monthly TAX views -No.92-「始まる「日本型記入済み申告制度」」
本年10月から、マイナポータルを活用して申告に必要な証票を入手できる情報連携が始まる。これを活用して、令和2年分の確定申告から、年末調整だけでなく個人の申告についても、いわゆる「日本型記入済み申告」がスタートする。
組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の現行法上の問題点と今後の課題 【第1回】「序論」
「連結納税制度と組織再編税制の整合性がない」という問題があったことから、令和2年度税制改正による連結納税制度からグループ通算制度への移行においては、組織再編税制との整合性が意識されている(※1)。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第11回】「〔第1表の1〕種類株式と株主判定」
下記の通り、経営者甲が所有しているA社株式の全て(30株)を長男である後継者乙に贈与する場合において、A社株式の評価方式は原則的評価方式が適用されるのでしょうか。それとも特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるのでしょうか。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例21】「従業員名義預金口座に振り込まれていた決算賞与の損金性」
先日受けた税務調査で予期せぬ指摘を受けました。それは、従業員に対して支払った賞与のうち、一部分は従業員名義の預金口座を経理部が直接管理しているため、当該口座に支払われた決算賞与は損金不算入となるというものでした。
わが社が一部の従業員に対して支払う決算賞与を、調査官が指摘するような方法で行っているのは事実ですが、これには理由があり、一部の独身の従業員は多額の決算賞与を一度に受け取ると、ギャンブル等にそれを浪費してしまいがちであるため、会社がその分を代わって管理し、結婚して配偶者が当該従業員の給与を管理できるようになれば、それを引き渡すという「親心」からのものです。
会社のこのような行為は「過保護ではないか」という批判に対しては真摯に受け止めますが、それと税務上の取扱いは全く別の話で、役員であればともかくとして、従業員に対して支払った賞与が損金算入されないというのは、どうにも納得がいきません。従業員に対する決算賞与に関する調査官の指摘は妥当なのでしょうか、教えてください。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第82回】「第17号文書の非課税規定にある「営業に関しない受取書」に該当するか否かが争われた事例(平成18年9月29日裁決)」
請求人が駐車場として賃貸していた所有地の売却により手付金及び残代金を受領して、領収書を作成した際に、印紙税を納付したが、非課税文書であったとして印紙税過誤納確認申請書を原処分庁に提出した。
しかし、原処分庁が当該領収書は非課税文書には該当しないとして過誤納確認をしないことの通知処分を行ったことに対し、請求人が同処分の全部の取消しを求めた事案である。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第36回】
『平成30年度 税制改正の解説』の記述から、法人税法22条の2第3項の規律内容を理解するために参考となる立案担当者の見解を抽出してみたい。なお、立案担当者の解説は、文字どおり、あくまで立案担当者の解説にすぎないため、これに盲従することは妥当ではないが、実際には、他に有力な立法関係資料がないことと相まって、改正規定の趣旨を理解するための1つの重要な手掛かりとなる。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第6回】「《特別編》コロナ禍が変える中小企業のM&A」~その3:第三者の買い手に対する視点の転換~
コロナ禍が中小企業経営のあり方を一変させ、今後の中小企業経営を考える上で大きな影響を与えていることは、これまでの「《特別編》コロナ禍が変える中小企業のM&A」の各回でも触れてきました。
そして今、中小企業M&Aの当事者として、支援機関をはじめとする「第三者」の存在価値が以前にも増して高まっています。
M&Aは買い手と売り手が単に手を結ぶだけではなく、買い手も売り手も相手側の持つ“何か”によって、M&A後の経営維持、成長、発展といった今後に繋げるための手ごたえを期待できるからこそ、各当事者はM&Aの実行に価値を見出すものです。
〈会計基準等を読むための〉コトバの探求 【第4回】「企業と会社」-定義するのは会計基準か会社法か-
会計基準を読んでいると、類似する用語があることに気づき、戸惑う方もいらっしゃるのではないだろうか。
「企業」と「会社」もその1つである。
さらにこれらの用語は、会計基準だけでなく、他の法令にも登場するため、同じ扱いをしてよいものか、さらに悩みが深くなる方もおられるだろう。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第74回】「法人税低率国に拠点を移す節税を防ぐ方法」
アイルランドの法人税率は12.5%と異常に低く、このような低税率国に巨大IT企業は拠点を移して節税をしています。そのうえ、税優遇まで受けていることをEUの政策執行機関である欧州委員会は問題視していました。
そこで、欧州委員会は2016年にアイルランド政府がアップルに違法な税優遇をしたとして、過去の優遇分や利息を取り戻すように指示しましたが、EU司法裁判所では、この指示を取り消す判断を示しました(2020年7月15日)。
このような判決は出たものの、米国の巨大IT企業(GAFA等)などが、アイルランドやルクセンブルクなどの低税率国に拠点を置いて節税していることを、欧州委員会は引き続き問題視しています。