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消費税の軽減税率を検証する 【第6回】「執行コストの増大と事業者の優遇措置としての効果」

軽減税率の実施に当たっては、膨大な通達が必要になる。近時、国税庁は新しい制度についてQ&Aを公表するのが常となっており、その策定も求められよう。
そしてこれらは、実務からの要請で見直され、複雑化していくことになる。

#No. 133(掲載号)
# 金井 恵美子
2015/08/27

消費税の軽減税率を検証する 【第5回】「軽減税率による減収とさらなる標準税率の引上げ」

消費税率の引上げと軽減税率の導入とは、政策論として矛盾する。
軽減税率は、税率の引上げにより増加するはずの税収を侵食し、標準税率をより高く引き上げる必要を生じさせるからである。
与党税制協議会が平成26年6月5日に公表した「消費税の軽減税率に関する検討について」(以下「検討資料」という)には、「検討資料」は、飲食料品分野に軽減税率を適用することを想定して、次の8種類の線引きのパターンを提示し、それぞれの減収額の消費税率換算を示している。
対象品目の8パターンの減収額と財源の規模を一覧表にすると、次のようになる。

#No. 131(掲載号)
# 金井 恵美子
2015/08/06

消費税の軽減税率を検証する 【第4回】「逆進性対策と低所得者対策」

このように、軽減税率は低所得者対策として効果が低く効率が悪い。この「効率の悪さ」は、軽減税率導入の推進力を加速させる。税制抜本改革法7条1号ハに従って実施された簡素な給付措置は、住民税の非課税世帯を対象としているが、この所得層は全世帯の10%程度であるから、それ以外の90%の世帯はなんらの恩恵に与ることがない。

#No. 129(掲載号)
# 金井 恵美子
2015/07/23

消費税の軽減税率を検証する 【第3回】「付加価値税の世界標準」

しかし、後発の国々では単一税率制度を採用している場合が多く、IMFの調査によれば、1990年より前に付加価値税を導入した48ヶ国のうち、複数税率を採用している国は36ヶ国(75%)であるが、1990年から2001年4月の間に付加価値税を導入した77ヶ国のうち、複数税率を採用している国は20ヶ国(26%)である(※4)。

#No. 127(掲載号)
# 金井 恵美子
2015/07/09

消費税の軽減税率を検証する 【第2回】「税率構造に関する過去の答申」

平成19年の答申(上記⑦)は、平成18年9月に任期満了で小泉首相が退任した後に公表されたものである。小泉首相は、「私の任期中は消費税を上げない」(※1)と公約していた。その小泉政権が終了して1年が経過し、財政再建のための消費税率引上げの議論が緊迫した現実性を増す中で、答申は、複数税率制度の検討にあたっては、ヨーロッパ諸国の教訓に学ぶべきことを指摘したのである。

#No. 125(掲載号)
# 金井 恵美子
2015/06/25

消費税の軽減税率を検証する 【第1回】「軽減税率の検討に至る経緯」

読者は、上記において、税制抜本改革法で「複数税率」と呼んだものが、平成25年度与党大綱以後、「軽減税率制度」と呼び直されていることに気がつかれただろうか。
現状、割増税率を設定することは検討されていないので、「軽減税率制度」と呼んだ方が制度の内容をよりわかりやすく表現することになるのかもしれない。しかし、筆者は、「単一税率制度」に対する「複数税率制度」、「標準税率」(又は「普通税率」)に対する「軽減税率」という語を使用するべきではないかと考えている。

#No. 123(掲載号)
# 金井 恵美子
2015/06/11

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例25(消費税)】 「設立事業年度を11ヶ月としたため、「特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例」により2期目から消費税の課税事業者となってしまった事例」

《事例の概要》
設立事業年度である平成X5年12月期を11ヶ月としたため、設立事業年度が特定期間に該当することとなり、結果として「特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例」により、2期目から消費税の課税事業者となってしまった。
これにより、設立2期目から課税事業者となった当初申告と、設立事業年度を7ヶ月以下の短期事業年度として2期目も免税事業者とした場合との差額につき損害が発生し、賠償請求を受けた。

#No. 116(掲載号)
# 齋藤 和助
2015/04/23

monthly TAX views -No.27-「欧州諸国で実感した『消費税 軽減税率』をめぐる課題」

昨年4月、英国・フランス・ドイツの3ヶ国を巡り、消費税軽減税率の実施状況を見聞するとともに、税制当局や事業者、経理担当者などと面談する機会を持った。
今回は、その際見聞きした出来事を書いてみたい。
まず英国であるが、日本でも広く知られているのは、マクドナルドのハンバーガーの「テイクアウト」と「イートイン」の話だ。
「テイクアウトすると食料品扱いでゼロ税率、イートインすると標準税率(20%)。「皆が『テイクアウト』と言って買って、その場で食べている」という話は、多くの日本人が知っている。
しかし、この話はもう古い。

#No. 113(掲載号)
# 森信 茂樹
2015/04/02

monthly TAX views -No.26-「誤解されている消費税“インボイス”」

与党税制協議会の事業者ヒアリングでも、「インボイスの導入は多大の事務コストがかかる」と反対の意見が圧倒的に多かった。
しかし、仮に生鮮食料品に軽減税率が導入されるとなったらどうだろう。
おそらく事業者の意見は、「軽減税率が導入された場合には、インボイスがなければやってられない」というものに変わる可能性が高い。

#No. 109(掲載号)
# 森信 茂樹
2015/03/05

租税争訟レポート 【第21回】「課税仕入れ等の範囲(国税不服審判所裁決)」

百貨店の物産展において弁当の調理・販売を行っている請求人が、マネキン紹介事業者等を介して手配した販売員に対して支払った金員について、外注費として計上し、源泉所得税を納付することなく、また外注費を課税仕入れ等として仕入税額控除の対象として申告を行っていたところ、販売業務の具体的態様に基づき、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するとして、消費税の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないと判断したものである。

#No. 107(掲載号)
# 米澤 勝
2015/02/19
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