法人税改革の行方 【第7回】「まとめ」
2015年度税制改正大綱では、法人実効税率の引下げの代替財源には、その過半に外形標準課税の拡大が用いられた。果たしてこのままでよいのだろうか。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第18回】「日本IBM事件③」
このように、中間持株会社としての機能を持たせたことについて、不自然・不合理なものとはいい難いという理由により、法人税法132条に規定する同族会社等の行為計算の否認の適用を否定している。
法人税の解釈をめぐる論点整理 《交際費》編 【第3回】
また、支出の目的が交際費であったとしても、いわゆる渡切交際費については、支出の内容が具体的に明らかでない以上は、給与として処理することが多いといえる。渡切交際費に限らず、法人から流出した資産を所持していた者がその支出内容を説明できないのであれば、その資産は当該所持者に帰属したものと考えることが合理的であり、その者に対する給与等として処理することが相当と思われる。ただし、実務上は、金銭消費貸借契約書などを作成した上で、貸付処理がなされることも多い。
法人税の解釈をめぐる論点整理 《交際費》編 【第2回】
接待飲食費に該当するものについては、平成26年度税制改正によって、50%に相当する金額を損金算入できる特例が設けられていることから、今後、交際費の中でも接待飲食費に区分できるかどうかという点が重要になると思われる。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第34回】「法人税基本通達改正の歴史③」
昭和39年3月に行われた法人税法施行規則の一部改正により、従来の貸倒準備金制度が見直され、貸倒引当金制度として、毎期、洗替えが行われることになった。
これに伴い、昭和29年7月24日に公表された「売掛債権の償却の特例等について」と題する通達において認められていた未収差益勘定と債権償却引当金勘定についても見直しが必要となり、昭和39年6月1日に法人税基本通達に組み入れられることにより、未収差益勘定を廃止するとともに、債権償却引当金勘定を債権償却特別勘定と名称を変えることになった。
法人税の解釈をめぐる論点整理 《交際費》編 【第1回】
これらを判定する手順としては、まずは、交際費から除外される費用に該当するか否かを検討することが思考経済上有益と思われる(前記(2)参照)。その上で、除外要件に該当しないものであるとしても、法人にとって単純損金となる費用に該当するのか、それとも交際費に該当するのかを支出の目的に照らして判断することになる(前記(1)参照)。その際には、支出の主たる目的が何であるのかを整理して検討することが有益であると思われる。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第17回】「日本IBM事件②」
前回においては、日本IBM事件の概要について解説を行った。日本IBM事件の争点については3つ存在するが、そのうち、裁判所が判断を行っているのは、【争点1】のみである。
そのため、本稿においては、【争点1】についての原告、被告のそれぞれの主張について解説を行う。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第6回】「寄附金課税を考える」
すなわち、寄附金は反対給付がなく、個々の寄附金支出について、これが法人の事業に直接関連があるものであるか否か明確ではなく、かつ、直接関連のあるものとないものを区別することは実務上極めて困難ですから、一種の形式基準によって事業に関連あるものを擬制的に定め(損金算入限度額)、これを超える金額を損金不算入としているのです。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第33回】「法人税基本通達改正の歴史②」
前回、解説したように、昭和25年度にシャウプ勧告に基づいて貸倒準備金制度が導入されるとともに、法人税基本通達において、貸倒損失の明確化が図られた。
しかし、それだけで問題は解決されたわけではなく、「売掛債権の償却の特例等について(昭和29年7月24日直法1-140)」と題する通達が公表され、現在の個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の原型ともいえる「債権償却引当金」が導入されるに至った。以下では、本通達の具体的な内容と、昭和25年度税制改正から昭和29年度の上記通達導入までにおける貸倒損失の考え方について解説を行うこととする。