事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第47回】「法人から地方公共団体への寄附」
私はB県内で小売業A社を営んでいます。今般、本社が所在するQ市より市が主催する大規模なイベントに対する寄附の依頼がありました。先代から50年以上Q市を中心に事業を展開してきたこと、また、私自身もこの地で生まれ育ったのでQ市に対する愛着もあり、ぜひ協力をしてイベントを成功させたいと考えています。
そこで、A社より1億円の寄附をしようと検討をしておりますが、この寄附金はA社において法人税法上の損金として認められるのでしょうか。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第59回】「特定事業用宅地等の特例と個人版事業承継税制との関係」
個人で歯医者を経営している甲は後継者である長男乙に事業を承継させるために、下記の特定事業用資産の贈与を乙に行いました。乙は贈与を受けた特定事業用資産の全てについて贈与税の納税猶予の適用を受けました。その後、甲に相続が発生し、特定事業用資産の取得をしたものとみなされた場合において、相続税の納税猶予の適用を受けないときは、下記のA土地について小規模宅地等に係る特定事業用宅地等の特例の適用は受けられますか。
〔顧問先を税務トラブルから救う〕不服申立ての実務 【第19回】「裁決までのスケジューリング、裁決書の送達そして原処分取消訴訟へ」
審査請求における事件処理の過程において、具体的な情報を適宜かつ適切に提供するために、担当審判官は、定期的(おおむね3ヶ月ごとに)答弁書・反論書・意見書等の提出状況、作成時点の争点、調査・審理の状況、今後の予定などを記載した「審理の状況・予定表」を作成し、審査請求人及び原処分庁の双方に交付している。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第81回】「譲渡担保と不動産取得税事件」~最判昭和48年11月16日(民集27巻10号1333頁)~
X信用金庫(X信金)は、A社に対して事業資金を貸し付けた上、当該貸金債権を担保するため、A社との間で譲渡担保契約を締結し、A社所有の不動産につき、譲渡担保を原因とする所有権移転登記を経由した。
Y都税事務所長は、当該不動産につき、A社からX信金への所有権移転登記が経由されていることから、地方税法にいう「不動産の取得」が行われたものとして、X信金に対し、不動産取得税の賦課処分をした。
X信金は、これを不服として、当該賦課処分の取消請求訴訟を提起した。最高裁は、X信金の主張を認めなかった。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第133回】アルテリア・ネットワークス株式会社「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2022年8月10日付)」
2022年6月8日、アルテリアの従業員であるA氏が、P社(新聞報道などから、株式会社NTTドコモであることが判明しているが、本稿では、調査報告書の表記に従い、「P社」とする)から接続料金を不正に取得していたとして、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)違反(組織的詐欺)の容疑により警察に逮捕されるとともに、一部報道機関により、被疑事実は、通信事業者の間で通話時間に応じて支払われる接続料金(アクセスチャージ)の仕組みを悪用して、意図的な機械発信を生成し、P社に当該着信にかかるアクセスチャージを支払わせたというものであり、A氏のほか、アルテリアと取引のあるA社(報告書の内容から、株式会社ソフィアホールディングスの連結子会社であるソフィアデジタル株式会社(SDI)であることが判明しているため、以下の表記は、「SDI社」とする)の役員を含む十数名が逮捕されたとの報道がされた。
monthly TAX views -No.118-「岸田内閣は「黄金の3年間」を国民に苦い政策の議論につなげるべき」
岸田政権は「黄金の3年間」を獲得した。「黄金」とは、選挙を気にすることなく政策が遂行できるという意味だけでなく、選挙がないので国民に痛みの伴う改革を実行できるという意味である。岸田総理には、残された間、国民の「受益」と「負担」について、霞が関が積み上げてきた経験や知識を活用した自由闊達な議論を許容し、明るい未来につながる改革を期待したい。
〈令和4年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第1回】「各種申告書と近年の改正事項の確認(その1)」
11月に入り、今年も年末調整に向けた準備を始める時期となった。
今回から3回シリーズで、年末調整における実務上の注意点やポイント等を解説する。
令和4年分と令和3年分を比べると、年末調整実務に影響する大きな改正事項はない。しかし、平成30年度以降の税制改正により、令和2年分の年末調整からは、基礎控除をはじめいくつかの所得控除の適用要件等が改正され、申告書の種類も増えている。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第4回】
所得税法には暗号資産に関連する個別の規定が存在する。
この暗号資産関連規定は、暗号資産に対して適用される個別のルールであるから、かかるルールが発動するための要件の根幹に位置付けられる「暗号資産」の意義が重要な問題となる。
この点について、棚卸資産の定義規定である所得税法2条1項16号は次のとおり定めている。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例46】「役員退職慰労金の引当金との相殺処理と損金経理」
私は、首都圏を中心に東日本においてアミューズメント施設を運営する株式会社X(資本金9,000万円の3月決算法人)で経理部長を務めております。わが国のアミューズメント業界、中でもわが社の業務領域であるゲームセンターは少子高齢化の影響により、これまで主たる顧客であった10代・20代の若者の人口減少の荒波を受けて、全般的に市場が縮小しております。そのため、地方の零細資本のゲームセンターは大手に買収され淘汰されており、わが社も地方においてはロードサイドの駐車場を完備した施設を買収し、家族連れを取り込むことで生き残りを図ろうと必死になっております。
