〔令和3年度税制改正における〕株式交付に係る課税繰延べ措置 【第2回】「旧租税特別措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置」
【第2回】は、旧租税特別措置法(以下「措置法」という)における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置について確認する。
なお、旧措置法における株式対価M&Aに係る課税繰延べ措置については、令和3年3月31日までの期限の到来をもって廃止されている。
〔令和3年度税制改正における〕退職所得課税の適正化 【第1回】「退職所得課税の基本と「短期退職手当等」の取扱い」
令和3年度税制改正において、退職所得課税の適正化が行われた。平成24年度税制改正において「特定役員退職手当等」が導入されたことに続き、今回は「短期退職手当等」が導入され、退職所得金額の算定において一定の制限が加えられることとなった。本連載では、その内容について解説する。
【第1回】は退職所得課税の基本と、短期退職手当等の取扱いの概要について解説する。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例102(所得税)】 「事業用買換特例を適用して申告したが、買換取得資産の土地の面積制限の判定を誤ったため、特例が受けられず、修正申告となってしまった事例」
令和X年分の所得税につき、夫婦で2分の1ずつ共有する事業用土地建物を売却し、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(以下単に「事業用買換特例」という)を適用して申告したが、買換取得資産の土地の面積制限(それぞれの持分が300㎡以上でなければならない)により、特例が受けられず、修正申告となってしまった。これにより、土地の面積制限について正しいアドバイスを受けていれば、要件を満たしている他の土地を購入できたとして修正申告による追徴税額につき賠償請求を受けた。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第47回】「住宅ローンを繰上返済した場合」-繰上返済等をした場合-
Xは、14年前から住んでいた家屋とその土地を本年1月に売却したところ、譲渡損失が出ました。
同年3月に、銀行に償還期間20年の住宅ローンを組んで買換資産を購入し、居住の用に供しましたが、父親の相続が発生し、その預貯金を相続したことから、同年11月に繰上返済してその償還期間を7年としました。
他の適用要件が具備されている場合に、Xは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第4回】「贈与税の配偶者控除と小規模宅地等の特例の適用面積」
被相続人である甲は、100%所有していた土地(100㎡)及び家屋(40㎡は甲の事業用、60㎡は甲と配偶者乙の居住用)について、生前に土地の持分2分の1、家屋の持分2分の1を配偶者乙に贈与を行い、乙は贈与税の配偶者控除を適用して申告を行っています。贈与税の配偶者控除の適用については、相続税法基本通達21の6-3のただし書きの適用を受け、優先的に受贈配偶者の居住用部分として、土地家屋の2分の1相当は居住用不動産の贈与を受けたものとして贈与税の申告を行っています。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第9回】「行政庁が間違って固定資産税を非課税として処理した過年度分について、遡って課税処分をすることは、「禁反言の法理」により違法とされるか否かが争われた判例」
「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」(民法第1条第2項)は信義則ともいわれるが、同じような原則として「禁反言の法理」がある。これは、「人はいったんなした言動をそれが誤りである理由としてひるがえすことができない」という原則である。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第62回】
法人税法22条の2第5項は、第4項の資産の引渡しの時における価額相当額又は提供をした役務につき通常得べき対価の額相当額は、その資産の販売等につき、次の事実が生ずる可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合における価額とする旨定めている。
収益認識会計基準を学ぶ 【第13回】「履行義務の充足に係る進捗度」
収益認識会計基準の5つのステップの5番目は、履行義務の充足による収益認識である。これには、【第9回】と【第10回】で解説したとおり、一定の期間にわたり充足される履行義務と一時点で充足される履行義務がある(収益認識会計基準17項(5))。
今回は、一定の期間にわたり充足される履行義務に関して、履行義務の充足に係る進捗度について解説する。
日本の企業税制 【第95回】「控除率が焦点となる住宅ローン控除制度の見直し」
8月末に、各府省庁から令和4年度税制改正要望が出揃った。
今回の要望項目数は、単純合計で、国税163項目、地方税166項目、重複排除ベースで、国税126項目、地方税128項目であった。なお、廃止・縮減項目数は単純合計ベースで国税1項目、地方税4項目、重複排除ベースで国税1項目、地方税4項目であった。今回の要望数は、平成26年度改正以降で、単純合計・重複排除ベースともに最少となっている。
〔令和3年度税制改正における〕株式交付に係る課税繰延べ措置 【第1回】「株式交付の仕組み」
令和元年の会社法改正(令和3年3月1日施行)により、株式交付制度が創設され、産業競争力強化法の事業再編計画の認定を受けることなく、現物出資規制や有利発行規制が適用されないこととなったが、株式交付制度に対応する税務上の特例がなかったため、令和3年度税制改正により、株式交付により、その有する株式を譲渡し、株式交付親会社の株式等の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べる措置(以下「株式交付に係る課税繰延べ措置」という)が創設されることとなった。
