長時間労働と労災適用 【第4回】「企業が取るべき対策」
前回説明したように、企業は安全配慮義務違反により膨大な損害賠償を請求される可能性がある。
このため、企業は以下のように、損害賠償請求から自社を守るべき対策を講じる必要がある。
長時間労働と労災適用 【第3回】「安全配慮義務違反をめぐる裁判例」
労働安全衛生法は、労働基準法と相まって、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成することを目的として定められている。
企業は労働災害を防止するために、法で定められた最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境を作り、労働条件を改善することで、労働者の安全と健康を守らなければならない。
長時間労働と労災適用 【第2回】「長時間労働と労災認定の関係」
前回記載した総合評価の対象となる長時間労働に関する労災認定基準について、心理的負荷の強度が「強」と判断される具体的な時間外労働時間が示されている。
長時間労働に関して「強」と判断される時間外労働時間は、以下の通りである。
長時間労働と労災適用 【第1回】「労災認定基準の基本的な考え方」
近年、うつ病の発症やそれに伴う自殺が増大し、それに伴って労災請求も増大している。
平成9年には41件であった精神障害等に関する労災請求件数はほぼ増加の一途をたどり、平成23年度には1,272件を記録するほどまで大幅に増加し、今後もさらに増加することが見込まれる状況となっている(厚生労働省「平成23年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」まとめ」【P14 表2-1】)。
企業としても、従業員が業務上の理由でうつ病を発症し、また、うつ病により自殺する事態が生じると、労災請求に加え、企業に安全配慮義務違反があるとして、従業員又はその遺族から民事訴訟が提起される可能性がある。
年次有給休暇管理上の留意点 【第4回】「年次有給休暇の計画的付与」
年休は本来、労働者が自分の意思によって取得するものであり、利用目的も自由であり、使用者はその利用目的を制限することはできない。
しかし、上記に見たように、年休の取得率が50%程度と低いという現状から、年休の取得促進さらには連続休暇を普及促進させるために、労働基準法では計画付与という制度が定められている。これを「年次有給休暇の計画的付与」という。
この計画的付与は、年休の付与日数すべてについて認められているわけではない。なぜならば、労働者が病気その他の個人的事由による取得ができるよう、労働者が指定した時季に与えられる日数を留保しておく必要があるためである。
〔時系列でみる〕出産・子を養育する社員への対応と運営のヒント 【第9回】「労働者の処遇、職場環境改善及び教育訓練に関連する助成金」
前回に引き続き、会社に対する国の支援制度(助成金)について触れていく。
今回取り上げるのは、労働者の処遇や職場環境の改善、教育訓練に対するものである。
両立支援制度と直接関連のある助成金ではないが、職場環境の向上や全労働者のスキルアップを図ることで、子を養育する労働者の両立支援をしやすくすることがある。
各種制度を導入・変更するときは、特定の社員(当連載では「出産・子を養育する社員」)だけに目線を向けて設計するのではなく、周囲の労働者のことや会社全体を良い方向に導いていくことも念頭に置きながら実施していきたい。
年次有給休暇管理上の留意点 【第3回】「パートタイム労働者の年次有給休暇」
◆年次有給休暇の比例付与とは
年次有給休暇(以下、「年休」という。)の比例付与とは、パートタイム労働者等、通常の一般労働者以外の労働者(短日数労働者)への年次有給休暇の付与をいう。
年次有給休暇の比例付与は、労働基準法39条3項に定められている。
〔時系列でみる〕出産・子を養育する社員への対応と運営のヒント 【第8回】「国が支給する両立支援に関連する助成金」
前回までは、出産・子を養育する社員に対し会社が対応すべきことについて触れてきた。
紹介した両立支援策の導入に向けて、各社では、制度の整備、社員教育などの実施をしながら進めていくこととなるが、その中には費用負担の面で、躊躇せざるを得ない施策もあるものと思われる。
そこで今回より2回にわたって、会社に対する国の支援制度(助成金)について触れていくこととする。
助成金は融資制度と異なり、返済を必要としないため、費用面がネックとなり両立支援制度の導入を見送ってきた会社については積極的に活用し、労使双方にとって有益となる制度作りと運用に役立てていただきたい。
年次有給休暇管理上の留意点 【第2回】「年次有給休暇の基準日を利用した管理方法」
第1回で述べたとおり、年次有給休暇(以下、「年休」という)は、入社後6ヶ月経過後に10日が付与され、その後1年経過ごとに一定日数が付与される。したがって、定期採用ではなく、従業員が中途採用で入社日がまちまちの場合には、使用者の年休管理が煩雑になる。
そこで、使用者には、以下の要件を満たす場合には、管理上の煩雑さを回避するために斉一的な取扱いをすることが認められている(平6.1.4 基発1号)。
〔時系列でみる〕出産・子を養育する社員への対応と運営のヒント 【第7回】「苦情対応・法令違反企業に対する措置」
育児休業や短時間勤務制度などを就業規則に定めたが、実際には制度が利用されていないこともあると思われる。
制度を利用していない理由としては、以下のようにさまざまなものが考えられる。