連結納税適用法人のための平成27年度税制改正 【第2回】「欠損金の繰越控除制度の見直し(その1)」
連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、次のとおり、段階的に引き下げる(法法81の9①、平成27年所法等改正法附則30②)。
① 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する連結事業年度について、その繰越控除前の連結所得金額の65%相当額(改正前80% 相当額)とする。
② 平成29年4月1日以後に開始する連結事業年度について、その繰越控除前の連結所得金額の50%相当額とする。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第29回】「裁決例⑨」
今回、紹介する事件は、連結納税加入に伴う時価評価において、債務超過となっている子会社株式をマイナス評価したのに対し、零円未満であることはあり得ないとして、零円以上であるとした事件である。
連結納税適用法人のための平成27年度税制改正 【第1回】「法人税率の引下げ」
毎年度、税制改正については、多くの書籍や雑誌などで解説されているが、連結納税制度に係る取扱いについては、「連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています。」という一言で片づけられてしまうことも多く、連結納税適用法人にとって、従来の税制改正の解説は十分なものではなかったといえる。
以上より、本稿では、連結納税適用法人(注)のための平成27年度税制改正をテーマとして、①~③に限定することなく、連結納税適用法人に関係するすべての税制改正について、平成27年3月31日に公布され、平成27年4月1日以後から施行されている改正税法等に基づいて、その取扱いを解説していくこととする。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第45回】「貸倒損失の法律論②」
第44回においては、貸倒損失について法人税法上の根拠を挙げたうえで、法的に債権が消滅する場合、すなわち、法人税基本通達9-6-1の概要について説明を行った。しかしながら、同通達9-4-1、9-4-2の位置付けが曖昧であるため、実際に債権放棄を行った場合には、同通達9-6-1を使用するのか、それとも、9-4-1、9-4-2を使用するのかということについては悩ましい議論である。
また、実務上、債権の全額が放棄されることはほとんどなく、債権の一部のみが放棄されることがほとんどである。そのため、本稿については、これらの通達の境界線と部分償却の問題について解説を行う。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第28回】「裁決例⑧」
今回、紹介する事件は、合併法人の繰越欠損金を被合併法人の所得に対する法人税額に繰り戻して還付することができないとした事件である。なお、類似の事件として、昭和51年2月28日裁決がある。
組織再編税制が導入され、適格合併に該当し、かつ、繰越欠損金の引継制限が課されない場合には、被合併法人の繰越欠損金を合併法人に引き継ぐことができることとなったが、本事件のように、合併法人の繰越欠損金を被合併法人の所得を利用して繰戻還付を行うことは、現在の法人税法においても認められておらず、本事件を参考にすることができると考えられる。
租税争訟レポート 【第23回】「親子会社間の売上値引き・単価変更と寄附金該当性(東京地方裁判所判決)」
本件は、原告が平成15年3月期ないし平成17年3月期の各事業年度(以下「本件各事業年度」という)においてZ株式会社(以下「Z社」という)に対して行った製品(外壁)の売上値引き及び単価変更による売上の減額が法人税法37条に規定する寄附金に該当するとして、水口税務署長が本件各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税又は重加算税の各賦課決定処分を行ったのに対し、原告が、期初に設定された取引価格は暫定的な価格であり、原告のZ社に対する販売価格は期末に決定されるものであるなどと主張して、上記各更正処分等の取消しを求めている事案である。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第44回】「貸倒損失の法律論①」
第5回から第14回までは子会社支援のための無償取引、第15回から第31回までは貸倒損失に関する判例分析、第32回から第43回までは法人税基本通達改正の歴史について解説を行った。これまでの議論を踏まえ、法人税法上、貸倒損失をどのように捉えるのかをまずは整理したい。
まずは、法人税法22条における根拠規定について解説し、どのような場合に貸倒損失として認められるべきであるのかについて解説を行う。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第11回】「役員退職金をめぐる最近の判決」
この連載の【第1回】で取り上げた事例ですが、役員の退職金について、分掌変更の支給の場合の支給遅延については、平成27年3月3日の東京地裁の判決で次のようになり、第2回目の支払分の損金算入が認められました。国側は控訴を断念しましたので、納税者勝訴が確定しました。
平成27年度税制改正における「受取配当等の益金不算入制度」の見直しについて 【後編】
負債利子の計算方法には、「原則法」と「簡便法」がある。前者は総資産簿価按分法と呼ばれ、負債利子に期末の総資産価額に対する期末の株式等の帳簿価額の占める割合を乗じて控除される負債利子を計算する方法である。これに対して後者は基準年度実績により控除される負債利子を計算する方法である。
原則法である総資産簿価按分法では、総資産の帳簿価額をもとに一定の調整を加えて計算を行う。この場合の一定の調整について改正が行われた。改正前は、次に掲げる5項目について調整を行うことになっていた。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第27回】「裁決例⑦」
今回、紹介する事件は、請求人の行った営業譲渡は、法人税法第81条第4項所定の「営業の全部の譲渡その他これに準ずる事実」に該当するとして、原処分を取り消した事件である。本事件においては、営業譲渡の相手方が譲渡者のグループ会社であったことから問題となった事件である。
現在の法人税法においては、解散等の事実が生じた場合の欠損金額及び中小企業者等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額を除き、繰戻還付の制度は凍結されていることから、とりわけ、大法人においては重要な裁決例であると考えられる。