〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第9回】「マンション管理組合」
管理組合法人は、「建物の区分所有等に関する法律」(以下、「区分所有法」という)の規定に基づき設立された、区分所有者全員による建物の管理を行うことを目的とした社団法人である。
区分建物(分譲マンション)が完成すると、法律上、当然にその区分建物を管理するための管理組合が成立する。そしてすべての区分所有者は、各自の所有する専有部分の属する1棟の建物を単位とする管理組合の構成員となる(区分所有法3条)。管理組合は、区分所有者の共有の財産である敷地、建物の共用部分等の維持管理を主な目的とする団体である。
「従業員の解雇」をめぐる企業実務とリスク対応 【第5回】「普通解雇①」~能力不足、適格性欠如による解雇~
他の従業員より勤務成績が低く能力不足で任せられる仕事がないとして、従業員を解雇することができるだろうか。
従業員は、会社に対し労務提供義務を負っているのであり、能力不足や適格性欠如により雇用契約において想定された業務を全く履行できないというのであれば、雇用契約上の債務不履行として、普通解雇の解雇原因となりうる。
マイナンバーの会社実務Q&A 【第14回】「就業規則の改定⑦(「特別休暇」の条文の追加)」
〈Q〉社員が平日に市区町村役場にマイナンバーカードを取りに行けるようにしたいのですが、特別休暇の条文を新たに追加するのと現在の年次有給休暇の条文で対応するのとどちらがよいでしょうか。
現在の年次有給休暇の条文は、以下の通りです。
〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第8回】「医療法人(後編)」
持分なしの社団医療法人の場合に限り、定款で定めることで、基金を設置できる。この基金は、法人の財政的基盤を支えるものとの位置づけであり、利息を付されず、返済期限を定めない劣後債務として、会計上は、純資産の部に表示されることになる。
ただし、税務上は、あくまでも債務として扱われるため、法人税法における資本金あるいは資本金等の額についての規定の適用は行われないことになる。詳細は、下記の文書照会回答を確認されたい。
〔新規事業を成功に導く〕フィージビリティスタディ10の知恵 【第4回】「F/Sの深追いがリスク感知装置を働かせる」
フィージビリティスタディについてのお話も第4回目になりました。先月までは基本となる考え方についてお伝えしてきましたが、今月以降はやや踏み込んだ実践的な話題へとシフトしていきます。
まず今月お伝えするのは「深く検討すればするほど、なぜフィージビリティは低下するのか」という、F/Sに従事したことのある人なら必ず経験するジレンマについてお話したいと思います。
商業登記申請時の株主リスト添付義務化について 【第1回】「改正内容と登記実務への影響」
平成28年4月20日「商業登記規則等の一部を改正する省令」(平成28年法務省令第32号)が公布された。これにより、登記すべき事項で株主総会の決議を要する場合、登記申請の際に、株主総会議事録に加え、主要株主のリスト(以下、「株主リスト」という)を法務局に提出することが義務づけられる。
〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第7回】「医療法人(前編)」
医療法人とは、医療法の規定に基づき設立された病院、診療所または介護老人保険施設の所有・運営を目的とする法人である。
医療法人は、その行う事業の公共性から、社員に対する剰余金の配当を目的としない非営利法人とされ、継続性・安定性も強く要求されており、設立、定款変更や解散等の重要事項にあたっては所轄庁(原則として主たる事務所の所在する都道府県知事)の認可が必要とされる(医療法44条1項・50条1項・55条6項)。
「従業員の解雇」をめぐる企業実務とリスク対応 【第4回】「普通解雇をする際のチェックポイント」~解雇の可否と解雇手続~
今回は、普通解雇のうち、従業員側に原因のある通常の普通解雇(会社の経営状態に理由のある整理解雇については別稿を予定)を行う際に、会社側がどのような点をチェックしなければならないか、網羅的に論じる。
基本的に、会社が従業員を解雇する際には、①その解雇が法的に可能な事案か否かを検討し、解雇できる事案であれば、②法に従った解雇手続を行うことになる。
マイナンバーの会社実務Q&A 【第13回】「就業規則の改定⑥(「守秘義務」の条文の改定)」
〈Q〉当社の「守秘義務」の条文の改定について教えてください。現在の条文は、以下の通りです。
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第6回】「コーポレートガバナンスと反社会的勢力の排除-中華料理チェーン店における第三者委員会調査報告書の分析」
2013年12月19日早朝、餃子を中心とする中華料理チェーン店を経営するO社の代表取締役社長のT氏が射殺された。その後、捜査は進展しなかったが、事件から約2年後の2015年12月13日、突然に「組関係者浮上」との報道がなされた。
O社は、この報道を受け、O社と反社会的勢力との関係の有無、及びO社のコーポレートガバナンスの評価検証のため、2016年1月5日、外部の専門家で構成する第三者委員会を設置した。