林總の管理会計[超]入門講座 【第1回】「管理会計と原価計算」
会計は大きく財務会計と管理会計に分類されます。
財務会計は会社の実態を外部に報告するための会計、管理会計は経営(マネジメント)を上手に行って、会社の業績を良くするための会計です。
したがって、会社にとって、管理会計の方が財務会計よりも大切です。
ところが現実は、管理会計がうまく機能している会社は少なく、また、苦手意識を持つ実務家や受験生は意外に多いようです。
このような事態を引き起こしている原因は何かというと、どうやら管理会計教育に課題がありそうです。
税効果会計を学ぶ 【第8回】「繰延税金資産の回収可能性に関する監査上の基本的考え方」
監査委員会報告第66号に限らず、会計基準・実務指針等を読む際には、本文の記載だけでなく、結論の背景などについても読み、理解する必要がある。
最近は、データベース化された会計基準等を用いて、検索機能を活用することが多いと考えられる。
検索機能は便利であるが、実務において、検索機能によりヒットした箇所のみを読み、実務に適用する傾向が一部においてみられる。
会計基準・実務指針等を理解するためには、本文の記載を読む際にも全体の流れを読み、また、なぜその規定を採用したのかについては結論の背景に記載されていることが多いので、これらを含めて会計基準・実務指針等を全体として理解することが必要と思われる。
小規模宅地等の課税特例の改正とワンポイント
個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(被相続人等)の事業(注1)の用若しくは居住の用に供されていた宅地等(注2)で一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているもので一定のもの(注3)がある場合には、当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係るすべての特例対象宅地等のうち、当該個人が取得した特例対象宅地等又はその一部でこの特例の規定の適用を受けるものとして選択したもの(選択特例対象宅地等)については、限度面積要件を満たす場合の当該選択特例対象宅地等(小規模宅地等)について、相続税の課税価格に算入すべき価額は、当該小規模宅地等の価額に下記に掲げる図表-1に掲げる小規模宅地等の区分に応じて、それぞれに定める割合を乗じて計算した金額とされている。
所有権移転外リース取引に係る会計と税務の取扱い
当社は、製造業を行っている3月決算法人であり、平成24年4月1日に、事務用に使用するコピー機1台を、リース料総額300万円(税抜)で取得しました。これはリース期間が5年で、企業会計上の「所有権移転外ファイナンス・リース取引」、税務上の「所有権移転外リース取引」に該当するものです。
当社は企業会計基準に則り、次のように賃貸借処理を行っていますが、税務上の取扱い等について、会計と異なる点があれば教えて下さい。
企業不正と税務調査 【第6回】「経営者による不正」 (3)不正防止・発見のための手法と防止策
ここまで2回にわたり、経営者による典型的な脱税・裏金作りスキームとして、売上の一部を除外する事例と、架空(水増し)人件費の計上する事例を、これらの手口と税務調査により発覚するプロセスを中心に見てきた。ここでは、こうした経営者・組織トップが主導する不正について、
1 従業員である管理部門の社員が経営者の不正を発見した場合
2 税理士・公認会計士のような外部の職業会計人が、顧問先の不正を発見する手法
3 内部監査部門が業務監査を通じて、経営者(子会社経営者を含む)の不正を発見する手法
の3つのパターンで、税務調査により不正が発覚する前に、こうした行為を止めさせるためにはどうすべきかを検討したい。
〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕 過大支払利子税制─企業戦略への影響と対策─ 【第7回】「他規定との調整方法」
前回までにおいて、本制度における「損金不算入額」計算と、本制度のもう一つの特徴である、翌年度以降の「超過利子額(損金不算入額の繰越額)の損金算入」の規定に関するポイントを解説した。
今回は、本制度の導入に伴う、他規定との主要な調整項目である「外国子会社合算税制等との二重課税調整」及び「過小資本税制との調整」について解説を行う。
法人税の解釈をめぐる論点整理 《寄附金》編 【第3回】
法人が行う取引のうち、対価性のない取引によって支出等するものについては、広告宣伝費等の営業経費に属するもの及び貸倒損失等の任意性のないものを除き、寄附金に該当することになる。対価性はあるとしても、それが不均衡な取引(低廉取引)によって負担することになる適正な対価との差額部分についても、それが実質的な贈与であるとみられる場合には、同様に寄附金に該当することになる。
ここでいう対価性とは、相手方からの反対給付を意味しており、取引に伴う相手方からの反対給付が何もない場合(これには反対給付の経済的価値が極端に小さい場合も含まれる)には、対価性のない取引として、自己が支出等するものの全額が寄附金に該当する。また、反対給付があるとしても、その経済的価値が自己の支出等よりも小さい場合には、その差額が寄附金に該当する。
組織再編税制における不確定概念 【第6回】「意図的な含み損の実現」
平成22年度税制改正によりグループ法人税制が導入され、完全支配関係のある内国法人間で資産を譲渡した場合には、譲渡損益が繰り延べられることになった。
そのため、完全支配関係のある内国法人間で含み損のある資産を譲渡することにより譲渡損失を実現する行為については、グループ法人税制の導入により制約を受けることになった。
税務判例を読むための税法の学び方【8】 〔第4章〕条文を読むためのコツ(その1)
行政法規においては、必要な要件は、法文上において、可能な限り、詳細にかつ明確に定めようとする傾向がある。特に国民の権利義務に関係の深い法令にあっては、複数の解釈が生じる余地が多かったり、官庁の恣意的裁量に大きく依存したりするようでは、基本的人権を保障した憲法の要請にもとることになるため、規定は詳細になりがちである。
特に租税法においては、租税法律主義の要請から、原則、課税要件等は法律で定める必要があり、またできるだけ抽象的で曖昧な規定を避け、具体的に詳細に規定する必要があるため、複雑で長文になり、その結果、一読しただけでは、なかなかその意味が分かり難いということになっている。
というのも、複雑多岐にわたる事象に対し様々な場合を想定した上で、それらに適応しうるように規定しなければならず、また、濫用・悪用を防ぐために、詳細な条件等を規定しなければならないからである。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載15〕 事業承継税制と認定(贈与)承継会社の合併
事業承継税制(措法70の7から70の7の4)は、会社の経営権を委譲するために、現経営者から後継者へ非上場株式を移転したときに課税される贈与税・相続税の納税を猶予する制度である。
事業承継の円滑化に資すること、事業の継続・発展を通じた雇用の確保と地域経済の活力を維持することという政策目的を達成するため、制度適用時以後、納税が免除されるまで、多くの要件が定められている。一つでも要件を満たさなければ納税猶予の期限が確定、つまり納税猶予は打ち切られ、猶予中贈与税額・猶予中相続税額を納税することになる。
認定(贈与)承継会社が消滅することは納税猶予の打切り事由であるが、これには合併による消滅も含まれる。合併により納税猶予が打ち切られれば、認定(贈与)承継会社は合併を躊躇することにもなり、結果的に雇用確保や地域経済の活力維持という目的も達成できなくなることもありえる。