会計リレーエッセイ
【第4回】
「IFRS雑感」
有限責任あずさ監査法人パートナー
(前IASB理事)
山田 辰己
1 アジアにおけるIFRS採用国の拡大
筆者は、2001年4月から2011年6月まで国際会計基準審議会(IASB)の理事を務めた。その後、有限責任あずさ監査法人に勤め、そこでは、アジア地域の国際財務報告基準(IFRS)の普及に関する仕事をしている。
その関係で、韓国、マレーシア、インドネシア及び台湾といった国々を訪問する機会がある。これらの国々では、2011年又は2012年からIFRSが導入され、少なくともすべての上場企業に強制適用されている。また、韓国やマレーシアの場合には、IASBが新設・改訂する都度自国で適用しているIFRSに反映されている。
しかし、インドネシアの場合には、2009年版のIFRSが、台湾では2010年版が、2012年に導入されている。最新IFRSとのタイムラグを埋めるため、今後どのようにキャッチアップするかが、これらの国では大きな課題となっている。さらに、インドネシアやマレーシアでは、一部のIFRSのカーブアウトをしているため、厳密には、IFRSと完全に同一ではない。
ただし、このような多様性があるものの、香港やシンガポールも全面的な採用に動いており、アジア諸国では、IFRSの採用が着実に進んでいる。また、これらの国々では、IFRSの設定における日本のより積極的なリーダーシップに対する期待は強く、我が国が、アジア諸国のこの期待に応えてほしいものと感じている。
2 我が国のIFRSの任意適用
我が国は、2010年3月期からIFRSの任意適用を認めている。任期適用を行う企業は、金融庁長官が指定する「指定国際会計基準(現時点では、2012年10月までのIFRSがそのまま指定されている)」を適用しなければならない(IFRSのアドプション)。
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