非正規雇用の正社員化における留意点と労務手続 【第4回】「正社員登用手続と関連書式・登用規定の確認」
非正規社員をめぐる法改正が進む中、多くの企業が非正規社員の正社員化に踏み切っている。前回は正社員登用の転換を行っている企業の事例をもとに、その特徴と、実際に正社員登用するにあたっての留意事項をお伝えしたが、今回はさらに具体的な手続や関連書式、正社員登用規程のひな形を紹介する。
〈まずはこれだけおさえよう〉民法(債権法)改正と企業実務への影響 【第5回】「保証」
現行民法465条の2においては、継続的に行われている売買取引から発生した債務をすべて保証する場合のように、貸金等債務を含まない包括根保証については規制されていない。もっとも、保証人の責任を予め限定しておき、保証人にとって責任の範囲を予測可能なものにするという要請は、貸金等債務とその他の取引から発生した債務とで異なることはない。
コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応のヒント 【第6回】「取締役会等の責務③」~取締役会の多様性確保について(4-11)~
本稿では、この原則の前半部分である「バランス・多様性・適正規模」について解説することとする。
では「バランス・多様性・適正規模等」とは何か。この点、我が国より15年近く先駆けて、1999年にコーポレートガバナンス・コード(※1)を導入したフランスで、これらの開示がどういった項目として取り扱われ、どの程度浸透しているのかを見てみたい。
フランス金融庁(AMF)とは別に、2013年に設置されたコーポレートガバナンス高等委員会(以下、「CG高等委員会」)は、2014年10月21日付で初めて出した実施状況に関する報告書(※2)のなかで、コーポレートガバナンスに関連する開示について、勧告や項目別の統計を発表した。下の表はフランスの上場会社の「取締役に関する情報開示」についての統計である。
〈IT会計士が教える〉『情報システム』導入のヒント(!) 【第8回】「基幹システム導入は『経営のトップ』を巻き込め」
基幹システム導入に関わるベンダー選定の最終プレゼンの場。
出席した社長、役員、選定プロジェクトのメンバーに対し、パワーポイントを使って懸命に自社の優位性を訴えるベンダーの担当者。
プロジェクトメンバーは熱心に説明を聞いているが、社長や役員は退屈そうに配賦された資料をパラパラめくっている。
ベンダーのプレゼンが終わり質疑応答の時間となっても、質問するのはプロジェクトメンバーばかりで、社長、役員からは特に質問は出ない。
ベンダー選定のプレゼンの場において、実はよく目にする光景である。
ではなぜ、社長、役員といったトップは、経営に大きな影響を及ぼす自社の基幹システム導入に関わるプレゼンに、関心を示さないのであろうか。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第4回】「老齢基礎年金の額」
老齢基礎年金の額は、20歳から60歳までの間がすべて保険料を支払った期間(納付済期間という)があれば、満額の780,100円(平成27年度)が支給される。
つまり、加入期間のうち保険料の未納期間等があれば、年金額が減額されることになる。
確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望 【第2回】「今回改正が意味すること①」
今まで企業年金は、適年、厚生年金基金、DB、DCとそれぞれ独立した法律の建付けで運営されてきた。【第1回】でも述べたが、やりたい企業が好きに制度を選択して導入すればよい、いわば、労使合意のもと「やりたいようにやってください」というものだったわけである。
このような労使合意に基づく“自由な設計”という考え方は、退職一時金制度を源泉とする日本の企業年金制度の世界において発足以来綿々と生き続けてきた。結果として、企業年金を持つ余裕があり、社員の老後まで面倒を見たい大企業が推進の中心となっていったのだが、大企業の社員は、全労働者からみればほんの一部に過ぎない。このままでは非常に拙いことになるのは目に見えている。
常識としてのビジネス法律 【第23回】「会社法《平成26年改正対応》(その4)」
取締役、会計参与、監査役および執行役は、株主総会において議題や議案について説明する必要があるが、加えて、株主の求めた事項について説明をする義務を負う(314条)。 株主の質問権の正当な行使を妨げたときは、総会決議の手続きに瑕疵があることになり、決議取消しの事由になる。
株主には決議事項のみならず報告事項についても質問権があり、取締役等にはそれらについて原則として説明義務がある。しかし、どの取締役等が説明するかは原則自由であり、説明補助者や顧問弁護士に説明させてもよい。ただし、まず議長が指名するのは取締役等であり、その指名された取締役等が説明補助者を使うことが許されるということを知っておく必要がある。あくまで会社法は取締役等の説明義務と規定しているからである。
非正規雇用の正社員化における留意点と労務手続 【第3回】「企業の正社員化へ向けた取組み状況と正社員登用制度運営時のポイント」
① 正社員登用制度の目的を明確にする
非正規社員が安易な気持ちで、安定を求めて正社員希望をすることもある。その前提として、自社の正社員登用制度は、どのような目的において導入されたのか、正社員となってどういう働きをしてほしいのかを明確に定め、非正規社員に周知しておく。
〈まずはこれだけおさえよう〉民法(債権法)改正と企業実務への影響 【第4回】「時効」
上図のように、職業別に個別に短期の消滅時効期間を設けることには、現代では合理性がないと指摘されていた。また、原則的な時効期間を10年とするのも、最近の国際的な動向等からすると、長すぎるという指摘もなされていた。
そこで、改正法案では、職業別の短期消滅時効の規定や商事債権の消滅時効の規定を撤廃し、時効期間を統一して単純化するものとされた。
コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応のヒント 【第5回】「取締役会等の責務②」~独立社外役員について(4-7,4-8)~
多くの上場会社で2名以上の独立社外取締役を選任していない現状があるとして、独立社外取締役を2名以上選任することの意味を上場会社がそれぞれの状況に応じて考える必要がある。