貸倒損失における税務上の取扱い 【第27回】「判例分析⑬」
本事件は、債務超過であるグループ会社(以下、「X不動産」という)に対して、第三者割当増資により金銭の払込みを行った後に、当該株式を時価で関連者に対して譲渡することにより、本来であれば債権放棄損失として認識されるべき損失を有価証券譲渡損として認識したことに対し、課税庁が、当該第三者割当増資による金銭の払込みについて有価証券の取得価額を構成しないものとして、有価証券譲渡損を否認した事件である。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第3回】「寄附金課税と贈与の立証」
税法条文は、次の2つに分類されます。
『創設的規定』とは、その条文が存在することで、規定の内容が法規定の適用を定めるものをいい、『確認規定』とは、その条文がなくても条理上当然の解釈ができるが、念のため規定しているというものです。
上記の法人税法第37条第8項では、時価よりも低い価額で譲渡した場合、「寄附金の額に含まれるものとする」としながら、時価よりも高い対価で譲渡した場合(高価買入れ)については何も書かれていません。この場合も寄附金となるはずですが、事例が少ないから書いていないだけです。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例18(法人税)】 「所得拡大促進税制の適用を満たしていたにもかかわらず、税理士がこれを適用せずに申告したため、「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」の適用が受けられなくなった事例」
平成26年3月期の法人税につき、依頼者の給与支給額が5%以上は増加していないとの思い込みから、「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」を適用せずに申告を行った。
申告書提出後、来期の経過措置の適用の有無を確認するため、給与データを依頼したところ、今期の適用要件を満たしており、経過措置の適用は受けられないことが判明した。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第10回】「資産調整勘定の計上(東京地裁平成26年3月18日判決)②」
前回で解説したように、本事件における争点は以下の2点である。
① 法人税法132条の2の意義【争点1】
(ⅰ) 法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(不当性要件)の解釈について
(ⅱ) 「その法人の行為又は計算」の意義について
② 本件計画を前提とした分割承継行為を法132条の2の規定に基づき否認することができるか否か【争点2】
【争点1】については、第1回目から第8回目に解説した内容と変わらないため、本稿においては【争点2】についてのみ解説を行う。
〈条文解説〉地方法人税の実務 【第8回】「これまでのまとめ」
地方法人税額について、「(1)外国税額控除の規定の適用を受ける場合」、「(2)仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税額の控除の規定の適用を受ける場合」には、「(1)外国税額控除」「(2)仮装経理に基づく控除」の順に、それぞれ地方法人税から控除する。
経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第19回】「特定同族会社の特別税率」
Q 当社は資本金額1億5,000万円の内国法人(3月決算)で、特定同族会社に該当します。当事業年度(平成26年3月期)における所得等の金額は次のとおりです。
特定同族会社に該当した場合、所得の金額に対する法人税のほかに、留保した所得等の金額に対して、特別税率による法人税が課税されると聞きました。
特定同族会社の特別税率について教えてください。
なお、留保金額は63,384,300円、留保控除額は30,020,000円です。
日本の企業税制 【第11回】「法人税改革は2段階で」
問題は、数年で20%台の具体化であるが、経団連では、平成27年度から平成29年度までの3年間で20%台を確保し、さらに25%を目指すことを提言している。いわば『2段階方式』であるが、なぜ、このような主張であるのかを解説しておきたい。
有料老人ホームをめぐる税務上の留意点 【第2回】「有料老人ホームにおける法人税実務のポイント」
有料老人ホームの会計は、入居時に高額な入居一時金を預かることから、厚生労働省が「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」(以下「指導指針」という)を設け、経理会計の独立性、事業収支計画の策定、情報公開と監査制度等を定めている。
有料老人ホームの税務は、株式会社形態のものと非営利法人形態のものでは課税対象が異なり、株式会社形態の場合は、すべての所得が法人税等の課税対象となるが、非営利法人形態の場合には収益事業から生じた所得のみが法人税等の課税対象となる。
貸倒損失における税務上の取扱い 【第26回】「判例分析⑫」
そもそも、事前照会を行うような納税者はどちらかというと保守的に租税法を解釈する納税者が多いため、「社会通念」のような曖昧なもので、かつ、意図的ではないにしても、事前照会で提出した事実関係とは異なる事実関係が知らないところで存在し、それが税務調査で指摘されてしまうリスクを考えると、それに頼った対応というのはあまり望ましくないというのも実態である。それを考慮すれば、子会社の再生において、第2会社方式により旧会社を特別清算するという手法を選択しているケースが多いが、法人税基本通達9-6-1(2)により形式的に判断できるやり方の方が好ましいというのも実態である。