改正高年齢者雇用安定法の実務上の留意点 【第4回】「継続雇用制度の対象者を雇用する企業範囲の拡大」
これまで継続雇用対象者の受入企業の範囲は、親子会社までとなっていたが、今回の改正により、特殊関係事業主(当該事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある事業主その他の当該事業主と特殊の関係のある事業主として厚生労働省令で定める事業主)まで拡大された。
この特殊関係事業主の範囲を整理すると、以下のようになる。
会社が取り組む社員の健康管理【第4回】「健康の保持増進対策と安全衛生教育の実施」
高齢化社会の到来、就業意識や働き方の変化に伴い、定期健康診断の有所見率は増加し、仕事に関して不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移している。
職場における労働者の心身の健康問題に対処するためには、健康の保持増進を図ることが重要である。
今回は、健康の保持増進へ向けた対策及び労働者の安全衛生教育について触れていくこととする。
誤りやすい[給与計算]事例解説〈第12回〉-賞与計算(3)-【事例③】源泉所得税① ・ 【事例④】源泉所得税②
【事例③】―源泉所得税①―
当社の給料の支給日は毎月5日である。12月15日支給の賞与から控除する源泉徴収税額について、12月5日支給の給与等の金額から社会保険料等の金額を控除した額を用いて、源泉徴収税率を算定した。
「石原産業役員責任追及訴訟第一審判決」から読む会社経営者としての責任の分水嶺【1】
本件は、会社が各地に販売した土壌埋戻材(商品名:フェロシルト)が環境を汚染する物質であったこと、すなわち実質的には産業廃棄物であったことが問題となり、これを販売・搬出等したことに対する取締役の責任が問題となった事件である。
会社は、主力製品である酸化チタンの生成過程において発生する産業廃棄物である汚泥(アイアンクレー)を有効活用しようと加工し、土壌埋戻材として各地に販売した。
しかし、平成13年8月頃、搬出先の依頼により検査がなされ、フェロシルトから、発ガン性有害物質である六価クロム等有害物質が土壌環境基準値を超えて検出された。そして、会社が自社で保管しているフェロシルトを検査したところ、同様に六価クロムが検出された。それにもかかわらず、担当者が検出結果を隠匿したこともあり、会社は子会社を通じてフェロシルトを顧客に販売・搬出した。
改正高年齢者雇用安定法の実務上の留意点 【第3回】「改正高齢法対応の就業規則と労使協定モデル」
改正高齢法においては、就業規則中の定年に関する条文及び定年後再雇用に関する労使協定の中身の見直しが重要となるが、現行法でのポピュラーな就業規則及び労使協定例を示すと、以下のようになる。
会社が取り組む社員の健康管理【第3回】「健康診断に係る費用負担と事後措置について」
労働安全衛生法の定めによる健康診断を実施する場合、その健康診断の実施に要する費用は、会社が負担しなければならないとされている。
ただし、会社が指定した医師による健康診断を受けず、労働者が自ら選定した医師による健康診断(労働安全衛生法66条5項)を受診した場合は、健康診断の実施に要した費用を負担する必要はない。
なお、「協会けんぽ」においては健康診断に対する費用の一部負担が行われているため、対象者の範囲、健診項目、実施機関等については事前に確認をした上で活用していくとよい(「健康保険組合」に加入している会社の場合は、各健康保険組合が問い合わせ窓口となる)。
誤りやすい[給与計算]事例解説〈第11回〉-賞与計算(2)-【事例②】標準賞与額の累計計算
【事例②】―標準賞与額の累計計算―
当社は、今年度6月10日と12月10日の2回賞与を支給した。社員Bの支給額は6月10日に300万円、12月10日に320万円であった。
6月10日は育児休業期間中であり健康保険料(社会保険料)は免除されていたため、12月10日の標準賞与額を320万円として、健康保険料の控除額を算定した。
〔税理士・会計士が知っておくべき〕情報システムと情報セキュリティ【第1回】「最近の会計システム事情」
『最近の会計システム事情』というテーマであるが、そもそも「会計システム」とは何であろうか。
人によって思い浮かべるものは違うと思う。会計事務所のスタッフの方々は顧客の記帳代行に使用しているソフト、大企業の経理担当者の方々は自社で利用しているソフト、ソフトウエアベンダーのSEの方々は自社で販売しているソフトなど、それぞれの「会計システム」を思い浮かべるだろう。
会計事務所の事業承継~事務所を売るという選択肢~ 【第3回】「税理士法人の事業承継」
税理士法人による税理士業務の特徴は、その権利義務が税理士個人ではなく法人に帰属するところにある。
例えば、顧客との顧問契約の締結主体は、代表社員の税理士ではなく、法的主体としての税理士法人である。
つまり、税理士法人の事業価値源泉は、オーナーの立場にある代表社員が法人の持分の保有を通じて間接的に所有しているのである。
〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!─ 【第4回】「DPC/PDPSへの参加は必須か」
DPCは、その支払いを受けるDPC対象病院と、データ提出だけを行い支払いは出来高で算定する病院の2つに分けることができる。
多くの病院は前者のDPC対象病院であり、参加のためには7対1入院基本料、あるいは10対1入院基本料を算定していることに加え、「データ/病床」比という基準が存在し、2年間のデータ提出を行い提出データ(退院患者数)/病床数が0.875以上であることが求められる。
これは、急性期病院は病床数に対して一定の退院患者がいることを意味しており、在院日数が短く新入院患者がある水準に達していれば容易にクリアできる。それに対して、DPC/PDPSでの支払いは受けない病院は要求されるデータを提出することによってデータ提出加算という診療報酬を受け取ることができる。