山本守之の法人税“一刀両断” 【第13回】「美術品等の新しい判定基準」
筆者:山本 守之
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山本守之の
法人税 “一刀両断”
【第13回】
「美術品等の新しい判定基準」
税理士 山本 守之
1 旧通達の改正の理由
美術品等(絵画、彫刻等、工芸品等をいいます)が減価償却資産になるか否かの判定基準について、平成26年12月19日通達で考え方が変わりました。また、平成27年5月11日に公表されたFAQによって国税庁が質問に答えているので、今回はこれを解説することにします。
旧法人税基本通達7-1-1では、「美術品等」については次のように定義していました。
(書画骨董等)
旧法基通7-1-1 書画骨とう(複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものを除く。以下7-1-1において同じ。)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。
(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2) 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
(注) 書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。
ただし、この通達は昭和55年に定められたもので、内容がかなり古くなっているだけではなく、旧通達の考え方が実態とかなり乖離しているため改正することにしたものです。
2 美術年鑑基準の廃止
美術年鑑は美術書の出版社が編集するもので、日本の美術年鑑は、油絵、日本画、水彩画、墨絵、彫刻等の制作者のうち、二科展等の美術展覧会に所属する芸術家、東京芸術学校出身者、過去の有名芸術家等の作品を紹介するとともに、それらの制作物の相場価格を掲載しているものです。
旧通達では、美術関係の年鑑等の登載者はプロとして適用するものと判断できるので、これらの作者による作品は、美術品と考えられるという外形基準を示したのです。
ただ、プロというのは美術品の制作だけで生活の糧を得ているというものではありません。かつて国税庁の勤務している人でも美術年鑑に登載されている人がいました。
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連載目次
山本守之の法人税“一刀両断”
▷2018年(第43回~54回)
▷2017年(第31回~42回)
▷2016年(第18回~30回)
- 【第18回】 実効税率はどのような経過で引き下げられたか
- 【第19回】 消費税の軽減税率を検証する
- 【第20回】 寄附金の課税要件を考える
- 【第21回】 土地と共に取得してから1年以内に取り壊した建物
- 【第22回】 訴訟のわかれ道~認知症と損益通算
- 【第23回】 税執行における洒落
- 【第24回】 租税法の解釈①-租税法律主義とその問題点-
- 【第25回】 租税法の解釈②-通達の読み方とその問題点(貸倒損失を事例として)-
- 【第26回】 租税法の解釈③-税務形式基準と事実認定-
- 【第27回】 課税要件法定主義を考える
- 【第28回】 売り上げの計上時期はどうなっているか
- 【第29回】 取引別にみた収益の認識基準①
- 【第30回】 取引別にみた収益の認識基準②
▷2015年(第7回~17回)
筆者紹介
山本 守之
(やまもと・もりゆき)
税理士。現在、日本税務会計学会顧問、租税訴訟学会副会長(研究・提言担当)、税務会計研究学会理事、日本租税理論学会理事を務め、全国各地において講演活動を行うとともに、千葉商科大学大学院(政策研究科、博士課程)でプロジェクト・アドバイザー(専門分野の高度な学術研究、高度な実務経験を持つ有識者)として租税政策論の教鞭をとっている。研究のためOECD、EU、海外諸国の財務省、国税庁等を約30年にわたり歴訪。2020年11月29日、逝去。
【著書】
・『時事税談-人間の感性から税をみつめる』(清文社)
・『役員給与税制の問題点-規定・判例・執行面からの検討』(中央経済社)
・『検証 税法上の不確定概念 (新版)』(中央経済社)
・『裁決事例(全部取消)による役員給与・寄附金・交際費・貸倒れ・資本的支出と修繕費』(財経詳報社)
・『法人税申告の実務全書』監修(日本実業出版社)
・『法人税の理論と実務』(中央経済社)
・『体系法人税法』(税務経理協会)
・『税金力-時代とともに「税」を読む』(中央経済社)
・『租税法の基礎理論』(税務経理協会)
他、多数
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