現代金融用語の基礎知識 【第9回】「GPIF」
GPIFとは、Government Pension Investment Fundの略で、年金積立金管理運用独立行政法人のことである。文字どおり年金積立金の管理と運用を行う組織だが、より具体的に言うと、国民年金と厚生年金で国民から集めた保険料のうち、国民に年金として給付した後に余ったお金を運用する組織である。実際には自身で運用を行っているわけではなく、民間の信託銀行や投資顧問会社に運用を委託している。運用資産額は平成26年3月末時点で126兆5,771億円あり、世界最大の年金基金である。
国際出向社員の人事労務上の留意点(海外から日本編) 【第2回】「エクスパットの社会保険適用」
健保・厚生年金の適用事業所に「使用される」人は、その人の意思・地位・性別・年齢・収入・国籍を問わず、一部の例外(臨時に使用される人など)を除き、すべて健康保険・厚生年金保険の被保険者となる。
「使用される」とは、事実上の使用関係を意味するものであり、労務の提供の有無及びその報酬の支払関係、人事労務管理の有無などによって実態的に判断されるものである。
改正会社法―改正の重要ポイントと企業実務における留意点 【第3回】「監査等委員会設置会社の導入」
改正会社法により導入された監査等委員会設置会社とは、①株主総会、②取締役会、③監査等委員会(+会計監査人)の3つにより構成するガバナンス制度である。
監査等委員会は、取締役により構成され、監査役及び監査役会は設置されない。取締役会の監督機能強化による企業統治の充実を図るものであり、この点で現行法下の委員会設置会社と基調を同じくする。
国際出向社員の人事労務上の留意点(海外から日本編) 【第1回】「エクスパットの給与処理」
エクスパットとは、出向や転勤により雇用元の国を離れ、国外に一時的に赴任する社員をいう。
その給与の支払方法は様々であるが、一般的には基本給の一部を派遣元国の会社から、残り部分を日本の受入会社から支払うケースが多い。また、社宅や子女教育費などの経済的利益(現物給与)については、日本の受入会社が負担するのが一般的である。
改正会社法―改正の重要ポイントと企業実務における留意点 【第2回】「「社外」役員の要件見直し及び社外取締役選任の「準」義務化」
改正会社法のポイントについて解説する本シリーズの第2回では、社会的にも大きな注目を集めた、「社外」役員の要件見直し及び社外取締役選任の「準」義務化について解説する。
常識としてのビジネス法律 【第14回】「各種代金の請求・取立てに関する法律実務(その2)」
通常の請求書で埒があかなかった場合、内容証明郵便で請求すると通常の請求書と異なり、相手方がなんらかの対応をしてくることが多い。
それは内容証明郵便での請求が以下の効果を持つからである。
会社を成長させる「会計力」 【第12回】「成長戦略からみたエクイティファイナンスの姿」
上場企業が将来の成長へ投資するため、必要な資金を公募増資で調達するケースが相次いでいる。
「アベノミクス」の効果により、脱デフレの動きや円高の是正で企業を取り巻くビジネス環境は改善しつつある。2014年3期の決算発表時の次期予想や中期経営計画の説明では、経営者による事業の拡大に向けた積極的な発言が目立つ。
国際出向社員の人事労務上の留意点(日本から海外編) 【第5回】「海外出向者の社会保険適用関係」
健康保険と厚生年金保険は、適用事業所である日本の出向元との使用関係がある限り、被保険者資格が継続する。
使用関係は、労務の提供、報酬の支払い、人事管理などの観点から判断されるが、実際の保険者の判断は、「報酬の支払いの有無」を重要視しているケースがほとんどである。
ここで問題となるのが、保険料の基礎となる標準報酬月額をどのように算定すべきか、ということであるが、法律には海外勤務者の標準報酬をどのように算定すべきか定義されておらず、日本年金機構においては過去の事例の積み上げで判断しているというのが実態である。
改正会社法―改正の重要ポイントと企業実務における留意点 【第1回】「『インセンティブのねじれ』の解消」
本年6月27日、会社法の一部を改正する法律(以下「改正会社法」という)が公布された。改正会社法の施行日は、公布日から1年6ヶ月以内で政令で定める日とされており(改正附則1条)、平成27年4月1日又は5月1日と見込まれている。
改正会社法は、「企業統治の強化」と「親子会社の規律」を主眼としたものであり、全面的な規制緩和が主眼であった平成17年商法改正による会社法制定とは大きく異なる。
具体的には、監査役制度の強化による企業統治強化が行き詰まる中、社外取締役選任の「準」義務化や監査・監督委員会設置会社制度の創設等、取締役会の監督機能強化による企業統治の充実が図られた。また、会計監査における「インセンティブのねじれ」の解消も一部盛り込まれた。さらに、
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第2回】「中国業者から仕入れた期限切れ肉事件」
2014年7月21日、上海の食品加工会社「F食品」が、日本の会社に対して、期限切れの加工肉食品を大量に供給していたことが報道された。本件は、食の安全に関わる重大問題であるが、リスク管理の観点からも注目すべき点が多い。
そこで、本稿では、本件が発覚した経緯について説明するとともに、輸入食品を取り扱っている各社の初期対応を分析する。また、輸入食品の自主管理ガイドラインについて説明したうえで、海外から食品を調達する場合の検査体制について解説する。