[個別対応方式及び一括比例配分方式の有利選択を中心とした]95%ルール改正後の消費税・仕入税額控除の実務 【第9回】「課税売上割合に準ずる割合を検討すべきケース② 単発の土地取引があったケース」
多くの事業者にとって、消費税の非課税取引は例外的なもので、課税売上割合は95%前後という水準であろう。しかしそのような事業者であっても、非課税である遊休土地等の譲渡(消法6①、別表第1一)があった場合には、その金額が多額になり総売上高に占める割合が高くなる傾向にあるため、課税売上割合が大幅に低下し95%を大きく割り込むケースも見受けられるところである。
その結果、通常の課税期間であれば全額控除されるにもかかわらず、少なくとも遊休土地の譲渡のあった課税期間については個別対応方式又は一括比例配分方式により仕入控除税額を計算することが強いられることとなる。
問題は、このような事業者が個別対応方式を採用した場合である。
[個別対応方式及び一括比例配分方式の有利選択を中心とした]95%ルール改正後の消費税・仕入税額控除の実務 【第8回】「課税売上割合に準ずる割合を検討すべきケース① 事業部ごとに独立採算制を採用しているケース」
課税売上割合の計算単位は原則として事業者全体であり、支店ごとや事業部ごとにそれぞれ異なる課税売上割合を適用することはできないこととされている(消基通11-5-1)。
しかし、企業によっては、事業部ごとに独立採算制を採用しているケースがあるが、その場合には事業部ごとに課税売上割合を計算しそれを「課税売上割合に準ずる割合」とした方が事業の実態に即し、かつ事業者にとっても有利となる(仕入控除税額が多くなる)ことがある。
[個別対応方式及び一括比例配分方式の有利選択を中心とした]95%ルール改正後の消費税・仕入税額控除の実務 【第7回】「「課税売上割合に準ずる割合」の実務」-課税売上割合・課税売上割合に準ずる割合の意義-
本連載では消費税の仕入税額控除の実務についてみているところであるが、第7回となる今回は、個別対応方式の一形態であり、一般になじみの薄い「課税売上割合に準ずる割合」の意義とその選択を検討すべきケースについて見ていくこととする。
「課税売上割合に準ずる割合」の意義を検討する前に、まず「課税売上割合」の意義について見ていくこととする。平成23年度の税制改正後の課税仕入れ等に係る消費税額の具体的な計算方法は、以下の区分により行うこととなる。
《編集部レポート》 東京税理士会が報道関係者との懇談会を開催~消費税の軽減税率へ反対を表明・相続税の増税へ向け無料相談会を実施~
東京税理士会は2014年5月23日(金)、日本記者クラブにおいて「報道関係者との懇談会」を開催し、税制改正に関する意見発表を行った。
[個別対応方式及び一括比例配分方式の有利選択を中心とした]95%ルール改正後の消費税・仕入税額控除の実務 【第6回】「「有利選択」のケーススタディ③ 固定資産に関する税額調整を要するケース」
【ケース③】
医療法人Cが平成25年3月期(平成24年4月1日~平成25年3月31日)中に調整対象固定資産である医療機器を8,400万円(税込)で購入した。医療法人Cは当該医療機器導入以後、自由診療の比重を高める経営に舵を切った。医療法人Cは、平成25年3月期の消費税の申告の際、仕入税額控除の適用に関し個別対応方式を採用しており、また、当該医療機器に係る課税仕入れ税額の用途区分を共通対応分に分類している。
平成25年3月期以降3課税期間における課税売上高(自由診療)及び総売上高(自由診療+保険診療)の推移は、以下の表のとおりである。
まだある!消費税率引上げをめぐる実務のギモン 【第10回】「申告書作成の際の留意点について」
【Q-25】 原則課税の適用を受ける場合に添付する付表について
【Q-26】 簡易課税の適用を受ける場合に添付する付表について
【Q-27】 地方消費税の計算方法について
monthly TAX views -No.16-「消費税の軽減税率をめぐる議論がフェアではない」
連休明けに、消費税軽減税率の具体案が党税調に提出される。
具体案といっても、さまざまな場合分けによる選択肢のようなものだろうが、このような案が出れば、マスコミはこぞって取り上げ、世の中は大騒ぎになるであろう。
[個別対応方式及び一括比例配分方式の有利選択を中心とした]95%ルール改正後の消費税・仕入税額控除の実務 【第5回】「「有利選択」のケーススタディ② 医療機関のケース」
【ケース②】
都内で内科を標榜する病院を経営する医療法人Bは、保険診療の傍ら、自由診療である健康診断や人間ドックといった予防医学にも力を入れている。医療法人Bの平成27年3月期(平成26年4月1日~平成27年3月31日)の損益計算書(控除対象外消費税算定前で、Bは税抜経理を採用している)は以下のとおりである。
これに基づき、消費税の納付税額の計算を行う。
まだある!消費税率引上げをめぐる実務のギモン 【第9回】「工事の請負に係る受注者側と発注者側の適用税率について」
【Q-21】 工事進行基準を適用する場合の発注者側の仕入税額控除
【Q-22】 受注者が未成工事支出金として経理した場合の仕入税額控除
【Q-23】 発注者が建設仮勘定として経理した場合の仕入税額控除
【Q-24】 下請工事の取扱い
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例13(消費税)】 「特定目的会社の消費税選択につき「課税期間特例選択届出書」及び「簡易課税制度選択届出書」の提出を失念した事例」
依頼者は不動産の証券化における特定目的会社であり、不動産を購入して投資家に分配金を支払う業務のみを行うものである。
税理士は、依頼者の設立から関与し、不動産購入に係る消費税の還付を受けるべく課税事業者を選択した。特定目的会社の場合、不動産購入後は不動産収入に対して課税仕入れがほとんどないことから、簡易課税が有利となる。
税理士は対象不動産購入後、「課税期間特例選択届出書」で課税期間を区切り、「簡易課税制度選択届出書」を提出して簡易課税を選択すべきところ、これを失念してしまった。
これにより、有利な簡易課税と不利な原則課税との差額2,100万円につき損害が発生し、賠償請求を受けた。