その結果、相談を受け事実を知った上司や後任が不正や損失を放置したり、関与を始めてダメージがますます膨らむのである。

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連載目次

「[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ」(全12回)

  • 【第1回】
    子会社の不祥事が親会社・親会社役員にもたらすインパクト
    ~場合によっては親会社の屋台骨をゆらがしかねない子会社の不祥事~
    (遠藤元一)
  • 【第2回】
    周辺エリアで生じやすい不祥事
    ~子会社で不祥事が生じやすいのには、様々な要因がある~
    (松澤公貴)
  • 【第3回】
    子会社管理についての判例・裁判例と平成26年改正会社法の影響
    ~グループ企業経営が会社法の本体に格上げされたことで親会社の責任はどのように変わるのか?~
    (遠藤元一)
  • 【第4回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)
    ~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~
    (遠藤元一)
  • 【第5回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その2)
    ~リスクベースドアプローチの重要性~
    (遠藤元一)
  • 【第6回】
    グループ企業管理に関わる基本的方針(その3)
    ~早期不正対処の重要性~
    (松澤公貴)
  • 【第7回】
    グループ企業への具体的な関与(その1)
    ~法令遵守に係る基本的・具体的アプローチ~
    (遠藤元一)
  • 【第8回】
    グループ企業への具体的な関与(その2)
    ~リスク管理に係る基本的・具体的アプローチ~
    (遠藤元一)
  • 【第9回】
    グループ企業への具体的な関与(その3)
    ~監査機能の課題と重要性①~
    (松藤 斉)
  • 【第10回】
    グループ企業への具体的な関与(その4)
    ~監査機能の課題と重要性②~
    (松藤 斉)
  • 【第11回】
    グループ企業への具体的な関与(その5)
    ~グループ内部通報が親会社を救う~
    (遠藤元一)
  • 【第12回】
    海外子会社の内部統制システムとコンプライアンス強化
    ~親会社視点での国内子会社との相違点・留意点等~
    (遠藤元一)

筆者紹介

松藤 斉

(まつふじ・ひとし)

・早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒(1975)
・公認会計士(1982~)
・有限責任監査法人トーマツグループ出身(勤務期間 1975~2014、パートナー 1990~2014)
・公認会計士松藤斉事務所代表(現在)
・日本公認不正検査士協会評議員(~2014)
・上場会社の日本、米国、国際会計基準監査、日本企業グローバルオファリング、米国上場指導に従事
・トーマツグループ子会社にて不正関連業務(フォレンジック)リーダーとして各種調査、アドバイザリー業務に従事、不正等調査委員等を歴任(2006~2014)

関連書籍

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務

EY新日本有限責任監査法人 編

先進事例と実践 人的資本経営と情報開示

EY新日本有限責任監査法人 編 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 編

気候変動リスクと会社経営 はじめの一歩

公認会計士 石王丸周夫 著

ドローン・ビジネスと法規制

森・濱田松本法律事務所 AI・IoTプラクティスグループ 編 弁護士 戸嶋浩二 編集代表 弁護士 林 浩美 編集代表 弁護士 岡田 淳 編集代表

法務コンプライアンス実践ガイド

弁護士・青山学院大学法学部教授 浜辺陽一郎 著

不正会計リスクにどう立ち向かうか!

公認会計士・公認不正検査士 宇澤亜弓 著

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