理由付記の不備をめぐる事例研究 【第51回】「前期損益修正」~過去の事業年度に係る外注費の損金算入が認められないと判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「過去の事業年度に係る外注費を当該事業年度の損金に算入することはできないこと」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京地裁平成27年9月25日判決(税資265号順号12725。以下「本判決」という)を素材とする。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第48回】「収益認識基準の制定に伴う通達」
収益認識に関する新会計基準に伴う法人税基本通達は平成30年5月に公表されました。国税庁では新基本通達の考え方を「「収益認識に関する会計基準」への対応について」と題する資料で明らかにしています。
以下では、筆者が把握している新通達の内容に従って解説をしてみます。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第27回】「別表6(25) 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除、企業立地促進区域において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除又は避難解除区域等において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」
この別表は、法人が東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(以下「震災特例法」という)第17条の2第2項(復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除)、第17条の2の2第2項(企業立地促進区域において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除)又は第17条の2の3第2項(避難解除区域等において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除)の規定の適用を受ける場合に作成する。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第43回】
前回解説したように、新設合併又は新設分割を行った場合には、設立登記の日に資産及び負債が引き継がれることとされた。そのため、合併予定日又は分割予定日が土日である新設合併又は新設分割を行う場合には、事業年度開始の日を合併予定日又は分割予定日とすることができず、日割計算を行わなければならないという不都合が生じる。そのため、平成19年4月に「新設合併等の登記が遅れた場合の取扱いについて」が公表された。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第42回】
平成19年3月13日に改正された法人税基本通達は、平成18年度の会社法施行に伴い、法人税法が見直されたことが大きな改正内容となっている。そのため、「商法」から「会社法」に文言修正をしたり、「資本積立金額」を「資本金以外の資本金等の額」に文言修正したりする形式的な改正も多いが、本稿では、実質的な改正が行われているものについてのみ解説を行う。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第50回】「前期損益修正」~国保収入を減額する決算修正仕訳は認められないと判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「国保収入を減額する決算修正仕訳を否認する」法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成24年4月9日裁決(裁決事例集87号291頁。以下「本裁決」という)を素材とする。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第41回】
平成20年度税制改正では、平成19年度税制改正で不明確であった三角組織再編成を行った場合における1株に満たない端数の処理について整備された。
これは、合併親法人株式に1株に満たない端数が生じる場合には、合併法人株式に1株に満たない端数が生じる場合と異なり、会社法上、1株未満の株式を交付したものとみなせないことから、法人税法上、1株未満の株式を交付したものとみなす規定が必要だったからである。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第37回】「大竹貿易事件」~最判平成5年11月25日(民集47巻9号5278頁)~
輸出業者であるX社は、下の関係図①~④のようにして商品を輸出し、その代金を回収していた。そして、X社は、従前から、関係図④の時点で輸出取引の収益を計上し、所得金額を計算の上、法人税の確定申告をしていた。
このようにしてX社が行っていた輸出取引のうちのある取引につき、④荷為替手形を取引銀行に買い取ってもらったのが、①船積みが行われた事業年度の次の事業年度となった。
X社は、上記に従い、この取引の収益について、④荷為替手形の買取が行われた事業年度の収益として計上して、法人税の確定申告をした。これに対し、Y税務署長は、Xは①船積みの時点で収益を計上すべきで、1つ前の事業年度の収益とすべきだったとして、X社に対し、更正処分を行った。
Xは、これを不服として、処分の取消しを求める訴訟を提起したが、最高裁は、Xの主張を認めなかった。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第40回】
三角組織再編成を適格組織再編成として整理した理由は、100%親法人株式を組織再編成の対価として交付した場合には、その株式の保有を通じて実質的な支配が継続できることから、組織再編成の前後で経済実態に実質的な変更がなく、移転資産に対する支配が継続していると考えられるからであると説明されている(※1)。
