〈検証〉TPR事件 東京高裁判決 【第2回】
「〈検証〉TPR事件 東京地裁判決」でも解説したように、東京地裁、東京高裁が示した制度趣旨は、平成22年度税制改正と整合していないことから、平成22年度税制改正後の事件において参考にすべきではないと考えている。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第12回】「役員退職給与に係る功績倍率の是認水準」
当社は、代表取締役が今期退任するため、役員退職給与を支給する予定です。役員退職給与の損金算入限度額について、代表取締役であれば功績倍率を3倍まで設定することができるとセミナーで聞いたので、その通りにする予定です。また、「特段の事情」があれば認められる功績倍率がさらに大きく増加するとも聞いたのですが、これらは正しいでしょうか。
基礎から身につく組織再編税制 【第14回】「非適格合併を行った場合の合併法人の取扱い」
被合併法人が合併により合併法人にその有する資産・負債の移転をしたときは、合併時の時価による譲渡をしたものとされるため、合併法人が受け入れる資産・負債の取得価額は、合併時の時価となります(法法62)。
〈検証〉TPR事件 東京高裁判決 【第1回】
すでに解説したように、TPR事件の特徴として、適格合併を行う前に、被合併法人で行っていた事業を新会社に移転したという点が挙げられる。そのため、東京地裁でも、被合併法人が営んでいた事業、従業員が新会社に移転し、合併法人には移転していないことから、本件合併が繰越欠損金を引き継ぐための行為であり、事業目的が十分に認められないと判断している。この点については、裁判官の心証によるものも大きく、判決文だけでは判断できないものも多いため、敢えて分析を行う必要もないと思われる。
これに対し、包括的租税回避防止規定(法法132の2)の適用は、制度趣旨に反することが明らかであることが前提となっているものの、そもそも東京地裁、東京高裁が示した制度趣旨に問題があるという点については、再度、分析を行う必要があると考えている。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第24回】
法人税法における従来の議論においては、次の3つの意味で確定決算主義という用語が使われてきた(平成8年11月 政府税制調査会「法人課税小委員会報告」第一章の四3参照)。
① 商法(会社法)上の確定決算に基づき課税所得を計算し、申告すること(法人税法74条1項参照)
② 課税所得計算において、決算上、費用又は損失として経理されていること(損金経理)等を要件とすること(法人税法2条25号、31条1項、33条2項など参照)
③ 別段の定めがなければ、「一般に公正妥当な会計処理の基準に従って計算する」こと(法人税法22条4項)
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例15】「特許業務法人の社員は使用人兼務役員に該当するのか」
最近特許業務法人Bが受けた税務調査で、特許業務法人の社員は使用人としての立場でその職務に従事するものではないため、法人税法上、使用人兼務役員には該当せず、代表社員A以外の社員に対して支払った給与のうち、歩合給部分は全額損金不算入である旨を調査官から言い渡されました。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第68回】「社会保障費の増額と税の優遇」
わが国の平成2年度と令和2年度の予算を比べてみましょう。平成2年度の予算では、特例国債から脱却できていますが、令和2年度の予算では社会保障関係費が増え、赤字国債になっています。
〔令和2年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第4回】「「法人税の軽減税率」「消費税率の引上げ」「法人の有する仮想通貨の取扱い」」
令和元年度税制改正における改正事項を中心として、令和2年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。【第3回】は「中小企業の設備投資を支援する措置の延長等」及び「地域未来投資促進税制の見直しと延長」について解説した。
最終回となる【第4回】は「法人税の軽減税率」、「消費税率の引上げ」及び「法人の有する仮想通貨の取扱い」について解説する。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第23回】
仕切精算書到達基準が「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に該当する場合、法人税法22条4項を適用して、仕切精算書到達基準による収益計上が認められることになるのであろうか。あるいは、仕切精算書到達基準による収益計上は、目的物の引渡し日に「近接する日」にも該当するものとして、法人税法22条の2第2項の適用により、認められることになるであろうか。
