経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第6回】退職給付会計③「企業年金制度」
当社は従業員の拠出のない確定給付企業年金制度を設けています。退職給付債務の計算を依頼している受託機関からの報告は以下のとおりです。
「(1) 期首の退職給付債務 5,000」
「(2) 勤務費用 500」
「(3) 期末の退職給付債務の実際額 6,000」
また、年金資産の受託機関からの報告は以下のとおりです。
「(1) 期首の年金資産 1,000」
「(2) 期末の年金資産の時価 1,100」
さらに、当社で利息費用を計算した結果、100となっています。期待運用収益相当額を計算した結果、10となっています。そして、年金基金に掛金を200拠出しています。この場合の会計処理を教えて下さい。
会計リレーエッセイ 【第5回】「IFRS財務諸表は投資家にとって有用か?」
企業経営者が、投資家やアナリストがIFRS財務諸表を読んでいないと主張するのを聞くことは、まれなことではない。
その証拠として、彼らは、財務諸表に関する投資家やアナリストからの質問をほとんど受けたことがないという事実を指摘している。
真剣な投資家やアナリストがIFRS財務諸表に興味を示さないということはほとんどあり得ないことを考えると、この主張は、IFRS財務諸表それ自体の主要な欠陥というよりも、おそらく、通常は年次報告期間末から数ヶ月後である財務報告の公表のタイミングによって、より影響を受けたものであろう。
投資家やアナリストが、利益情報リリースや投資家説明会など、よりタイムリーに提供される情報に焦点を当てていることは事実であるが、このようなコミュニケーションには、年次IFRS財務諸表と整合的な財務情報が含まれている。
逸話的な証拠によると、投資家やアナリストは、年次財務諸表を、利益情報リリースの内容を確認し、興味のある特定事項に関する詳細を入手し、そして、財務諸表の数字が監査されているという安心を得るために利用している。
しかし、投資家がIFRS財務諸表に興味がないという主張に抗弁することが難しい、より根本的な理由がある。
林總の管理会計[超]入門講座 【第2回】「なぜ原価計算をするんですか?」
〔Q〕新しい原価計算について、もう少しくわしく教えてもらえませんか。
〔林〕伝統的原価計算は、工場で作る製品の原価計算に限定されて説明されてきた。だが、それは20世紀初頭の産業を前提とした考えにすぎないから、銀行や物流会社など工場を持たない業種の原価管理には使えなかった。
原価計算はメーカーだけでなく、すべての組織に必要なんだ。例えば、病院でも、学校でも、NPOでさえ原価計算は必要だ。
なぜか分かるかな?
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第5回】退職給付会計②「退職一時金制度」─数理計算上の差異
当社は確定給付型の非積立型の退職一時金制度を設けています。期中の会計処理(退職給付費用の計上及び退職金の支払い)後の退職給付債務は5,400です。
また、退職給付債務の計算を依頼している受託機関からの報告は以下のとおりです。
「期末の退職給付債務の実際額 6,000」
6,000-5,400=600は数理計算上の差異になるかと思いますが、この会計処理を教えて下さい。
税効果会計を学ぶ 【第9回】「タックスプランニング」
「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第10号。以下「個別税効果会計実務指針」という)21項では、大きく分けて① 収益力に基づく課税所得の十分性、② タックスプランニングの存在、③ 将来加算一時差異の十分性
を規定している。
個別税効果会計実務指針の21項(2)では、「将来減算一時差異の解消年度及び繰戻・繰越期間又は繰越期間に含み益のある固定資産又は有価証券を売却する等、課税所得を発生させるようなタックスプランニングが存在すること」が繰延税金資産の回収可能性の判断要件として規定されている。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第4回】退職給付会計①「退職一時金制度」─退職給付費用の計上及び退職金の支払い
当社は確定給付型の非積立型の退職一時金制度を設けています。退職給付債務の計算を依頼している受託機関からの報告は以下のとおりです。
「(1) 期首の退職給付債務 5,000」
「(2) 勤務費用 500」
また、当社で利息費用を計算した結果、100となっています。さらに、従業員に退職金を200支払っています。
この場合の退職給付に係る費用(以下、「退職給付費用」という)と退職金を支払った時の会計処理を教えて下さい。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第7回】株式会社マツヤ・不適切な会計処理に係る「第三者委員会調査報告書」
12月25日、マツヤの会計監査人に対し、告発文書が送付された。
その告発文書では、以下の不適切な会計処理が指摘されていた。
(1) 過大なリベートを計上した結果、未収入金が増大し、役員が穴埋めを行ったこと
(2) 仕入れた商品を隠し倉庫に放置していること
告発文書受け取った監査法人は、28日にまでに告発の事実をマツヤに伝えた。これを受けて、マツヤは、12月28日、取締役会を開催して、調査委員会の設置を決めた。
林總の管理会計[超]入門講座 【第1回】「管理会計と原価計算」
会計は大きく財務会計と管理会計に分類されます。
財務会計は会社の実態を外部に報告するための会計、管理会計は経営(マネジメント)を上手に行って、会社の業績を良くするための会計です。
したがって、会社にとって、管理会計の方が財務会計よりも大切です。
ところが現実は、管理会計がうまく機能している会社は少なく、また、苦手意識を持つ実務家や受験生は意外に多いようです。
このような事態を引き起こしている原因は何かというと、どうやら管理会計教育に課題がありそうです。
税効果会計を学ぶ 【第8回】「繰延税金資産の回収可能性に関する監査上の基本的考え方」
監査委員会報告第66号に限らず、会計基準・実務指針等を読む際には、本文の記載だけでなく、結論の背景などについても読み、理解する必要がある。
最近は、データベース化された会計基準等を用いて、検索機能を活用することが多いと考えられる。
検索機能は便利であるが、実務において、検索機能によりヒットした箇所のみを読み、実務に適用する傾向が一部においてみられる。
会計基準・実務指針等を理解するためには、本文の記載を読む際にも全体の流れを読み、また、なぜその規定を採用したのかについては結論の背景に記載されていることが多いので、これらを含めて会計基準・実務指針等を全体として理解することが必要と思われる。
監査基準の改訂・不正リスク対応基準の設定について~平成25年3月26日付 “意見書”のポイント~
平成25年3月26日、企業会計審議会は「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」(以下「意見書」という)を公表した。これにより、平成24年12月21日に、公開草案を公表し、意見募集を行っていたものが確定したことになる。
公開草案では、「監査における不正リスク対応基準(仮称)の設定及び監査基準の改訂について(公開草案)」の表題であったが、意見書では「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」の表題となり、「監査基準の改訂に関する意見書」と「監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」(以下、「監査における不正リスク対応基準」を含め、「不正リスク対応基準」という)から構成されている。