〔会計不正調査報告書を読む〕 【第142回】株式会社パスコ「特別調査委員会調査報告書(2023年4月7日付)」
株式会社パスコ(以下「パスコ」と略称する)は、1953年10月にパシフィック航空測量株式会社として創業。1960年6月、航空機使用事業免許取得。1983年10月、現商号に変更。空間情報サービス事業(地理空間情報の収集、加工・処理・解析、ICT技術を活用した高品質な情報サービス提供事業(※1))を単一の事業とする。連結売上高56,565百万円、経常利益4,113百万円、資本金8,758百万円。従業員数2,828名(訂正前の2022年3月期連結実績)。セコム株式会社が発行済株式の71.57%を有する筆頭株主である。本店所在地は東京都目黒区。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人は有限責任あずさ監査法人東京事務所(以下、「あずさ監査法人」と略称する)。
(※1) パスコ2022年3月期有価証券報告書【事業の内容】から引用
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第141回】株式会社アイ・アールジャパンホールディングス「第三者委員会調査報告書(2023年3月7日付)」
2022年11月10日、ダイヤモンド・オンラインにおいて、アイ・アールジャパンHDに関連する、「【スクープ】IRジャパン衝撃の『買収提案書』入手、東京機械の買収防衛でマッチポンプ疑惑」と題する記事(以下「本件記事」という)が掲載され、同記事のリード文では、アイ・アールジャパンHD及びアイ・アールジャパンの元代表取締役副社長・COO栗尾拓滋氏(報告書上の表記は「栗尾氏」。以下、栗尾元副社長と略称する)が2021年春ごろ、アジア開発キャピタル株式会社(報告書上の表記は「A1社」。以下「アジア開発キャピタル」と略称する)に対して、株式会社東京機械製作所(報告書上の表記は「TKS」。以下「東京機械製作所」と略称する)の買収提案を行っていたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かったとし、「東京機械の防衛アドバイザーを務めたアイ・アールジャパンのトップが、実はアジア開発キャピタルに東京機械の「乗っ取り」をけしかけていたという驚愕の事実が発覚した」と結ばれていた。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第140回】株式会社東京衡機「第三者委員会調査報告書(2023年3月3日付)」
東京衡機は、2022年11月、外部機関から、東京衡機及びその連結子会社である株式会社東京衡機エンジニアリング(以下「東京衡機エンジニアリング」と略称する)が2019年2月期より展開していた商事事業につき、実質的には東京衡機(又は東京衡機エンジニアリング)が取引の主体となっていない代理人取引や金融的取引等が含まれている疑義のほか、商事事業の主要な取引先であるG1社を東京衡機の連結子会社として取り扱うべきかどうかを検討する必要性がある旨の指摘を受けた。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第139回】株式会社オークファン「特別調査委員会調査報告書(2023年1月13日付)」
オークファンは、外部からの指摘を契機として、SynaBizを当事者とする過年度の商品販売取引において不正又は不適切なものがなかったかどうかにつき、社内調査を進めていたところ、経済的実態を欠く架空の商品取引の存在(以下「本件架空取引」という)を複数確認したことから、2022年10月21日、それらの取引に係る事実関係の調査、類似事象の有無の確認及びその会計処理の適否の検証等を行う必要があると判断し、特別調査委員会を設置することを決定し、その旨を公表した。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第138回】株式会社KADOKAWA「ガバナンス検証委員会調査報告書(公表版)(2023年1月23日付)」「ガバナンス検証委員会調査報告書(要約版)(2023年1月23日付)」
KADOKAWAは、2022年8月上旬、東京2020オリンピック・パラリンピック(東京五輪)に関連する贈賄疑惑により、上級幹部を含む複数の関係者が東京地方検察庁特別捜査部による任意の事情聴取を受けたことを契機として、外部の弁護士のみで構成される危機管理委員会を設置し、贈賄疑惑に関する調査を行った。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第137回】株式会社TOKAIホールディングス「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2022年12月14日付)」
特別調査委員会は、前社長が使用した経費について、TOKAIグループとの業務関連性が確認できなかった又は業務関連性に疑義が残る交際費、旅費交通費及びその他の経費の2017年3月期から2022年3月期の各会計期間及び2022年4月から9月までの期間の金額は10,196千円であったと調査結果をまとめている。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第136回】「2022年における調査委員会設置状況」
本連載では、個別の会計不正に関する調査報告書について、その内容を検討することを主眼としているが、本稿では、「第三者委員会ドットコム」が公開している情報をもとに、各社の適時開示情報を参照しながら、2022年において設置が公表された調査委員会について、調査の対象となった不正・不祥事を分類するとともに、調査委員会の構成、調査報告書の内容などを概観し、その特徴を検討したい。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第135回】東海リース株式会社「外部調査委員会調査報告書(公表版)(2022年11月11日付)」
2022年7月下旬、東海リースの連結子会社である東海ハウスの当時の役員、従業員計4名がエコ・プラント株式会社(以下「エコ・プラント」という)を設立した上で、東海ハウスの部材外注加工に関する取引にエコ・プラントを介在させることにより、総額計約1,400万円の原価水増し請求を行っていることが判明したため、東海リースは、不適切な取引の内容を明らかにするとともに、他に不適切な事案が発生していないかを明らかにすることを目的として、同月26日、松井巧社外取締役監査等委員(税理士)及び西野但社外取締役監査等委員(税理士)、顧問弁護士高橋幸平氏(梅田総合法律事務所所属)の3名からなる社内調査委員会を設置して調査を開始した。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第134回】株式会社ソフィアホールディングス「独立調査委員会答申書(開示版)(2022年8月12日付)」
2022年6月8日、SHDの連結子会社であるSDIの代表取締役社長であったf氏及び取締役であったg氏が、B社(答申書の内容から、アルテリア・ネットワークス株式会社であることが判明しているため、以下の表記は「アルテリア社」とする)の従業員であるb氏や複数の代理店の役職員ら等と共謀の上、C社(新聞報道などから、株式会社NTTドコモであることが判明しているが、本稿では、答申書の表記に従い、「C社」とする)から接続料金を騙取することを目的とする組織として、2021年3月頃、アルテリア社から仕入れたIP電話番号に対して所謂「機械呼」と呼ばれる方法(以下「本件方法」という)で機械的連続発信をすることによりC社をしてアルテリア社に対して接続料金を支払わせて接続料金を騙取したとして、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑い(本件被疑事件)で警察に逮捕された。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第133回】アルテリア・ネットワークス株式会社「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2022年8月10日付)」
2022年6月8日、アルテリアの従業員であるA氏が、P社(新聞報道などから、株式会社NTTドコモであることが判明しているが、本稿では、調査報告書の表記に従い、「P社」とする)から接続料金を不正に取得していたとして、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)違反(組織的詐欺)の容疑により警察に逮捕されるとともに、一部報道機関により、被疑事実は、通信事業者の間で通話時間に応じて支払われる接続料金(アクセスチャージ)の仕組みを悪用して、意図的な機械発信を生成し、P社に当該着信にかかるアクセスチャージを支払わせたというものであり、A氏のほか、アルテリアと取引のあるA社(報告書の内容から、株式会社ソフィアホールディングスの連結子会社であるソフィアデジタル株式会社(SDI)であることが判明しているため、以下の表記は、「SDI社」とする)の役員を含む十数名が逮捕されたとの報道がされた。