社外取締役の教科書 【第9回】「社外取締役としての法的責任(その1)」
社外取締役も、取締役会に出席し、取締役間での活発な議論を経て、経営戦略等を策定して経営方針を決定するなど、経営判断を行っていくことになる。
しかし、そこで決定した経営方針(たとえば、将来的な成長が見込まれる特定分野に人員と予算を集中させ、それ以外の部門は縮小・整理するといった絞込りこみ等)が、数年後、市場の時流から完全に外れてしまい、それが原因となり会社が倒産に至ってしまった場合は、その責任の所在はどのようになるのであろうか。
税理士ができる『中小企業の資金調達』支援実務 【第5回】「具体的な資金調達支援の流れ(その2)」~融資の申し込みは2通り~
前回は、「社長から融資の相談を受けた場合は下手なことは言わず、金融機関に相談に行くようすすめるのが良い」と述べた。
では、「相談に行くとして、どの金融機関を選べばよいのか?」というのは社長からたびたび受ける質問である。
中小零細企業の融資は、大きく分けて以下の2通りの申し込み方法がある。
[平成27年9月30日施行]改正労働者派遣法のポイント 【第2回】「新しい期間制限の考え方」
派遣先の「同一の事業所」における派遣可能期間は原則「3年」となる。「事業所」単位で派遣可能期間を考えるため、事業所内の複数の部署で派遣労働者を受け入れていた場合は、その事業所全体で最初に期間制限を受ける派遣受入を開始した部署の受入日から3年を経過する日までが、その事業所にあるすべての部署の派遣可能期間となる。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第14回】「任意加入と国民年金基金」
25年以上の受給資格期間のない人が受給資格を満たすためや、受給資格期間を満たしていても学生のときに未納期間があるため満額の年金が受給できない人が、できるだけ満額の年金(27年度価額780,100円)に近づけることを目的として、60歳から65歳まで、国民年金に任意加入できる。
ただし、任意加入者は、5年間加入できるということではなく、40年(480月)の加入期間に達した(満額の年金が受給できる)時点で加入資格を失う。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第9回】「離縁に伴う復氏・復籍」
養子は養親との離縁により、原則として縁組前の氏に復する(民816①本文)。
もっとも、(ア)婚姻によって氏を改めた者(夫の氏を称することとなった妻)が単独で養親の養子となった場合には、養親の氏ではなく、夫の氏(夫婦の氏)を称し続けることとなるので、その後の養親との離縁によっても復氏することはない(斉藤のまま)。
常識としてのビジネス法律 【第28回】「知的財産権入門(その1)」
現行法では、企業で職務として行われた発明(職務発明)に係る特許を受ける権利は、従業者に帰属し、この権利が従業者から企業に承継される際、相当の対価を受けることができると規定されている。しかし、現状では、発明の対価の額を巡って、発明者と企業が争い、訴訟に発展するケースもあり、経済界などから、日本に開発拠点を置くことのリスクにつながり、海外に開発拠点を持つ企業との競争で不利で国際競争力を削ぐとして、制度改正を求める声が上がっていた。
[平成27年9月30日施行]改正労働者派遣法のポイント 【第1回】「労働者派遣法改正の背景」
条文ミスや衆議院解散に伴う総選挙で二度にわたり廃案となった改正労働者派遣法が、平成27年9月11日に第189回通常国会で成立し、平成27年9月30日から施行されている。
今や多くの会社で活用されている労働者派遣だが、今回の改正は、派遣可能期間の考え方を刷新する等、大幅な変更を含んでいる。知らぬ間に労務トラブルを抱えることがないよう、しっかりと内容を理解しておきたいところである。
経産省研究会による会社法の「法的論点に関する解釈指針」のポイントと企業実務への影響 【後編】
本指針は、その第3項目として「役員就任条件(報酬・会社補償・保険料負担・提訴判断)」についての解釈指針を示している。
具体的には、①インセンティブを強化した役員報酬の導入、②役員に対する損害賠償請求についての会社補償の許容範囲、③会社役員賠償責任保険(D&O保険)の保険料負担の許容範囲、及び④会社が取締役に対する責任追及訴訟を提訴するか否かの判断プロセスの見直しの各項目について、現行法上の問題点の分析と新たな法解釈を示すものである。
社外取締役の教科書 【第8回】「社外の知見・ノウハウの取り入れ(その2)」
新卒で入社し、そのまま社内の勤務一筋で取締役へと上り詰めた場合、入社以来一貫して取り組んできた分野・経験については蓄積が著しいが、その半面「視野が狭い」、「頭がカタい」ということも避けられない傾向である。
その中で、社外から、自社の経営陣とは全く異なる経験を積んできた人材を招くことは、非常に有用なことである。その一端を示す実例が、上記である。
また、社外取締役による助言・提案が効果的に働いた事例として、以下もある。
税理士ができる『中小企業の資金調達』支援実務 【第4回】「具体的な資金調達支援の流れ(その1)」~資金調達の相談を受けた時にまずどうするか~
顧問税理士として社長と会話する中で、「資金が必要」「資金を調達したい」という相談を受けた場合に、最初にするべきことは資金調達の目的や希望金額などを社長に質問することである。
最初に会話・口頭レベルで相談を受けた段階では、社長の中での資金調達の必要性や使用目的、金額などが具体的になっておらず、「資金調達を行いたい」という気持ちも固まっていないことが多い。