組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第12回】「2つの東京地裁平成26年3月18日判決の総括①」
東京地裁に提出された意見書は3つ存在し、平成23年10月28日にみなし共同事業要件について争われた事件(東京地裁平成23年(行ウ)第228号)に対して提出され、平成24年7月12日に補充意見書として提出されている。さらに、平成24年5月14日には資産調整勘定について争われた事件(東京地裁平成23年(行ウ)第698号)に対しても提出されている。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第8回:2014年10月改訂】「交際費と給与を区別する」
会社が事業を行うに当たり、本来自社の役員や使用人が負担すべき費用を、会社が負担することがある。
このとき、この支出を「交際費等」として扱うのか「給与」として扱うのかで、課税関係が異なる。
日本の企業税制 【第12回】「財務省・総務省が示す『財源案』と経団連の姿勢」
10月9日開催の自民党税制調査会において、財務省・総務省より「法人税改革の具体化について(イメージ)」ならびに「法人税改革について-政府税制調査会の提言をベースとした課税ベース拡大等の考え方」が提示され、法人税改正議論はいよいよ本格的なスタートを切った。
法人税改革における『減価償却方法の見直し』が企業経営へ与える影響 【第1回】「減価償却費の償却方法と課税の公平」
損益の面から捉えた減価償却費の計上は、当期の売上げに貢献した原価としての適正額を減価償却費として計上すべきである、という前提があり、貸借の面から捉えた減価償却費の計上は、当期に価値が減少した部分を費用として認識し、減価する、という前提がある。
減価償却費の計上は、上記の両考え方をバランスよく汲み取った上で金額を算定し計上すべきである。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第28回】「判例分析⑭」
このように、本判決においては、法人税法37条のみが判断され、法人税法132条については判断されなかった。しかしながら、法人税法37条についての規定と法人税基本通達9-1-12の関連性、有価証券の取得価額と発行法人における資本勘定の取扱いなどを知る上で、重要な論点が含まれている。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第3回:2014年10月改訂】「1人当たり5,000円以下の飲食費」
ここでいう「政令で定めるところにより計算した金額」とは、飲食等のために支出した費用を参加者の人数で除した金額のことである。また、「政令で定める金額」とは、5,000円のことである(措令37の5①)。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第22回】「法人税法22条2項の「取引」の意義(その1)」
租税法中に用いられている概念は固有概念と借用概念に分類することができるが(すでにここでも紹介したとおり、「一般概念」として捉えるものもあり得る。)、その多くは借用概念であるといえよう。もっとも、ある用語が租税法固有の概念ではなく借用概念であると捉えたとしても、果たしてどこから借用してきたのかという点が議論されることもある。
法人税改革における各検討事項が連結納税制度の採用(有利・不利)に与える影響 【第2回】「研究開発税制、欠損金の繰越控除制度等の見直し」
試験研究費の総額に係る税額控除(措法42の4①、措法68の9①)について、単体納税では、連結子法人において個別所得が発生しないため、その連結子法人で税額控除を受けられなかった試験研究費について、連結納税により、連結納税グループ全体で連結所得が発生することにより、税額控除が受けられる場合がある。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第11回】「資産調整勘定の計上(東京地裁平成26年3月18日判決)③」
前回同様、本事件における争点は2点あるが、【争点1】については、第1回から第8回に解説した内容と変わらないため、本稿においては【争点2】についてのみ解説を行う。
前回、解説したように、被告の主張としては、本来であれば適格分社型分割になるものを、非適格分社型分割になるようにした行為であると主張し、原告の主張としては、ごく自然に行われている取引であると主張し、あまりかみ合わない内容となっている。
本稿においては、これを受けて、裁判所がどのような判断を行ったのかについて解説を行うものとする。
