国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第9回】
法人税では、仮装経理に基づく過大申告について内国法人が修正経理を受け入れ、過大申告をした事業年度の更正が行われた場合、減額された法人税額は原則として還付されず(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)、5 年繰越控除が行われる(法法135、70)。
相続税の実務問答 【第113回】「人身傷害保険金に対する相続税課税」
私の父が、自動車を運転中に自損事故を起こし、死亡しました。相続人は私一人です。父は、自動車保険契約を締結しており、その保険料を支払っていました。この保険契約に適用される普通保険約款中の人身傷害条項に基づき、相続人である私に2,000万円の人身傷害保険金が支払われました。この保険金は、相続税の申告に含める必要があるでしょうか。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第83回】「海外子会社への貸付利子と移転価格税制-平成29年9月26日裁決の検討-(審裁平29.9.26)(その1)」~租税特別措置法〔平成26年法律第10号改正前〕66条の4、租税特別措置法関係通達66の4(7)-1・66の4(7)-4等~
海外子会社への貸付利率をいくらに設定すべきか。
グループ内取引で最も日常的かつ誤りやすい論点である。金銭貸借取引は、単価や数量といったモノの価格ではなく、「利率」という抽象的指標で判断されるため、算定過程の合理性を欠くとたちまち課税調整の対象になる。
平成29年9月26日の国税不服審判所の裁決は、こうした金銭貸借取引の実態を掘り下げ、独立企業原則の運用を実務的に整理した事例である。特筆すべきは、表面上の金利水準ではなく、算定プロセスの妥当性を中心に検証している点である。
本稿では、本件の事案の概要、課税庁と請求人双方の主張、そして審判所の判断を詳細にたどり、実務上の留意点を抽出する。
〈経理部が知っておきたい〉炭素と会計の基礎知識 【第14回】「サステナビリティ関連財務開示のコア・コンテンツ ~全体像を描く4つの柱」
ジャーナル食品社は、加工食品の製造・販売を営む企業です。
先日、ジャーナル食品社のウェブサイトがリニューアルされました。広報部とサステナビリティ推進室を兼務するツチヤくんは、サステナビリティに関するページを担当し、大忙しだったようです。
【ミズノ室長】
「新しいウェブサイト、見たわよ~!サステナビリティに関するコンテンツが充実したわね!」
連結会計を学ぶ(改) 【第9回】「親会社及び子会社の会計方針の統一」
親会社及び子会社の会計方針は、同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、原則として統一することとされている(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)17項)。
当該取扱いに関連して次のものが公表されているので、実務の適用に際しては、これらの規定をよく理解する必要がある。
〈令和7年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「年末調整の実務Q&A」
令和7年度税制改正による基礎控除の見直し等は、令和7年12月1日以後の年末調整又は確定申告から適用することとなるが、令和7年10月に死亡退職した従業員の年末調整においては、見直し前の基礎控除等に基づいて計算するのか。
〈適切な判断を導くための〉消費税実務Q&A 【第14回】「プログラム作成請負業務において納品書の日付と委託先からの実際の納入日が異なった場合の課税仕入れの時期の判断」
コンピュータ・プログラム作成をシステム開発会社に依頼し、請負契約を結びました。この請負契約書では、プログラム等の成果物の引渡しを受け、検収後に支払いを行う旨を定めています。そのため、「課税仕入れを行った日」は目的物の引渡しの日がポイントになると思われます。
しかし、コンピュータ・プログラムの成果物は電子ファイルであるため、手渡しやトラックでの搬入といった「引渡しの瞬間」を目で確認することができません。
このような場合、「課税仕入れを行った日」はどのように判断すればよいでしょうか。
国際課税レポート 【第20回】「「トランプ関税」と「ピラー2」」~米・欧2つの最高裁審査~
米国と欧州という巨大経済・民主主義圏で、経済政策を巡る重大な訴訟が同時に最高裁の場で審理されている。米国では、トランプ政権が1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に発動した「相互関税」の合憲性が問われ、欧州では、OECD・G20「ピラー2」に基づく15%グローバル・ミニマム税の域内導入を義務づけたEU指令の合憲性が争われている。
いずれも、経済政策目的との関係で政府が選択した「手段」の適法性・均衡性が焦点であると言える。ここでは、両訴訟に取材し、司法が経済主権と国際協調の狭間で果たす役割を考えるとともに、裁判の結果が実務に与える影響について考えてみることとしたい。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第80回】
暗号資産は、政府や金融機関など、身元確認(KYC=Know Your Customer)を行う中央集権的な機関によって直接管理されていないことが通常であり、その発行や取引も、あらかじめ決められたブロックチェーンのプロトコル(規則)に従って自動的に実行される。
